東方絵札録~Card In The Illusion Village~   作:竹馬の猫友

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なんだかんだで4月になってしまいました。
そういえば、最近友人がこの小説を見たらしく感想を述べてくれました。

友「お前、21話書いてるときなんか嫌なことでもあったのか?」
うp主「いんや?どして?」
友「(こちらを憐れむような目)」
うp主「ん?」
友「俺は友達だからな?」
うp主「う、うん?」

最初聞いてたときはほんとに意味が分からなかったのですが、後々に友人のあの視線とかの意味をなんとなく理解しました。
だから一つ言っておこう。

私はノーマルだ!

本編どぞー。あ、ちょっとグロっちぃ表現入ります。まぁそこまで酷くないので大丈夫だと思います。


第38話 灯台は足元を照らせない

「長くない…?二時間て…。小学校とかの自己紹介とかですらそこまで行かないよ。」

「仕方ないじゃないですか。能力の説明。それに使い方。呼び方とか色々あったんですから。」

「最後のそこまで重要じゃないよね?」

 

 女帝の言葉に突っ込みつつ、先程聞いた能力等をノートに纏めていく。いくら自分の能力とはいえ全てを一回聞いただけで覚えると言うのは些か厳しいものがあるのだ。説明の途中に居眠りをしそうになった僕はきっと悪くない。説明が長いのがいけないんだ!とは声を大にしていえないけど。みんな僕のことを考えて説明してくれたわけだし。だけど、前に聞いた人(カード)の説明は省いても良かったと思う。

 

「それにしても便利な能力と使いどころが限定される能力がいくつかあったね。」

「そうですね。特に魔術師が限定的でしょうか。次点では戦車かと。」

 

 魔術師の正位置効果。チャンスの創造。魔術師、魔法使えよと突っ込んでも怒られない気がする。ちなみに効果は、その時の状況で変わるらしい。つまり、チャンスを作るのだ。そうとしか言いようが無い。しかもこの能力、正位置逆位置まとめての能力らしい。つまり、ギャンブル。何が起こるかわからない。それがこの能力。だから、魔法使えよ。お願いしますから。

 戦車は言わずもがな移動オンリーの能力の為、限定的な使い方に自然となってしまう。てか女帝話しやすくて良いな。普段から実体化してくれないかな。

 

「無理ですよ。いや、正確に言えば出来るのですけどご主人の力が尽きてしまいます。」

「また、心を…あ、そうか、ある程度心と考えがみんなには分かるんだっけ。」

「実体化しているとき限定ですね。実体化していないときは頭の中で話せますね。」

 

 つまり、女性のカード、ラバースやら、女帝やらを対象にピンク色の妄想なんてしまってほとんど筒抜け状態で伝わってしまったら色々とまずい。…やば、少し想像しちゃったよ。ほら、その証拠に女帝が引いて…ない?顔を赤らめて少し俯いている。…まさか、

 

「初心ですか?」

「っ!いいじゃないですか!そうですよ!どうせこの歳になっても恋愛とかそう言う行為とか知らないですよ!」

 

 ちょっと涙目になりながら言う女帝。少し可愛らしい。てかこの歳って言っても僕の能力だから歳とか関係ないんじゃ。そもそも、もし、能力が発現したときを誕生日とするなら、まだ1歳にもなっていない。つまりオールオッケーじゃないか?

 

「って、そんなことはどうでもいいんです!で、ご主人には明日から里のパトロールをしつつ能力を勉強、修行していただきます。」

「オッケー。さっき説明してた通りだね。」

 

 まず何より今日教わった分の能力の暗記。まずはこれからだ。次に力を抑えての能力発動。これは、力のコントロールの練習とどうやって使うのかを知る為にやるらしい。本来なら今日からでもやろうかと思ったのだが、外はまだ4時だというのに少し暗くなり始めていた。こちらの世界は日が暮れるのが早いのかな。そう思い外に出るのは控えるようにしたいのだ。なので、このノートをある程度纏め終わったら夕ご飯を作るつもりだ。ちなみに食材とかはすでに慧音さんがある程度用意してくれていた。感謝。

 

「よし、今日はありがとう。またよろしく。」

「えぇ、いくらでも頼ってください。もちろん私以外にも。それでは。」

 

 そういって女帝は消えていく。一緒に食べようと誘ったのだが能力はおなかが空かないからのと味覚が無いからいらない、だそうだ。少し寂しいが一人で作って食べるとしよう。

 そう思っていたら玄関の扉がこんこんと叩かれる音がする。お客さんだろうか。まだ、里の人たちと面識そんなに無いんだけどな。あ、ご近所の挨拶まだ行ってないや。明日やろう。そう考えつつ玄関の扉を開ける。

 

「はいはーい。どなたですかー、って慧音さんでしたか。こんばんは。」

「一応まだ、こんにちはだな。って、それは別にいいんだ。突然なのだが門番2人の姿が見えないんだ。それに私の教え子が2人、見当たらないんだ。もしかしたら妖怪に攫われてしまったのかもしれない。一緒に探してはもらえないか?」

 

 そう少し慌てた様子で慧音さんは言った。門番2人に教え子2人。門番は今の時間だと恐らく雪斎さんと康友さんだろう。そして慧音さんの教え子。つまり、まだ子供だろう。門番は里の外で見張りをしている為いつの間にかいなくなっていても分からない。ただ…。

 

「教え子さんが見当たらないと言うのは不思議ですね。」

「ちなみにその2人は朝親御さんのほうから具合が悪いから休ませてくれ。との連絡があったためその時はあまり気にしていなかったんだ。で、授業も終わり、一応様子を見に行こうと思ってその子らの家に行ったんだ。だが、そこには教え子はいなかった。」

「親御さんはいたんですよね?」

 

 もし、親がいたなら事情を聞くなり何でもすればいい。しかし、慧音さんは僕のところへ来た。つまり、情報が何も無く、手詰まりの状態なのだろう。そして僕の予想は当たる。家に親御さんはいたのだが、縛りあげられ耳栓、目隠し、猿轡、と完全に拘束されていた。その拘束を解き話を聞いたところ「何も分からない」だそうだ。朝、自分の子供が具合が悪いなんて連絡した覚えは無い。と言っていたらしい。

 

「能力、ですかね。」

「やはりそう思うか。」

「えぇ、まだこちらに来て日は浅いですがなんとなくそんな気がします。…慧音さん。とりあえず出て探してみましょう。」

 

 慧音さんが縦に首を振る。

 

「恐らくだが里の中にはもう4人はいないだろう。」

「どうしてそう思うんですか?」

「この里全てを調べたわけではないが、今まで聴取した中で4人の姿を見たという者が誰もいないんだ。」

「なるほど。」

 

 でも、もし犯人の能力が姿を隠す程度の能力とかだったらそうとは言い切れないな。そう考えるが今は慧音さんの後について歩く。もし進展が無ければ僕の意見を言おう。そう思ったときだった。とある一枚のタロットの能力を思い出す。

 

「ほいほい。呼びましたかな?雪茂殿。」

「うん。まだ呼んでないけど出てくれてありがとうございます。隠者さん。」

「ほっほ。そんな畏まらんでもよかろうに。」

 

 いきなり現れた、赤茶色のローブを身にまとった腰の曲がった老人。この人はタロットNO.Ⅷ The Hermit。先程僕が言葉にしたように「隠者」をつかさどる大アルカナの一枚だ。そしてその能力が今回のこの事件に役に立つだろうと思ったのだ。

 

「それじゃあ早速お願いしますね。」

「ほいよ。ちょっとまっとれ。」

 

 そう言うと隠者は目を閉じ瞑想のような形を取る。先程までいきなり現れた老人に警戒心を持っていた慧音さんだったが、僕と老人が親しげに話している姿を見て警戒を解いたのか、何も言わずに僕の隣で老人のことを見ている。

 数秒も経たないうちに老人は目を開く。しかし先程のような優しげな表情では無く、無機質な機械的な顔が張り付いていた。

 

「…助言は2つ。犯人は2人。そして、………灯台下暗し。」

 

 その灯台下暗しが何を意味しているのかははっきりと分からなかった。しかし、不意に嫌な予感が頭を、悪寒が背中を走った。

 隠者の正位置能力は高尚な助言。自分が欲している応えにつながるヒントをくれる能力。逆位置能力は悲観的な誤解。逆位置は簡単に言えば勘違いが起こりやすくなる効果。それを自身と周りの見方に付与する。本来ならば具現化していると逆位置能力はパッシブ発動なのだが、意図的に抑えることも出来るらしい。ただそれが出来るものと出来ないもので分かれるらしい。ちなみにラバースは抑えることができない。そのため最初の説明で具現化時は逆位置能力は常時発動と言っていたのだ。

 

「慧音さん!」

「どうした?」

「嫌な予感がします。とりあえず門番さん2人の家に!」

「良く分からないが、分かった!」

 

 そう言って僕らは先日僕の泊めてもらった家に向かって走り出す。まさか。そんなはずは無い。なんたって確証がないじゃないか。きっと大丈夫。

 そう心の中で呟きつつ走ること数分僕らは門番さんの家に到着した。外見は問題ない。慧音さんに家の周りを確認するように頼み僕は玄関の戸に手を掛ける。

 やめろ。後悔するぞ。そんな声が聞こえたような気がする。なぜか戸にかけた手が震える。嫌な予感がする。

 

ガラッ

 

 僕は戸を開けた。そこは特に変哲も無い玄関。ただ、一つ。そう。一つだけこの場に相応しくない、あってはならないものが落ちていた。

 

「-――――っ!」

 

 思わず叫びそうになり手で口を塞ぐ。落ちているのは本来人間の手についているもの。そう。人の指がそこに落ちていた。赤い小さい水溜りを作ってそれはそこに落ちていた。大きさからして恐らく子供のものだろう。見ていられなくなり顔を左に逸らす。その判断がいけなかったのかもしれない。顔を逸らした僕の視界に入ったのは靴箱。入ったときには気付かなかったのだ。ただの靴箱だったら良かった。しかし、閉められた扉の隙間から赤い液体が流れている靴箱はただの靴箱ではないだろう。

 開けようとする手が本能的に止まる。しかし、確認しておかなければならないだろう。意を決して僕は扉を開いた。

 

「う、ぶっ………。」

 

 汚物が込み上げてくる。それを必死に押さえた。喉がヒリヒリと痛んだがそんなことは気にならなかった。目に映るのは草履。子供の小さい草履。まだ人が脱いでいない草履。

 足首から下を切られた足がまだ草履を履いていたのだ。それが2組。つまり2人分の足だ。

 

「おーい。雪茂ー?と、こんなところいたか。どう、し―――――――――っ!」

 

 一瞬言葉を詰まらせる慧音さん。慧音さんも僕の見た本来ここにあってはならないものを見たのだろう。

 僕は吐き気からか、それとも一つの最悪の結末を想像した所為かは分からないが涙があふれ出ていた。そのため慧音さんの様子は分からない。しかし、慧音さんも僕と同じ想像をしてしまったのだろう。「あ、あぁ……。」と声にならない声を出している。

 

 

 恐らく、子供は…………死んでいる、と。




閲覧ありがとうございます。
多分この事件は後3話ぐらいで終わるはず。多分きっとmaybe。
また次回宜しくです。
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