もう少し長くするつもりでしたが約束の時間に間に合わせるため区切りの良い地点で終わらせました。
来月あたりに徐々に書き足していこうと思っていますのでお待ち頂けると幸いです。
次回の投稿は早く出来るようにしますので今後とも『のんびり艦これ』を宜しくお願い致します。
多くの艦娘たちがピリピリしながら敵を殲滅するイベント中のある日の朝。
障子張りの引き戸の向こうから賑やかな声が聞こえてくる。
「次は執務室前ー、執務室前ー。お出口は後方以外となっております。」
「なのです!」
「ハラショー」
電車のアナウンスを想像させる声が聞こえた。
声で六駆なのははっきりと分かった。
それはさておき、出口が後方以外とはどういうことか引き戸をスライドさせ確かめてみる。
結論としては、確かに後方以外は下車は可能ということだった。
なにせ、車は車でも台車であるからだ。
「司令官!乗るのです?」
「この雷に任せなさい!」
「ウラー」
「ちょっと響!やる気出してよ!」
「ヴェールヌイだ」
「まあま、お言葉に甘えますかな」
雷電コンビが後押し、年長者二人が台車を押すという状態だが響、もといヴェールヌイが眠いのか疲れているのかやる気があまりなかった。
ゴロゴロと音をたて動き出す台車。
流れる景色はゆったりと流れていく。
よいしょ、うんしょと頑張る声が後ろから聞こえる度に軽い罪悪感が沸き上がる。
ほどなくして大淀がいる通信室の前に到着した。
「お出口は右側です」
「お足元に注意して降りて欲しいのです!」
暁と電のアナウンスに促され、降りようとしたその時。
「あー!提督じゃーん!」
「姉さん?!すいません提督!…もう、姉さん提督が困っているでしょう?駆逐艦の皆、ごめんね」
「那珂ちゃんだよー!」
川内型の三人が目の前に現れた。
というか、長女がすでに僕に飛び掛かっていた。
慌てて姉を引きはがしにかかる次女。
慣れてしまったのか、悟ったのか自己紹介をし始めるマイペースな三女。
「神通ぅ…ちょっと待ってよう」
「迷惑でしょう姉さん。」
「カタいなあもう。」
胡坐をかいていた僕の膝にしがみついていた川内は渋々と妹の言葉を聞き入れた。
ちぇーといいながら立ち去ろうとした川内が放った何気ない一言が波紋を呼ぶことを僕は直前に勘付いた。
「提督はいつ夜戦してくれるのお?」
凍り付く空気。
空気が動き出した原因は顔を真っ赤にした大淀が勢いよくドアを開けながら「金剛さん以外と夜戦ってどういうことですか?!」と口にしたことだった。
やれやれと困る僕と川内と神通。
ポカンとする那珂、雷電コンビ。
顔を真っ赤にした大淀の誤解を解くため、こうなった経緯を手短に話し始めた。
川内がこの鎮守府に来て数日が経過した頃のことだった。
夜戦だ夜戦と夜にも関わらず騒いでいる川内を静かにさせるために不意をつく形で消音機付きの麻酔銃で眠らせた。
その後、姉を探しにでた神通と出会い眠らせた川内を預けた。
明くる朝、夜に夜戦だと騒ぐのは止めてほしいと言うと川内は首を横に振った。
どうすれば止めるかと聞くと対決してほしいとのことだった。
川内は非武装、僕は麻酔銃にのみを携行することと開始地点は互いに知らないこと、他の艦娘がいないことが条件とされていた。
僕の視界に一回も入らなかった場合川内の勝利、川内を眠らせた場合僕の勝ちというルール。
やれるものならやってみろ、という意思を感じた僕はマガジンを取り出し残弾数を確認した。
弾は十分、コンディションも良好、開始時刻の目印の時計も壊れていなかった。
開始時刻。
府内の静けさは川内の動きを明確に伝えてくれた。
僕は足音を立てず、呼吸を静かに浅くするように階段の付近の壁に張り付いた。
川内はそろりそろりと階段を上ってきてはいたが、僅かに音がでていた。
三階に上ろうとし背中をこちらに向けた川内の頭に発砲し眠らせ勝負は僕の勝ち。
川内は静かに夜を過ごす。
...となるはずだったが、ズルだなんだと言われ再戦し続ける内に、ある時期の夜になると対決が自然とはじまってしまうことになってしまった。
「…で、その時期が近くなってきて催促しているって訳なんだ。」
「だって、負けたくないんだもん。」
「せめて一勝くらいしてから言って欲しいな。」
「勝つまで挑めば負けじゃない!!!」
「やれやれ。で?分かってもらえたかな?」
「無理です(なのです)」
「困ったなあ。」
確かに、変な方向性から始まった会話の理解は不可であろう。
いっそのこともっと変な方向に進めてしまえと思った。
「ちなみに、神通と那珂も一緒に参加しているんだよねえ。」
「提督?!」
「プロデューサー?!」
「言わないでください!」
神通は怒っているのか照れているのかは分からないが顔を真っ赤にしていた。
那珂は得意げな顔をし始めた。
大淀は真っ赤な顔を手で押さえ、下を向いてわなわなと震えていた。
「最低です!」
「待った、勘違いしてる。」
走り始めそうな大淀の手を僕はなんとか掴み、目線を同じにするために台車から離れ、立った。
「一緒に冷静に考えてみよう。まず、夜戦だとTPOを弁えずはしゃぐ川内がいます。」
「…ええ。」
呼吸を整え始めた大淀の目は疑いと軽い蔑みの念を孕んだものだった。
初めてのことだったのでドキッとした。
勿論、後悔と恐怖の心臓の鼓動の高鳴りなのだが...。
深海棲艦に対する艦娘の目が丁度このような感じなのだろうかと思案したが、それどころじゃないと思い説得を続ける。
「当然、誰も寝付ける訳がないでしょ?」
「…はい」
思考のパズルをし始めたのであろう大淀の顔は赤みが引いていき普段の顔色と変わらない色となった。
「で、静かにしようとしない川内をどうにかこうにか静かにさせていたら…。何故かある日になったら模擬戦闘を始めるって謎習慣が出来ちゃったの。」
「やっぱり分かりません」
真顔で大淀は審議を拒否。
内心泣きたいところではあるがここで折れたら色欲に刈られたハラスメントの化身として扱われてしまうと過去の自分からの警鐘が鳴り響いた。
「もっとシンプルに考えよう。僕は川内を静かにさせるために毎回麻酔銃で川内を眠らせてるだけで、その後は何もしてない。川内は神通か那珂ちゃんに任せてる。ノータッチだから、全くのノータッチだから。」
言葉が大分多くなってきたのを自覚する。
言い訳がましく聞こえてないだろうか。
そんなことを心配して大淀を見ると得心したかのような面持ちとなっていたためホッとする。
「とりあえず、変なことはしていないから。OK?」
「分かりました。OKです。」
普段の落ち着いた雰囲気が大淀に戻り、通信室に戻った彼女を見送る。
「誤解だからね?今説明した通りだから」
第六駆逐隊にも同じように説明するのは流石に骨が折れる。大淀との会話を聞いてるためそれはしなくても済みそうだ。
「分かってるわ。司令は金剛さんのだもんね!」
「そうなのです。」
「むぅ~!」
「ハラショー」
赤面しながらワタワタとしている暁。誤解が解けてないのか危惧する。
長女に反して冷静に同意する電。
むくれる雷。
末っ子と同様に同意するヴェールヌイ。
台車を押して倉庫に行くように促し第六駆逐隊を帰らせる。
「川内型は後で反省会。」
「なんで~?!」
「うぅ…」
「夜戦?!」
通常運行だなあとやや放心しつつも執務室の向かい側の『開かずの間』に三人を入れ、夜の模擬戦闘を改めて僕と川内型のみの秘密にし二度と口外しないように厳重注意をした。
尤も川内は反省していないのかすぐに夜戦と言い始めた。
僕と神通は苦笑しながらアイコンタクトを交わし互いに頑張ろうと鼓舞した。
府内のピリピリした空気が全く無くなった頃。
言い換えれば、イベント海域が消え殺気だったオーラが全員から消えた頃なのだが、健闘を称えるのと同時に自分の未熟さを慰めるための慰安会として焼き肉パーティーを開くことにした。
勿論、上に立っているという自覚は持たねばならないため慰安会ということは話していない。
付き合いの長い艦娘にはバレていそうだが…。
「提督ぅ、何かしようとしてる?」
「分かる?」
案の定金剛にはバレた。
「戦闘服は着てきちゃダメだぞ。火の粉で穴が開くからね」
「ほうほう、つまり炭火で…あっ」
「焼肉ですか提督?!」
金剛の視線の変化に気づくのとほぼ同時に背後から聞こえる大食漢ならぬ大食艦の声。
僕の受け持つ鎮守府の古参にして主力空母の赤城と加賀が目を輝かせて駆け寄ってきた。
「流石に気分が高揚します。」
加賀は赤城の顔を見ながら喜んでいた。
赤城はそんな加賀を見て嬉しさがこみ上げたのかニコニコとしていた。
彼女らが通りがかってきたのは果たして偶然なのか、それを考えるより先に空母と戦艦、間宮と伊良湖達に声をかけ機材を倉庫から引っ張り出すのを手伝ってもらって必要な食料を業者に注文した。
公務という名目、それも先方の政府は無理やり職に就かせているため食料の領収書はあてつけで政府に宛てた。
焼肉では牛のハラミが大好きな投稿者です。
ある焼肉店の牛タンで作られているハンバーグも大好きです。
食べ放題では白米を掻き込むよりか肉を食べ続けたほうがモトがとれると思います。
そんなこんなで次回(もしくはこの回)は焼肉回です。
表現について聞きたいです。
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難しいと感じる(やさしく書いて)
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