東方絵札録~Card In The Illusion Village~ 作:竹馬の猫友
鳴り響くクラクション。
眼前に迫る大型トラック。
甲高い音を立てこちらに突っ込んでこようとしている。
トラックと衝突するのが時が遅くなったかの如くスローモーションに感じる。
死へと少しずつ近づいているのがわかる。
このまま衝突すればきっと死ぬだろう。
それなのになぜか自分の頭は冷静に考えている。
いや、たぶんあきらめているのだろう。
「もう助からない。」
「避けられない。」
そんな考えが頭をよぎる。
周りもそう考えているだろう。
そんなことを考えていたとき、
「あなたはまだ生きたいかしら?」
女性の声が聞こえた。
生きたいに決まっている。
心の中でそうつぶやいた。
「なら一度だけ助けてあげる。ただし別の世界に行ってもらうけど。」
はい?別の世界って?
疑問に思った瞬間足元に違和感を覚え、視界が一瞬で変わる。
落ちている。
気味が悪い目玉だらけの空間の中を落下している。
上を見上げると穴、というよりも隙間のような部分から空が見える。
「あと、あ……に一つ…力をあげ…。」
まだ女性の声が聞こえるが風切音で部分的にしか聞き取れずついには聞こえなくなってしまった。
そして少年はあまりの現実離れしたこの状況に耐えられず意識を手放した。
体が浮いている感覚がする。
浮力で浮いている感じではない。
宙に浮いているような感じといえばいいのだろうか。
空でも飛んでるのかって?HAHAHA違いますよ。
ノーロープバンジーの真っ最中です。
「このまま地面に激突して死ぬのかな…。」
また意識を手放しそうになる。
「てか、どこ!?ここ!!」
叫んでなんとか意識を保つ。
周りを見渡しても雲の上ということしかわからない。
だが雲の上という割には意外と寒くない。
というより普通に過ごしやすい気温だ。
「普通もっと寒いものじゃないの?」
重量に任せて自由落下しているというのに気楽なものだ。
あまりにも現実離れした出来事を経験しすぎたせいだろうか。
そんなことを考えていると雲の中に突入した。
ここを抜ければ今いる場所が分かるだろう。
「はてさて、どの国の上にいるのやら。」
中国とかの上だったらまずい。
領空侵犯とか何やらで撃墜されるかもしれない。
あれ?人間って撃墜って言うの?
まぁどんな状況でも死ねるんだけどさ。
「あの女の人の声は何だったんだ?」
今になって考えてみると、生きたいか、とか、別の世界で、とかよくわからないことを言っていたな。
そんなことを考えていると緑が見えてきた。
「お、山らしきものが見えてきた。」
しかし一面の緑で場所は分からない。
ふと何となく視線を横に移してみると人が飛んでいる。
「え?」
人が…飛んで…る?
箒にまたがって飛んでいる人?のように見える。
「すごい、まるで魔法使いみたいだ。」
白と黒の服をまとった少女のような影はこちらに向かって飛んでくる。
しかもかなりのスピードで。
少女は手元のメモ?のようなものを見ているためこちらを見ていない。
このままだと激突してしまう。
まずい。
「おーい!ぶつかるから避けて!!」
もちろん自由落下中の自分は避けられないので避けるように促す。
しかし飛んでいるものと落下しているもの。
双方風の音で聞こえないらしい。
少女がふと前方、つまり自分のほうを向いた。
少女は驚いた顔をして落下中の僕を避けようと箒を横に向けて方向転換しようとした。
しかしそれは遅すぎたらしい。
少女と自分の距離はすでに1mも無いほどに近づいていた。
「あーこんなとき便利な能力とかあればいいのになぁ。」
死ぬ前にやってたゲームの能力が使えればなぁと頭の中にとあるカードを思い浮かべる。
1.5コストUC(アンコモン)高木清秀(1526~1610)。
戦国時代に生きた武将。生涯で四十五箇所もの傷を受け戦った猛将。
そしてその能力は、
「武力によるダメージを軽減する。」
そのカードを思い浮かべた瞬間身体が光だした。
そして俺はその現象を理解する前に、
ドンッ。
わき腹に鈍い衝撃。
どうやら箒の先が当たったらしい。
「ぐふぅっ…!」
獣みたいなうめき声を上げて僕はまた意識を失った。
「知らない天井だ…。」
はい。言ってみたかっただけです。
今日は意識を失うことが多いな。
「そんなことよりっと…。」
体は…動く。
頭を動かして周りを見てみる。ごく普通な和室だ。
少し昔の日本みたいな感じ?
「っとさっきのぶつかった場所はっと。」
体を起こして確認する。
痛みも無い。さっきぶつかったところに手を当ててみる。
痛くない。それどころか傷一つ無い。
「……まじか。」
これはさすがに驚く。
あの速度の物体がぶつかったら普通打撲、悪くて骨折とかのレベルだぞ。
「もしかしてあの身体が光ったのが原因かな?」
死ぬ前にやっていた、戦国大戦というアーケードカードゲームの
カードを思い浮かべた瞬間、身体が光りだした。
「思い浮かべたカードは武力ダメージ軽減できる高木さん。」
なるほど、どうやら僕は「戦国大戦のカードの能力を使える能力」があると考えていいらしい。たぶんだけど…。
もしかしたら他のカードゲームの能力も使えるのかな?
「…今度試してみよう。」
と一人能力に考えをめぐらせていると、
「あら、もう起きて大丈夫なの?ずいぶん丈夫なのね。もしかして妖怪の類かしら?」
えー…妖怪って…。
「僕人間なんだけどなぁ。」
少し抗議しながら声のするほうに顔を向ける。
自分よりちょっと下の年齢ぐらいの女の子が立っていた。
ただ少し変わった格好をしている。
赤と白の巫女服?にしてはずいぶん露出が高いな。主に脇の部分が。
「魔理沙とぶつかって地面に落ちて平気なわけ無いでしょ。そもそもただの人間だったらあんな場所にいないわよ。」
紅白の巫女服の女の子は訝しげな目線をこちらに向け話す。
あ、地面にたたきつけられたのか。
確かに人間だったら死んでるな。
「その魔理沙って誰?」
「あぁ、白と黒の魔法使いって言えばわかるかしら?んであなたは悪い妖怪?」
さっきのぶつかった魔法使いみたいなやつか。
ん?ちょっとまて。悪い妖怪て。さっきよりひどくなってるじゃないか。
あとその目線やめてください。
「なるほど。ありがとう。あと僕は人間だよ。どうやら僕の能力で体に受けるダメージを減らしたらしい。」
「らしいってあんたね…。自分の能力なのにわからないの?」
「まだ自分でも良くわかってないんだ。さっき気づいたばっかだし。」
というかよく自己紹介もせずにここまで話しているな。
それに気さくというかフランクというか、すごく話しやすいな。
「っとちょっと待って。自己紹介しとこう。」
そういうと少女は少し考え、
「まぁいいわ。私は博麗霊夢。この博麗神社の巫女をやってるわ。」
「僕は立花雪茂。ただの人間だからね?よろしく。」
と簡単な自己紹介をして手を差し出す。
「なに?」
何かされるとでも思ったのだろうか。霊夢は少し後ずさりをした。
「あ、ごめん。ただの握手のつもりだったんだけど。迷惑だったかな。」
迷惑だったら申し訳ない。男に耐性が無いかもしれないしな。
純粋に心に思ったことを口に出し霊夢に謝る。
その言葉を聞いた霊夢は少し驚いた表情をし、
「…こっちこそ悪かったわ。妖怪だとか疑って。あんたみたいなやつ妖怪にはいないわね。」
ようやく誤解が解けたようだ。
そこでさっきから疑問に思っていることを質問する。
「そういえばさっきから疑問に思っていたけれど妖怪ってほんとにいたんだ。」
「え?知らないの?もしかして外界の人間?そういえば見慣れない服着てるわね。」
外界?何の話をしているんだ?まるでここが別の世界みたいじゃないか。
服もごく普通の長袖のTシャツにジーパンというファッションセンスの欠片も無いものだ。この服装が珍しいのか。
そういえばここ少し古めかしい神社だけど日本じゃないのかな?
でも日本語通じてるしなぁ…。
一人で頭の中に考えを巡らせる。
「はぁ、紫の仕業ね…。」
「紫?」
「えぇ、この幻想郷の創設者八雲紫。」
……幻想郷?あぁ…どうやらこれがさっきの女性の言っていた別の世界か。
よし!もう割り切ろう。ここは幻想郷という場所で、
魔法使いとか、妖怪とか、特殊な能力とかが使える場所。OK!
「よし了解。詳しいことはいいや。ともかく世話になったよ。ありがとう。で、ところでどっか空き家とか無い?」
別の世界ということは自分の家は無いはずだ。行動を早く起こしてしまおう。
しかし、そう思っていた僕の考えは霊夢の一言で全て覆される。
「ここに住めばいいじゃない。」
「…え?さすがに異性二人で住むって言うのはまずいんじゃ…。」
「私は気にしないから安心していいわよ。」
えぇー…。それもそれでどうなの…。
「………霊夢がそう言うんだったらお言葉に甘えてもらおうかな。」
ぶっちゃけ霊夢可愛いし僕としてはありがたいんだけどね。
でも世間一般的にみて未成年の男性と女性が一緒に暮らすってどうなんだろうね?
あ、ここ幻想郷か。HAHAHA。
みたいな一人漫才を頭の中でしていると。
「よし!決まりね。んじゃ異変解決しにいくわよ。」
異変てなに?
もうわけがわからないよ……。
少年は本日3度目、意識を手放した。
はじめまして。竹馬の猫友と申します。
普段は絵とか描いてるんですがちょっと小説に興味が出たので少し書いてみました。
初めての作品で小説なんぞの知識なぞまったく持っていないもので、
大変読みづらい、下手な文章になってしまったと思います。
あと戦国大戦の話が出てくるときはできるだけ説明を入れてわからない人にも
わかるような文を書くよう努力します。
今後メジャーなカードゲームも出てくるかも…?
あと更新は不定期ですができるだけ早く投稿できるようがんばります。
8/12追記 文章の修正を行いました。それに従いサブタイトルを変更しました。
8/13追記 文章の修正を行いました。
10/6追記 文章の修正を行いました。