ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~   作:TRcrant

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お待たせしました。
何とか完成いたしましたので、第4話を投稿いたします。

今回はそれほど加筆修正を行っていませんので、自サイトの物とほぼ同じです。
とはいえ、文字数が前よりも1.2倍に増えているのでやっていることはやっているのですが(苦笑)

それはともかく、第4話をどうぞ!


第4話 開店と訪れし者は審査員?

とうとう訪れた開店日。

リフォームがお店にはお客さんもたくさん来て、僕たちは大忙し………のはずだったのだが。

 

「来ないね。お客さん」

「言うな……神楽」

 

神楽のボヤキに僕は肩を落としながら相槌を打つ。

開店したはいいものの、お店にはお客さんが誰もいない状態がずっと続いている。

何がいけないのだろうか?

まさか、立地条件? それとも、誰かの陰謀でも!?

僕は必死に頭をひねって原因を探し出す。

いくらカモフラージュのためとはいえ、お客さんが0というのはさすがに精神的にダメージが高いのだ。

 

(……あ)

 

必死に原因を考えていた僕の頭の中に、一つの推測がよぎった。

 

「神楽、ここの結界レベルは、いくつになっている?」

「4だけど」

 

神楽の答えですべての疑問が解決した。

 

「神楽、すぐに1まで下げて」

「え?!! そんな事をしたら脅威から守られなく――「さ・げ・ろ!」――わ、分かったっ」

 

僕は、結界レベルを引き下げるのに難色を示す神楽に強引に神楽に結界レベルを引き下げさせた。

ここの拠点は外敵から身を守るために結界を構築している。

この結界が発動中であれば、外部からの攻撃から守られるだけではなく、外敵を中にはいられないようにする効果まであるのだ。

その原理は、中に入る気を失くさせるタイプなわけで結界レベルが4になると、ほとんどの人(魔族や天使など)が中に入ることが出来なくなってしまうのだ。

拠点地を守るために掛けた結界が、お客が来ない要因になっていたとは………まさに衝撃の真実だった。

僕は、そのショックのあまり、少しだけその場で固まっていた。

そんな時……

 

「うわー、お客さん誰もいないねー」

「さっちん先輩、大きな声で言うのは失礼っすよ」

 

お店にやってきた第一号のお客の姿が、そこにはあった。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

「これで、キラフェスのケーキバイキングの出店のお願いは出せたかな?」

 

流星町の商店街で、栗色の髪をした女顔の男子、咲良 シンとその横を歩くピンク色の髪の女子、夕霧 ナナカ。

そしてそのすぐ後ろを歩く銀色の髪をした女子のロロット・ローゼンクロイツの三人はスイーツ同好会のメンバー二人を引き連れて、資料を手に歩いていた。

 

「そだねー、でもちょっと早く終わったからどこかで休憩でもしない?」

「えっと……いいのかな、生徒会の活動中に」

 

ナナカの提案に、シンは不安げに聞く。

そう、この二人は流星学園の生徒会のメンバーなのだ。

ちなみにシンが生徒会長で、横を歩くナナカが会計、そしてすぐ後ろのロロットが書記である。

 

「いいのいいの、少しぐらい休んでもばちは当たらないって」

 

そう言う彼女の本心は、シンと少しでも一緒にいたいというのも少しではあるが含まれていたりする。

 

「あれれー? ナナちゃん、こんなところに喫茶店が出来てるよ?」

 

そんな時、先行していた高橋サチホ……通称さっちんが、一点のお店に目を止めた。

 

「どれどれ……確かに見たことがないね。”喫茶ムーントラフト”っていうお店は」

「新しくオープンしたのかな?」

 

そこは、浩介が経営しているお店であった。

 

「ねえねえ、ここに入ってみようよ」

「どうせここの『レアチーズケーキ』が目当てでしょ」

 

積極的に中へと入ろうとさせるさっちんに、ナナカはため息交じりに相槌を打つと、彼女は”ぎくぅ”と言葉を上げながら固まってしまった。

それが、図星であることを物語っていた。

 

「おぉー!見てください見てくださいっ! ハンバーグ定食があります~! これは入らずにはいられませんね!」

「分かったからロロちゃん少し落ち着こうね」

 

ハンバーグ定食というメニューを見て嬉しそうにはしゃぐロロットを、ナナカは苦笑いを浮かべながら落ち着かせる。

もはや中に入らないという選択肢は彼女たちの中には無いに等しかった。

そして、彼女たちは喫茶店の中に足を踏み入れるのであった。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

そのお客はさっちんと呼ばれた少女と、その少し奥にピンク色の髪をした少女、その横には銀色の長髪の少女、そして栗色の髪をした女顔の男子(服装から判断)が立っていた。

来ている服からして、全員流星学園の生徒だろう。

 

(まあ、この付近にある学園は流星学園しかないのが分かっているから間違いないよな)

 

これも地脈調査の賜物だった。

 

「いらっしゃいませ、何名様ですか?」

 

結界のレベルを引き下げるために奥のほうへと向かっていた神楽が、いつの間にかフロントに出て記念すべき一組目のお客さんの接客をしていた。

 

「あ、えっと……」

「5人です」

 

良い忍んでいる男子に代わって、ピンク色の髪をした少女が答えた。

 

「それでは、こちらへどうぞ」

 

神楽は軽く一礼しながら言うと、彼女たちをカウンター席へと案内する。

 

「うわぁ、結構本格的なんだねぇ」

 

そんな神楽にピンク色の髪をした少女が、感心したようにつぶやいた。

 

「ご注文がお決まりでしたら、何なりとお申し付けください」

「はいはいはーい! ハンバーグ定食を下さい!」

 

僕が注文を聞くのと同時に、銀色の髪をした少女がものすごい勢いでオーダーをしてきた。

しっかりと手を上げてくるあたり、よほど食べたかったのだろう。

 

「ロ、ロロちゃん、そんなに慌てなくても分かってるって」

「あはは……ハンバーグ定食ですね。かしこまりました」

 

そんな少女の行動に苦笑しながら落ち着かせるピンク色の髪の少女のやり取りに続くようにして、僕は苦笑いを浮かべながらハンバーグ定食の調理に取り掛かる。

 

(彼女、まさか……調べてみるか)

 

そんなことを考えながら、僕は下ごしらえを済ませたお肉を、フライパンで焼く。

そして、しっかりと焼き色が付いたらお皿に盛りつけ、特性のソースをハンバーグに掛ける。

お膳の上にハンバーグの乗ったお皿を置き、さらにお吸い物やお漬物、ライスを置いていく。

そして何の問題もなく、ハンバーグ定食は出来上がった。

昔やっていたお店の手伝いの経験がこのような形で生かされるのは、こちらとしてもかなり好都合なのかもしれない。

ここまでの調理手順はすべて、あのレシピ帳をもとにしている。

だが、技術まではまねることはできない。

ずるをすればまねることもできるが、せっかくやるのであれば自分の実力を知ってみたかったのだ。

自分の料理の腕がどこまで通じるのかというのを。

 

「はい、お待たせしました。ハンバーグ定食です」

「おぉ~!」

 

出来るだけ愛想の良い笑みを浮かべながら、完成した料理を銀色の髪の少女の前に置く。

銀色の髪の少女は目の前に置かれたハンバーグ定食を見た瞬間、目を輝かせて感嘆の声を上げた。

 

「頂きます~! あむ」

 

それはまさに緊張の瞬間だ。

自分の料理はおいしいのだろうか?

お客に満足してもらえるのだろうか。

様々な不安が僕の中でひしめき合う。

そんな時間がどれほど続いただろうか。

少女は口に入れていたものを飲み込むと、閉じていた口を開いた。

 

「……おいしいです~、この味は一度覚えると病みつきになります!!」

「あはは、気に入って頂けて光栄です」

 

まるで子供のように喜ぶ少女に、僕は苦笑いを浮かべながら、心の中で嬉しさをかみしめつつお礼をの言葉を口にする。

 

(彼女………間違いなく天使族だな)

 

先ほど料理を作るのと同時並行で調べた結果から、僕は彼女が天使であることを確信していたのだ。

だが、変な感じはしないので、今回の情報にあった裏切り者ではないだろう。

 

「あ、私達はレアチーズケーキで」

「ぼ、僕お金持ってないよ!?」

 

そんなことを考えている僕に告げられたピンク色の髪をした少女の注文に、栗色の髪の男子が慌てだした。

 

(無銭飲食でもするつもりか?)

 

無銭飲食でもしたら地獄の果てまでも追いかけてやろうという結論を出した僕は、あらかじめ作って冷蔵庫で保存しておいたレアチーズケーキを四つ取り出すと、それをお皿に乗せて四人の前に出した。

 

「こちら、レアチーズケーキになります」

「いただきます」

「「「いただきます」」」」

 

カウンター席に置かれたレアチーズケーキを前に、ピンク色の髪の少女は礼儀正しく手を合わせると、上品な手遣いでケーキを食べていく。

そんな彼女から発する雰囲気に、僕は先ほどとはくらべものにはならない緊張感を感じずにはいられなかった。

 

「こ、浩ちゃん」

 

そんな中、小声で神楽が慌てた様子で表の方を見ながら声をかけてきた。

何だろうと思いながら、その方向を見るとお店の外からこちらに向かっていくつもの視線が集まっていた。

だがその視線は僕達ではなく、今ケーキを食べているピンク色の髪の少女に向けられているように感じた。

 

(な、何が起ころうとしているんだ?)

 

「御馳走様でした」

 

この状況が飲み込めないでいる僕をよそに、食べ終えたのか、ピンク色の髪をした少女は礼儀正しく呟いた。

 

「ねー、ナナちゃん。おいしかったねー。何点ぐらいかなー?」

 

すると、彼女の右隣(厨房側から見て)に座っていた橙色の髪の少女が、唐突にピンク色の髪をした少女に訊ねた。

なんだか、それが演技のような感じがしたが、気のせいだろう。

 

「……69点」

「へ?」

「なッ!?」

 

ピンク色の髪の少女から突然告げられた言葉に、僕は固まり神楽は目を見開いた。

今、彼女点数を言ったような……素人なのに、本格派だなーと感心していると……

 

「ちょっとあなた!」

「は、はい?」

 

神楽の気に障ったようで、今にも噛みつかんという雰囲気を纏って少女に大声を上げた。

 

「ど素人のくせに料理に点数をつけるなんて何様のつもりよ!!」

 

神楽が声を荒げているが、それは僕が言うべき言葉だし、そもそも僕にはそのようなことを言うつもりもない。

 

(止めるか)

 

さすがに店先でもめ事を起こすのはまずいので、少女に怒鳴りつけた時に神楽が置いたのであろうお盆を手にすると、彼女の背後に忍び寄る。

 

「料理の”り”の字も知らない小娘風嬢が、偉そうに――「うるさい」――ペプシ!?」

 

僕は大声を上げ続ける神楽の頭に軽くお盆を振り下ろすことで、強制的に黙せた。

 

「店の者が多大なるご無礼をおかけしました。本当に申し訳ございません」

「あ、いえ。その本当の事ですから」

 

何度も何度も深々と頭を下げる僕に、怒鳴られ続けた少女は苦笑を浮かべながらも許してくれた。

 

「彼女は、ちょっとばかし気性が荒いことがありまして。皆様も大変お見苦しいものをお見せしてしまい、申し訳ありませんでした」

 

さらに僕はその場にいた他のお客さん(とはいえ、五人しかいないのだが)と外から見ていた人たちにも頭を下げて謝る。

 

「び、びっくりしたよー」

「これがいわゆる、鬼に金づちですね」

 

僕の謝罪に、橙色の髪の少女は肩を落として背後に哀愁のようなものを漂わせながら呟く。

それにしても、銀色の髪の少女の慣用句、微妙に間違ってないか?

ツッコみたいけれどもツッコめるような状況ではないので、心の中にとどめておくことにした。

 

「ところで、どうして69点なのか……説明していただいてもよろしいでしょうか? 今後の参考にしたいので」

 

僕の興味は細かなことよりも、彼女の評価の理由のほうに向けられていたのだから。

 

「えっと………レアチーズケーキのチーズに混ぜてある牛乳が、チーズの甘みをうまく出しています。でも、それが少々後味を悪くさせているように感じます」

 

少女の言葉は意外にも的確で、非常に役に立つものであった。

 

「なるほど………おそらくはチーズケーキの甘みをうまく引き出すために用いた牛乳の量が多すぎたんですね。今度は量を減らしてみます。ご意見ありがとうございます」

 

僕は、改善策をまとめつつ少女にお礼を言った。

 

「ところで、あなた方は生徒会の方ですか?」

「え!? どうして分かったんですか!?」

 

一例をした後にした僕の問いかけに、少女ではなく男子が驚いた様子で聞いてきた。

 

「勘です」

 

愛想のいい笑みを浮かべながら答えるが、本当は銀色の髪の少女と一緒に男子のことも調べて判断したということは言えない。

 

「その生徒会のメンバーは、何人でしょうか?」

「えっと………5人です」

「そうですか………ちょっと待っててくださいね」

 

人数を聞き出した僕はそう告げると、厨房に戻るとフライパンで牛肉を焼く。

お持ち帰り用の使い捨て容器を七個用意すると、それらすべてにご飯を入れていく。

そして先ほど焼いた牛肉を使い捨て容器に入っているご飯の上に盛り付ける。

さらに、レアチーズケーキを取り出して紙製の小さな箱に入れて牛丼と一緒にビニール袋に入れると、別の使い捨て容器に入っているご飯の上に牛肉を盛り付ける。

それを何度も繰り返して、大きな袋の中に七人分の牛丼とチーズケーキの入った袋を入れると、彼女たちの前に差し出す。

 

「あの、これは?」

「これは当店自慢のスペシャル定食のお持ち帰り用です。これを皆様で食べてください」

 

戸惑った様子の栗色の髪の男子の問いかけに、僕は丁寧に答るた

 

「でも、これは頼んでいませんが………」

「あ、それは先ほどのお詫びとご意見のお礼のしるしです。なので、料金は結構です」

 

僕の言葉に、5人は驚いた様子で僕を見てきた。

 

「ですが、それ以外のご注文に関しては料金は支払っていただきますので。こちらがお会計になります」

「あ、はい。えっと………」

 

男子は、受け取った伝票を見ると固まってしまった。

 

「あ、申し遅れました。私、当店ムーントラフトのマスターの、大森 浩介と申します。そして、そこに転がっているのはウェイトレスの西田さんです。今後もどうかご贔屓に」

「咲良シンです」

「夕霧ナナカです」

「ロロット・ローゼンクロイツです」

 

それをよそに名前を名乗ると、固まっていた男子……咲良君とピンク色の髪の少女、夕霧さん。

そして銀色の髪の少女のローゼストイツさんが名前を名乗った。

ちなみに、他の二人はすでに外に出ていた。

 

(ん? 夕霧?)

 

どこかで同じような名前を聞いたような気がしたが、すぐに思い当たらないのであればそれほど重要なことでもないのだろうと判断した僕は、頭の片隅へとそれを追い込むことにした。

 

 

「「「ありがとうございます」」」

「いえいえ、こちらこそ」

 

お土産の入った袋を手にお礼を告げる彼女たちに、僕は笑みを浮かべながら返すと、残った三人はお店から去って行った。

 

「……何とも異色な奴らだな」

 

それを見届けた僕は、ボソッと呟いた。

 

(さて、神楽を起こすか)

 

僕はとりあえず伸びている神楽を起こすことにするのであった。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

ちなみに、それから少し後の流星学園の生徒会室では

 

「お、おいしい!」

「うん、とてもまろやか~」

「わーい、牛丼だ―!!」

 

おいしそうにシンたちが持ってきた牛丼を食べているのは、副会長である金色の髪の少女、名を聖沙・ブリジッタ・クリステレス。

そして、生徒会相談係で青色の髪をしている少女、九浄 リアに、そして魔族のサリーちゃんの三人を見ているシンたちの姿があったとかなかったとか。

そして、このスペシャルランチが、浩介達の運命を大きく変えることになることに、まだ誰も気づいてなかった。

 

 

★ ★ ★ ★ ★ ★

 

 

開店して二日目。

今日も今日とてお客さんは来ないだろうと後ろ向きなことを考えていた僕は、開店数十分でその予想を大幅に裏切られることとなった。

 

「な、なんだか怖いほどお客さんがたくさん来てる!?」

「しかも、来ている人全員レアチーズケーキを頼んでいる?!」

 

お店にお客さんがたくさん来るようになったのだ。

今、お店は完全に満席状態だ。

いくらカモフラージュとはいえ、こっちで体力を消耗して夜に動けなくなるのでは元も子もない。

これがいわゆる嬉しい悲鳴というものなのだろうか?

 

(一体何が起こったというんだ?)

 

僕はこの変わりように、混乱しながらも料理を作っていくのであった。




注:本編で一部の登場人物の名前が間違って書かれていますが、これは仕様(わざと)ですので誤字ではありませんのでご注意ください。
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