東方絵札録~Card In The Illusion Village~ 作:竹馬の猫友
うp主「あったね」
雪茂「あ、やっぱり?ってことはあれに似た能力?」
うp主「んなわけねーです」
雪茂「ですよねー」
本編どぞー
一週間以上更新空いちゃったなぁ
屋敷、というか洋館と言ったほうが正しいのだろう。現在その洋館もとい、紅魔館の中を歩いているのだが、先程から僕の頭の後ろにふわふわと何かが浮いているような感じがする。気になって首をそちらに向けるのだが何も無い。なので試しに手をそちらに伸ばしてみる。するとなにやら硬質の薄いものに触れる。すかさず掴むがスルっと手から逃げるようにまた先程の位置へと戻ってしまう。
「くすぐったいじゃないのよ」
「誰っ!?」
いきなり聞こえて来た声に思わず身構えてしまう。周りを見回してみるが誰も居ない。突如放った僕の声は思ったよりも大きく、先ほどの小さい女の子たちがビクッとしているのが目に入り頭を下げておく。少し気恥ずかしさを感じながらも先程の声の主を探す。先程聞こえた声は随分と落ち着いた女性の声だったのだが、その声に見合うような者は回りに見当たらない。周りにいるのはメイド服を着た羽の生えた子達だけだ。
「そんなに探さなくてもここにいるじゃない」
「って言われても…」
また後ろから声が聞こえてくる。振り返るが誰もいない。しかしさっきとは違う点が一つあった。何かカードのようなものが目の前に浮かんでいるのだ。天使のような女性の姿が描かれた黒く縁取られたカード。上に”Ⅵ”、下には”The Lovers”と書かれている。
もしかするとこのカードが言葉を発していたのだろうか。
「さっきの声の主は…」
「そうよ。私よ」
絵の中の女性が口を動かし僕の質問に答える。まるで意思を持っているかのようだ。と、カードのほうに気が行っていて気がつかなかったが、先ほどのメイド服の子がそわそわと僕の周りを飛んでいるので「もう大丈夫」と伝えその場を離れてもらった。今更だけど羽を使って飛んでいるのはまるで妖精みたいだったな。そんな事を思いつつ、目の前のカードと話そうと思ったが人の家に来て場所を借りて住人の人以外と話すというのは失礼に当たるのではないかと考えカードに場所を変えて話さないか、と聞いてみたら「私は別に構わない」とのことだ。その返事を了承とし館を後にする。その際頭から出血している美鈴さんに「随分早いですね?」と聞かれたので「少し用事を思い出したので図書館はまた今度お邪魔します」と言って少し離れた森のほうへと移動しようとするといきなり美鈴さんに袖を掴まれる。「どうしました?」と聞くと美鈴さんが顔を赤くしながら「また、来てくれますよね?」と上目遣い気味に言うのでどぎまぎしながらまた来ると伝えその場を後にした。頭の血に関してはなんとなく察したので気に留めなかった。…それにしてもさっきの美鈴さんどうしたのだろうか。熱でもあったのかな?と考えながら森の中へと入る。
座りやすそうな石に腰を掛け先程のカードを見る。少し縦に長いカード。ちょっと変わっている。それに何よりこのカードは意思を持っているようだ。…考えても分からない。聞いてみるのが早いだろう。
「君は、」
「君、じゃなくて”
僕の前に来てラバースと名乗ったカードが言う。
「…了解。で、ラバースはどうして僕に付いて来てたの?」
そう質問をすると不思議そうに絵の中の女性が首を傾げる。…結構自由に動けるんだな。
「付いてきたんじゃなくて出てきたのよ。」
「出てきた?」
まるでどこかに入っていたかのような物言いだ。偶然僕のところに来たのだろうか。と、僕が悩んでいるとラバースがはぁとため息をついた。…僕なんか悪いことしたかな…。
「まだ分からないの?私はあなたの能力によって生み出されたタロットよ」
「え?僕まだ能力使ってないんだけど」
それにタロットが分からないから調べようとしていたところなのだ。僕がそう言うとラバースがもう一度ため息をつく。…なんかごめんなさい。
「この際だからあなたの能力を説明しちゃうわ。まずあなたの能力は常時発動状態にあるわ。正確に言うと発動準備状態って言ったほうがいいかしらね。今は私しか出てないけど私と同じ大アルカナはあと21枚いるわ。他はそのうち出てくるでしょ。ちょっと話は逸れちゃったけどあなたはいつでも私達を呼び出し使役、もしくは能力を使用することが出来るわ。」
「なるほど」
前に使っていた能力とさほど大差はなさそうだ。にしても残り21枚もあるのか。…やることは多そうだ。僕が残りの21枚を考えて少し渋い顔でもしてしまったのだろうか。ラバースがこちらをのぞきこんでくるように移動してくる。心配してくれるのだろうか。案外優しいところもあるらしい。
「あ、そうそう。残り21って言ったけど正確に言うと小、大アルカナ全部あわせて78枚あるわよ?」
「………」
まるで僕が考えていることなぞお見通しとばかりに意地の悪い笑顔で僕に言う。それを聞いて絶句。今の僕は正にその言葉どおりの状態だった。驚きから一言も口から言葉が出てこなかった。「まぁそこは慣れと勉強よ」とラバースが言う。
「まぁそれは置いといて、とりあえずあなたの能力のルールを説明するわね」
まさかのルール追加ときましたか。もう良いですよこの際。何でも来てよ。
そう軽く思っていたのだが僕の能力は案外めんどくさいらしい。とりあえず一つ一つ挙げてみるとしよう。
・基本的には大アルカナと小アルカナを組み合わせ能力を使用する。それをスキルと呼ぶ。(ことにする
・大アルカナのみでもスキルは使用可能。小アルカナは不可。
・組み合わせは大アルカナ+小アルカナ、大アルカナ+大アルカナのみ。
・大アルカナ同士を組み合わせた場合すさまじい効力があるがその代わりに使用した日から2日の間その二枚は使用不可になる。
・大アルカナの中には意思があるものが存在する。その者に使用を拒まれてしまうとその大アルカナは使用不可。また能力の代償を求められる場合がある。
・大アルカナに限った話で、そのカードを召喚することが出来る。これは前の能力とほぼ同じ。ただこれも対象の大アルカナに拒まれると使用不可。
・この能力は弾幕ごっこにおいてスペルカードと同じ扱いで使用することが出来る。(らしい
・アルカナの組み合わせには色々あるが一日に使用できる技の数は12。
こんな感じだろうか。…軽く挙げたつもりだったのだがやはり多い。僕もよく覚えていたものだ。それと残りの小アルカナについては後でまとめて情報をくれるらしい。ラバーズ曰く「やって慣れろ」とのことだ。
「大まかな説明はこのぐらいにしてとりあえずあたしの能力を教えるわね。改めて、私は”タロットNO.Ⅵ The Lovers”。正位置能力は他者との共鳴。逆位置能力は他者への誘惑よ」
「ごめんちょっと質問」
説明の途中で申し訳ないと思いつつラバースの言葉を一旦切る。ここにきてまた聞きなれないワードが出てきてしまったのだ。正位置能力と、逆位置能力。とりあえずこの二つの意味を知りたい。そう伝えると「そういえば説明してなかったわね」という言葉が返ってきた。
「正位置、逆位置はタロットで占いとかをするときによく使われたりするわね。あなたの能力で説明すると正位置は任意発動のアクティブスキル。逆位置は常時発動のパッシブスキルってところね。もう一つ説明を加えるとあなたの能力の発動方法は二つあって、一つがあなたが他のアルカナと組み合わせてスキルを発動させる方法。これが正位置ね。もう一つはあなたの意思で私達を具現化、もしくは私達が勝手に自分を具現化させた場合に発動しまわりに影響を与えるもの。これが逆位置ね」
「…ということはもしかして今って」
「理解できたみたいね。あなたの考えている通り今は私の”他者への誘惑”が発動してるわ。対象はもちろんあなた」
カードの中の女性が薄く笑いながら僕に言う。ラバースの能力のことが分かったところでふと僕は先程での館のことを思い出す。玄関を抜けた後からカードの気配を僕は感じていた。それに呼応するように周りの子の顔が赤くなったのを今思い出す。そして玄関から出て美鈴さんと話し分かれようとしたときの美鈴さんのあの行動。恐らく能力に当てられた結果なのだろう。
「色々分かったようね。説明しようと思ってたことも分かったみたいだし私からの説明は以上よ」
「了解。改めてよろしく」
「えぇ」
その後「話し疲れた」とラバースは姿を消した。どうやら具現化をやめたらしい。恐らくもう一度僕が呼べば出てきてくれるのだろうが今はやめておこう。さて、とりあえず22枚中1枚。残りもいつか出てきてくれるのだろうか。そう思いつつ僕は今後の予定について考える。
とりあえず考えたのは白玉楼に戻ること。しかし、あそこから出てきたのは良いが帰り道が分からない。しかし自分の荷物は持ってきていたのでそちらに関しては問題は無い。と、白玉楼へ戻るという選択肢は削除。もう一つ思いついたのは紅魔館へと向かうこと。だが一日に二回も行くというのはなんだか無駄足のような気がして嫌だったのでパス。
「だったらあれだな」
そう考え紅魔館とは反対方向に歩き始める。僕が思いついたのは行き当たりばったりの修行旅。修行と付いているが簡単に言うとただの幻想今日巡りだ。霊夢は助かったし今やらなきゃいけないことは僕自身の強化。ならば旅の途中で出会った妖怪などにお手合わせ願ったりして力を付けていくのが良いのではないかと考えたのだ。
旅を始めて2時間。下手をすればまだ散歩のレベルである。
「はぁっ…はっ……はっ、あっ…」
しかし僕は息を切らしながら走っていた。ムカデみたいな大きい妖怪に追われながら。森の中を歩き続けること1時間30分ぐらい経ったころだろうか。妖怪と一回も顔を合わせることなく僕は歩いていた。
「だれかいないかな」
そう口にしたときだった。地面が地震のように揺れ周りの木々が揺れて葉っぱを落としたかと思ったら木の陰から大きい2mは超えるであろう大ムカデが現れたのだ。なんとそれだけではなく、そのムカデが口を開いたかと思うと、
「ニニ、ニンゲ、ン、コ、コココ、コロ、コロ、コロスススススゥゥゥゥゥッッッ!!!!!」
いきなりサイコさんになってしまいました。それから僕とムカデの鬼ごっこが始まり現在に至る。対抗策を考えたのだが今までの遊戯王、戦国大戦の能力が使えなくなったことを思い出し逃げることに専念することにした。しかし、相手の走る速度は劣ることを知らず、ただ僕の体力だけをどんどん削っていった。その時だった。
「はあっ、はっ、はぁっ………ぐ、あっ…!」
足元の木の根っこに足を引っ掛け盛大に転んでしまった。幸い体を捻ることで顔面から転ぶことは無かったが左腕に大きな擦過傷が出来てしまった。だがまだましなほうだ。木の枝などがあれば下手をすれば裂傷を負っていたかもしれない。しかし今の問題は今出来た傷ではなく、今も僕に迫ってきている大ムカデだ。痛む左腕を押さえながら何とか立ち上がろうとするが上手く力が入らない。それに目の前の明確な殺意に恐怖を覚え、足が、手が震えてしまっていた。
そしてついに大ムカデに追いつかれてしまった。ムカデはもう言葉らしい言葉は発しておらずフシューフシューと息を荒くしていた。大量に蠢く足。うねる胴体。人間を軽く食いちぎれるような鋭い牙。それを見た瞬間「あぁきっと僕はココで死ぬんだな」と諦めかけた。そして大ムカデが大きく口を開きこちらに向かってくる。目を瞑り死の瞬間を待つ。
ガキィィィィン!
まるで金属と金属がぶつかり合ったような音が森に鳴り響き、もちろんそれが僕の耳にも入る。そう。襲ってくるはずの痛みが一向に僕を襲ってこないのだ。恐る恐る目を開けるとそこには大きな剣でムカデを押さえている女性がいた。
「大丈夫か。主よ」
「…う、うん」
いきなりのことに戸惑いながらも僕は返事をする。そして先程の女性が「ふんっ」と剣を払うと大ムカデが後ろへ5mほど飛んでいった。その怪力に驚きつつも僕は尋ねる。
「えっと、助けていただきありがとうございます。僕のことを主とおっしゃっていましたがもしかして…」
「あぁ、私は大アルカナの一枚”
と、ムカデが飛ばされたほうからがさがさと音が聞こえるが、徐々にその音は遠ざかっていく。どうやらムカデが逃げたらしい。その証拠に2人で警戒しつつ待ってみるが一向に襲ってくる気配が無い。それが分かると僕はその場に座り込む。左腕がズキズキと疼くが今はそれよりも助かったという安堵感が大きい。それに左腕の傷の痛みが生を実感させてくれる。
先程のThe Strengthと名乗った女性は「傷を見せてみろ」と僕の傷を一瞥したかと思うと「ちょっとまっていてくれ」とだけ残しどこかへ走っていった。その速さは普通の人間の速さではなかった。まぁ力っていう名前なのだから当たり前なのか。それにしても綺麗とか可愛いとかじゃなくてかっこいいが似合う人だったな。まぁ人じゃなくてカードなんだけど。そう自分に突っ込みを入れつつ先程の女性を思い出す。先程のラバースとは違ったベクトルの美人さんだった。ウェーブのかかったライトブラウンのロングヘアーにカチューシャのようなもの―――クラウンというものだろうか―――を頭に付け、服はローマ時代とかをイメージさせるような布の服で鎧はつけていなかった。それに力と名乗っている割には目に見えて筋肉がすごいというわけでもない。身長も僕と同じぐらいだろう。その見た目で力が強いというのはやはり能力なのだと実感する。と、ザッという音と共にThe Strengsが戻ってきた。手に水で濡らした布となにかの草を何種類か持って。
閲覧ありがとうございました。
というわけで二枚のアルカナとの対面でした。
カードのイラストのイメージとかは本来のタロットと違いがありますのであしからず。
それと若干タロットの意味合いを変えている場合がありますん。
また次回もよろしくですー。