ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~   作:TRcrant

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ご無沙汰しております、TRcrantです。

第7話が完成しましたので投稿いたします。
今回は短めですが、意外とシリアスな内容がちょっとだけあったりします。

そしてあとがきでは少しだけヒロインのアンケートに関する重要なお話がありますので、よろしければ目を通していただけると幸いです。



第7話 プリエの新人料理人生誕?!

「皆さんに紹介する人がいます。本日、急きょ来ることになった方です」

「初めまして、大森浩介です。ここでは料理人として、若輩者ではありますが、皆さんのお力になれればと思います。よろしくお願いします」

 

プリエの責任者の言葉に続いて、僕は自己紹介すると、プリエのスタッフの人に一礼する。

すると、静かではあるが拍手の音に包まれる。

時刻は午前10時ごろ、流星学園の理事長でもあるヘレナの指示で、僕はここの料理人として働くことになった。

朝と夜は九条邸で料理をふるまい、昼間は流星学園の食堂で料理をふるまう。

まさに一日中料理を作るような状態だ。

これで調査ができるのだろうかという疑問がある。

 

「それでは、皆さん準備を始めてください」

『はい』

 

学生は授業中。

だからこそ朝礼のようなことができているのだとか。

プリ絵の責任者の指示に従うように、全員がそれぞれの持ち場へと着く。

 

「初めまして。私がここの主任を任されている紅林(くればやし)よ。その若さで料理人というのも少し不安だけど、まあ期待しているわ」

「頑張ります」

 

紅林と名乗った40代半ばのいかにもベテランと思わせる雰囲気をまとう女性の疑いの眼差しを僕は真正面から受け取ると、相づちを打つ。

 

「それじゃ、まずはこれからすぐにこのメニューを全部50個ずつ作ってくれるかしら? そうね、1時間以内に」

「分かりました」

 

僕は、厨房の主任の指示に頷くと、渡されたメニュー表の料理名を確認して調理を始める。

そのメニューはすべてお弁当ものだった。

おそらく休み時間に買いに来る学生たちの為だろう。

ここは購買と連結しており、お弁当などの持ち帰りが可能な料理はすべて購買部で販売することになっているらしい。

それはともかく、効率よく的確に料理を作っていった結果、最初に指示をされた料理が完成したのは、チャイムが鳴った時とほぼ同時だった。

間に合ってよかったと悟るのは、それから数分後のこと。

 

「すみません! カツ弁当を一つ」

「あのー、日替わり弁当を下さい」

 

休み時間になってから数分で殺到する注文の嵐。

そして、凄まじい速度で減って行くお弁当の山。

学園でよく見る風景の一つとして有名な光景を僕は今目の当たりにしている。

 

(まあ、学校なんて行ってなかったからな)

 

生まれてから故郷のために奮闘した僕は、気づいたら一般教養をすべて会得しており、戦闘関係のこともすべてマスターしていた。

なので、学校に通ったこともなければ学友と切磋琢磨したり、このような光景を見たりとすることはなかった。

そんな光景を見て感動するような気分に離れない。

なぜなら、この影響はすべてこっちに来るのだから。

 

(これは、追加を頼まれそうだな)

 

そう、用意していたお弁当が売れていくということは、売り切れるのを防ぐために再び作っていく必要がある。

僕は、即座にお弁当の調理を開始する。

 

「大森さん、お弁当メニュー全品30個ずつ追加! 急いで」

「分かりました。すぐにできます!」

 

予想通り追加の指示が入り、僕は心持調理の速度を上げていく。

とはいえ、火を通すものに関しては短縮させることは無理なので、どうしても時間がかかってしまうわけなのだが。

結局、10分間の休み時間が終わった時には、僕は合計180個のお弁当を作り、そのうち150個すべてが売れるという結果になった。

 

「やるじゃない。助かったわ、大森さん。でも安心するのはまだまだよ。この後のお昼休みの時が一番混むからね。あなたも心しておきなさい」

「わ、分かりました」

 

紅林主任の忠告に、僕は苦笑いを浮かべるしかなかった。

だが、どうやら一定の評価はしてもらえたようなのでそれはそれで良しとしよう。

そのあと、料理の下準備などを済ませて後は軽く日に通せば大丈夫な状態にまで準備を済ませておいたところで、お昼休みを迎えた。

その時点でも、やはりと言ってはあれだが、注文は殺到し、大忙しとなった。

不思議なのはその時の記憶が全く残っていないということだった。

夜、気づいていたら九条邸に戻っていた僕は、すぐさま九条家の料理人としての仕事を果たしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕と神楽は、宛がわれた部屋で今後の事について話し合いをしていた。

 

「それじゃ、あまりの忙しさに疲れ果てて、学園内を見ることができなかったって言うの?」

「まあ、そういう事になるな」

 

今日の成果を聞いた神楽は、何とも言えない様子でため息をつく。

プリエの料理人になったということは、必然的に学園内の敷地をうろつく大義名分ができたということになる。

それだけに神楽の気持ちもわからなくもない。

 

「それって本末転倒でしょ? 私たちは、料理人の修行をするために来たわけじゃないんだよ?」

「返す言葉もない」

 

まさに僕自身の未熟さと甘い考えがもたらした結果なだけに、神楽に言い返す言葉も出なかった。

 

「ねえ、大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。明日からは気合を入れて頑張るから。それに僕も大勢向けの料理を短時間で作ることに慣れていなかったこともあるし」

 

僕は自分に言い聞かせるように神楽に答える。

明日こそは余裕をもって取り掛かる。

そういう決意を胸にして。

だが、気づくと神楽の表情は呆れたものから、不安そうな表情へと変わっていた。

 

「そういうことじゃなくて、浩ちゃんの体調のことだよ」

「それこそまさに大丈夫だ。この通りぴんぴんしているし」

 

僕は体調がいいことを神楽にわからせるべく、右腕で力こぶを作りながら答えた。

そんな僕の言葉に、神楽は『だったらいいんだけど』と不安そうにつぶやく。

 

「浩ちゃんは”あれ”が原因で適応しにくくなってるんだから、本当に気を付けてね」

「分かってるよ」

 

僕はあることがきっかけで、神楽やほかの神や天使と比べて非常に適応しにくい体質らしく、高確率で適応できずに体調を崩すことが多いのだ。

ここにきて、もう二週間以上は過ぎている。

体調のほうには問題がないので、うまく適応できているようだ。

とはいえ、今後どうなるかはわからない。

十分に注意していかなければ、神楽に余計な心配をかけてしまう。

 

「それで、明日の下ごしらえをしなければいけないんだけど、今日はここらへんでお開きでいいか?」

「……いいよ。私たちの本業の方を優先しすぎても、怪しまれれば本末転倒だもんね」

 

神楽からのお許しが出たところで、神楽に部屋の鍵を霊術でかけておくように告げると、僕は部屋を後にして厨房へと向かう。

 

「こんばんは」

「ん?」

 

厨房へと向かっている途中で突然後ろから掛けられた声に、僕は声がした方向を見ると、寝着を着ているヘレナさんの妹であるリアさんが立っていた。

 

「リアお嬢様。こんばんは」

 

僕はただの下っ端料理人だ。

ちゃんと”お嬢様”をつけておくことを忘れない。

尤も心の中ではさん付けだけど。

そんなリアさんはヘレナさんとは違い包容力のあるお姉さんの雰囲気をまとっているように見えて、どこか子供を彷彿とさせるようなオーラを発している不思議な人だ。

だが、そんな彼女の姿がある人物と重なってしまうのは、きっと僕の勘違いっではないはずだ。

もしこの場にあいつがいれば、その人物と間違えて飛びつくほどに。

 

「これからどこに行くんですか?」

「ああ、明日の朝食の下ごしらえをしようと思いまして」

 

リアさんの問いかけに、僕はしっかりと敬語を使いながら丁寧に答えた。

当たり前かもしれないが、神楽はいまだに敬語が苦手だ。

とはいえ、ちょっとずつうまくなっているのでこれならば次第に使いこなすことができるはずだ。

……何となく次元の低い話をしているような気もするが。

 

「あ、そうなんですか。真面目ですね」

「いえいえ、これも仕事なので」

 

そんな僕の心境とは裏腹に、リアさんの心遣いがものすごく僕にとっては癒しになる。

それはきっと彼女の言葉や目によどみがないからだ。

彼女は心で思っていることをそのまま話してくれている。

だから僕にもその気持ちがちゃんと届くのかもしれない。

 

(こういう人に仕えられる人は幸せだろうな)

 

そんな色々な方面で失礼なことを思いながら、僕は自分の職務を成し遂げることにした。

このまま話していたいが、さすがに自分の寝る時間までをも削ることになるのは防ぎたかったのだ。

 

「それでは、失礼」

「あ、待ってください」

 

歩き出そうとした僕を、リアさんが呼び止めた。

 

「ごめんなさい。お姉ちゃんが色々と無理をさせちゃって」

「……いえ、慣れてみればこれはこれで楽しめますから。それと……」

 

僕は、そこまで言うと言葉を区切る。

 

「こう見えて私とあなたとは同い年です。なので、敬語は不要ですよ?」

「えぇ!? 同い年だったの!?」

 

僕の言葉に、驚きを隠せないリアさん。

子供っぽい雰囲気が一気に強くなったので、親密感が増したようにも思えた。

 

(僕は、そんなに老けてるか?)

 

それとは別に、実感してしまった知りたくもない事実に一瞬落ち込みかけたが、顔に出さないように必死に耐えた。

 

「ええ。なので、敬語ではなく普通に話してください」

「……うん、分かったよ。それじゃ、私も浩介君って呼んだ方がいいかな?」

「リアお嬢様のお好きなように」

 

リアさんの言葉に、僕は軽くうなづきながら答えると、リアさんは少しではあるがむっとした表情を浮かべる。

 

(僕何か気に障るようなことを射ったかな?)

 

僕も神楽と同レベルな敬語の使い方をすることがあるので、知らず知らずのうちに相手の不評を買うことがある。

そんな僕の不安をよそに、リアさんは口を開いた。

 

「私のことは、”お嬢様”じゃなくて、リアお姉ちゃんかリアさんって呼んでほしいな」

「………」

 

どうやら呼び方が気に入らなかったようだ。

しかし、リアさんから提示された候補のうち、”お姉ちゃん”のほうが口調が強くなっていたのは気のせいだろう。

 

「それじゃ、リアさんで」

「うん、よろしい♪」

 

なんだかヘレナさんの妹なんだなと思えてしまったようなやり取りだった。

 

「それじゃ、浩介君。おやすみなさい」

「はい、お休みなさい。リアさん」

 

リアさんはそのまま僕とすれ違うようにして歩いて行く。

 

「………ヘレナさんの無茶ぶり、そんな嫌いではないし、彼女のような破天荒な人は、嫌いではない。それに、毎日料理を作れて幸せなんです。だから、ありがとう」

 

リアさんが去って行き、誰もいない通路で僕はそう呟く。

面と向かっては言えない言葉ではあったが、いつか本人にも伝えられればいいなと思いながら、今度こそ僕は下ごしらえをするために、厨房へと向かうのであった。

ちなみに、その日の夜は、睡眠時間を削ることなく眠りにつくことが出来た。




本作では原作のアゼルルートやナナカルートなど様々なルートを参考にしています。

そして、ヒロインも修正前と同じ聖沙ですが、希望(需要)があれば他の人の話も書く予定です。
今のところ、予定ではエミリナとフランスパ……紫央を考えています。
ちなみに、原作では一度もろくな目に合っていない(と思われる)ソルティアなんかも考えていたりしますが、こちらは需要があればということで。

そんなわけでもしこの人の刃案詩を読んでみたいなどがありましたら、どしどし希望案をお寄せいただけると幸いです。
なお、ヒロインの希望を書く場合は、感想以外に書き込むようお願いいたします。
(詳細は活動報告の『ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~ヒロインアンケート』をご覧ください)

まずは、ちゃんと次話を書いていくことが大事なのは言うまでもありませんが(汗)
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