仕切り直します。
どうも、執筆者の海原です。
最近、新型何某やら首相が変わっただの、”大変”の一言で済ますにはあんまりな状況ですね。(余談ですが、筆者はまだ罹患してはいません。)
流行り廃れが激しい界隈の末端の末端、その更に末端の一抹の書き手として創作活動をしていますが、そろそろ別のものを書いた方が……なんてことも考えてはみることは少なくないです。(新規イベント始まっているのは知ってますが、丙で走る時間があるか怪しい感じです。Boxにルーレットに大忙しです。忙しくなさそうだから書け?すんません、努力します。)
書きたいものを書く。続き物も書く。両方やらなきゃならないのが物書きの辛いトコだな。
さて、今回の話は手垢が付きまくったコテコテの話、いわゆるテンプレみたいな感じとなっています。ただ、書き終わって読み直したら人を選ぶなあ…というか初期案でだいぶイってるかもしれないという話です。
早い話が、タイトル通りの話というわけです。
ここまでの長文失礼しました。.
それでは抜錨!!!
硬い。
視界が真っ暗だ。
手のひらをついて立ち上がろうとした。
それと同時に覚醒を急ぐ。
頬を叩くことで強制的に覚醒。
視界には穏やかな夕陽が差し込む廊下が収められていた。
いたのだが……。
下に目を向けると、倒れた艦娘が両手どころか両足を使っても数えきれないほどいた。
うちに所属している艦娘の半数以上は倒れていると思われる。しかも、何かに悶えたのか痙攣してる職員までいる。
艦娘同士同期してるのか分からないが痙攣が伝播してるようにも見えるが気のせいだと思いたい。
問題解決には考えるのが大事なのだが、起きたばかりでこの状況は至極困る。というか、考えようと思った意思を褒めて欲しいレベルだ。
痙攣同期職員の中から茶色か桃色の髪の子を探す。
大体、金剛か明石が原因だ。たまに加賀と赤城も。
二人を探そうと周囲を見回すと、僕が倒れていた場所の丁度後ろに金剛が倒れていた。
「おーい、金剛。」
「戻っちゃいましたカー…」
落胆したような言葉を紡いだ彼女は安らかな顔で気絶した。
「えぇ……」
状況と発言と表情に若干引いた。
「切り替えは大事だ。」
思ったことをそのまま口に出す。
レスポンスはない。
無いだろうから口にした。
異常者の思考じゃないかと理性のストッパー。
どうも混乱しているようだ。
金剛の次は明石だ。大概の騒動の原因は彼女だ。決めつけるのは主義に反するが是非もなし。
僕が倒れていた後方側の廊下と曲がり角を歩いて探してはみたがいなかった。
なら、その反対側はどうだと探してみるとこれまたいない。
しょうがないので向かい側の廊下まで足を延ばすとまたまたいない。
歩いている最中に分かったのだがここは二階らしい。
上下の階へ行き来できる階段がある階層は二階だけだからだ。
大分朦朧とした思考回路だと自嘲しつつ捜索を続行。
頭がすっきりしかけてきたのと同時に明石を発見した。
一階の自分のラボ近くで転がってたからある意味具合がいいというかなんというか…。
金剛やその近辺にいた職員同様に痙攣して倒れていた。
違うのはこちらの呼び掛けに反応がないこととスマホを手に倒れていたことだ。
今はともかく情報が欲しい。あまりにも気は進まないが明石の端末を拝借しディスプレイのロック画面を点灯させる。
なんというべきなんだろうか。誰とも分からないのだが既視感のある幼児の写真が待受画面に設定されていた。驚いたというのもそうだがこのパラレル世界の定義への矛盾ではという懐疑心も出てくる。
明石の手にそっとスマホを戻し現場を後にする。
関係ない話ではないのだが、夕張のスマホにも角度が違うが同じような写真が待受画面に設定されていた。
何?ブームなの?ベビーブームなの?一匹の種馬なの?付けた覚えは御座いませんッッッ!
よたよた、ゆらゆら、ふらふら。
そんな擬音が似合うほど揺らめく人影が見えた。
頭部に浮かぶヘッドセットらしきものと水色の髪で前に結ばれた二つのお下げが冬季の兎を思わせる艦娘、長ったらしく意味が分からなくなるが要するに初期艦こと叢雲がこちらを見据えながら接近していた。
その目は虚ろというかピントが合ってないというか心ここに在らずと言った具合だ
僕の姿を目に写した叢雲は、糸が切れたように倒れこんだ。
とっさに抱き止めた僕は、意識を手離そうとした叢雲の文言を聞いた。
「あんた……、か…。」
「叢雲さん?事情聞かせて?」
こちらの問いは虚しく廊下に響いた。
彼女からは情報は得られずじまい。
______本当に?
面倒くさい観察眼が理性に問いかける。例えて言うならTRPGで目星90振ってるレベルの。ファンブル?知らんな。
叢雲の口は『か』を発音したあと口を閉じて『あ』行の発音をしようとしたところで気絶した。
多分その情報が理性の求めた答えだ。
興が乗った、というのはおかしいのだが苦境を楽しむようにしている僕はこの状況をある種のゲームとして遊んでいる感覚になりつつあった。
しかも面白いまでに情報が集まらない。ここまで来たならもう遊び倒す他あるまいて。ハイ、自棄っぱちです。
金剛と明石というムードかトラブルの発生源からは妙な情報。
叢雲も妙と言えば妙なのだが、長い付き合いからか直感が告げている。水色の髪の君は真実を語ろうとしていたことを。
あごに手を当て考えを巡らせようとしたその時。
ウチに所属している神風型の面々と第六駆逐隊と鳳翔が極楽にいるのではないかと思えてしまうような安らいだ表情で倒れているのを視界の端で発見した。
「うぅ……。」
呻き声。
紺色に近い髪のレディ候補が声を出した。
「ジェントルマン……。」
???
寝言というかうわ言というか分からないのだが、暁はそれだけ。
淑女が口癖の彼女が正反対の言葉を口にするのは違和感がある。
「……ら。」
響が何か呟きながらむくりと起き上がった。
「扉が……。」
「響?どういうことなのかおし___」
「新たな扉がッッッ!」
遥か先を見据えながら咆哮した響は、倒れた。
「えぇ……」
突拍子の無さでは金剛や明石と同等以上の響だが、先程まで開かれていた双眸に宿る熱は本物だった。新たな性癖を得た人と同じ目だ。
端的に換言すれば、とても刺激的なモノを見たらしいということだ。
ちなむとこではないのだが、この鎮守府で一番突拍子が無いのは艦娘側の満場一致で僕らしい。酷い話だよ。
「もう、私たちがお世話する必要はないのね……」
落胆、安堵、失意、慈愛を含んだ言の葉を口にしたのは雷だった。
「雷、この状況を説明出来る?」
「そのままよ……、鍵は司令……。」
悲しそうな顔をして気絶した雷。
電は天に召されたかのような様子で、姉たちに倣って何かしらのアクションを起こすことは無かった。
「司令。」
凛とした声が正面から。
「お世話は?」
こっちもか。
「せつ__」
絞り出した質問だったのか力尽きてしまった鳳翔。何故、みんな事切れたかのように気絶していくのか訳が分からない。
正気度ロールが入る光景ではなかろうか。
落ち着け。
既に錯乱してる自分に渇を入れ、自室に戻る。
「シンキングタイムスタート。」
冬場の寒気で冷えきった部屋を暖房を付けて暖めながら、羽毛布団を体に巻いて思考の整理を開始。
まずは、事実の確認。
探索中に意識がはっきりとした艦娘は見かけてない。全員何かしら言っては気絶していた。というか、半数という目算は全くの見当違いで全員が気絶していた。そうでないと府内の異様なまでの静かさは説明がつかない。
次に情報の整理。
金剛が言うには『戻ってしまった』。
明石のスマホには『謎の既視感がある幼児の写真』。
叢雲が絞り出した『アンタ、か』。
暁の異様な『ジェントルマン』。
響の『新たな扉』。
雷と鳳翔の『鍵は僕。そして、世話の終わり』。
羅列した情報が指し示すものは……意味不明。
何だこの情報は。
……って、自分の足で集めた情報に呆れてどうする。
推理に移行する。
便利な略語がある。「5W1H」だ。
その中の『何』が起きたのかを推理していこう。
雷曰く、鍵は司令官こと僕らしい。
世話を必要とする僕ってなんだ?
老人か赤ん坊でもない限り世話なんて…………。赤ん坊?
明石の撮った写真が何故か小さくなった僕自身とするなら、このパラレルワールドの原理には抵触しないし、既視感があるのも金剛の戻ってしまったという発言も頷ける。幼児の世話をしていた鳳翔と第六駆逐隊が影響をモロに受けていたことも合点がいく。
となると、叢雲の謎の言葉は『アンタ、可愛かったのね。』という文言ではないかと予想出来る。
両親曰く、小さい頃の僕は誰からもちやほやされるほど可愛かったという。
ということは、実行犯は僕だった?!
……って、待て待て。
仮に小さくなったとして、その装置か薬を作った元凶がいるはず。
となると犯人はヤツだ。
確かな足取りで犯人の元へ向かう。
先程見かけた時とは異なる階層、異なる場所でヤツは擬態していた。
薄目を開け始めた明石と目が合う。
ビクリと震えたかと思うと倒れたフリ。
先程までスマホをいじっていたのか利き手にがっちりホールド。
さて、審判の時だ。
僕は、彼女の頭をむんずと掴むわけでも、スマホを踏み潰すでも、物理的に寝耳に水を実行するでもなく、たった一言耳元でささやいた。
「ニチャァ。」
「ぶふっっっ!?」
最近、この語句がツボにハマったらしいことは夕張から聞いていたのだが効果てきめんだった。
「洗いざらい話してくれる?」
「ハイ……。」
「薬系の開発はしばらくやめて?」
事の真相を聞いた僕は明石にそう言った。
真実はこうだ。
男性に効くだろうと思われる惚れ薬のような薬品を承諾を得た僕に飲ませたところ何故かは分からないが極度に若返る薬だったこと。その後、先ほどの推理通り赤ん坊にまで若返った僕が軒並みの職員を悶えさせたとのこと。
「ちなみに、私は中学生くらいの尖った司令が性癖に刺さって昏倒しました。」
「人のことは言えないけど、随分な性癖だね?!……って、そうじゃなくて、そんなことちなまなくていいから、マジで。」
「ええー。」
何故ブーイングを受けねばならないのか、コレガワカラナイ。
「嫌われ薬を作れば、イケオジ生産が可能に……?」
「やめなさい。」
僕の管轄の職員は反省のネジを外してあるのだろうか?
真剣に仮説を立てつつある明石に、呆れる僕の二人を沈みかけた夕陽は静謐に照らした。
全くの余談なのだが、明石の研究室にフラリと立ち寄るとあの惚れ薬がどうとかこうとか言っている職員が毎度の如く数人はいるようになってしまった。これは、果たして僕が悪いのだろうか?
はい、こんな感じです。
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プラスに傾いていたら、年末イベント(クリスマス+年越し)と年始イベント(正月)ののんびり回の話が間に合うかもしれないです。
前書きと違って、作者はサイレンスに去るぜ。
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