東方絵札録~Card In The Illusion Village~ 作:竹馬の猫友
どうせそのペース続かないんだろ、とか言わないの。
本編どぞー
タイトル思いつかない…ヤベェよヤベェよ…
慧音さんへの命令が解け、門番2人を捕まえたり、里の中を散策して住人に挨拶をしていたりと色々やっているといつの間にか太陽が沈みかける時間になっていた。まさか里にここまで長居をするとは思っていなかった。この時間から里の外に出るのは危険だろう。宿みたいな場所は無いか探してみたほうが良いだろう。
と宿を探しぷらぷら歩いていると先程の門番2人組みが前から歩いてくる。少し薄暗かったがどうやら僕だと分かったらしくこちらに近づいてくる。
「よお雪茂」
「雪茂さんじゃねぇですか。こんばんわ」
ほぼ同時に2人から声を掛けられる。雪斎さんはすでに僕のことを呼び捨てにしていたが、康友さんは未だにさん付けだ。今日その事について話していたら雪斎さん曰くこれが素だそうだ。まぁ喋り方が最初に会ったときと比べればかなり柔らかくなっているので友好的には思われているのだろう。
「こんばんは雪斎さん、康友さん。門番の仕事はいいんですか?」
「あぁ、あれは昼夜の交代制だからな。まぁつっても夜はあぶねーから見張り程度なんだけどな」
なるほど。今日聞いた話では夜になると妖怪が活発化するらしく、夜に外に出るのは危険とのことだ。いくら門番とはいえ活発化した妖怪と戦うのは些か厳しいものがあるだろう。能力者なら別だろうが。もしくは同じ妖怪とか。
「ところで雪茂さんはどうしたんでさい?こんな時間に」
「あぁ、いえ宿を探しておりまして」
「むぅ、申し訳ないがこの里に宿はないのだ。…そうだ!雪茂。俺の家に来るといい」
これは願ってもない申しつけ。断る理由は無い。僕は雪斎さんの誘いに二つ返事で返した。
雪斎さんの家は歩いて数分もしないうちに到着した。歩いている最中に聞いたのだがどうやら雪斎さんの家ではなく雪斎さんと康友さんの家らしい。門番をやっている関係上一緒にいたほうがいいということらしい。決してそっちの気があるわけではないらしい。疑ってないんですけどね。
というわけで中へ案内されると男2人が住んでいるのでもうちょっと散らかっている、言い方を悪くすれば汚いイメージがあったのだが中は案外綺麗だった。
「雪茂、お前さん今、意外と綺麗だな。とか思ってただろ」
「うっ…はい」
「素直でよろしい。実は俺はこんな見た目で口調も少し粗めだが意外と綺麗好きなのさ」
雪斎さんが掃除をしているのか。イメージ的には康友さんがやってそうなんだけどな。っとと下手なこと考えてまた心の声が漏れるとまずい。このことについてはあまり考えないで置こう。綺麗だからオールオッケー。
中は所謂3LDKの造りに似ている。そこまで大きいわけではないので2人で暮らすには丁度良い大きさの家といえるだろう。現代で言うリビングに位置する部屋には、テーブル―――どちらかと言うと卓袱台のほうが正しいかもしれない―――が一つと座布団が4枚程度、部屋の片隅には本棚が2つ並んでいた。残りは寝室と客間で特に何も無いらしいので説明は省く。つまりかなり殺風景なお部屋なのだ。
「よし、久しぶりのお客さんだ今日はぱぁっといこうじゃないか」
「お、じゃあ雪斎よ。あれを出すか」
「そうしよう」
そう言って二人は僕を部屋に残し出て行った。どうやら外に出たらしい。しかし外のほうからガサガサと音がしているところを見ると家の近くで何かしているらしい。と思っていたら玄関の扉が開く。戻ってきたらしい。
「これよこれ」
そう言って雪斎さんは茶色の瓶を掲げる。これって…。
「お、雪茂も分かったみたいだな。そう。日本酒だ。結構良い値段するんだぜ」
「僕まだ、未成年なんですけど」
「ん?そんなの幻想郷じゃ関係ないぜ。まぁ飲みな…と言いたい所だが、いま康友が料理を作ってるからもう少しお預けだな。」
なるほどだから雪斎さんの姿しか見えないのか。キッチンは玄関から入って別の扉から入るためこの部屋からだと確認できないのだ。…なんか不便じゃない?この家。
「お待たせしました」
そう言って康友さんが料理を運び部屋に入ってくる。…すんません。その着けてるものなんですかね?なんでハートをあしらったエプロンなんですかね!?しかもフリルでフリッフリしてるやつ!えっ?ホモじゃないよね?ホモじゃないんだよね?
「ん?どうしました?…あぁこのエプロンですか。どうです?良いデザインでしょ?」
「え、あ、は、はい」
どうやら康友さんは純粋に良いデザインだと思っているらしい。これ絶対他の人に見せちゃ駄目なやつだ。絶対誤解される。いや、まぁ康友さん結構イケメンだし、いいか…よくねぇよ!
と自分にノリ突っ込みをしていると卓袱台に料理が所狭しと並ぶ。それを見計らって雪斎さんがお酒をグラスに注いで各自座っている席の前に置く。なぜグラスがあるのかはもう聞くまい。ここは幻想郷だ。2人がグラスを持ったので僕も習い持つ。
「今日は久しぶりの客人だ。ぱぁっと行こう!乾杯!」
「「乾杯!」」
先程聞いたような言葉を言って3人で乾杯をする。
そして気付けば朝になっていた。え?何を食べたかって?お酒を一口飲んでそっから記憶無いですよ。僕がこんなに飲めないとは知らなかった。ちなみに2人とももう門番の仕事に出たようで家には誰もいなかった。テーブルには置手紙と料理が置かれており、手紙には「ちゃんと残さず食べてくださいね 康友」と、どっかの家政婦さんか何かかですかねぇ?と突っ込みを入れたくなったが頭が痛くそれどころではなかった。洗面台をお借りし顔を粗い水を飲む。ひんやりとした水が二日酔いと思われる体に染みる。目も酔いも少し醒めたところで用意されていた朝ごはんを食べる。
食べ終わってからは暇だったので、また里の散策に出ようとしたところ丁度慧音さんがこちらに歩いてきていた。どうやら心配で里の中を探していて、雪斎さんの家に泊まっているという話を聞きこちらに向かってきていたのだという。なぜか慧音さんは少し顔を赤らめていた。
「と、ところで雪茂」
「はい?」
「これから暇か?」
「えぇ大丈夫ですよ。暇で何をしようか考えてたところですし」
脳内で誰かが「能力の修行しろー」って言ってる気がするけど気にしない。そもそも聞き覚えの無い声だし、挨拶、自己紹介無しの人に言われたくない。誰だよ。
なので慧音さんについていくとする。
慧音さんについていくとそこは寺子屋と書かれた建物だった。慧音さんは先生をやっているらしく、ここで里の子供達に勉強を教えているらしい。今日は休日らしく子供はいないが中へ入ってみないか?とのことだったのでお邪魔する。
中は大きめな畳の部屋が一つ、教員室だと思われる部屋が一つ、厠、つまりトイレが男女1つずつという意外とこじんまりした学校だった。それもそのはず先生は慧音さんだけらしい。だが子供の数も少ないので十分やっていけるらしい。
「私は普段ここで里の子供達に勉強を教えているのだが、その傍ら里の守護者という重役も担っている。今まではなんとかなってきていたのだが、最近になり妖怪が力をつけてきたらしいんだ。そこでもし、もしも行く宛てが無いのであればこの里で一緒に人々を守ってはくれないか?」
なるほど。恐らく昨日の僕の能力を見て判断したのだろうな。本当なら二つ返事で引き受けたいのだが、何せ僕がこうやって旅(修行)を行っているのは例の犯人を倒す力を手に入れるためだ。なのでここに留まっているのは少し厳しいものがある。
「も、もし、何か不都合があれば全てこちらで受け持とう!金か?食か?住だって私が保証しよう。……のはけ口として私を使ってもいいぞ」
「え?最後なんていいました?」
最後のほうだけ尻すぼみになって話すものだから聞き取ることが出来なかった。なので聞き返したのだが、慧音さんは顔を真っ赤にし「気にするな!忘れてくれ!」と言って追求を拒んだ。怒らせるわけにも行かないので大人しく引き下がる。
それにしてもの好待遇。慧音さんがここまで頼み込んでいるのだ。…能力で瞬間移動みたいなものが出来れば僕も遠慮なく受けるんだけどな。
「(我を使えば迅速に行動は出来るぞ)」
「(すんません。誰?)」
最近、唐突に頭の中に声が聞こえてきてもびっくりしなくなってきている自分に驚きつつ、声の主に質問する。
「(私は”The Chariot”。NO.7、戦車のタロットカードだ)」
「(戦車、ねぇ?早いの?)」
どうも戦車と聞くと遅いイメージしかわかないのだ。というか戦車と僕喋ってるの?…僕の能力は何でもありか。無機物でも話せるとは。まぁ能力だし、幻想郷だし、気にしないで置こう。
「(安心するとよい。主殿には我に乗っていただくのではなく、あくまで主殿の身体能力を我の正位置能力で強化し里に戻るのだ)」
「(戦車が人を乗せないとは、これ如何に。まぁいいか。で、能力を教えてくれる?出来るだけ早めに)」
じゃないと、そろっと慧音さんが泣きそうでやばい。そりゃそうだ。さっきから黙りこくってるんだ。てか慧音さん以外と涙もろいんだな。と、それより戦車との会話の続きだ。
「(了承した。まず我の正位置能力は無限大の行動力。文字の通りと思ってもらって構わない。ただし、戦闘には向かない能力であると言っておこう。移動に関しては圧倒的な体力、脚力、判断力、土地理解力などが上がる。使い方は最初に移動したい場所を思い浮かべ発動するだけ。後は勝手に体が動き出すだろう。ただし、その移動したい点に動くまで何も出来ない。次に逆位置能力だが、これが中々癖があってな)」
「(癖?)」
「(うむ。自分勝手な焦りと言うのだが自分を含めた周り、そうだな、半径5m以内の敵味方関係無しにみんな焦燥感に駆られる)」
つまりあれか。「早く○○しないと!」とかそう言う考えで埋め尽くされるわけか。錯乱にはいいのかもしれないけど自分もかかるのか。確かに癖、というか難があるな。まぁでも自分は移動しなきゃと焦るはずだからあまり構わないか。
「(了解。今度使ってみるさ)」
「(では我は体のメンテナンスを行ってのんびりするとしよう)」
そう言ったかと思うと声が止んだ。顔を上げるともう駄目なんじゃないかと半ば諦めかけている表情の慧音さん。そんなに妖怪は強力になっているのか。早く安心させてあげないと。
「慧音さん」
「あぁ、大丈夫だ。この里は私一人で…」
「え?いや、僕残りますけど」
「え?」
「え?」
2人して少し間抜けな顔をすること数瞬、どちらからともなく笑いが零れた。
閲覧ありがとうございます。
慧音さんマジ可愛い。
きもけーねとか言わせない。
たまには短く前、後書きを書いてみた。
次回も宜しくです。