更新が大変遅くなり申し訳ございません。
昨年度は病院なり講義なり試験なりで忙しく執筆出来ませんでした。
また今年度はさらに講義やレポートが増えるため、作者が半ば失踪状態に成り得る可能性があるので大目に見てもらえればなあと思います。
前置きが長くなりましたが、『のんびり艦これ』をこれからも宜しくお願い致します!
昨日はクリスマスイブだった。
カラオケ大会が年末特番ばりの歌合戦になったり、鬼ごっこ大会がいつの間にか高速無双になったり、料理評議会が正妻戦争になったりとカオスさが思い出される。
それがクリスマス当日になると盛況さという名の何かが増していく。
町並みのカップルを見かけては内心では毒づいて虚しかった頃とは対照的に、今の僕は目下逃走せざるを得ない状況に立たされた。
『提督のハート射止めるのです!』という一見楽しそうな電の筆で書かれた題字とは裏腹に当人の目はどこか笑っていなかった。
提督こと僕のスタート地点と艦娘たちのスタート地点は50メートルも離れていなかった。
幸いにも僕のスタート地点は鎮守府のドアの真正面。
僕のスタートの20秒後に総勢123名の艦娘が一斉にスタートし僕を捕まえたら一日デート券が直接支給されるというルール。
因みに僕には特別ルールとして麻酔銃と他のアイテム数個を使用できることになっている。
一見僕の有利に見えるがそのようなことは毛頭ない。
アイテムを携行するだけでスタミナが削られるし、麻酔銃を使えば近くにいることを悟られる。
加えて内通者がいないことで多対一の状況でしかない。
背中に刺さるほどの視線を受けながら、開始の花火と同時に一歩踏み出してドアを開けた。
壁に背をつけ深呼吸をする。悪鬼羅刹が押し寄せるようにも思えるこの多対一の鬼ごっこで数多いうちの行動の選択が命取りになり得る。
今の行動が正しくそうだ。
鬼ごっこで足を止めるのは自殺行為。
しかし、かくれんぼならば...。
軍服に仕込んでおいたステルス迷彩を起動し、壁と同化。
足音をたてる訳には行かないため、仕方なく仁王立ち。
足を開き終わったのと同時に、雪崩れ込んできた艦娘たち。
半々で左右に分かれる彼女たちの顔は明らかに戦闘時の形相。
奇数人数のため必然的に片方の人数が多くなるわけだが、全く予想しない展開となった。
最後尾にあたる集団から大井が転げ出たのだ。
勢いそのまま僕の股間に頭を命中させた。
迷彩は衝撃に弱く、周りから見ればいきなり現れた僕が崩れ落ちている様に見えるだろう。
「つっ…?!」
男性ならではの激痛が脳に痛みの遮断を訴えかける。
意識が飛び、倒れそうになった。
ほんの数瞬、起き上がってない大井が目に入った。
『このまま倒れる訳にはいかない。』
意識を素早くかき集めると同時に、大井を踏まない位置に足を動かし踏みとどまる。
「イタタ…?」
頭をさすりながら起き上がった大井は僕の顔見るなり少し引き気味な表情を見せた。
そこまで酷い顔をしているのかと思いながら、視界は暗くなり何も聞こえなくなった。
目が覚めると滅多に使われない救護室のベッドに僕がいることがぼんやりと分かった。
「ったく、何してんだか!」
イライラしながら貧乏揺すりでもするのかというくらいに落ち着きのない大井が横にいた。
こちらが起きてないと思ってるのか僕の方には視線を向けていない。
「あのさ。それは、こっちのセリフ」
「…ぅうるさいです!」
やはり気づいてなかった。
「心配してくれてありがとう。大丈夫だから。」
「ふんっ」
そっぽをむかれてしまった。
少し視線をずらすと、今にも飛びかかりそうな勢いを堪えているのか溜めているのか判然としない金剛がドア近くでわなわなとしていた。
「大丈夫だから。ステイステイ」
「…はぃ」
尻すぼみな力無い返事と共に金剛は去っていった。
120人の大所帯で一人でも話しかけたことが無い艦娘がいることは避けたい。
上下関係云々の前に人間関係が確立してないのは避けたいからだ。
逆に言うと一人に執心すると他が蔑ろになることもあり得ることで、それも避けたい事象に含まれる。
そういう訳で金剛には今回は退いてもらう。
「じゃあ、行くか」
「…」
救護室から出た僕と大井は執務室の炬燵に入った。
「あ~、手足冷えるなあ」
高校時代から冷え症気味なのが続いているせいか、適温の炬燵が手先だけサウナに入ったようなインパクトを受ける。
「そうですか?」
テーブル部分に頬を付けてだらけた大井が疑問を投げる。
「冷え症だから」
「どれどれ?冷たッ?!」
炬燵の中で僕の手を触った大井は驚いて炬燵を揺らした。
それとほぼ同時に洗牌しておいた麻雀牌がじゃらりと音をたてバラバラになってしまった。
「あらら」
「直しましょう。今すぐ」
「後でやっておくからいいよ」
「駄目です!こういうのは放っておくと悪化するんですから!」
テキパキと片付けていく大井。
手が温まったから手伝おうと思った時には洗牌作業は終わっていた。
ここでふと疑問が一つ。
「ねえ大井」
「何です?」
ゆっくりと炬燵に戻る大井の視線は態勢のせいなのか睨み付けるように見えた。
「誰に対してもそんな感じなの?」
「だらしない人には」
端的に答える大井は少し不機嫌そうだった。
北上についてはどうなのか。
北上曰く大井が北上の出撃の際、支度を手伝ってくれているという。
ルーズな面がある北上に対しては姉妹艦としてどう大井に映っているのか興味が沸いた。
「北上にも?」
大井は顔を伏せた。
「貴方が北上さんをどう思っているか、よく分かりました。では、失礼します。」
早口にそう言った大井は足早に部屋を出ていこうと炬燵から出ようとした。
「待った」
「…チッ」
露骨な舌打ちが乾いた空気に響く。
「北上ってさ、面倒臭がりだろ?針ネズミのような寝癖は気にしないし、戦闘服はずれてることがまあまああるし、スウェットとジャージの不揃いなんて素知らぬ顔だし。そういう面があるから球磨型の姉妹としてはどうなのか聞きたいだけなんだよ。」
「分かってないですね、面倒臭がりだからこそ良いんじゃないんですか」
「だよなあ」
「当たり前じゃない」
口ではつんけんしているけど、根は世話焼きなのは知っている。大井が何気なく後輩の駆逐艦にキチンと生活や戦闘の指導しているのを僕は知っている。
「じゃあさ」
「……」
興奮と憤慨と歓喜と羞恥が同居した顔はどうして複雑なように思えて単純なのだろうと思ってしまうくらいに大井の顔は赤かった。
大井が言っている内容が彼女自身の頭で整理されているのか心配になってきた。
それとは別にちょっとしたクレームまがいのことを聞いておこう。
「北上と出撃すると毎回同じ敵を標的にするのさ?」
「それは…」
大井の顔から赤みが引いていき、真面目に考える顔に変わった。
「たまたまです」
「明らかに北上さーんって叫んでる時があったのに?」
「うっ?!」
実際に雷撃するときに叫んでるのを嫌という程どころか日常風景になりうるくらいにはよく目撃している。
「大井も面倒臭がりだったりして」
「もう良いです」
ばつが悪いのか少しむくれた様子。
「まあ、確実性があるのは分かるけどさ。二人ともキチンと当ててくれるのは知ってるから。今度から二人の先制雷撃で複数体仕留めてくれない?」
「善処します」
むくれた顔は変わらないが、言葉の端からは安堵の音が聞こえる。
説教するつもりはなかったとは言い難い。けれど、やってくれるのならわざわざ怒ることも無いと考え直した。
クリスマスに何てことをしているんだろうと思いながら過ごした昨日を振り返り、やれやれとため息を一つ。
クリスマスと同時に近づいてくる年越しの準備に取り掛かる。
朝早く起き、倉庫兼資材庫に足を運び門松などの正月飾りをしまってある箱を食堂に運ぶ。
「お早う御座います、司令官。」
「おはよう。君も正月の準備かい?」
「駄目ですよ松風さん。司令官様に失礼ですよ。」
「春姉の言う通り。お早う御座います、司令。」
挨拶をした神風と段ボールを持ち上げた松風、妹の言葉遣いを嗜める春風と同意をしながら挨拶してくれた旗風。
「みんなお早う。どうしたんだい?」
「私はここにも慣れてきたから少しは手伝いたいなって思ったの。」
「で、朝からゴソゴソしてた姉貴を追いかけてみたら鳳翔の手伝いをしてたから僕も手伝うことにしたのさ。」
「私も同じです。」
「私もです。」
鴨の行進が思い浮かび、朝からほっこりとした気分になった。
「偉いなあ、よしよし。」
神風の頭に手を置き、撫でる。
ギョッと驚いた神風は顔を赤くし僕の手から逃げた。
しかし、俯きながら「もう一回やって」と言って僕の手首をむんずと掴んで神風自身の頭に僕の手を置いた。
「ご相伴に預かるとしますか。」
そう言った松風は空いた手の方にやってきて、頭を差し出す。
「よしよし」
呆気にとられた春風と旗風も寄ってきて頭を出す。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」
優しく、素早く、優雅に四人の頭を撫でる。
何分経ったか分からない。
ふと入り口の方を見ると、顔を半分だけ出した山風がふくれっ面でこちらを見ていた。
「あたしも、やってた」
ボソリと何かを言った山風は足早にどこかへ行ってしまおうとした。
「ちょっとゴメンね。」
神風たちに軽く謝り、山風を追いかけた。
「山風、ある部屋に行こう」
倉庫からあまり離れていない早朝の司令室前。
「…え?」
立ち止まり振り返った山風の目元は少し赤く腫れていた。
「いいから。」
優しく手を握り、司令室の向かい側の『開かずの間』と木の札が打ち付けてある部屋に山風を連れ込む。
ドアを開けると視界に飛び込んでくるのは暗澹たる光景。
「ひっ…?!」
後ろから聞こえた今にも消え入りそうな悲鳴は山風のものだ。
「おっと、明かり点けるの忘れてた!」
入口すぐのスイッチに手を伸ばす。
蛍光灯が照らし出したのは、木造の小部屋。
机と椅子が2セット向かい合わせに配置されている。
山風に入口近くの席に座る様に促し、僕は入り口から遠い方の椅子に腰かけた。
この部屋は『開かずの間』と銘打っているが、説教・カウンセリング部屋だ。
新米の頃に睡眠妨害をしていた那珂ちゃんのコスチュームを昭和アイドルのような服にしてみたり、古い振付を新しい曲に合わせて踊ってもらったことが思い出される。
「…………。」
「山風は何をしていたのか教えてほしいな。」
笑顔で、柔和な態度で話しかける。
「…………。」
「そっか!お手伝いしてくれたんだね!ありがとう!」
「!」
簡単な話だが、神風たちが褒められていることに山風はむくれていた。
褒められたかったという仮説が容易に出来る。
してもらった仕事には感謝を。
「…………あたし」
「?」
「あたし、頑張った。」
「うんうん。」
「食堂に食べ物、運んだ!」
「よくやった!よしよしよしよしよしよおおおおおおし!」
椅子から立ち、山風を抱き寄せ頭を撫でまくる。
山風を部屋の外に出し部屋の明かりを消す。
「じゃあ。」
「うん!もっと頑張る!」
「無理しない程度にね?」
「じゃあね!パパ!」
「ぶううううううう?!」
衝撃的な一言に吹き出したが、幸いにも山風は気張って手伝いに戻っていたため聞かれていなかった。
クリスマスの食材搬入は重労働なのは通年なのだが、山風が頑張ってくれたおかげで僕の仕事が無くなってしまった。
クリスマスを喜んでいられるものは幼く、苦労するのが上の人間の運命。
頑張った山風は寝てしまったし、大体の艦娘たちも同様に夢の中だ。
「DS、レオパルド、ホテル集合!」
薄暗い食堂に響く小さな招集の声。
それに素早く応じたのが、金剛型4姉妹とビスマルクと大和だった。
「Hey提督、応援来たネー」
「今日は寝てません!」
「通常は就寝時間まで寝ませんよ、お姉さま」
「マイクは必要ないですよね?」
「いやいや、常識的に考えなくても要らないのは明らかでしょ。」
「提督、ホテルと呼ぶのは止めて頂きたいです。」
「みんな静かに。他の人たちは寝ているから。」
ハッとなって口をつぐむ全員。
「よし、これよりツリーの解体・梱包と装飾の撤収と梱包、並びに倉庫への収納を行う」
『はい!』
静かな気迫ある返事と共に作業は順調に行われた。
倉庫に諸々を運び終えたのは日付が変わる30分前だった。
「お疲れ、大和。」
「提督、お疲れ様でした。」
倉庫を閉め背伸びをした。
「さて、風呂入って寝るか。」
「お背中流しましょうか?」
「?!」
「し、しーっ!皆さん寝てますって!」
「あっ…」
しまったと思い慌てて口を塞ぐ。
幸い、外だったため府内の艦娘に聞こえることはなかった。
「大和が先に入って出た後、僕がシャワーだけ浴びるっていうのは?」
「駄目です。」
「参ったなあ…じゃあさ。」
大和にゴニョゴニョと耳打ちした。
「確かに背中は流せますけどぉ…」
「丁度いい妥協点でしょ?」
「ううぅ…」
結局、大和には僕指定のジャージを着た上で裾と袖をまくった状態で一緒に入ることと指示したタイミングで浴室と脱衣所から出ることの二つを条件に一緒に入ることを許可した。
何事もなく緊急イベントが終わったことに安堵した僕は、スウェットに着替えて布団を敷き就寝した。
12月31日、艦娘たちは艦娘たちで提督は提督で思い思いに過ごすのに適した日ではあるのだが………
「提督、一杯付き合って貰えますか?」
練度が99になってかなり経つ加賀が、酒の席に誘ってきた。
食堂へ行く道すがら加賀を見て彼女の若干の変化に気付いた。
サイドテールに結んでいるヘアゴムが変わっている。
まあ、酒を飲みながらそれとなく聞いてみることにしよう。
食堂のスライド式の戸を開けると、カウンター席で飲んだくれている隼鷹や那智や千歳の姿が見える。
テーブル席には年越しそばをすすりながら、カウントダウンを今か今かとうずうずしている駆逐艦や阿武隈をいじる北上とそのやりとりをハンカチの端を嚙み千切らんばかりにしている大井や瑞雲談義をする伊勢と日向と最上型の面々。
カウンター席の一番端、比較的静かな席についた。
流星改と烈風の何が良いのかという議題で盛り上がる空母達は、いつの間にかこちらを見てニヤニヤしていた。
加賀は赤面するどころか同艦種の仲間に向かってサムズアップしていた。
その時の顔は見えなかったが、青葉がいつの間にか写真を撮っていたので後で回収しておこうと思った。
「お母さん、暖かいの二つ。」
「はーい」
加賀にお母さんと呼ばれて注文をとりに出てきたのは女将の鳳翔さんだった。
「温かいのを。」
「はーい」
僕と加賀の二人を見た鳳翔さんは何となくだが嬉しそうだった。
しばらくして熱燗の銚子一本と猪口二つが運ばれてきた。
二人で酌み交わす内に、加賀の顔がほんのりと赤くなってきた。
銚子は合計で7本は空けただろうか。
年を越すまで時間はまだ余りある。
体質的にアルコールには強い僕は理性がしっかりと残っている。
対照的に加賀は僕の右肩に頭を寄せて寝息をたて始めた。
「赤城」
「あっ、はーい」
赤城に頼んで加賀を部屋に運んでもらった。
結局、黙々と酌み交わしていただけで言葉は交わせなかった。
ただ、普段より加賀の感情がよく出ていたことだけは分かった。
夜になるにつれて食堂が賑やかになってきた。
誘った加賀がいない以上、長く食堂に留まるつもりはなかったのだが現主戦力のメンツが集まってしまったため定例会議のようなものが始まってしまった。
そのうち空母に重巡や駆逐や戦艦クラスの副戦力や育成組がわらわらと集まって、結果的にほぼ全員が集まってしまった。
つぶれていたはずの呑兵衛たちも酔いが醒めたのか参加していた。
鳳翔さんも一段落ついたのか割烹着を脱いで、戦闘用の制服である着物を着ていた。
「ええっと…これより反省会を行います。諸々すいませんでした。以上!閉会!もう帰っていいよ。」
「駄目よ。何逃げようとしてんのよ、このクズ!」
「はいはい、霞は明日から育成組ね。」
「感謝なんてしないから。」
「分かった。」
霞のフライングで話が切り出しやすくなったのか、レーベとビスマルクが育成組にしてもらえないかと遠慮がちに聞いてきた。
「ビスマルクは育成組、レーベは霞が終わった後あたり。」
「ユーはダメですか?」
Uボートがすごすごと聞いてきた。
「ユーちゃんはもう少し待っててね。」
脇からひょっこり出てきたユーちゃんの申請をやんわりとうやむやにした。
バシー辺りを周回するときには採用しているが、正直潜水艦を旗艦にすると僕も水中に潜らざるを得なくなってしまうため雷巡の二人に旗艦を頼んでいるのが現状だ。
とは言え、潜水空母がまだいないのも現状なのも確かだ。
来年は伊58や伊19に力を入れてもいいのかもしれない。
「提督、アクィラは?」
「日本空母の戦力が粗方整備出来たら。」
「そんなー」
「提督、私は?」
「コマちゃんは…少し待っててね。」
最近、一部の水上機母艦に大発が積めるようになったため千歳と千代田に注力していたのだったのを思い出した。
コマンダンテストには申し訳ないとは思うが、EVENT海域での戦力不足が否めないため後回しにする他ない。
アクィラに関しては、隼鷹と龍驤がいるため育成面では放置することにしている。
二人とも悪い子じゃないのは確かなのだが、来た時期が悪かった。
ウォースパイトは『やはりそうなるか』といった半ば悟ったような表情を浮かべていた。
外国艦の魅力はあれど、金剛型の戦力に依存してしまっているためウォースパイトの育成も放置していたのだった…。
一度育成組に入れてみて分かったことは前方投影面積が若干少ないことだけだ。
座りながら砲撃というスタイルは見たことがない。
「みなさーん、アイスいりますか~?」
ここでふわっとした声と共に伊良湖がアイスの注文をとりに来た。
みんな思い思いに注文していた。
長門が目をキラキラさせてバニラアイスを3つ注文していたことと秋月と初月がアイスとは何だろうか話していたことが印象に残った。
因みに僕は、キャラメルフレンチトーストのバニラとチョコのアイス乗せを注文した。
時間は年を越す1分前、寝ていたはずの加賀やつぶれかけの呑兵衛たちが気を引き締めた面持ちで立っていた。
僕はクラッカーを手に持ち、お立ち台に上る。
府内にいる艦娘のみんなに視線が台上の僕に注がれる。
食堂の大時計が2018年1月1日を指し示したときに、クラッカーの紐を思いっきり引っ張り新年を祝した。
新年初めての2月頃のEVENT海域は4つ目の海域の姫クラスの敵があと一歩のところで倒しきれず苦汁を舐めさせられた。
ビスマルクは久々の出撃ということで張り切っていたが高レベルの金剛型が苦戦を強いられていることを知り意気消沈していた。
最近では、艤装加速装置《タービン》を積むことによって低速戦艦でも高速戦艦ばりの速力が出せるが、補強増設の切り方に困っていて低速な陸奥の出撃が出来ない。
生活組の駆逐艦たちも秋月や初月、叢雲や雪風といった主力組の面々が中大破して帰ってくるのを見て震えていた。
空母や水上機母艦のメンツも赤城や加賀、翔鶴や瑞鶴といった主力組がボロボロになって帰投している姿が頻繁に目撃されているため、援軍にでている艦隊の士気に影響がでていた。
そういったことがあり、夕立が育成組に配属された。
「第一艦隊、点呼!」
「1!」
「2」
「3」
「4」
「5」
「6」
「青葉!」
「お呼びですね?!お呼びですね?!」
大声で呼ぶと勢いよくドアを開けて青葉が現れた。
生き生きとした顔に、首には愛用のカメラをぶら下げている。服は芋っぽいジャージだが。
「スムーズに編成したいから、艦隊記録頼む」
「はーい。えーっと、霞さん、夕立さん、大鳳さん、翔鶴さん、大和さん、武蔵さんですね?」
「うん、OK。」
今日は、4月某日。
完全に和室と化した司令室にジャージを着た六名と記録係の青葉と軍服の上を引っかけ軍帽を被る僕の計7名がいる。
「それにしても大和型の方を同時に育成組にあげるって大胆ですねえ。それに先日の痛手も回復していないのに新しい正規空母を導入ですか…。」
「ああ、言いたいことは分かる。」
「別に私も育成組にあげて欲しいとか思ってませんよ?スパルタなのはよく聞いた話ですし。」
「誰だい、そんな話広めたの。」
「私です~」
「前も言ったけど、止めなさい。」
「はーい」
「まったくもう。」
先入観を持たれると育成組になった者の士気に関わるから止めて欲しいものだ。
提督業を始めさせられて4年。
割と始めの頃に演習関連で気付いていた事がある。
演習で勝利すると、明らかに戦意が昂っている者が出ることだ。
完全勝利に近い勝ち方をすると旗艦だけでなく、艦隊全員に戦意がみなぎることもあることも気づいた。
戦意が昂っている艦娘は回りから見るとキラキラしていることから諸提督たちからその状態をキラキラと呼び、キラキラを付ける作業をキラ付けと呼んでいることを後で知った。
艦娘たち自身にはハイな状態になっている自覚があることから自信をつけてもらう行動をさせられているという認識になっているようだ。
青葉が先程言ったのはそのことだろう。
相手にとってスパルタなこともあれば、自チームにとってスパルタなこともあるらしいことから僕の育成は「Killer付け」と呼ばれることが度々あった。
相手艦隊が駆逐艦1隻に対し、こちらの艦隊が空母6隻なんてよくあった。
相手の編成はタブレットで表示されているので有利になるように艦隊を組んだり、不利な編成にも関わらずごり押しさせたりと艦娘たちにはたまったものではないことを育成として行っている。
演習用の砲弾はゴム弾と規定されているし、演習上の魚雷はペットボトルロケットを水面すれすれで飛ばすし、演習中の爆撃などはタライを艦載機達が落とすなど痛みを減らした戦闘となっているためそこまで殺人的ではないと思うのだが。
「司令官、どうしました?」
「そこまで厳しいかなあって考えてた。」
「厳しいと思いますよ。今回は教育組が一人、翔鶴さんしかいないじゃないですか。」
「あー…そういう厳しいね?」
「はい、そういう厳しいです。」
なるほど、合点がいった。
秘書官の夕立を残し、第一艦隊のメンツを部屋に待機させた。
「夕立」
「何ですかー?」
ほんわかとした声が伸びる。
「改二になってもよろしくな。」
「ぽいっ!」
元気の良い声が司令室に響いた。
クリスマスから現在までの話をざっくりと書いてみました。
イベント終了後、四月のいつだかは忘れましたが自棄を起こして大鳳レシピ二連続でやったのでボーキが壊滅しました。
結果は二回目で大鳳が出たので、漸く来たか~と思いました。
一、二、五航戦の空母に次ぐ正規空母を長い間使ってみたいと思ってもなかなか来てくれなかったので嬉しい気持ちでいっぱいでした。
まあ、ボーキがピンチなのは今でもあまり変わらないんですけどね。
それはさておき最新話いかがでしたでしょうか?
約半年振りの執筆なので腕が落ちていると思いますが、そこも大目に見て頂けると幸いです。
以上、素人丸屋でした!
表現について聞きたいです。
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難しいと感じる(やさしく書いて)
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今のままでいい(書きたいように書いて)
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簡単すぎる(文学に寄せて)
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キチゲ解放求ム
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対象年齢上げて(タグ増加)