サルえもん短編集   作:サルえもん

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 おはこんばんちわ、サルえもんです。長編の息抜きとして短編集を書きました。ふと頭に浮かんだものが元になっているものです。
 短編集第一弾は『GS美神』のアシュタロス編終了直後の話。頭の中で思い浮かんだものを書き留めようとして書きました。


予告
男はその時何を考えたのか(原作:GS美神)


 人は大切な人を亡くした時、何を思いどう考えるのか。親友や家族、恋人…ひとそれぞれであるが、その根底には愛する心があるだろう。

 これは世界の存亡を掛けた戦いで、惚れた女を犠牲にして世界を護った一人の男の話である。大切な女性を亡くした彼の思い…彼の内に秘めるものは何か?

 これは無数に存在する世界の一つの可能性の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~とある安アパート~~~~~~~~~~

 

 昭和の古さを醸し出す古いアパート、そこに横島忠夫が帰ってくる。彼が自身の部屋のドアの前に立つと最初に目に映るのがドアの至る所に落書きされた彼に対しての多数の誹謗中傷の文字である。その落書きを見て後日消しておくかと考えた彼は鍵を開けて中へと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部屋の中は年頃の男性の典型のように散らかっているが、所々不器用ながらも綺麗にしようとした形跡がわずかに残っていた。横島は少しボロボロの座布団の上に座り、ポケットから手のひらサイズの小箱を取り出した。蓋を開けてみるとそこには体が淡く光っている蛍が入っていた。弱弱しくも光るその蛍を眺めた後、蓋を閉じてちゃぶ台の上に置くと彼はその場に寝転がった。そして昼間、事務所で言われたことを思い返していた。

 

 

 

 

 

横島「自分の子供として転生、か…。」

 

 

 

 

 

 それは事務所で過去の美神美智恵が元の時代へ戻った後、現在の美知恵がお腹に赤ちゃんを身ごもった状態で登場した時のことである。そこで言った美神令子の言葉が印象的に残っていた。

 

 

 

 

 

美神『もし、転生先が横島君の子供だとしたら!?』

 

 

 

 

 

 あの戦いで失ったルシオラを復活させるには彼女の霊体が足りなかった。横島の中に大量にある彼女の霊体も彼の中に完全に同化してしまう。人間では魂の切り離しは不可能であり、彼女を復活させる手段は何もなかった。

 それに対して美神は両親の細胞から作られる魂の影響について話し、元々の転生前の霊体が同じものなら彼の子供として転生する可能性を指摘した。その場にいた小竜姫達もその可能性に僅かに希望を見据えた。横島も一度はそれで納得はして、将来生まれてくる子供に愛情を注げばいい。そう納得して目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~???~~~~~~~~~~

 いつの間にか横島は真っ暗な空間にいた。そこは周りを見渡しても何もない闇が広がっていた。ふと後ろを振り返るとそこには人型のナニカがいた。それは横島に目線を向けると彼に問いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――本当にそれでいいのか?

 

 

 

 

 

横島『…どういう意味だ。』

 

 

 

 

 

――――本当はわかってるんでしょ?美神令子の言った案に納得していない。

 

 

 

 

 

横島『…小竜姫さま達でさえ何もアイデアが出なかったんだ、それしか方法がないんだよ。』

 

 

 

 

 

――――しかしそれしか方法がないとしたらあまりにも哀しい結果。

 

 

 

 

 

――――誰よりも世界を護るため戦った男は大切な女を失ってしまったのだから。その女も恋人として接することができない。

 

 

 

 

 

横島『…アシュタロスを倒すとルシオラに誓ったんだ。あいつもそれを望んでいたんだ。子供のこともあいつは待ってくれるって…。』

 

 

 

 

 

――――それじゃあ仮にその方法を行うとしても誰に頼む?

 

 

 

 

 

――――昔の恋人を蘇らせるために産んでくれと言う?

 

 

 

 

 

――――それで一体誰が了承する。

 

 

 

 

 

横島『!それは…。』

 

 

 

 

 

――――美神令子?彼女は自分が一番でないと気が済まないから難しいんじゃない。

 

 

 

 

 

――――氷室キヌ?彼女は優しいからおそらく了承するかもしれないが、それでも心に傷を負うと思う。

 

 

 

 

 

――――犬塚シロ?彼女はあなたを慕っているから可能性はありそうだが、純粋なあの子が自分が一番でないと知ったらどうなることか。

 

 

 

 

 

――――それとも花戸小鳩や愛子?自分が裏切られた時ショックを受けるのはまず避けられないから同じだけど。

 

 

 

 

 

――――どちらにしてもルシオラを産んでくれる女なんていない。あなたもそう考えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソレは横島に対して傷をえぐるかのように言葉を紡ぐ。それは彼が”考えなかった”事をソレは言葉にする。そして彼が反論する間もなく次々と言葉を口にする。それは彼を囲むように。

 

 

 

 

 

横島『…それ、は…。』

 

 

 

 

 

――――自分は世界を守るために戦っているのに、『人類の裏切者』って民衆から中傷された気分はどうだった?

 

 

 

 

 

――――その人類の裏切者として魔族と一緒に美神美智恵によって消されようとしたし。

 

 

 

 

 

――――そもそもあの選択の時なぜあなたが選ばなければならなかったのかな?

 

 

 

 

 

――――あなたの人生あの親子のおかげで狂わされたね。

 

 

 

 

 

横島『美神さん達は関係ないだろ…!』

 

 

 

 

 

――――美神令子の元で働くことになって貧乏暇なしになっちゃって。

 

 

 

 

 

――――時には八つ当たりに近い折檻を受けてしまって。

 

 

 

 

 

――――あなたの周りもそれを普通と捉えてろくな支援もしてくれない。

 

 

 

 

 

――――美神美智恵も過去を変えようと時間移動を繰り返した結果が、ルシオラを失ったことに繋がった。

 

 

 

 

 

――――彼女がそうまでし時間移動した理由は?本来あの戦いで死ぬのは美神令子であった。

 

 

 

 

 

――――ルシオラは美神令子の代わりに犠牲になった。それが歴史修正の結果。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ソレが放つ言葉には横島の心に異様なまでに響いていた。昔ならそのことについて言われたとしても考えなかった事であった。元々美神のもとで働いたのは自分から望んだことであるし、折檻もよく受けるが大半は自業自得、それに彼女の元で働くのは何も悪いことばかりではなかったから。それがあの戦いのあともそう思えていたらの話であるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――あなたはルシオラのことをなかったことにしようとする彼女たちを許せない。

 

 

 

 

 

――――仲間だと思えない。

 

 

 

 

 

――――あの場所が辛いものだと思っている。

 

 

 

 

 

――――しかしあなたはあの時道化を演じた。

 

 

 

 

 

――――それが彼女たちの望む”横島忠夫”だから。

 

 

 

 

 

――――なぜ固執する?

 

 

 

 

 

――――それがルシオラの望みだから?

 

 

 

 

 

――――だとしたら実に滑稽なものだこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか横島はソレの放つ言葉に反論できなくなっていた。そうじゃないと反論しようとしてもなぜか何も言えなかった。そしてソレがまた口を開く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――あの親子が憎いと思っている?

 

 

 

 

 

――――あの親子の人生を狂わせたいと思う?

 

 

 

 

 

――――もしそうしたいのなら私が手を貸そう。

 

 

 

 

 

――――あの親子のすべてを壊したいとあなたが願うのなら。

 

 

 

 

 

――――…すぐには答えないのね。

 

 

 

 

 

――――ならばまた時が来たら訪れよう。

 

 

 

 

 

――――このまま道化を演じるのか。

 

 

 

 

 

――――彼女たちに反逆するか。

 

 

 

 

 

――――あなたの中で答えが出るのを待とう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう話すとソレは横島の目の前で薄らいでいく。そして横島は周りが明るくなっていくのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を開けるとカーテンの隙間から窓の外からの光がこぼれていた。どうやらいつの間にか眠っていたようだ。今日もバイトに行く準備をする中で横島は先ほどの夢について考えていた。はっきりと頭の中であの夢の中のことがおぼえられていて、離れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横島「…俺は俺だ。道化とかそんなの関係ないんだ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言って準備を終えた横島はちゃぶ台の上のルシオラの霊体が入った小箱を押入れの中に仕舞う。そして事務所に向かって部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横島が出ていった後、突然黒い球体が出現するとそこから女性が出てきた。大きく胸元の開いた修道女のような服を身に纏う、ミステリアスな雰囲気を漂わせる妙齢の女性は嗤っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???『さぁて、この世界の”横島忠夫”はどんな選択をするのかしら?美神親子と離反する展開はもう見飽きたから、面白い答を期待してるわね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう言うと女性はまた黒い球体を生み出してその中に入る。その球体がうっすらと消えていった後、そこにまた静寂が包まれる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 横島忠夫の選択…それがもたらすものは何か、それはまだ分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 読んでくれてありがとうございました。
 この話は現在構想中のGS美神の長編に繋がっている話です。スマブラαがひと段落ついたら書く予定です。
 今回の話はたまに見かけるGS美神の『美神親子アンチ・ヘイト』に関するものです。横島がどうして何を考えて美神の元から離反したのかを自分なりに表現しました。あくまで私の考えなので他所の方々に考えを押し付けたりしないようお願いします。
 最後に出てきた人物は前述の長編のボスの予定です。誰なのか一部の人は分かると思います。それでは皆様ここまでありがとうございました。

追記:誤解する人がいると思ったので述べますが、私自身はアンチやヘイトはあまり好きでないです。この分野だとアンチ側もアンチする側も性格が大きく変わるんですよね。書いたのはアンチする側の気持ちも考えることがSS書きの進歩の一つと思ったからです。
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