のんびり艦これ   作:海原翻車魚

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 最新話を追いかけている方はお疲れ様です。
 ここまで読み進めてくださった方もお疲れ様です。
 筆者の海原です。
 今回はちょっと意地悪をしました。
 描写が更に過激になったとかではなく、本編とSSの同時投稿です。
 こちらはSSなので、最新話として投稿されます。
 以前別のサイトで片手間に書いていたもののリバイバルのような話です。

 もう一本は、『ひとくちのんかん』の章の外にある本編の方の最新話をお探しください。
 この話は『小春日和に吹く一陣の風』です。
 ゆるるとはっしんごー。


ひとくちのんかん~13~

 『ボヤ騒ぎ』という単語はご存じだろうか?

 小火と書いてボヤと読む通り、火事にならなかった出火のことを指す。

 

 僕も最初はボヤで済ませるつもりだった。

 語弊があるため弁明させてほしい。

 下火で終わらせるつもりだった。……何か変わった?

 仕切り直し。

 鎮守府での月一のイベントとして一回だけで終わらせるつもりだった。

 

 

 事は僕の鎮守府が掘っ立て小屋から進化してボロアパートレベルの家屋になった頃の話だ。隼鷹が入ってきた頃でもある。

 当初の僕は自己紹介が慣れはじめてきたと同時に格式張ってるせいでちょっと飽きてきたのを相談せずに抱え込んでいた。

所属と管制名を名乗り合うのが飽きたとも言える。

 かといってアイスブレイクのための機会を設けて府内全員と新入りを対面させて圧をかけたいわけでもない。

 ただ、この鎮守府がどういう所かを知ってほしい……その一心だった。

 この時はまだ艦娘は同僚であるという認識であり、クローン人間であることは薄々程度にしか勘づいてなかった頃合いだ。

 なので、今の僕からすれば『提督だからヨロ』のように簡潔に済ませようとも当時の僕では思いもつかなかった。

 閑話休題。

 当時の僕は能動的な動きをしながら受動的に情報を渡そうとしていた。つまるところ、聞いてほしい事項を放送によって聞いてもらおうとしたのだ。

 夕食が終わった頃合いに大淀のサポートを受けながら館内放送を流した。

 「あー、あー、テステス。感度は?音量は?」

 『OK』のカンペが大淀から出た。

 「月一のイベントはこの放送になりました。悪しからず。」

 『ぶーぶー』

 「はい、大淀からブーイングが入りました。そんなところで『鎮守府らじお』、最初で最後の放送です。」

 何も設備がないため気のきいたアイキャッチならぬイヤーキャッチの効果音すら出ない。数拍置くしかないね。

 「さて、このラジオでは新しく入った子には予習を、ここにいた子には復習をしてもらうラジオです。身構えなくても勉強の話ではありませんよ。」

 『わら』のカンペ、てきとーか?

 「えー、マイク越しの皆さんの顔が浮かんできました。さて、当柱島鎮守府では戦線の前進をゆるりと行うことが基本方針です。」先日不幸があったことはふせる。

 「本放送の主目的は以上になります。続いては、副目的の方を。」

 『?』カンペと表情と態度が疑問を示していた。

 「こんなふざけた戦線はさっさと切り上げて、皆でご飯を食べて笑って眠ることの出来る……そんな世界にするために協力してほしい。以上!」

 どうにかこうにか区切って放送終了のボタンを押す。

 放送後の静寂に一人だけの拍手がまばらに響く。

 「ありがとう。」

 『いえいえ』

 「放送終わってるから喋って大丈夫だよ。」

 「そうでした。」

 こうして、終わったたった一回のイベント。

 

 

 

 そのはずだったのだ。

 所帯を大きくすればするほど、話したことのない職員が増えてしまい、話したことがある職員からは再放送を勧められる。

 さらには、『限定配信をしてほしい』とか『はがきを読んでほしい』とか『ゲストを呼んでほしい』とか『ゲストとして呼んでほしい』なんて要望が執務室にポイポイ置かれるようになってきた。

 職員の声を無下にしたくない僕はずるずると放送を続けてしまっていた。

 

 そして、今。

 放送開始十秒前にポップでアップテンポな曲がかかる。

 3……2……1…………

 「鎮守府らじお第108回目、放送のお時間です。毎度ひいきにしていただいている本ラジオ、終わる終わると言いながらだらだらと続いています。皆さんは目標とゴールは決めてから物事に取り組みましょう。」

 わざとらしい笑い声のサウンドが差し込まれる。初回では業務連絡用の手狭な放送室だった。それが今や機材が素人目に見ても良いものをふんだんに使っていると思うクラスになっている。スタッフには明石と大淀。彼女たちは壁越しではなくMCの僕の向かい側に座っており、僕の隣にはゲストが一人から複数人座る形式となっている。だから、誰かが笑えばその声が入るのもある意味見所だ。

 「さて、本番組ではわたくし、丸がどのような目的でこの鎮守府を運営しているのか……どのような雰囲気にしたいのか……それをお送りするものとなっております。また、皆さんの声を聞くためはがきやメッセージを募集しています!どんどん送ってきてください!」

 落ち着いたBGMが大淀によって差し込まれる。

 この間に、次のコーナーで読み上げるはがきやメッセージの書かれた紙が明石によって渡される。

 BGMが明けた。

 「まず、最初のコーナー。『柱島鎮守府の声』!……あー、忘れてました。本日のゲストは金剛さんにお越し頂きました。」

 「妻です。」

 「夫です。」

 「惚気てないで進んでください。」

 『はーい!』

 「ぶっ!」

 「明石も吹き出さないで!」

 「ツッコミとボケがハッキリしてきましたね。さて、改めまして『柱島鎮守府の声』!」

 「最初のletterをお送りするネー。『司令官の育成の方針がよく分かりません。説明してほしいです。Mリバースより。』Hey提督ぅ」

 「育成の方針……てきとー」

 『ダメです。』

 「はい、説明します。リスクヘッジのため高い錬度の艦娘を3から4名と育成するための艦娘を2から3名の編成を主に採用してます。本鎮守府運営当初の事件を二度と起こさないためです。……なお、育成する艦娘の選考基準は僕の趣味が1割、今後の改修に期待が持てる可能性の考慮が9割です。」

 「早い話、戦力増強目的ですネー。」

 「可愛げなくないです?」

 「明石、そういうのいいから。」

 「ソウダソウダー。」

 話がオちた。

 「次のお便りネー。『貴方の奥方が怖くてたまりません。私から見ればチーターやピューマに見えます。対処法を教えてください。焼き鳥より。』……一航戦のどっち?」

 「はーい、特定しないの。こっちから見れば金剛は可愛い子猫ちゃんに見えるけど……怖い?」

 「その話は別の枠にしましょう。」

 「惚気話……というか大分エグい話になりそうな気配がしますね?」

 「いや、普段から子猫って感じ。……質問に答えるのなら、怒らない人を怒らせる人に原因がありそうだから、そういう行動は控えた方が良いと思います。」

 「ちなみに提督は自分のことをどんな動物だと考えます?」

 「………………うぅぅん……」

 ちょっとマジで考え込んでしまう。

 「ハムスターかな?」

 「Excuse me.私からしたら荒ぶるゴリラネー。」

 「ひっど」

 「この話は高い錬度に至った艦娘が視聴できる枠にて!」

 ちょっとBGMがはさまって、明けた。

 「さて、メッセージが届いています。『お慕い申しております。サウ長屋より』……金剛に読ませなくて良かったよ。」

 「聞いているならOUTだと思うネー。」

 「大胆な告白ありがとう。でも、その願いは叶えてあげられそうにない。ごめんなさい。」

 「では、次のメッセージに行くネー。『食堂で一人用席の導入ありがとうございます。ダイワより』」

 「アレ、始めは僕だけが使うつもりだったんだけど駆逐艦がカッコいいって言い始めたから席を増やしたんだ。」

 「私もよく使ってます。」

 「私も。」

 「スタッフの方々にもご好評でした。」

 「次のメッセージです。『私はご飯担当なのでしょうか?鳳翔より』……いつもご飯を作ってくださってありがとうございます。そのうち遠征をお願いしますのでお待ちいただければ幸いです。」

 「ごめんなさい鳳翔さん。」

 「丸さん、次のメッセージに行く前に追加のメッセージです。『一緒にご飯を作りましょう。』」

 「はい、喜んで。……ところで、そのメッセージって裏に書いてあった?」

 「ええ。」

 「本ラジオでは、変わった趣向も大歓迎です。ただ、ブラックライトに当てないと見えないメッセージや火で炙らないと浮き上がらないメッセージはご遠慮ください。」

 少しだけ全員の笑い声が入る。

 「さて、次のはがきで最初のコーナーはお開きになります。では、読み上げます。『煩悩の数は108個あるということを先日知りました。除夜の鐘もそれと同じ回数撞くそうですね。それにちなんだ質問なのですが、丸さんの主砲はどのようなモノなのでしょうか?By牛缶娘』…………えぇ、シンキングタイムは要りません。私の主武装はレーザーポインターに変わりました。」

 「ぶっ?!」

 明石が吹き出した。

 「その話は高い錬度を持つ方たち向けの枠にて!」

 「大淀さん?話すとは」

 言ってないと否定しきる前にBGMを差し込まれてしまった。

 『次いきましょう。』のカンペ。

 渋々受諾して、次のコーナーの準備にかかる。

 明石が次のコーナーのタイトルを読み上げる。

 「次のコーナーは、『大喜利』でっす!皆さんから送られたお題で私たちが答えていくコーナーです。さて、最初のお題は……『こんな憲兵は嫌だ。』」

 「じゃあ私から行くネー。『金平糖だった』。」

 「語感でいったね。好きだよ。」

 「金平で切れれば良かったんですけど、字だけ見たらキンピラなんですよね。」

 「お弁当に付いていると嬉しいです。」

 僕が肯定、明石がつないで、大淀がオとした。

 「じゃあ、ぼ」

 「いえ、次は私が。」

 立候補しかけたら大淀が立候補。

 「大淀お願い。」

 「『石の刃を持つ木製の槍で取り締まろうとしてくる。』」

 『原始人?!』

 ちょっとベクトルが飛んでいた。

 「では、私も行きます。」

 「はい、明石くん。」

 「『憲兵が自分の両手に手錠をかけている。』」

 「うっかりさんめ!」

 「ポンコツじゃないです?」

 「多分標識につながれてるネー。」

 「そんなの見たら笑います!」

 「じゃあ最後に僕だね。『買収出来る』」

 「シンプルで強いネー。」

 「こうなるから最後に回したいんですよねー。」

 「二番目のレスが優勝するスレみたいですね。」

 「えー」

 パラリと紙をめくる。

 「続いてのお題、『遠征先のお土産が何か変、なぜ?』」

 「つ」

 いの一番に行こうとしたら金剛に止められてしまった。

 「『異物混入していた』」

 「発売禁止でーす」

 『それはそうです。』

 「『産地を偽装していた。』

 『同じでーす。』

 「『ドラム缶の底にこびりついていた。』」

 「確かに嫌だ。」

 金剛、大淀、明石ときた……ようやくである。

 「「包装に遠征先ではない所のアンテナショップと記載されている。』」

 『絶妙に嫌。』

 「前から思ってましたけど、生々しいラインを突きますよね?」

 「えー」

 「『えー』ではなく……」

 「それじゃあ、次のお題。『入渠出来ない鎮守府、どうして?』」

 「私から、『施設が壊れてた。』」

 「Hey大淀。普通ね~?」

 違和感がある話し方に聞こえたが気のせいか?

 「私も行くネー。『誰かの砲塔が置いてある。』」

 「ダレダロウナー」

 「では、明石……行きます!『入渠する前に除隊させられる。』」

 「ブラックもブラックじゃんか。明石が優勝で良くない?」

 「提督もいきましょう。」

 「はいはい、『帰ってきたら高速修復剤を直にぶっかけられる。』」

 「明石とは別の意味で強いやつが来ましたね。」

 「勢いが強いだけ。」

 「艦娘に対する当たりも強いネー。」

 「僕の求める強さではない。」

 『求められたら困ります。』

 「ご唱和どうも。」

 ある程度のお題を消化したため、大淀に区切るようにジェスチャー。

 BGMがかかり、しばらくして明けた。

 「ここで今月のイベントの告知です。年始開催だった即売会は延長され開催時期が未定でした。今月、もしくは来月の末に開催することを宣言します。時間ギリギリの滑り込み入稿はご遠慮ください。ラジオで荒れてる明石が登場します。」

 明石が渋々わざとらしい笑い声のエフェクトを入れる。

 「冗談はともかく、冒頭に言った通り計画性をもって行動しましょう。次の告知です。以前のカレーは据え置きのまま新しくメニューに加わったカレー『里』、好評につきトッピングの種類を追加します。」

 「シェフの気まぐれカレーも良いと思います。」

 「……鳳翔さん、思ったよりも早くご一緒出来そうです。」

 先ほどの返事の続きをここですることになった。

 そういえば、初月の改装って政府から通達されてたな……。

 考え始めた僕を見て全員が押し黙る。両手の平を合わせた感謝と謝罪のジェスチャーを挟み告知を図る。

 「ここで、真面目なお知らせを。政府よりとある艦娘の後期型改装の設計図が発表されました。近々、近代化改修を施したいと思います。」

 「まあ、伸びてきた身長とかに合わせたおべべに合った服と艤装に切り替えるだけなんですけどね。」

 発言した明石以外の全員が『おべべ』について疑問符を浮かべる。

 「なので、その艦娘はいつも通り執務室に来てください。」

 オッドアイを誤魔化す赤城然り、こっそり改二にイメチェンする武蔵然りである。許可は建前になりつつあるな?!

 「……さて、お送りしてきました鎮守府らじお…全員向けの部は終了のお時間となります。」

 お開きの合図。

 「本放送内でも言いましたが、錬度が高くなってきた艦娘に向けた放送がありますが、そちらは招待制となっております。その放送ではここで後回しにした内容やこの枠で口にするのはためらわれるようなことをガンガン話しています。ただ、興味があるからと言って編成に組み込んで欲しいとおねだりするのはご遠慮ください。」

 「では皆さん、来週のこの時間にお会いしましょう。」

 「SEE YA!」

 「ここまでは大淀と……」

 「明石と!」

 「金剛と~!」

 「司令官がお送りしました。それでは次の放送でお会いしましょう。」

 ワルツのようなノクターンのような落ち着く音色が館内を染める。5分くらい流れた後に曲はフェードアウトしていった。

 完全に放送が切れたことをクワトロチェック。

 『お疲れ様でした。』

 「お疲れ様。」

 「やっぱり思うんですけど、司令官は上官なので『ご苦労様』でも良いんじゃないかと思いますけど?」

 「あくまでボスじゃなくてリーダーのつもりだからね。上から言うよりもついてきて欲しいんだ。」

 「なるほど?」

 「上から言ってたらその内愛想尽かされちゃうからね。仕方ないね。」

 「なるほど、道理です。」

 「それはそれとして次の枠の準備するよ~」

 『は~い』

 高錬度の艦娘に向けた放送枠の準備と休憩を兼ねた30分間はすぐさま過ぎていった。

 なお、この放送は聞いてる人数こそ少ないが全員向けよりも聞き応えがあって好評のようだ。

 ただ、僕個人としては普段よりも砕けた口調や素に近い自分のトークに巻き込んでしまってスタッフには申し訳が立たない。あとで大盛スイーツ券渡しておこう。

 

 なお、この対象年齢が上がりそうなラジオはここでは紹介出来ないことを明記する。




 前回投稿あたりから新しく出現したアンケートがあると思います。これは、作者がAIに文章を読ませた結果意図した感情とは異なる感情と判定されてしまったことによる出来事から生まれたものです。
 ご協力、ご助力頂ければ幸いです。それでは、次回にてお会いしましょう。

表現について聞きたいです。

  • 難しいと感じる(やさしく書いて)
  • 今のままでいい(書きたいように書いて)
  • 簡単すぎる(文学に寄せて)
  • キチゲ解放求ム
  • 対象年齢上げて(タグ増加)
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