ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~ 作:TRcrant
第2話になります。
ここまで遅くなった原因は中間にあるバトルだったりもします。
なお、バトル描写はMa-sAさんの『ティンクル☆くるせいだーす GO~TO~!!動き出す地界人!』ないでの描写を参考にしております。
バトル描写の参考を許していただいたMa-sAさんには、この場を借りてお礼を申し上げます。
ちなみに、今回の文字数は1万字ですが、本編は6100字ほどあります。
また、あとがきのほうでおまけとして”チュートリアルコーナー”があります。
こちらは原作を再現するべく、台本形式となっておりますので、そういったのが苦手な方は自サイトでの主人公設定のほうにも記載する予定ですのでそちらをご覧になることをお勧めします。
いろいろ長くなりましたが、本編のほうをどうぞ!
霊力を巡らせて飛ぶこと数分。
中々人気のない場所を見つけることができない僕たちは、人気のない場所を探し続けていた。
もし降りる所を誰かにでも見られれば、それだけでも大騒動に発展するからだ。
とはいえ、霊力を体中に巡らせ続けるというのはかなり疲れる物で、例を挙げると坂道を自動車と繋がっている紐を体に括りつけて全速力で走るようなものだ。
あまり長時間は続けられない。そういう理由で僕は少しだけ焦っていた。
「浩ちゃん、あそこはどう?」
「ん? お、あそこなら人通りもないな」
そんな中、神楽が指さした方を見ると、そこは人通りの少ない場所だった。
そこはまさに僕の求めている絶好の場所だった。
「よし、あそこに降りるぞ」
「了解だよ」
神楽に一言告げた僕たちは、体に巡らせた霊力を徐々に少なくすることで、ゆっくりと下降していく。
これを急になくしたりでもすればそのまま落下することになるので注意が必要だ。
「ッと、到着」
「うん、お疲れ様だよ~」
なんとか地面に降りることが出来たことに、僕はほっと胸を撫で下ろした。
神楽のほうを見てみるが、疲労したような声色になっているものの体調関連では問題はなさそうだった。
「それにしても、ここはどこだ?」
ようやく本当の意味で落ち着けた僕は、周りを見回してこの場所を確認する。
まず前に見えるのは、青い屋根に木造のアパートのような場所。
そして庭と思われる場所には色々な草が生えていた。
「浩ちゃん、ここの家の人とか居たりするのかな?」
「ちょっと待ってて」
神楽の問い掛けに、僕は目を閉じて前方の建物の中の生体反応を確認する。
だが、特に反応は感じなかった。
恐らく入居者全員が出かけた状態なのだろう。
「大丈夫だ。誰もいないようだ」
「そう、よかった」
僕の告げた結果に、神楽は肩の力を抜いた。
どうやら彼女もようやく落ち着くことができたようだ。
「さてと、まずやらなければいけないのは――――」
僕が、今後の事について話そうとして時だった。
「ねえ、浩ちゃん。あれは何?」
「あれとは……うわッ!?」
神楽が見ている方に視線を向けると、そこには黒くてまん丸で、一応手足のようなものが付いている謎の生物だった。
他にも鳥のような姿をしていたり、力持ちだと分かるような姿をしていたりする生物3体が、草を食べていた。
「ねえ、あれって野菜よね?」
「ん? よく見てみるとそうだよな。ということは………」
神楽の指摘に、塀のところにけはいを消して移動した僕は庭と思わしき場所にある草木を確認すると、確かに何かの野菜だった。
だとするならば、この生物たちのしていることはただ一つしかなかった。
「「野菜泥棒だ!!」」
僕と神楽が一斉に声を出したため、予想以上に大きな声となってしまったようだ。
いくら気配は消せても、声まではどうにもできない。
その為……
「イーッ!!」
「イーッ!」
「イーッ!!」
三体の生物に見つかってしまった。
「って、こいつら魔族じゃないか!」
「え? ……あ、本当だ」
その時になってようやく僕と神楽はその生物が魔族であることに気が付いた。
魔族は人間界に来る際にかかる負荷で姿形が変わってしまうのだ。
ただ、一部の強い魔族(七大魔将クラス)はその限りではないらしいが、詳しいことは分からない。
「『イーッ』って、何を言っているかわかる?」
「どんな内容の事を言ってるかは大体は分かるけど、あまり穏やかな内容じゃないな」
神楽の問いかけに、僕は目を細めながら応える。
僕は今かなり警戒しているのだ。
なぜならば、さっきの生物たちの声を翻訳すると
『見つかった!』
『どうするの?』
『やっつけよう!!』
といった感じだからだ。
つまり、こちらが少しでも油断すれば大けがをする可能性があるということになるのだ。
「君たち、今やっていることはしてはいけない悪いことだぞ! でも、ここで素直に帰ってくれれば僕たちは何もしないことを約束しよう! だから素直に消えてくれ」
「いくら浩ちゃんでも、言葉が通じる訳が――「イーッ!!」――通じた!?」
最初は話し合いで解決を試みることにした僕は、魔族たちに言葉を投げかける。
どのようなことも話し合いのみで事を構えないで解決できるのであれば全く問題がないのだ。
そしてどうやら、僕の言葉が分かるようなので、もしかしたらこのまま解決できるかもしれない。
もっとも、言葉が分かることを知った神楽は、驚きのあまりにツッコミ口調になっていた。
だが、返ってきた答えは……
「神楽!」
「え? きゃ!?」
鳥のような姿をした生物による炎の球の攻撃だった。
神楽の腕をつかんでこちら側に引き寄せることで、間一髪ではあるが直撃を免れることが出来た。
「大丈夫か?」
「う、うん。大丈夫。ありがとね」
神楽に怪我はないようで、ほっと胸をなでおろした僕は、つかんでいた手を放しながら、頬を赤く染めた神楽からお礼の言葉に、僕は”どういたしまして”と相づちを打つ。
神楽をこちらに引き寄せた時に感じたある場所の感覚は忘れることにしよう。
……とても柔らかかった。
閑話休題。
(とはいえ、状況としては最悪だな)
話し合いでの解決の可能性が亡くなった以上、残されているのは武力的解決のみ。
つまり僕たちはあの魔族と闘わなければいけないのだ。
ここで重要なのは神楽との連携だろう。
連携を怠れば命取りになることも十分にあるのが戦場の常だ。
そう思い神楽のほうへと視線を向ける。
「この私に不意打ちをするなんて………浩ちゃん」
「分かってる」
どうやら今ので神楽にスイッチが入ったようだ。
これで僕たちは戦う準備が整ったことになる。
僕は神楽の呼びかけに応じながら、両手を前のほうに掲げる。
「「武装、展開!」」
僕達の言葉が合図となり、一瞬にしてここに来たときに来ていた式服へと姿を変える。
そして僕の両手に具現化したのは二本の神剣。
名前を正宗と吉宗という。
人を切ることはできない正宗と、絶大な攻撃力を誇る吉宗の二本で一本の剣という特殊な神具だ。
対する神楽の手には、華やかな
ただの扇子と思う無かれ。
これを使って本気で叩いた時の衝撃は、ハンマーと同じほどの威力なのだから。
だが、本人はそういった使い方はしないとのこと。
「僕達の恐ろしさ」
「その身をもって知ると良いわ!!」
掛け声とともに、この地に降り立って最初の戦いが幕を開けた。
――ステータス―――
敵
数:3体
HP:30000
属性:水(魔族A)、火(魔族B)、雷(魔族C)(いずれもLv.1)
EX:100%
味方
数:2人
HP:1000
攻撃属性(浩介):神+火、水、雷(Lv.5)
攻撃属性(神楽):神、火、水、雷(Lv.3)
守護属性:神
EX:50%
―――――――
「この戦い、絶対に負けられないっ」
start
敵のフレーム数
魔族A:80F
魔族B:75F
魔族C:90F
味方二人のフレーム数
浩介:75F
神楽:83F
スタートラッシュに成功し、まずまずな状況で開始。
ランブル!
浩介と魔族Bがランブルとなった。
「それが愚かな選択だと教えてやろう」
――――――――――――――――――――
魔族B Lv.1 VS 浩介 Lv.5
属性:火 属性:水
――――――――――――――――――――
Win!
「すべてを打ち砕く力。 水よ、すべてを洗い流せっ」
「イーッ!?」
ランブルに勝利し、浩介の一撃が魔族Bに放たれる。
魔族Bは気絶状態となった。
敵
HP:29290↓710
N魔族A(水)Lv.1:5F
S魔族B(火)Lv.1:40F↑40(気絶)x50
P魔族C(雷)Lv.1:15F
EX:120%↑20
STUN:9
味方
HP:1000
浩介(雷)Lv.5:80F↑80
神楽(火)Lv.3:8F
EX:280%↑230
Rush:1
65%
魔族Aが攻撃可能となった。
「イーッ!」
「痛っ」
魔族Aの攻撃が神楽に放たれた。
敵
HP:29290
N魔族A(水)Lv.1:75F↑75
S魔族B(火)Lv.1:40F(気絶)x45
P魔族C(雷)Lv.1:10F
EX:133%↑13
STUN:9
Rush:1
68%
味方
HP:992↓8
浩介(雷)Lv.5:75F
神楽(火)Lv.3:53F↑50
EX:282%↑2
STUN:8
魔族Cが行動可能となった。
「イーっ!」
「きゃ!?」
魔族Cの攻撃が神楽に放たれた。
敵
HP:29290
N魔族A(水)Lv.1:65F
S魔族B(火)Lv.1:40F(気絶)x35
P魔族C(雷)Lv.1:90F↑90
EX:141%↑8
STUN:9
Rush:2
-38%
味方
HP:988↓4
浩介(雷)Lv.5:65F
神楽(火)Lv.3:53F↑10
EX:286%↑4
STUN:7
神楽が攻撃可能となった。
「行くわよっ。 舞部・炎熱!」
「イーッ!?」
神楽の攻撃が魔族Bに放たれた。
「私の力、見くびらないでもらえる? 聖水の恵」
神楽のEx healingによってHPが回復した。
「まだやるの?」
敵
HP:29273↓17
N魔族A(水)Lv.1:12F
S魔族B(火)Lv.1:42F↑20
P魔族C(雷)Lv.1:37F
EX:143%↑2
STUN:8
味方
HP:1877↑889
浩介(雷)Lv.5:12F
神楽(火)Lv.3:30F↑30
EX:204%↓82
STUN:7
Rush:1
30%
ランブル!
浩介と魔族Aがランブルとなった。
――――――――――――――――――――
魔族A Lv.1 VS 浩介 Lv.5
属性:水 属性:雷
――――――――――――――――――――
Win!
「これが絶対の力! 雷よ、すべてを滅ぼせ」
「イーッ!?」
浩介の渾身の一撃が魔族Aに放たれた。
魔族Aは気絶状態となった。
敵
HP:28209↓1064
N魔族A(水)Lv.1:40F↑40(気絶)x50
S魔族B(火)Lv.1:30F
P魔族C(雷)Lv.1:25F
EX:168%↑25
STUN:9
味方
HP:1877
浩介(神)Lv.5:95F↑95
神楽(火)Lv.3:18F
EX:300%↑96
STUN:7
Rush:2
98%
神楽が行動可能となった。
Critical!
「はぁ! 炎の上で舞い踊れ」
「イーッ!」
(D:68)
神楽の攻撃が魔族Cに放たれた。
「私の舞い、とくと見なさい!」
(D:8)
神楽のEx danceによって全員が気絶状態となった。
味方全員の攻撃力と防御力が上昇した。
敵
HP:28133↓76
N魔族A(水)Lv.1:40F(気絶)x82
S魔族B(火)Lv.1:12F(気絶)x50
P魔族C(雷)Lv.1:37F↑30(気絶)x100
EX:192%↑24
STUN:9
味方
HP:1877
浩介+(神)Lv.5:77F
神楽+(水)Lv.3:30F↑30
EX:210%↓90
STUN:7
Rush:4
152%
神楽が行動可能となった。
Critical!
「さあ、行くわよ! 舞演舞・水!」
「イーッ!」
(D:337)
神楽の攻撃が魔族Bに放たれた。
「さあ、始めましょう。神楽ノ舞」
神楽のEx danceによって全員が気絶状態となった。
(D:18)
味方全員の攻撃力と防御力が上昇した。
敵
HP:27778↓355
N魔族A(水)Lv.1:40F(気絶)x102
S魔族B(火)Lv.1:52F(気絶)x120
P魔族C(雷)Lv.1:37F(気絶)x120
EX:216%↑24
STUN:9
味方
HP:1877
浩介+(神)Lv.5:47F
神楽+(火)Lv.3:30F↑30
EX:128%↓82
STUN:7
Rush:6
165%
神楽が行動可能となった。
「とった! アトミックバースト」
「イーッ!」
神楽の攻撃が魔族Cに炸裂した。
敵
HP:27620↓158
N魔族A(水)Lv.1:40F(気絶)x72
S魔族B(火)Lv.1:52F(気絶)x90
P魔族C(雷)Lv.1:67F↑30(気絶)x90
EX:240%↑24
STUN:8
味方
HP:1877
浩介+(神)Lv.5:17F
神楽(火)Lv.3:30F↑30
EX:141%↑13
STUN:7
Rush:6
162%
浩介が行動可能となった。
「ここは大きな一撃の支度でもしよう」
浩介は詠唱を開始した。
敵
HP:27620
N魔族A(水)Lv.1:40F(気絶)x55
S魔族B(火)Lv.1:52F(気絶)x73
P魔族C(雷)Lv.1:67F(気絶)x73
EX:240%
STUN:8
味方
HP:1877
浩介+(神)Lv.7:20F↑20
神楽(火)Lv.3:13F
EX:141%
STUN:7
Rush:7
神楽が行動可能となった。
「私は待つ女。でも、早く誰か来てっ」
神楽はその場で待機した。
ユニゾン!
神楽と浩介がユニゾンとなった。
「僕についてきて」
ユニゾンリーダーは浩介だ。
「そこだっ。スターダークシフト!」
「イーっ!?」
(D:4586)
浩介の攻撃が、魔族Aに炸裂した。
「さあ、絶望の始まりだ。タイムスタン!」
浩介のEx Timeによって敵の時間が停止した。
効果中は敵のみ移動することができなくなる。
「見つけた! これが炎の扱い方よ!」
「――――」
(D:31)
神楽の攻撃が魔族Aに炸裂する。
「さあ、始めよう。時と闇の狂騒歌!」
「―――――」
(D:6684)
浩介の渾身の一撃が魔族Aに放たれた。
敵
HP:16319↓11301
N魔族A(水)Lv.1:90F↑50(停止中)(気絶)x35
S魔族B(火)Lv.1:52F(停止中)(気絶)x53
P魔族C(雷)Lv.1:67F(停止中)(気絶)x53
EX:242%↑2
STUN:7
味方
HP:1877
浩介(火)Lv.5:80F↑80
神楽(雷)Lv.3:30F↑30
EX:172%↑31
STUN:7
Rush:11
120%
T:111
神楽が行動可能となった。
「そこっ。燃え滾る炎の部」
「――――」
神楽の攻撃が魔族Aに放たれた。
敵
HP:16234↓85
N魔族A(水)Lv.1:90F(停止中)(気絶)x35
S魔族B(火)Lv.1:52F(停止中)(気絶)x53
P魔族C(雷)Lv.1:67F(停止中)(気絶)x53
EX:242%
STUN:7
味方
HP:1877
浩介(火)Lv.5:50F
神楽(火)Lv.3:30F↑30
EX:185%↑13
STUN:7
Rush:12
255%
T:81
神楽が行動可能となった。
「そこっ! アトミックバースト」
「――――」
神楽の攻撃が魔族Cに放たれた。
敵
HP:16140↓94
N魔族A(水)Lv.1:90F(停止中)(気絶)x35
S魔族B(火)Lv.1:52F(停止中)(気絶)x53
P魔族C(雷)Lv.1:67F(停止中)(気絶)x53
EX:242%
STUN:7
味方
HP:1877
浩介(火)Lv.5:20F
神楽(神)Lv.3:30F↑30
EX:198%↑13
STUN:7
Rush:13
274%
T:51
浩介が行動可能となった。
「ここは力を蓄えるとしよう」
浩介は詠唱を開始した。
敵
HP:16140
N魔族A(水)Lv.1:90F(停止中)(気絶)x35
S魔族B(火)Lv.1:52F(停止中)(気絶)x53
P魔族C(雷)Lv.1:67F(停止中)(気絶)x53
EX:242%
STUN:7
味方
HP:1877
浩介(火)Lv.7:20F↑20
神楽(神)Lv.3:10F
EX:198%
STUN:7
Rush:13
T:51
神楽が行動可能となった。
「少しばかり休憩っと」
神楽はその場で待機した。
ユニゾン!
浩介と神楽がユニゾンとなった。
「それが正しい選択だ」
ユニゾンリーダーは浩介だ。
「そこだっ 炎よすべてを燃やし尽くせ!」
「―――――」
(D:5796)
浩介の攻撃が魔族Cに放たれた。
「これが世界の力だ! デスクライマー!」
「――――」
(D:23275)
浩介のEx が発動し、魔族Cに攻撃が炸裂した。
Finish!!
「行きます! 神踊る魅惑の宴!」
「―――――」
(D:83)
神楽の攻撃が魔族Cに放たれた。
「さあ、とくと味わいなさい。神々の鉄槌!」
「――――」
(D:21)
神楽のEx Explosionが発動し魔族Cに攻撃が炸裂した。
「すべてを束ねたこの一撃。アルティメットフレアっ!」
「――――」
(D:10570)
浩介の渾身の一撃が魔族Cに炸裂した。
敵
HP:0↓39745
EX:242%
STUN:7
味方
HP:1877
EX:162%↓36
STUN:7
Rush:18
824%
「やった! 私たちの大勝利ね!!」
最後の一撃がうまく決まったことに喜ぶ神楽をしり目に、僕は冷静に口を開いた。
「いや、少なくともあの魔族たちには直撃はしていない。僕の必殺技が直撃する寸前に逃げ出した」
「嘘!?」
やはり、魔族が逃げ出したことには気が付いていなかったようで、神楽は驚きを隠せないようだ。
その主な原因として、魔族を拘束させていた神楽の拘束術式だろう。
「直撃すると思い気を抜いて、術式の制御を疎かにした瞬間に、突き破って逃げた様だ」
「う゛ッ!?――「どのような場面であれど、油断大敵と前に言ったはずだ」――はい」
僕の言葉に、神楽の存在感がどんどんと小さくなっていくような気がした。
………何だか、無性にいじめているような気がしてきた。
「まあ、こっちの勝利条件はあの魔族を追い払う事だから、こっちの勝利には変わりはないけどね」
「うぅ……次から気を付けます」
フォローにもなっていない様なフォローをしつつ、僕はあたりを見回した。
神楽は……まあ、今後の教訓にするのであれば問題はないだろう。
僕はいったんそこで言葉を区切った。
「それよりも、まずはこの惨状を何とかしなければいけないね」
「そうだね」
僕の言葉につられるようにして、辺りの光景を見た神楽は引きつったような声色で相づちを打つ。
その惨状と言うのは、魔族の攻撃のせいかカチカチに凍った草、そして建物への焦げ跡。
さらにそれに追い打ちをかけるように、周りの地面が抉れていた。
おそらくは僕の必殺技の影響だろう。
逆にそれくらいで済んだことのほうが奇跡なのだが、それはどうでもいいことだろう。
「神楽は草や建物の焦げ跡を、僕はこの地面を修繕する」
「了解……」
僕の指示を聞いた神楽は修繕作業を始めた。
僕もそれにならい修繕作業をする。
修繕作業とは、霊術によって破損した箇所を元通りにすることだ。
これが、神族である僕たちの義務であった
ちなみに、この修繕作業は僕の一番苦手とすることだったりもする。
(とりあえず、やるか)
こうしてぼくたちは修繕作業に取り掛かるのであった。
それから約1時間後、ようやく修繕作業を終えた僕たちは建物の前に立っていた。
「さて、霊力の残量は?」
「私は99%」
「僕もだ。特に異常もないようだな」
ここに降り立ち、霊術を使ったり戦闘をしたり等々派手に動いたため、体に異変が生じる可能性がないとも言えなかった。
それがないかの確認だった。
だが、僕を含めて特に問題はないようなので一安心できる。
「神楽、能力の封印を」
「了解」
神楽に出した指示は、霊力(もしくは魔力)や身体能力などを引き下げることだ。
これをすることで、ほとんどの人には僕達が普通の人間に見えるようになる。
要するにこれで敵の目を欺くということだ。
無論、これだけでは万全ではないがやらないよりはましだろう。
「さて、これからどうするか……だが」
「その天使を探し出すのはどう? 目の色を見れば一目瞭然でしょ?」
僕の言葉に、神楽が提案する。
確かにそれが一番いい案に思える。
だが、
「確かにそれも一手だ。だが、カラコンをして目の色をごまかしたりする者もいれば、逆に普通の人間がカラコンで水色にするという可能性もある」
「そうよね……でも、監視するにしても変装をした所でまた今日のように見つかるし、変に警戒されでもしたら相手も尻尾を出さなくなっちゃうよ」
僕の上げた問題点に、神楽は便乗するようにして口を開く。
確かに神楽の意見も尤もだ。
探し出すにも、ほとんど不可能に近く、監視しようにも変装したりして歩き回れば不審に思われて、あらぬトラブルを起こしかねない。
あの教育施設のような場所も然り、こういった場所も然り。
中途半端に変装をするのはかなりリスクが高い。
(待てよ……要するに中途半端じゃなくなればいいってわけか)
そこまで考えたところで、僕の頭の中に一つの名案が浮かんだ。
「そうだ! だったらこの町に溶け込めばいいんだよ」
「溶け込むって……まさか!?」
僕の言葉の意図が分かった神楽が、驚きに満ちた目で僕のほうを見る。
僕の出した結論は、中途半端ではなく本格的にこの地に紛れ込むというものであった。
ただし、そのためにはいくつかの課題をクリアしなければならない、
まず最初の課題が戸籍だ。
この世界では”戸籍”というものが非常に重要だ。
これがなければ、僕は住まいさえも用意することができないのだ。
戸籍を作るにしても普通の方法ではまず不可能なので、やるとすれば悪罵の物に暗示をかけて作らせるというのが真っ先に出てくる案だが、これはパスだ。
本当に作れるのかどうかが疑問なのと、人前で力を行使するのは他の人に怪しまれたりするリスクがある。
そうなれば、僕のとる道はただ一つ。
「アクセス」
右手を前方に掲げながら呟くと、右手の少し先のほうに前方に青色の球体が現れた。
その球体内にはいくつもの線が複雑に配置されている。
本数は数え切れないほどある。
これが、この世界の根源が記された根源物質というものだ。
僕の世界の意思として使える力の一つがこの根源物質の閲覧と操作なのだ。
この球体内の線をめちゃくちゃにいじれば、この世界を狂わしたり滅亡にまで追い込んだりすることが出来る。
だからこそ、これの扱いは慎重にしなければいけないのだ。
「浩ちゃん駄目だよ!! それだけは!」
「これ以外に方法はないんだ、許せ。世界の変革開始。変革要素、根源物質への人物存在追加」
僕の言葉を受けて、次々と根源物質が変わって行く。
行っているのはこの世界の在り方や、行く末などには一切手を付けず、僕達の席を作り出す。
簡単に言えば、一つの家の面積は変えずに、部屋を増やすということだ。
なのであまり危険な工程ではない。
とは言え、この世界の根幹をいじくるのだ。
それが神楽の反対する理由だった。
「………クローズ。これでこの世界のこの国、この町に僕達の戸籍が出来た」
「もう………」
根源物質を閉じながら結果を告げる僕に、神楽はため息をつきながら批判的な目で見るが、それほど怒ってはいないようだ。
いや、もしかしたら諦めかけているのかもしれない。
それはそれで切ないのだが……まあ、どうでもいいか。
「あ、戸籍の方だけど、僕の方は”
「分かった」
神楽が頷いたことでで、戸籍の問題は解消された。
次は、住まいだ。
「町に出るよ」
「町? 住宅街じゃなくて?」
神楽が僕の言葉に、疑問を投げかけた。
確かに、その疑問は正しい。
この街に住むのであれば、普通に住宅街が最適で安全だろう。
だが、普通では考えられないような奇策を講じることも一手なのだ。
「いや、より良いこの街への溶け込む方法があるんだよ」
「それってどういう……あ、ちょっと待ってよー!!」
神楽に簡潔に説明した僕は彼女に背を向けて足を進める。
そんな僕に、神楽が慌てた様子で僕を追いかけてくる中、僕はそのままスタスタと足を進めるのであった。
さて、移動中に先ほど根源物質を見た時に気付いた情報を整理しておこう。
まず、今日の日付だが、この国の基準ではあるものの、10月6日であることが分かった。
さらに、この町の名前は『流星町』だという事らしい。
分かったのはそこまでだ。
なにせ、それ以上の情報は見ていないから何とも言えないのだ。
そんなこんなで僕たちがたどり着いたのは商店街と思わしき場所だった。
複数のお店が出ている通りなのだから、商店街という言い方で正しいはずだ。
ちなみに、あのあと僕たちはどこかの学園の制服と思われる物から私服へと服装を変えている。
僕は青色のジーパンに黒色の長そでのシャツで、神楽は青色のスカートにオレンジ色のシャツの上に水色のジャケットを羽織っている。
これならば怪しまれることは早々ないだろう。
そんな僕たちが商店街に入って一軒一軒探すこと数分。
「見つけた」
僕は、とある建物の前で歩くのをやめた。
白塗りのコンクリート構造の建物には大きめな窓ガラスと木製のドアというシンプルな外観だった。
窓から中を見ると人が暮らしている気配もなく、また稼働すらしていないことがすぐにわかった。
「ねえ、いい加減教えてくれないかな? 住宅街では無くここに来た理由を」
「それはね、ここだよ。ここ」
僕は神楽の問いかけに、目の前の建物を指し示した。
「ここって……『テナント募集』………まさか浩ちゃん!?」
「さぁて、役場に行くぞ」
窓ガラスに貼ってあったテナント募集のチラシを見て分かったのか、神楽の予想を肯定するように、僕は役場の方へと足を進めた。
「ま、待ってよ! 浩ちゃん!!」
そして、神楽は反論も反対もする暇なく、慌てて僕の後を追いかけてくるのであった。
チュートリアルコーナー
~高月浩介編~
浩「僕のことが知りたい? なとまあ……」
神「そのことならば、この私にお任せあれ!」
浩「なんでお前が返事を出すんだ」
神「それは浩ちゃんのベストパートナーだから。キャッ」
浩「……勝手に変な称号を名乗らない。というか、説明はどうした?」
神「っとと。それじゃ……浩ちゃんはね、ものすごい火力があるんだ」
浩「まあ壊すことや潰すことならば僕は得意中の得意になるな」
神「そう言えば気になったけど、あのちっこいのとどっちが強いのかな?」
浩「ちっこいのって……何となくだれかは想像できるけど、総合力で言うのであればあっちだろうね。僕に比べると弱点も少ないだろうから」
神「浩ちゃんの弱点っていくつあったっけ?」
浩「防御力がひとよりも低いのが一つ目かな。ちょっとした攻撃でも普通の状態だとかなりえげつないことになるから注意しないとね」
神「浩ちゃん、防御力とかをすべて攻撃方面に回すもんね。後は?」
浩「守護・攻撃属性に関係なく、”雷属性”の攻撃に弱いところかな。もともと電撃が苦手でこの属性だとダメージが他の属性の1.5倍にまで増幅されるんだ」
神「浩ちゃん、静電気が苦手だったね」
浩「あと、ここだけの話でとある守護天使が相手だとダメージが倍になってしまうんだ。まあ、その守護天使と喧嘩をしたからなんだけど」
神「それ、今関係あるの!? しや、そもそも仲直りしておこうよ」
浩「そんなマイナスばかりの僕だけど、攻撃を受けても押し下げにくかったり、詠唱速度が早かったりもするから扱いようによっては本気で夢想できるかもしれないね」
神「そんな浩ちゃんのEXアタックだけど―――」
浩「まずは”最終審判、デスクライマー” 相手の大ダメージを与えることができる」
神「ダメージしか入らないけど、浩ちゃんの火力を考えると最強の一撃だね」
―――
最終審判、デスクライマー
世界の意思としての究極の力。
武器に相反する霊力と魔力の二つのエネルギーを混ぜ合わせて一撃を放つ技。
敵に従来の倍のダメージを与えられる
浩「次が”リバース・シチュエーション” 相手からの攻撃を一回だけだけど作用を反転させる」
神「反転?」
浩「例えば敵に攻撃を受けた時に10のダメージが入ったとすると、その10のダメージ分、HPが減少するのが普通だけどこれは逆に増やす……回復することができるんだ」
神「な、なんという卑怯な力」
浩「その代わりデメリットもあって、この力は”敵からの攻撃”と限定的にさせることはできるけど、作用する範囲を選べないから」
神「もしかして、自分のEXゲージが減少するの?」
浩「そういうことになるね」
神「ま、まあノックバックされる分待機時間が減少するしSTUNゲージも増える訳だからいいの……かな?」
―――
リバース・シチュエーション
すべては反転する。
敵からの攻撃の作用を一回(ユニゾン攻撃の際は参加者全員の攻撃で1回という扱い)だけ作用を反転させることができる。
ダメージ分HPが回復し、STUNゲージも回復し、ノックバック量に応じて待機時間が減少できる。
ただし、味方のExゲージで上昇する分が減少となる。
浩「次が”時間停止”。これはその名の通り、敵のすべての時間を止めて身動きをとれなくすることができる」
神「それって、全員を気絶状態にさせるのとどう違うの?」
浩「効果が継続している間、ダメージはそのまま通るけど敵をノックバックすることもできず、STUNを削って気絶状態にすることができなくなるデメリットくらいかな」
神「……な、なんだかいろいろ酷い」
浩「まあ、敵が行動できる直前だというときに使えば時間稼ぎにはなるね」
神「100%消費の技だと思えばかなり良く見えるけど、それはそれで切ないね」
――
時間停止
すべてを止める。
世界の意思としての力で敵の時間をすべて止めることができる。
ただし、攻撃してもダメージは通るもののノックバックはせず、Exゲージを減少させたりすることができない。
またSTUNも削れないなどデメリットが多いが、一時しのぎにはうってつけ。
*詠唱すると硬化時間が延びる
浩「そして四つ目が、”プリマテリアライズ・オーバードライブ”。リ・クリエが発生する前に起こる現象を小規模だけど意図的に発生させる」
神「そ、それって使っても平気なの?」
浩「小規模だし力もかなり抑えているから大丈夫だよ……たぶん」
神「今、最後のほうで不穏な言葉が聞こえたけど。気づいてたら世界が終わっていたとかは止めてね」
―――
プリマテリアライズ・オーバードライブ
すべてを消滅する。
浩介の世界の意志の力を乱用して編み出されたもの。
敵に対してHP割合ダメージを与えることができるほか、敵を強制的に場外へと吹き飛ばしてしまう。
ただし、同じフレームにいる味方を軽く吹き飛ばす欠点がある。
*ゲージ300%消費
浩「とまあ、こんなもんかな」
神「あれ、まだ一つEx技が残ってるけど」
浩「どれどれ……」
――――
残虐なる宴
さあ、私の手の上で無様に踊れ。
敵を強化することで、徹底的に相手を痛めつける。
神「なにこの鬼畜なやつ!?」
浩「あー。これはExというよりは、僕がパーティーに加わると必ず起こるやつなんだよね。ほら、一応最強を謳っているわけだし」
神「浩ちゃんのSっぷりは置いとくとして、一体何が強化されるの?」
浩「HPが10倍になるだけ」
神「10倍って……もはやバトルマニアしか喜ばないよね」
浩「まあ、そういう使い道もあるかもしれないね」
神「バトルマニアなのは否定しないんだね」
浩「そんなわけで、浩介と―――」
神「神楽の――」
浩・神「「チュートリアルコーナーでした」」