東方絵札録~Card In The Illusion Village~   作:竹馬の猫友

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どもです。最近更新が少し遅くなってしまっている竹猫です。
今回も少し暗い(たぶん)です。
多少のグロ表現はありますがたぶん耐性がない方でも大丈夫です。
そこまで詳しく書いてないので。



では本編どぞー。


第22話 恐怖は人を簡単に壊す

~幽々子side~

雪茂君と祢々の戦いが終わったあとで私は少し迷っていた。

雪茂君が白玉楼に来た日、私の部屋に戻ると一枚の紙が置いてあった。

もちろん私が置いたものでもないし、その紙に書いてある字を見たところ妖夢や祢々の筆跡じゃないのは明らかだった。ということは私達以外のものが置いていったということになる。私達は外に出ていて家には誰もいなかった。

つまり誰かが入っても気付かないのだが、そもそもここは冥界。来る者なんてまずいない。普段ここに来る者がいるとすれば紫ぐらいだ。だが紙に書かれている字は乱雑で紫が書くような字ではない。

それにその紙に書いてある内容がよく分からない。

「雪茂へ 前回2人に書いた手紙があったと思うがこちらに来る人数は4人でも構わない。楽しみに待ってるぜ。みんなお誘い合わせの上来てくれや。」

…なんというか語彙力が足りない気がする。…じゃなくてたぶんこの内容からしてこの手紙を送ったのは例の犯人ね。どうやって私の部屋に送り込んだかは分からないけど。

でもなんで自分達に不利な状態にしようとしているのかしら。それほど自分の力に自信があるのだろうか。

とまぁそんな不思議な紙(手紙)を雪茂君に渡すかどうか迷っていた。

渡したほうがいいとも思うし渡さないほうがいいとも思う。

まぁ順当に考えたら渡したほうがいいだろう。そのほうが戦力も上がるし霊夢を助けられる可能性が上がる。

けど、罠だったとしたら?

4人まとめてやられてしまうのと2人の犠牲で2人助かる。「犠牲」なんて言い方は悪いが安全性を求めるならこっちだ。

…深く考え過ぎるのもあまり良くないだろう。ここは素直に渡しておこう。いつものように「そういえばこんな紙が私の部屋に置いてあったわ~。」なんていつもの調子で渡せばいいだろう。

そんなことを考えているとガラッと茶の間の襖が開いて雪茂君と祢々が入ってきた。

 

 

 

 

 

~雪茂side~

茶の間の襖を開け中に入ると妖夢ちゃんと幽々子さんの二人がお茶を飲んでいた。

いつもと同じ場所に座ると妖夢ちゃんが声を掛けてきた。

 

「おはようございます…ってもう夕方なのでこんばんわでしょうか。」

「あれ?僕達が戦ってたときはまだ午前中だったよね?…もしかして僕ずっと寝てた?」

「ぐっすりだったわよ~。」

 

…まじか。午後の時間つぶしちゃったのか。折角の特訓の時間が…。

まぁでもその反面今日の特訓はかなりためになった。

相手のことを良く見て使う能力を選ぶこと。

なによりそれが今回身に染みてよく分かった。

相手にダメージを与えるはずがむしろ回復させていた。なんて、実践だったら致命的だ。

と一人心の中で反省していると幽々子さんから声が掛かった。

 

「そういえば雪茂君がこっちに来た日に私の机に手紙が置いてあったんだけど雪茂君分かるかしら?」

「僕ですか?」

「えぇたぶんね。ちょっと見てもらえるかしら。」

 

そういって幽々子さんに手紙を渡してもらう。内容は簡潔に言うと「4人で来い。」ということ。

どういう意図があって4人にしたのか分からない。ただ人数が増えると言うのはこちらにとっては好都合だ。戦力は大いに越したことは無い。ただ問題は誰が行くかだ。

 

「4人ですか。まず僕と魔理沙は確定として、残り2人。となると…。」

 

そう言って僕は妖夢ちゃんと祢々ちゃんに視線を配る。それに気付いたのか二人は頷く。

 

「もちろん残り2人の枠は私達が行きます。」

「わ、私も微力ながらお手伝いさせていただきます。」

「ありがとう。2人とも。」

 

相手は異変を起こした犯人だっていうのに2人は臆せずに了承してくれる。心強い。

…そういえば犯人が起こした異変って何なんだろ?

幽々子さんたちが知ってるとは思えないし…。

こういうときに紫さんがいれば教えてくれそうなんだけ…、

 

「呼んだかしら?」

「うわぁっ!?って紫さん!?」

 

後ろから急に声がかかり驚きで少し体が跳ねる。

後ろを見ると声の主はやはり紫さん。…やっぱりこの人心読めるんじゃ…。

 

「はーい。若くて綺麗なゆかりんでーす。」

「………。」

「なんでそこ黙るのかしら?」

「い、いえ何でもないです。それよりも丁度いい所に。ちょっと質問いいですか?例の犯人が異変を起こしたって

 

言ってましたけどどういった異変なのか分かりますか?」

冗談なのか本気なのか分からない紫さんの言葉をスルーし先程の疑問に思ったことを聞く。

少し紫さんは面白くなさそうにしながら口を開く。

 

「…教えてもいいけど冷静に聞きなさい?いいわね?」

「…はい。」

 

先程とはうって変わり真剣な声色と表情で紫さんがこちらに向き直す。

こちらも姿勢を正して紫さんの言葉を待つ。冷静に聞けとはどういった意味なのだろうか。

それほど大変な事態なのだろうか。

しかしそんな僕の考えは甘かったと次の紫さんの言葉で思い知ることになる。

 

「この世界にも普通の人間の住んでいる人里があるわ。そこは普段妖怪などには襲われないようになってるの。まぁいたって平和な里ね。…だけどとある日。そんな平和が崩れたわ。例の犯人2人組みがその里にやってきたの。里の人間は2人の服を見てまだこちらに来て間もない外来人だと思ったのかしらね。里の人間は2人に優しく接しようとしたわ。だけど…、」

「そのときその異変が起きた、と?」

「…えぇ。その通りよ。だけど今回のは異変と言うより事件と言ったほうが正しいのかもしれないわね。2人は身長の高い男と少年のような男の2人組みだったのだけど身長の高いほうの男が1人の少年を捕まえてナイフを取り出しこう言ったわ。「こいつの親は何処にいる?出てこい!さもなければこいつは今すぐに切り刻む!」一方的で身勝手な男の要求に里の人間は従うしか無かった。そして先程の言葉で少しざわつきを見せ始めた群集の中から2人の中年の男女が出てきたわ。」

 

いきなり来てそんな凶行をするなんて普通は思わないだろう。

そしていきなりのことに里の人間や家族は従うしかない。

 

「そして2人の親を確認した男は「おい。どっちかこのガキと交代しろ。さもないと…、」そういってどこからともなく取り出したナイフを子供の首に当てたわ。少し皮膚が切れて血を流し涙を零す子供を見て血相を変えた父親が交代を申し出たの。そして男は自分の仲間の少年とその家族を引き連れてその家族の家に向かった。その家の扉を閉めてからはひどかったわ。まず父親の両腕をナイフで串刺しにして壁に(はりつけ)。もちろん両足も。苦しむ断末魔のような声を聞いて家族は悲鳴を上げた。それは男を興奮させたみたいで父親に死なない用に調節しながらナイフを突き刺して母親と子供に向けてこう言ったわ。」

 

そこまで聞いて怒りと吐き気がこみ上げてきた。家族の心情を考えると涙も出てきそうになるが堪える。

だが考えても見るとかなりひどい。平和だった日常が一瞬にして崩れ去る。

昨日まで、いやさっきまで一緒だった家族が目の前で苦痛の声を上げながら痛めつけられる。

…考えたくもない。

 

「「お前らは生きたいか?それともここで死ぬか。選ばせてやる。まぁ条件はあるけどな。」そういわれた母親と子供はもちろん「生きたい。」そういったわ。それを聞いた男はニヤリと笑ってナイフを差し出して口を開いた。「なら俺は優しいから一回で良い。2人でこのナイフを使って(はりつけ)の父親を死なないように刺せ。そうすれば生かしてやる。まぁこの父親は死ぬかもしれないけどな。」」

 

ダメだ。涙が溢れる。その男は狂っている…!家族である父親に死なないようにナイフを刺せ?

ありえない。常人の考えることじゃない。

 

「…大丈夫?苦しいならやめるわよ。」

「…いえ。大丈夫です。聞かせてください。」

 

本当ならここでやめたい。だけど聞いておかなくてはならない。そんな気がした。

 

「なら続けるわね。その言葉を聞いた親子はナイフを受け取ってひたすら「ごめんなさい。」と連呼しながら父親を一回ずつ刺したわ。周りから見ると躊躇いもなしに刺したらしいわ。…たぶん恐怖から正常な判断が出来なかったのでしょうね。そして男が「オッケーだ。お前らは生かしてやる。…まぁこいつは死ぬんだけどな!」そう言った直後(はりつけ)られていた父親が急に苦しみだして断末魔のようなものを上げたかと思うと肉塊になってしまったわ。」

「肉…塊ですか…?」

 

ありえない。先程まで刺されていたのに急に肉塊になるなんて。

やはり能力なのだろう。

といきなり吐き気を催し手で口を押さえる。

幸い吐き出すことはなかったが苦い胃液が上がってきて少し気持ちが悪い。

「続けるわよ。」と紫さんがまた話し出す。

 

「残された二人はもう放心状態だったわ。心ここにあらずと言った感じね。それを見て男はつまらなそうにして「その父親だった(・・・)ものは残しといてやる。まぁ最後の俺からの優しさだ。」それだけ言うと二人はその家を出て行ったわ。そしてその出来事はすぐさま人里を駆け巡った。そして恐怖によりみんな家に引きこもったわ。…簡単な説明だけどそれが今回起こった異変。いや、事件よ。」

 

話の全てを聞いて僕は口を開けずにいた。体が震える。

たぶん恐怖から来るものだろう。

そんな快楽殺人をするような男と戦わなければいけないのだ。恐怖以外に何があるというのか。

ましてや僕はまだこちらに来て1週間も経っていない。そんな最中にこれだ。

甘く見すぎていた。

僕は幻想郷を、能力を(あなど)っていた。

 

僕は、本当に勝てるのだろうか…?




閲覧ありがとうございます。
と言うわけで22話でした。だんだんと犯人のことが雪茂に伝わっていきます。
なんかゆかりんに喋らせ過ぎたかなと思いましたが説明なんだから仕方ない!…よね?
また少し更新遅れるかもしれませんが次回も宜しくです~。

雪茂「あれ?珍しく前書き後書きに僕の出番がないぞ?」

うp主「安心しろ。次回はまた茶番が入る。(予定)」

雪茂「お手柔らかに…。」
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