ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~ 作:TRcrant
疑問などがありましたら、何なりとお尋ねください。
なお、主人公の設定集ですが、今のところ投稿の予定はございません。
要望があれば登校するかもしれませんが……。
それでは、本篇をお楽しみください。
――天界
そこは、青い空と白一色の地面だけで構成される世界。
その世界にいる者は純粋な霊質と呼ばれる物のみえd構成されている。
その上には神界が存在しており、神界では各々が実態を持っている。
だが、それ以上の階級である神々だけが立ち入ることが出来る場所が存在する。
その者たちは、こう呼ばれていた。
”世界を司る最高神”と。
そこは、一言で表せば和であった。
緑豊かな草原に心地よいそよ風が吹き込む。
だが、そこに動物の姿はなく、ところどころで地面が途切れその下には薄らと草原のようなものがあることから、その陸地は浮いているものと思われる。
そんな陸地で非常に目立っているのが、中世ヨーロッパ―の城を彷彿とさせる西洋風の建物だった。
その建物の最上階部分で、ぼんやりと園景色を眺めている青年がいた。
短めの黒髪に、白い服を身に纏ったその青年の青い目は濁り切っていた。
(あれから、幾ばくの時が過ぎた? 1年? それとも10年?)
青年は心の中で自問し続ける。
「結局、私は独りぼっちか」
ふと口を継いで出た言葉はとても悲しげで、苦しんでいるようにも思える声色だった。
「浩ちゃーん!」
そんな青年に声を掛ける腰まで伸びた銀色の髪を揺らしている少女は軽快な走りで青年のもとに駆け寄っていく。
「……神楽か」
大和撫子を彷彿とさせるような雰囲気をまとう彼女のヒマワリが割いたかのような笑みに、青年は目を閉じると一つの溜息をこぼす。
「ぶー、ため息をつかなくてもいいじゃない」
「要件は?」
頬を膨らませて抗議の声を上げる彼女を無視して青年は本題を話すように促す。
「ノヴァがチェスの相手をしてほしいって」
「……あいつは、何か勘違いしているだろ」
片手を頭に当てながら口にした言葉には、呆れの感情が含まれていた。
「早く行かないと面倒だ。とっとと行くか」
「うんっ」
青年の言葉に頷いた少女は、まるでそれが当たり前だと言わんばかりに青年の横に並んでその場を離れていくのであった。
「むむ~浩介! 待ってくれ」
「待ちはなしと前にも言った」
城内の広間のような場所で、チェスを楽しむ青年……
「浩ちゃん強~い!」
そして彼らの横で大騒ぎをしている少女………
この三人こそ、世界をつかさどる最高神である。
★★★★★★
一通りチェスを終えた僕は、一息つく。
「浩ちゃん、今日で159連勝だね」
「……お前は律儀だな」
律儀にも僕の勝利記録を数えている神楽に、僕は若干呆れながら相槌を打つ。
こんな彼女が世界を脅かす脅威がいないかを監視し、いた場合は排除する”裁きの神”なのだからある意味驚きだろう。
……まあ、僕もだけど
「くう! 160連敗は避けたいのぅ」
そして、僕の前で全身を使って悔しさを表現している初老の男が、ノヴァだ。
彼は、世界を創りだす”創造の神”である。
厳密には彼はピンチヒッター。
本来の創造の神が役割を果たすことができる状態になるまでの代理だ。
そして僕が、世界の”流れ”でもある因果律を監視し、おかしな流れなどがあった場合はそれを修正したりして、世界の存在を守る”世界の意志”だ。
この中の誰が抜けても世界の安定化・存続は難しくなる。
裁きの神がいなくなれば、驚異の力が無駄に増幅されるし、世界の意思がいなければ世界のバランスが大きく乱れ未曾有の大災厄が訪れることになる。
創造の神は言うまでもなく、世界自体が創れなくなる。
「ところで、だ。仕事の話だ」
「「ッ!?」」
表情を一変させたノヴァの一言に、今までの和やかな雰囲気は一気に緊迫したものに変わった。
「ここの関連世界にて、天使族の中に世界の破滅をさせようとしている者がいるとの、情報が入った」
「おいおい……よりにもよって同胞が世界を滅ぼそうとするって……」
「身の程を知った方がいいわね」
ノヴァの説明に僕は驚き、神楽は呆れながら感想を言った。
神楽の辛口な言葉は、いつもの事(というよりは僕たち以外の他人に対してのみ)なので、放っておいていいだろう。
「その天使は、すでに人間界に降り立っている。そこで、その天使を探し出し天界に戻しこれを阻止してもらいたい。手段は問わない」
「しかし天使か……見分けられると言えばできるけど、向こうはそんな分かりやすいことはしないだろうし……」
天使や神族の特徴としてあげられるのが、銀髪あるいは、青い目だ。
だが、相手はもしかしたらカラーコンタクトをしていたりする可能性がある。
しかも少し前に天使が二名ほど人間界に抜け出していったという噂を耳にしている。
その一人の名前がエミ何とかと言ったが、彼女たちも一応危険思想社候補に入れておくべきだろう。
「尚、今回の任務は神楽も同行してもらう」
「やた♪」
ノヴァの言葉を聞いた瞬間、神楽が笑顔で腕に抱き着いてきた。
でも、僕は……
「不服か?」
僕の浮かない表情に気付いたのか、ノヴァが表情を変えずに聞いてくる。
「いえ……ノヴァがそう決めたのであれば、私は構いません」
本当は嫌だった。
もう二度と誰ともパーティーは汲みたくなかった。
”あの時のこと”を思い出してしまうから。
だが、いつまでも立ち止まってはいられない。
彼女たちのためにも、これが僕に出来る罪滅ぼしなのだから。
「そうか。神楽は浩介のサポートをするように」
「了解です~」
その気持ちを理解しているからこそ、ノヴァは何も言わずに話を先に進めてくれた。
本当に僕はいい上司と同僚を持った、
神楽が答えたことで、説明は終わりとばかりに話を区切った。
「では、さっそく向かってくれ」
「了解しました。それでは……」
僕は片足で軽く地面を叩く。
次の瞬間、僕たちは黄緑色の光に覆われた。
これが問題の世界への入り口となっているのだ。
もう間もなくすれば僕たちはその世界へと降り立つことになるだろう。
「それでは、行ってまいります」
「健闘を祈る」
ノヴァの激励を受けた瞬間、僕の周りは”真っ白”になった。
音もしない空間で僕は目を閉じるのであった。
これが、僕にとってすべての始まりであった。