ティンクル☆くるせいだーす~最高神と流星の町~   作:TRcrant

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まさかの連日投稿です。
ただ、内容はスカスカですが、話はちゃんと進んでいます。

なんだか浩介が寝たキャラになっているような気もしなくもありませんが、本編をどうぞ!


第8話 世の中不思議ばかり?

10月26日

 

この日、僕は無性にこう問いかけたくなった。

”なぜこうなった?”と。

 

それは学食でもあるプリエでの朝礼の時に起こった。

勤続二日目ではあるものの、この朝礼は責任者からの連絡事項などで終わるものと思っていた。

 

「本日、こちらで働くことになった方をご紹介します」

 

責任者のその一言までは。

 

「本日、ここのウエイトレスとして働く、西田神楽です。よろしくお願いします」

 

九条邸でマスターしたのか、いつもよりも淑やかな雰囲気を纏って、現れたのは神楽だった。

 

【どうしてお前がここにいる!】

【そんなの知らないわよ。私も、今朝になってヘレナさんにここで働いてほしいって電話で言われたんだから】

 

僕の念話での追及に、神楽が呆れた様子で答えた。

どうやらこれも、あの人の仕業の様だ。

本当に世の中不思議がいっぱいだ。

さて、今日はきらふぇすとやらの学校行事の前日らしくその準備がある人は、速やかに済ませるようにと言うのが責任者の言葉だった。

 

「いい? 放課後も手を抜いてはダメよ。放課後もまた地獄なのだから」

 

それが紅林主任の神楽と僕に告げられた言葉だった。

昨日はその言葉の意味を甘くとらえていたため、非常に痛い目を見ることとなったのは記憶に新しい。

それはともかくとして、昨日と同じように昼のお弁当&昼食ラッシュを切り抜けた僕は、急ピッチで放課後になったら作るように言われたメニューの、下準備を済ましていく。

昼休みの時に大勢来た生徒を裁き切って、疲労困ぱいしている神楽は放課後のラッシュでへとへとになりながらも、目まぐるしく動いていた。

 

【浩ちゃん~、地獄よ……ここは地獄よ~】

【僕が夜に学園内を見に行けない理由が、よく分かっただろう?】

 

神楽の叫びに、僕はそれだけ告げた。

この忙しさは、僕達でさえも初めてでなければ余裕でこなせるが、初めてだとかなりきつい。

こうなることを、一体誰が予想できるであろうか?

 

「すみません、お水下さい」

「ポテトまだですか?」

「はい、ただいま!」

 

お客(学生)から次々にかけられる催促の言葉に、神楽は半ば投げやりに返事をしていた。

その気持ちも分からなくはないが、それだと紅林主任に怒られるぞ?

これはうわさで聞いた話なのだが紅林主任は、とにかく厳しいらしい。

特に、業務態度が悪いウエイトレスには、容赦なく地獄のような鉄槌を下すらしい。

 

「西田さん!!」

 

現に、紅林主任の怒鳴り声が響き渡ったのだから。

見れば紅林主任はメンチをきって神楽のほうに視線を向けていた。

もし視線で人を殺せるのであれば確実に仕留められそうな気がするほどに迫力があった。

まあ、神楽は人じゃないけど。

そのことに気付いたのか、神楽は慌てて逃げ出す。

 

「むぎゅっ!?」

 

だが、あっさりと神楽は主任に捕まると、厨房のほうへと連れていかれる。

 

(それにしても割と全力で逃げている神楽を捕まえるだなんて、あの人は本当に人間なのか?)

そんな失礼なことを考えている間にも神楽はどこかに連行されているのだろう。

 

「ぎにゃあああああああ!!!」

 

やがて、神楽の断末魔が聞こえてきた。

どうやら、噂に聞く鉄槌というのをもろに受けたようだ。

聞えてきた悲鳴は、とても悲痛な物だった。

 

(神楽、今日はお前にとって最悪な日になってしまったな)

 

心の中で軽く神楽に同情をしながら、僕はオーダーされたメニューの料理を作って行く。

 

「大森さん、ちょっとよろしいかしら?」

「あ、はい」

 

そんな中、鉄槌を終えて戻ってきた主任(どこかすっきりとした感じがするのは気のせいだろう)に呼び出された僕は調理中の料理をいったん止めて主任の後について行く。

とはいっても厨房の端の方だったが。

 

「明日キラフェスが行われるのは知ってるわよね」

「はい。存じ上げております」

 

話の内容は差朝礼の時にも話題に上がったきらふぇすに関する物だった。

 

「実はここプリエでも出店をすることになってね。当日はここのメニューを一般の人にも食べてもらえるようにし

たのよ」

 

「ということは、かなり混雑しそうですね」

 

まだ学生だけであれほどバタバタしているのだ。

もしこれに一般の人まで加わったらと思うと、まさに地獄絵図だ。

 

「そういうこと。それで、気を引き締めてほしいのよ」

「分かりました。明日はより一層気を引き締めて職務に取り掛かります。

 

どうやら明日に関しての注意事項のようだった。

まあ、入って三日目で学校行事による混雑をさばくというのは難しいことこの上ない。

主任から忠告されるのも当然のことだった。

 

「これが一つ目。それでこっちが本題なんだけど」

 

どうやら紅林主任の話にはまだ続きがあったようだ。

 

「明日はプリエを一般にも開放するのと同時に、新作メニューを発表しようと思うのよ」

「新作メニュー……ですか?」

 

恒例行事なのかどうかは知らないが、主任の言葉に僕はオウム返しに返事をする。

 

「でも、前日だというのに肝心のメニューができていないから困ってるのよ」

「そ、そうなんですか」

 

適当に相づちを返すが、なんとなく先の展開が読めてきたようにも思えた。

 

「そこで、大森さん。あなた新作メニューを考案してみない?」

 

主任が続けて投げかけてきた言葉に、”あー、やっぱりか”と思うこともできず、僕の頭の中は真っ白になってし

まう。

 

「どうかしら?」

「その……とてもうれしいのですが、こんな大事なことを新入りの僕がしてもいいんですか?」

 

喜びよりも先に来たのは不安だった。

いくら前に料理の基本を教えてもらったとは言え、所詮は素人の趣味レベルの話だ。

そんな僕が、プリエの新作メニューの考案という大役を務められるのかが不安だった。

 

「確かに、普通ならばあり得ない話ね。入ってきて二日目のシェフに、こんなことを頼むだなんて、前代未聞よ」

 

そんな心境の僕の心の声を代弁するように、主任は応じる。

 

「でも、あなたには才能がある。あれだけの混雑した状況に置いて、慌てる訳でもなくゆっくりとしているわけで

 

もない効率的な動き。それでいて味に変化がない正確な調理。それらをとってみても、十分に期待できるのよ」

それは主任から初めてかけられた、称賛の言葉だったかもしれない。

自分にはそんな自覚はない。

でも、ここまで言われてしまったら不安だのなんだのと言っているのは逆に相手の顔に泥を塗る行為にもなる。

 

「分かりました。できる限り考えて見ます」

「ありがとう。期限は今日中。出来上がったら私を呼んでくれるかしら。試食させてもらうから」

 

僕が承諾するのを見た主任は柔らかい笑みを浮かべながら、一通り告げると最後に”頼んだわよ”という応援の言葉を口にして去って行く。

 

僕はその後姿を見ながら、期待に応えられルるような新作メニューを作ると心に決める。

 

(とはいっても、どんな料理がいいんだろうか?)

 

折角新作メニューを考案するのであれば創作系のほうがいい。

だが、僕のレパートリーの中で創作料理はかなり少なく、しかもそれらも材料はここ(人間界)では手に入らない食材ばかりのため、無理があった。

 

(いや、一つだけある。ここでも作れる料理が)

 

そんな僕の脳裏に蘇ったのは昔母親と一緒に作ったものだった。

あの時も母さんはおいしいと言っていたような気がする。

 

(あれならレシピも覚えているし何とかできるかも)

 

新作メニューを決めた僕はすぐさまそれの調理に取り掛かる。

もちろん、本来の業務も忘れない。

通常よりも時間がかかるがそれは致し方がないことだ。

 

「よし。はじめるか」

 

そして、僕の新作メニューの調理が始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お客の流れも一通り落ち着いた頃、僕はあるものを探すべく厨房内を歩いていた。

 

「どうしたの? 浩介さん」

「ああ、神楽か。この辺に、ケーキはなかったか?」

 

探しているちょうどその時、厨房に入ってきた神楽に僕は聞いてみることにした。

僕が探しているのは、新作メニューとして完成した”贅沢イチゴのショートケーキ”だ。

なぜ、それを探しているのか。

それは、約数十分ほど前にさかのぼる

 

 

 

 

 

新作メニューでもある”贅沢イチゴのショートケーキ”とは、いちごをふんだんに使用したいちご好きのためのケーキと言っても過言ではないケーキだ。

しかも甘さ控えめなので、甘いものが苦手な人でも食べることができる逸品となっている。

昔から作り慣れている、いわば十八番料理と言っても過言ではないメニューなだけに失敗は許されない。

お客のオーダーした料理と並行して作っていたため、完成させるのに3時間ほどかかったのは余談だ。

そんなこのケーキを食べて貰おうと、主任を探しに厨房を離れたのは、時間にしてわずか10分だ。

主任を連れて戻った時、10分でケーキはまるで最初から無かったかのように消えていたのだ。

そして今に至る。

 

 

 

 

 

「あー、あのケーキだったら私が食べちゃった」

「…………は?」

 

神楽から返ってきた言葉は僕の予想をはるかに上回るものであった。

 

「いやー、忙しかったから疲れちゃって、景気づけに一口ね。とってもおいしかったな~」

「……ワンホールあったんだけど?」

「食べ始めたら止まらなくなっちゃって~♪」

 

意外なところに犯人はいたようだ。

神楽の言葉を聞いて、僕は怒りに狂うのではなく反対に冷静になっていた。

だが、冷静なはずなのに、体中が熱くなってくるような気がした。

 

「神楽」

「何? 浩ちゃん」

 

何故か巣に戻っている神楽だが、そんな些細なことは僕には気にもならなかった。

 

「……覚悟は、出来ているだろうな?」

「へ?」

 

僕の問いかけに、首を傾げる神楽をしり目に、僕はちょうど右側の代に置かれていた未使用のフライパンを手にすると振り上げた。

 

「その腐りきった性根、一遍叩き直してくれるわ!!」

「え? ちょっとま―「聞く耳持たぬ!!」―きゃあああ!!?」

 

僕の豹変ぶりに驚く神楽目がけて、僕は全力でフライパンを振り下ろす。

だが、神楽はそれを高い身体能力で躱すと、一気に外に向かって駆け出した。

 

「待て! このケーキ泥棒!!」

 

僕は、その後を追いかける。

こうして、僕と神楽の果てしない追いかけっこが幕を開けるのであった。

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