ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~   作:TRcrant

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大変ご無沙汰しております。

ようやっと着地点が見入らせたため、第21話を投稿いたします。

なお、途中で登場人物の名前が間違って表記されておりますが、これは意図的なものであり誤字ではありません。


それでは、本編をどうぞ!


第21話 流星生徒会相談係補佐、就任

放課後、生徒会室にシンたち流星生徒会のメンバーが集まっていた。

 

「それじゃ、今日の作業を始めようか」

「ねえねえ、カイチョー。あれは何?」

 

全員がそろったのを見計らってシンが声を掛ける中、銀色の髪に背中には悪魔をも彷彿とさせる羽を生やした魔族の少女、”サリーちゃんが興味深げに疑問の声を上げた。

 

「あー……」

 

彼女が指差す先にあるのは、存在をアピールするように自分たちのテーブルの上に置かれた無機質なテープレコーダーであった。

それが、【さあ、すぐに再生ボタンを押せ】と言わんばかりの雰囲気を纏っている。

このテープレコーダーは大抵が碌な終わり方をしない。

主に、スパイ映画で指令の一番最後にある定番ネタ的な意味で。

 

「今まで触れないようにしていたのに」

「ぽちっとな」

 

あえてスルーしていたシンたちの苦労は、サリーちゃんが再生ボタンを押したことで一瞬にして水の泡となってしまった。

 

『おはよう! 生徒会の諸君』

 

レコーダーから流れる理事長であるヘレナの音声に、シンたちは耳を傾ける。

 

『生徒会活動とクルセイダースとしての活動ご苦労である。諸君らの健闘により、流星学園の平和は守られていると言っても過言ではない』

「えっへんです!」

「いや、胸を張るところじゃないし」

 

ヘレナの称賛の言葉に、胸を張るロロットにナナカがツッコむ。

 

『だが、新たなる脅威が現れつつあり、諸君はさらに厳しい局面に立たされるだろう』

「いきなりシリアス!?」

 

鬼気迫る声色できっぱりと言い放ったヘレナに、ナナカが再びツッコミを入れるが、相手は人ではなくテープレコーダーだ。

なので、当然相づちなども当然なく、ヘレナの話は無情にも続いていく。

 

『そこで! 生徒会及び流星クルセイダースに、頼もしい助っ人を用意した』

「おぉ! なんだかすごそうですっ」

 

ヘレナの言葉に、期待に目を輝かせるロロット。

 

「助っ人? 一体誰なのかしら」

「……何だかオチが読めたような」

 

そんなロロットをしり目に、助っ人として来る人物のことに頭を傾げる聖沙の横で一人苦笑するリア。

この時、リアはこの後にどんな結末があるのかを悟っていた。

 

『その助っ人に掛かればどのような事でも、余裕で片が付くだろう』

「おぉ!」

「何、その凄い人?!」

 

ヘレナの説明に目を見開かせてシンは感嘆の声をあげる。

 

『さあ、シンちゃん。扉を開けてみなさい。そこに最強の助っ人はいる!』

「は、はい」

 

感嘆の声をあげていたシンは突然指名されたため、誰だろうと疑問に思いながらも扉の前に立つと、廊下に出る扉を開けた。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

『さあ、シンちゃん。扉を開けてみなさい。そこに最強の助っ人はいる!』

「は、はい」

 

扉の向こう側……生徒会室から聞こえてくる音声に答えるシンの声とともに足音が近づいてくる。

放課後、僕は前もってヘレナさんにここで待つようにと言われたため、ずっと待ち続けていたのだ。

(というより、ハードル上げすぎだろ)

どれほど難易度をあげる気なのかと心の中で文句を言いながら待っていると、生徒会室の扉が開かれた。

 

「え?」

「……………」

 

僕と生徒会長と目が合ったその瞬間、変な沈黙が走る。

 

「えっと、とりあえずどうぞ」

「………」

 

長い沈黙の後に、僕は生徒会室に入ることにした。

何とも言えない雰囲気が、生徒会室を包み込んでいる中、僕はソファーの端に腰掛けた。

椅子は一つだけ空いていたが、常識的に考えて生徒会長の席であることは確実に言える。

 

「えっと、お茶どうぞ」

「すみません」

 

そして、なぜかリアさんに出されたお茶を、僕は気まずい雰囲気の中で飲み干した。

 

「それで……」

『なお、このテープは10秒後に爆発する。これは確定事項だ。』

 

そんな雰囲気の中、本題に入ろうとした生徒会長の言葉を遮るように、テーブルに置かれたレコーダーからそんな宣言がされた。

しかも妙に気合を入れた言葉も添えられて。

 

「た、大変、みんな逃げて―! お姉ちゃんは本気だよ!」

『10,9,8――――』

 

一気に生徒会室内が慌ただしくなるのを楽しんでいるかのようにカウントを始める。

全員が慌てて避難する中、僕は静かに席を離れると

 

「うるさい」

 

騒ぎの原因であるレコーダーを止めた。

 

「こ、浩介君。無表情ですごいことをするよね」

「い、いや、これはこれで正しい対処法なのかも?」

 

そんな僕に苦笑するリアさんと生徒会長をはじめとした生徒会メンバー。

なんだか無性に悪いことをしてしまったような気になってきた。

もしかしたら、生徒会メンバーの信用を初っ端から損なってしまったかもしれない。

 

(それならそれで良いんだけどね)

 

とはいえ、相手はあのへれなさんだ。

そう簡単に物事を進めるようなことはしないだろう。

 

「そうよそうよ。せっかくどっば~んとド派手に登場する予定だったのに」

「きゃあ!?」

 

それを証明するように、突然満面の笑みを浮かべながら現れたヘレナさんに、驚きの声をあげる生徒会メンバーだが、彼女は一体どこから出てきた?

 

「それはまあいいとして。今日からあなたには生徒会の相談係の臨時補佐と『流星クルセイダース』のサポートを任命しよう!」

「……ありがたく拝命します」

 

ヘレナさんの言葉に頷いたことで、僕はこの時から生徒会および『流星クルセイダース』の助っ人となるのであった。

 

「それじゃ、自己紹介をサクッとやってちょうだい」

 

これで終わりかと思ったところに、へれなさんからの指令が僕たちに課された。

困惑した空気が一瞬立ち込めるが

 

「私は生徒会会計の夕霧ナナカ」

「私は生徒会書記のロロット・ローゼン・クロイツです」

「……聖沙・ブリジッタ・クリステレス。よろしく」

「生徒会相談役の九条リアです。よろしくね☆」

 

なんだか一部役職を言ってない人がいたが、消去法で役職が分かるということを言うべきだろうか?

 

「そしてあたしが頭脳担当のサリーちゃん」

 

驚きなのは、彼女が頭脳担当であるということよりも、魔族である彼女が、対魔族の集団と行動を共にしているということだ。

色々と僕には分からない何かの事情があるのだろうと、僕は理解した。

 

「えっと、生徒会長の咲良シンです。よろしく」

「そしてこの俺様が大賢者パッキー様だぜっ!」

 

いよいよ最後の一人となった生徒会長、咲良君に続くようにテーブルの上に鎮座していたパンダのぬいぐるみ……大賢者パッキーが名乗りを上げる。

 

「こら、パの字いきなり出てくるんじゃないっ」

「そうだよ、驚かせたらかわいそうだよ!」

 

大賢者に対して扱いが酷いなと思ってみたが、僕は表向きは魔族のことはおろか、彼のことも全く知らされていないことになっていることに気が付いた。

 

「ご心配なく。パッキーさん含め、必要な知識はヘレナさんから一通り教えていただいているので」

 

僕はすかさずに誰に対してか分からないフォローの言葉をかけた。

 

「ですよね? ヘレナさん」

 

”話を合わせろ”という意図を込めて僕はヘレナさんのほうに視線を向ける。

無論だが、僕はヘレナさんから魔族については説明を受けたがパッキーに関しては全く聞かされていない。

でも、僕はある事情があって彼のことを知っているのだ。

パッキーは僕のことを覚えていないのは、自己紹介をした時の様子から明らかだ。

つまり、ヘレナさんに話を合わせてもらえないととんでもないことになる。

まあ、言い訳はいくらでもできるから致命的なまでではないが。

このような茶番のような演出に付き合っているのだから少しくらいは無茶ぶりしても罰は当たらないだろう。

それでなくても、ヘレナさんにはいろいろと振り回されたのだから。

 

「ええ。だからシンちゃんもナナカちゃんも隠そうとしなくてもいいわよ」

 

僕の意図を理解してくれたのかどうかは分からないが、うまく話を合わせてくれた。

 

「そ・れ・で。まだ自己紹介は終わってないわよん」

「……そうでしたね」

 

片目を閉じ他ヘレナさんの言葉に、僕は自分が自己紹介をしていないことに気付き、咳ばらいを一つしながら彼らに向かい合う。

 

「ぼ……私は大森浩介。九条家およびプリエの料理人を務めております。若輩者ですが、どうぞよろしくお願いします」

 

自己紹介をしておいてあれだが、肩書がものすごく複雑だなとどうでもいいことを思いながら、僕は彼らに一礼する。

それに呼応するかのように、彼らの拍手の音が生徒会室を包み込む。

 

「それでは、大森浩介君には”流星生徒会相談係補佐”の人を任命する」

 

拍手をする彼らを一瞥してそう告げると、ヘレナさんは後は任せたと言わんばかりに生徒会室を去って行く。

 

「それで、私は何をすれば?」

「えっと……―「ちょっと待ってっ」―」

 

僕の問いかけに考えを巡らそうとする咲良君を遮るように聖沙さんが口を開いた。

 

「全員の名前を言ってみてくれるかしら」

「聖沙?」

「どうしたの? いきなり」

 

突然テストのごとく聞いてきた聖沙さんに、全員が首をかしげていた。

かくいう僕もだが。

 

「わかりました!」

 

そんな時、自信満々といった様子で声を上げたのは、クリスタルさんだった。

 

「副会長さんはコックさんと記憶力を勝負したいんですね!」

「違うわよっ!!」

 

クライスさんの言葉に頭から煙のようなものを吹き上がらせる勢いで否定の声を上げた。

 

(だとしたら僕の記憶力が悪いと言いたいのか?)

 

なんだか馬鹿にされたような気になるが、ある意味その通りのような気がして悲しくなったのはどうでもいい話だろう。

 

「……分かった。それじゃ順番に言っていくぞ」

 

一つため息をついて僕は夕霧さんの方に視線を向ける。

ただ名前を言えば良いだけなのだ。

何一つ難しいことはない。

 

「あなたが、夕霧ナナカさん」

「な、なんだかフルネームで呼ばれるとこそばゆくなるね」

 

どうやら名前は合っていたようで苦笑が返ってきた。

 

「それで、あなたが咲良シン君と、パッキーさん」

「うんよろしくね」

「おうよ!」

 

咲良君は人当たりの良い返事を、パッキーは威勢良く返事をする。

次はその隣で朗らかな笑みを浮かべているリアさんの方を手で指した。

この時、人差し指で指さすのではなく掌を上にすることを忘れない。

 

「あなたが、九条リアさんですね」

「ピンポ~ン。大正解です」

 

大げさに返事をするリアさんをしり目に、僕はその隣に立っている銀色の髪の女子学生、クロックさんの方に手を向ける。

 

「あなたが、ロロット・ロッククリスタルさんですね」

「……」

 

彼女の名前を口にした瞬間、生徒会室内の空気が固まった。

 

「……はい?」

 

それを打ち破ったのは、夕霧さんが目を瞬かせながら口にした言葉だった。

 

「私の名前は、ロッククリスタルじゃないですよ」

 

そんなクレヨンさんの言葉で、固まった理由が分かった。

どうやら、またのようだ。

 

「はぁ」

 

そんな僕に、聖沙さんは深いため息をつく。

 

「その様子だと、私の名前も言えないでしょうね」

 

なんだかものすごく失礼なことを言っているが、言っていることは事実なので何も言い返せない。

 

「えっと、どういうことなのかな?」

「それはですねーー」

 

首をかしげるリアさんに、聖沙さんが僕の欠点について説明する。

 

(我ながら、ろくでもない欠点だよな)

 

彼女の説明を聞いていて本人にもかかわらずそう思うのだから、彼らはそれ以上に感じているのかもしれない。

 

「それなら名前で呼んでください」

「……すまない。僕のことも名前でいい」

 

というクラフト……ロロットさんの提案を吞み、こちらも名前で呼んでもらうことで、丸く収まることになった。

 

「それにしても聖沙はどうしてそのことを知ってるのさ」

「えっ!?」

 

そんな中、ナナカさんの疑問に聖沙さんの声が上ずる。

 

「それは私も気になるな~」

 

いつの間にか、彼女の包囲網が完成していたようで、視線をあちらこちらに向ける。

あれでは何かありますと言っているも同然だ。

 

「この間、会ったときに名前を聞くことがあってその時に」

 

そんな彼女のフォローをするべく僕はそう口にした。

 

「なぁんだ、そういうことか」

 

どうやら全員の関心をなくすことができたようだ。

果たしてこれが最善だったのかは分からないが。

とはいえ、もう少しプッシュすれば完全にこの権には触れられなくすることができるはずだ。

それはとても単純だ。

 

「生徒会の仕事はしなくても良いのか?」

 

ただそれだけを言えば良いのだ。

 

「あぁっ!?」

「そうだった!」

「はぅわ!」

 

現に僕の一言で彼女達が慌てて自分の席と思われる場所に向かったのだから。

おそらく、もう僕たちに対する疑問も頭にはないだろう。

こうして、流星生徒会相談役補佐に就任して最初の活動が幕を開けた。

 

 

 

 

 

「ナナカさん、決算の報告書はまだ?」

「ごめん、もうちょっとで終わるから!」

 

生徒会活動が始まり、生徒会役員は色々と忙しそうに作業をしている。

 

「………」

 

同じ相談役のリアさんもさりげなくではあるが、各々がいつの間にか飲み干されたお茶を注いで回っている。

それに比べて僕は

 

(………虚しいな)

 

ただそこにいるだけの状態だ。

何をするでもなく立っているだけの背景に成りはてていた

いや、そもそも相談役補佐とは何をすればいいのだ?

文字通りならリアさんの補佐だが、一体全体何を補佐すれば

いいのだろうか?

 

「大丈夫」

「え?」

 

そんな僕に突如掛けられたリアさんの言葉に、思わず驚きの声を上げてしまった。

 

「やるべきことって言うのは、自然と出てくるから、慌てなくても大丈夫」

「………ありがとうございます」

 

やはりこの人にはかなわない。

満面の笑みを浮かべながらかけられたアドバイスの言葉に僕はそう思わずにはいられなかった。

 

「ファイト♪」

 

そんなリアさんの子供のような明るい笑みは、どことなく彼女のことを思い起こさせた。

 

(ま、無様にもがいてみるか)

 

どこか懐かしさを覚えながら、僕はそう自分に気合を入れるのであった。

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