東方絵札録~Card In The Illusion Village~   作:竹馬の猫友

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新年明けましておめでとうございます。
また今年もがんばって更新していこうと思います。
ほんとは元旦に投稿したかったんですがね…。
久しぶりに書いたらなんだか違和感が…。
もしかしたら文章に変なところとかあるかもしれません。
そのときはコメントしてもらえるとありがたいです。

とまぁ今回は茶番なしで。
本編どぞー。


第29話 新たな覚悟

 スキマを通って白玉楼へと到着する。その際ずっと妖夢ちゃんに手を引かれていた。妖夢ちゃんに到着してからその事を言うと真っ赤になってあたふたしていた。と、そこまでは先程までの陰鬱とした空気は薄くなっていた。少しはいつもの調子を取り戻せたが、幽々子さんに対面してからまた先程の空気が戻ってしまった。さすがに先程の出来事を思い出してしまうとどうも暗くなってしまう。

 そして幽々子さんに先程あったことを伝えた。僕の話を聞いて、幽々子さんは涙こそ流さなかったが悲しそうな表情をしていた。きっと祢々ちゃんは幽々子さんにとっては家族も同然だったのだろう。先程の紫さんの話ではもう少し平然としているものだと思っていたがそうでもないらしい。

 

「説明ありがとう。雪茂君。…祢々のことは気にしないでいいわ」

「でも…」

 

 気にするな、と言うほうが無理である。祢々ちゃんはさっきまで一緒に修行をしたりご飯を共にした仲なのだ。家族、とまでは行かないが、僕もそれほどに仲良くなれたつもりだ。そんな人が死んでしまったのだ。そんなことを思い出し、さっき紫さんに慰めてもらったはずなのにまた目が潤んできてしまう。そして耐え切れずに頬を涙が一筋伝う。それに気付きすぐに手で拭う。

 

「…あなたは人の命を思い泣ける。とても優しい心を持っているのね。…気にするなと言ったのはあくまでも「いつまでも祢々の死に囚われるな」と言っているのよ」

 

 幽々子さんの表情からは先程の悲しい顔はもう見て取れなかった。代わりに僕を全てを包み込んでくれるような優しい笑みを浮かべていた。

 

「だからあなたは祢々の分まで精一杯生きていけばいいのよ」

 

 それを聞いて僕はまた涙してしまう。幽々子さんは優しい。きっと自分も悲しいだろうにそれを表に過剰に出すことはなく、僕のことを考えてくれている。本当は泣きたいのかもしれない。しかし、ここで泣いてしまうと僕達に不安を与えてしまう。だから今は出来るだけ哀の感情は外には出していないのかもしれない。

 そんなことを考えていると顔に笑みを浮かべながら幽々子さんが口を開く。…笑みと言うのは間違いかも知れない。ちょっと頬がヒクヒクしている。……どうしてだ?

 

「暗い話のあとで言うのはちょっとあれかもしれないけれど、祢々を幽霊としてこの白玉楼に住まわせることが出来るわ。まぁ死んでることに変わりは無いのだけれどね」

「…は?」

 

 えっと、今なんていった?幽霊として白玉楼に住まわすことが出来る?

 

「なんで先に言わないんですか!?」

「いやぁ雪茂君の真剣な表情を見るためよ~。先に、”幽霊に出来る”なんて言ったら緊張感の欠片もなくてそんな真剣な表情しないでしょ?」

 

 幽々子さんはくすくすと笑いながら「雪茂君の泣き顔いいわね~」なんて言っている。僕の横で真剣な面持ちで僕らのやり取りを見ていた妖夢ちゃんも、今の一言で力が抜けてしまったようだ。きちんと正座をして座っていたのだが少し崩れている。

 

「…まぁこの際そんなことはどうでもいいです。つまり祢々ちゃんは幽霊ではあるけどここにいられるってことですね?」

「そうよ~」

 

 先程までの僕の涙を返してほしい。いや、まぁ人が一人死んでるのだから涙は流して当たり前な気もするけど。まさか幽霊になって住むことが出来るようになるなんて思いもしないし。

 …やっぱり幻想郷はすごい。いろんな意味で。

 

「というかもうそこにいるわよ」

「へ?」

 

 幽々子さんが僕の後ろのほうへと指を指しながらそう言う。

 少し間抜けな声を上げながら妖夢ちゃんと2人で幽々子さんの指差したほうへと顔を向ける。そこにはいつも見ていた姿ととまったく変わらない祢々ちゃんがいた。

 しかしさっきから周りをキョロキョロしたり首を手で触っていたりと少し落ち着きが無い。なので話しかけてみることにする。

 

「祢々ちゃん…だよね?」

「は、はい。そうです。祢々です。えっと…私首切られましたよね?何でここに?」

 

 現状を把握できてない祢々ちゃんに現在の状態になった経緯を全て説明する。説明が終わった後、祢々ちゃんは自分が幽霊になったということに少し違和感を感じていたようだったが「きっと過ごしていれば少しずつ慣れていくと思います」と言っていたので大丈夫だろう。

 そして説明が終わったのを見計らったのか幽々子さんが口を開く。

 

「雪茂君」

「はい。なんでしょうか?」

「…ちょっとこれから厳しいことを言うわ。…聞く勇気はあるかしら?」

「…はい」

 

 いつもに増して真剣な表情と声色で話す幽々子さん。思わず言葉に詰まってしまったが返事をする。そして僕の返事を聞いたかと思うと、幽々子さんが祢々ちゃんと妖夢ちゃんの2人を一旦部屋の外へ行くように告げた。その言葉を聞いてすぐさま2人は退出した。足音が遠ざかっていくのが聞こえたのできっと自室か違う部屋へと向かったのだろう。それを確認して幽々子さんが改めて口を開く。

 

「話すことは三つ。一つ目、あなたは弱い。それは体のことでもあるし、技術的な部分。そして精神的にも言えるわ。戦闘に関して弱いのは、まぁ当たり前ね。あなたは外の世界から来た外来人だし、戦闘経験があるほうが稀だわ。そこに関しては経験で何とかなるわね。…でも精神面が脆すぎるわね。精神は鍛えようが無いけど覚悟一つで結構変わるわ。あなたは、あなたには覚悟と言うものがあるかしら?」

「覚悟…ですか…」

 

 覚悟か。そういえば明確な覚悟なんて考えたこと無かったな。犯人達と戦ったときは祢々ちゃんを殺され頭に血が上っていて覚悟なんて頭に全然無かった。それに元の世界でも考えたこと無かった。

 …そうか。…僕は覚悟を決めていなかったんだ。

 

「その様子だと無いようね」

「………」

 

 僕は頷くことしか出来なかった。再び発せられた幽々子さんの声が思っていた以上に冷たかったからだ。先程の言葉にため息でもオプションとして追加されていたら今にも心がポッキリ折れそうな勢いだ。

 しかしそれでも幽々子さんを見据え、次の言葉を待つ。

 

「…あなたは覚悟を決めなさい。それもとびっきりの覚悟を。そうすれば精神的にもっと強くなれるわ」

「僕の覚悟は…」

 

 誰よりも強くなる?もう負けない?今回のようなことを繰り返させない?

 頭の中で色々な考えが渦巻く。しかしいまいちどれもしっくり来ない。そんな僕の様子を見かねてか幽々子さんが僕に声を掛ける。

 

「…普通は自分で決めるものなんだけれど、もし決まらないようなら私が……」

「いえ大丈夫です。決まりました」

 

 少し失礼だと思ったが幽々子さんの言葉を切る。そして少し言うべきか悩んだが今決めた僕の覚悟を口に出す。

 

「全て守ります。全て切り伏せます。全て許します」

 

 自分で言っておいてあまりにも滅茶苦茶だ。全て守ると言っているのに切り伏せる。切り伏せると言っているのに許す。きっと僕以外は理解は出来ないだろう。…まぁ少し難しく言っているだけで実際は、守るべき存在は守り、切るべき存在は切り、許すべき存在は許すと言うものだ。だが、その言葉では少し弱い。だから僕は”全て”と言ったんだ。それほどの規模じゃないと僕には足りないと思ったからだ。限界はあるだろうけど出来るだけその言葉を守ろうと思う。

 

「………」

「…幽々子さん?」

 

 と、僕の言葉を聞いて黙っている幽々子さんに声を掛ける。もしかして怒らせてしまったのだろうか。あまりにも無責任だ。と怒られるかもしれない。…もしかしたら呆れているのかもしれない。そんな想像が頭の中を過ぎる。しかし返ってきた言葉はそんな考えを覆すものだった。

 

「いいわ、いいわね!いい表情をするようになったじゃない。そのぐらいの覚悟が無いと駄目よ」

「…はい!」

 

 先程の少し冷たかった幽々子さんの言葉ではなく、いつもの明るい口調で言葉が返ってきた。そして僕の覚悟をとやかく言わずに、むしろ肯定的な返事が返ってきたので少し安堵した。

 

「とまぁこれでやっと一つ目ね。二つ目なんだけれど、さっき口に出しちゃったのよね。それで二つ目、あなたは戦闘経験が無さ過ぎるわ。さっきも言ったけどこれは仕方がないわ」

「はい」

「だけどこのままではきっとその経験不足が大きな弊害を及ぼす危険があるわ。先程の覚悟で守る、切り伏せる、というのはこの経験があってこそ達成できるものだわ。しかしあなたにはそれが無い。単刀直入に言うとあなたにはもっと戦闘、こちらで言う弾幕ごっこをもっと経験するべきね。」

 

 僕は頷きながら幽々子さんの言葉に耳を傾ける。確かに幽々子さんの言うとおりだ。弾幕ごっこをやれば技術も経験も上がるだろう。

 

「最後に…能力の事についてだけれど、これはあなたの中にいる人に聞いたほうが早いかしら?」

「…なんじゃ分かっておったのか」

 

 いきなり声が僕の隣から聞こえてくる。そちらを見ると高齢の男性が座っていた。前に話した宗茂さんだろうか。見た目は…悪く言って落ち武者、良く言って武士の休日と言ったところだろうか。髪の毛は結っておらず後ろに流しており、着物は白い薄手のもの。

 

「え、あなたが宗茂さん?」

「おう。そうじゃ。お初にお目にかかる。主殿よ」

 

 えー…こんなおじさんに主殿って呼ばれるとは思わなかった…。なんか…こそばゆい。てか前に話したときそんな風に呼んでなかったような…。それに外出れるのか。紫さん前に「僕の魂と一緒になっている」とか言ってなかったっけ。まぁいいか。細かいことは気にしないでおこう。…細かくないか。

 

 

 

そして次の幽々子さんの一言でまた僕は驚くことになる。




閲覧ありがとうございます。
なんだかんだで10日以上経ってるんですね…。
もっと更新ペースを上げなければ(使命感

改めまして今年も宜しくお願いします!
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