のんびり艦これ   作:海原翻車魚

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にゃんにゃんなナンバリング、にゃんにゃんの日に書き上げたかった作者です。
そこまで引っ張りたくて休止宣言した訳ではないんですよ。いや、マジで。なんなら、一ヵ月遅れてますしね?!
犬派か猫派と聞かれたら決められないですが、どっちも好きなんですよ。散歩中に出会ったら笑いかけるくらいには好きなんですよ。


まあ、そんな話は置いといて番外編の更新、お待たせしました。今回は封印していたお家芸を解放した話になります。
え?『何だか分からない』?そりゃそうです、なんせ古巣にいた頃のお家芸ですから。
本編見れば分かると思うのでチェケラ!ゆるっとはっしんごー!


ひとくちのんかん~22~

 見目麗しい少女や女性が賑々しく談笑する廊下。

 優しく太陽が顔を向け、空気の肌触りが良い日頃。

 そんな中、すがり手を求めるような少女が足をもつれさせながら疾駆していた。

 姉と慕う人の談笑(慰め)を蹴ってまで彼女が走る理由が手元にあった。

 『助けて』、その三文字を最後に来ない個人メッセージ。

 アッシュグレイの髪をコンマ数秒の後にはためかせながら、息もままならないまま、目に血を走らせながら、走る、走る、走る。

 

 「やあ、瑞鶴。今日も残念か……」

 「ごめん!後にして!」

 見初めた人に見初められなかった者同士の懇親会(傷の舐め合い)を蹴る。勿論、大事にするものではある。けれども、一番のよすが(あの人)に比べれば、居場所(生きる理由)を失くす恐怖に比べれば、些事である(どうってことない)

 執務室の扉を開ける。

 バンと騒音レベルの音が訪問先の部屋に響く。

 「?」

 部屋には、見初めた人が惚れた人がいた。しかも、幸せそうに饅頭を両頬に頬張っていた。

 「あの人……提督は?!」

 そして、金剛さんは手のひらをこちらに向け静止するようにハンドサイン。もう片方の手で口を覆うと彼女は咀嚼を速めた。

 ゴクンと気味のいい飲み下した音が広い部屋に響く。

 「多分、貴女なら分かる部屋だと思うネー。『瑞鶴が来たらそう伝えてくれ』って言ってたしネー。」

 湯飲みの茶をすすりながら、ほんわかとする彼女を尻目に私は弾かれるように飛び出した。

 (私なら分かる部屋……私とあの人の共通の部屋……!!!!!)

 思考を置き去りに(考えない)文言を捨て去り(無駄な思考を止める)、とある部屋に着いた。

 ドアからソニックウェーブが出ると自負しそうになるくらいの強さで扉を開ける。

 この部屋で私とあの人が何をしていたのかを思い出し、やってしまったと反省することになる。

__________________________________________________________

 

 私の部屋、もとい自室の研究室のデスクトップにとあるメールが届く。自身の監視対象の司令官に対する聴取だ。変わらない所感を述べるのもさらさら面倒なので、添付ファイルがいつもの書式と変わらないのを確認し、事前に保存しておいたファイルを添付、送信。この速度、まさしく燕返し。この記録を計測する"私"(明石)は……ぁあ、いるかなぁ?

 独り言とも思考とも区別が曖昧なままメールの整理を行おうとした刹那、デスクトップに通知が届く。

 「貴艦所属鎮守府に対する追加セラピーの通達ぅ?」

 向こうも燕返し。もしかして、中央も私がいる?

 「なーんて」

 からからと乾いた笑いが出る。しょーもない、あまりにもしょーもない。

 返された太刀筋を見極めるがごとく、メールを確認。

 内容はごくごくシンプル。司令官が受けているドッグセラピーからキャットセラピーに切り替える打診だった。その試験導入のための連絡。

 「はぁ」

 ため息一つ。

 現代人の司令官に毒されたか(絆されたか)、はたまた絆されたか(毒されたか)……仰々しいメールの挨拶を精細するように読み進めるよりもメッセージアプリの短文でのやりとりが効率的に(楽だと)思えてしまっている。社会人としての礼節(当たり前)を赴任前に叩き込まれたが、骨を埋める先が閉鎖的環境過ぎて社会も何もないのには閉口する。

 業務の連絡であるため、司令官にメールを転送し椅子にもたれかかる。メールを受け取って真顔で来る司令官の格好を想像して、ふと思った。

 「そろそろ、業務用のタブレット(オンボロ)の交換の申請しないとなあ。」

 カバーや装飾で誤魔化してはいるが、彼のタブレットはガタがきている型落ちも良いところのボロ雑巾だ。今後の戦闘のために、設備は整えておきたい。

 「申請しとこ。」

 外堀を埋める、もとい事後承認という形にすることにした。

 書類のフォーマットを探しだして入力を開始。

 コンコンという板の鳴き声を聞いて声を張る。

 「はーい!」

 私を覆う金属たちが増幅器となって来客に振動を届けた。

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 広い執務室。三部屋分はくりぬいていることからかなりの広さがあるこの部屋で私は何気ない1日を繰り返す予定だった。

 「少しcoldネー。」

 「確かにね。半袖じゃ寒いけど長袖だと少し暑い。」

 「七分丈は」

 「多分処分してる。」

 「oh……」

 「金剛は大丈夫?」

 「私は、こうネー。」

 戦闘服の振り袖の予備を複数かけて厚着Like。Aboutな所が感染ってしまった。

 「強引」

 「コタツ出してる提督には言われたくないデ~ス」

 「残念、二人麻雀の方」

 「話の仕舞い方が強引なのはどっちですか?」

 「hahaha!」

 「誤魔化した」

 他愛のない話。彼が自愛するのはいつになるのか、少し考えてしまう。BossなのにLeader,KingなのにPawn,HeroなのにClown……どうにも、生き残る動きに自分を組み込んでないような……そんな気がしてならない。その違和感をテートクが一人で背負い込んでsuffering……。明石からは、『そこはメスを入れる領分です。私でも触りあぐねてる病巣です』なんて言われてる……。それに、ワンナイトなら見過ごすつもりなのにmeにfocus.ここまでburningされると私でもquestioning.Feelingだけど。

 「ん?」

 「What?」

 「明石からメール。」

 「新しい仕事デース?」

 「………」

 「Long silenceネー。」

 しばらく、silenceが続いた。

 突然、テートクが動き出したかと思うとタブレットからポコポコとタップ音がセッション。

 「ちょっと明石のとこ行ってくる。しばらくしたら多分、瑞鶴がここに来るだろうから『いつものとこにいる』って伝えておいて。」

 「OKネー。」

 「つぶあんとこしあんの饅頭があるよー」

 支度が終わった彼が振り返った。私の手にはいつの間にか饅頭が……。はい、狙ってましター。

 「残しといてよ、良いやつだから。」

 「らーじゃー」

 He went.Goneしないかは私にかかってる。

 あの人がこの世に縛られない幽霊なら、私が肉体になる。あの人が切り離された影なら私に縫い付ける。あの人がこの世にいる理由がないのなら私がそれになる。

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 ぼーっとすることが増え……増えてはないか。考えることが少なくなっていることもない。体から熱が消えたこともないし、現実に固執する理由もある。

 それでも、予定がない1日が贅沢に感じる。休み時間に校庭に駆け出したあの頃と比べる……1時間の休みがたまらなく短く感じる環境よりも快く感じ、贅沢を贅沢と表現出来るこの環境が愛おしい。

 金剛と麻雀をしようと思い立ち牌を出そうとしたとき、ボロいタブレットが奇声をあげた。ビープ音というにはいささかマスキングが過ぎる、バイブ音というには揺れ方が病的なそれは就任以来傷つきゆく同胞にも思えた。機種変更の申請が出来るのならしたい、ただ、自分の過去から一筋縄ではいかなかった経験が足を引っ張る。

 タブレットの奇行は、明石からの着信を示していた。

 文面を確認すると、お上からのメールがそのまま転送されていることを明示するとともに、邂逅の道を照らした。

 いそいそと支度し、金剛に随伴艦への言伝を頼み明石のラボへ向かう。

 

 いつぞやか、キチンと挨拶しろとの小言が喉に刺さる小骨のように心に引っ掛かる。

 コンコン、ときっちりノック。

 「明石?」

 「はーい!」

 いつもの人間のいつもの声音がした。

 ドアがきっちり閉まったことを確かめてからメールの是非を問う。

 「ワンコがニャンコに変わるってマ?」

 「マです。」

 テンションが調和された、調律されたようなセッションもどきが開幕に繰り広げられた。

 「とは言っても、まだ打診と試験運用の連絡なんですが。」

 「早い話?」

 「お試し。」

 「お察し。」

 会話のテンポが軽はずみ、そんな感じに足弾み。うん、やかましいわ。

 「いつもの拘束員(メンバー)で?」

 「うん、瑞鶴のままで。」

 「実は、もうにゃんにゃん来てるんですよ。」

 「え」

 「メールに書いてませんでした?」

 「え?え?」

 「あと、タブレット変更の申請しておいたのであしからず。」

 「え?え?え?」

 まばたきのような点きかたをするタブレットを急いで確認。文面には、『今回のサービスから当該変更を断続的に適用』とのこと。

 「ほんとだ。」

 「まあ、にゃんにゃんとわんわんが交互に来る感じになりそうです。にゃんにゃんダメそうならわんわんオンリーにも出来ますから。」

 「明石?」

 「はい?」

 「脳ミソ溶けてない?」

 「……この宣材写真見てもらえます?」

 明石がディスプレイに映したのは、ふわふわした子猫が小首をかしげながらつぶらな瞳でこちらを見る写真だった。

 「おかわよ」

 「なんです?」

 「おかわいいとかわいいかよが混じった。」

 「司令官も脳溶けてるじゃないですか。」

 「これは犯罪クラスだよ。」

 「確かに。」

 こちらを見る明石が含みのある顔をする。

 「これが?」

 口を開いた明石が尻上がりに問うてきた。

 「いっぱい?」

 これまでの事実を脳内と言の葉で紡ぐ。

 「います!(いる!)」

 事実の唱和。

 「っしゃあ!癒されるかあ!」

 「ふふふ、意味分からないです。」

 防音コーティングを貫通するレベルの咆哮一発。

 ドアノブに手を掛けた僕に明石が一言。

 「今回はスタッフさんいるみたいですよー。」

 「猫の番人把握。」

 鎮守府の顔、柱としては乾坤一擲……なれど一個人としては安居楽業。曖昧なモコモコに抱かれにいく。

 

 多目的室2の札を目視し、ドアの前に立つ。わんこたちとは違うのがドアの前からでも分かる。音がしないから。

 そおっと入室。

 「こんにちは~」

 かすれ声もさながらの小声で挨拶。

 「こんにちは~、鈴木と申します~。」

 小声で挨拶を返してきたのは猫の番人、もとい胸元にスタッフ鈴木とだけ書かれた名札を提げた女性スタッフだった。

 「この施設の代表者(司令官)様でしょうか?」

 「未熟ですが、代表(提督)をさせて頂いております。」

 「ご丁寧にありがとうございます。本日は「APCL」をご利用下さいまして誠にありがとうございます。当施設に説明をさせて頂いきたいのですがよろしいでしょうか?」

 「よろし…」

 お願いします、と言おうとしたところ裾に違和感(優しい重さ)

 「み~」

 ヒューマンクライミングを敢行するふわふわでか弱き命がそこにはいた。

 「この子の写真は撮っても大丈夫でしょうか?」

 「ええ、大丈夫です。」

 フラッシュを焚かないように設定、パシャリと一枚。

 『おいで(助けて)』のメッセージの後に続けて撮影した写真を拘束員(瑞鶴)に転送した。

 既読の文字に、小躍り(スキップ)する彼女を想像しながら猫ちゃんを見る。

 うるうるとした瞳、庇護欲を掻き立てる体躯、か細い鳴き声、それらがもたらす結論。

 「……」

 沈黙、硬直。

 「ど、どうしました?」

 鈴木さんは困惑、猫ちゃんは登攀。

 「……動いたら大変なことになりそうなので動けません。」

 「みゅーちゃん、めーよ」

 鈴木さんの手がみゅーちゃんに伸びる、巨人から巨人への架け橋が構築される、まさにその時だった。

 「提督さん!」

 バンッッッ!

 開け放たれた扉。猫は驚き、鈴木女史は手を引き、僕は首を痛めた。真っ青な瑞鶴が真っ赤な顔になり、僕に近づいた。そして、僕の体を全方位から見渡したのち、安堵してへたり込んだ。

 『???』

 鈴木さんはポカン、僕もホワワン、みゅーちゃんはふにゃふにゃ…………つまるとこ、何がどう帰結するかを演算する情報がない。

 

 

 

 

 

 「…………んんんもう!そういうことなら早く言って!」

 みゅーちゃんをツンツンしながら頬を膨らませ憤る瑞鶴。

 「いやー、既読付いてたから写真見て走ってきたのかと思ってた。」

 「タイミング悪すぎ!」

 「ごめん、その時何してたの?」

 「………忘れた!」

 そっぽ向かれてしまった。

 こっち向かせるか。

 「ドア開けた時、誤解してたみたいだけど?」

 「………うぎぎぎぎ」

 もっとそっぽ向いた。

 「首痛めるから止めな?」

 「………そーする」

 痛かったらしい。首筋張ってたしね。

 「えーっと……」

 狼狽する鈴木女史。

 「こちら、猫ちゃんの監督さん。こちら、ウチの拘束員。」

 『ど、どうも』

 社交辞令の会釈を交わす両者。

 「その様子だと、明石から何も聞いてない?」

 「え、えにしんぐ?」

 「なんで金剛っぽくなってんのさ。まあ、わんこじゃなくてにゃんこになったってだけの話。にゃんこだめならわんこに戻せるってさ。」

 「わ、わかったわよ」

 「みー」

 堂々と小さな歩みを進める獅子。ジャージ生地に爪をかけ瑞鶴によじ登る。

 「わ、わ」

 「あら~頑張るねえ」

 コメントがコメントたり得ない自分への嫌気がみゅーちゃんによって消えていく。うっかり、登攀と言いそうになったのはここだけの話。

 膝の上でふみふみ、くるっと回って……そしておすわり。

 「う、うえー……助けてえ。」

 「ねー、こうなるよねー。」

 「なるー!」

 「はーい、えんこしようねー」

 手を伸ばしてこねこを床に持っていこうと...

 「もうちょっとこのままに」

 真顔で止めるじゃん?

 「にゃ~」

 猫の手作ってボケるじゃん?

 「ちょっと待って、今のあたしじゃない」

 「ま?」

 「マジで、ほんとに」

 瑞鶴の声音に近い猫がいる……?

 しっぽをゆらりとゆらしながら、悠々と歩みを進める猫が瑞鶴に近寄る。子猫を見たあとだと、染みるスタンダードさ。異質なのは声音か……

 近寄る猫は僕を一瞥すると、体をこすりつけてきた。頭、胴体と念入りにこすりつけてきた。生憎、猫の表現には心得がない。

 「あら、ななちゃん。その人好きなの?」

 「なな、7……」

 「瑞鶴、ステイ。」

 七面鳥でワナワナするかと思って待ったをかける。チラリと瑞鶴を見ると赤面してワナワナしてた。

 そして、ころんと寝転がり大胆に腹を見せるぬっこ。

 毛並みに沿ってモフモフの腹を撫でる。

 「ぶるるるる」

 これは疎い僕でも分かる。猫にとって嬉しいゴロゴロ音。

 「これがニャン気筒エンジンかあ……」

 「何それ」

 「猫に搭載されたエンジン」

 「え……?」

 「真に受けるじゃん?」

 瑞鶴の脳ミソがロード画面に……

 「お話中失礼します。猫ちゃんってゴキゲンな時に喉を鳴らすんです。多分、その音がエンジンっぽいことからそう仰っているかと思います。」

 「……あー!そういう!」

 「そういうこと。」

 「てっきり猫ちゃんが飛ぶのかと」

 「どういうことです?」

 今度は鈴木女史が疑問符を浮かべた。

 「すいません、この子普段飛行機扱ってるんですけど、そこから来た勘違いです。」

 「飛行機じゃなくて艦載機!」

 「ごめん瑞鶴、普通の人はその違い分からないのよ……」

 「むう」

 「あ、あはは……仲がよろしいようで」

 「ウチの娘たちはこんな感じですよ?……瑞鶴、肘、痛い」

 「うっちゃい」

 「……」

 何を見せられてるのか分からなそうな鈴木女史を尻目になななる猫を愛でる。ストレスが少ない環境で育っているからか、へそ天ゴロゴロをかますなな。しかも、撫でるのを止めたら肉球を僕の手の甲に添えておねだりまでしてくる。

 「ふふふ」

 「そんな笑い方出来たんだ。」

 聞こえませーん

 「そうなんです?」

 聞こえません!

 「ええ、……明日雨かな?」

 「聞こえません」

 「聞こえてるじゃん」

 「あらら」

 「……」

 どうにも調子が狂う。自覚出来るくらいには頬が赤いと思う。

 静寂が訪れそうになるなか、ななのエキゾーストが部屋をなめる。

 「……?!あれ?!」 

後ろから瑞鶴の焦る声が聞こえた。同時に、こちらにヘソ天してる猫が一匹増えた。みゅーちゃんである。

「お姉ちゃんの真似かな?」

「……瑞鶴、なんだっけアレ」

「アレ?」

「可愛すぎて食べたくなっちゃうの」

「知らない」

「キュートアグレッションですか?」

「そうです!それ!すっきりしたぁ!」

「そんな言葉あるの?」

「あるんよ」

自前のスマホのロックを開け、瑞鶴に検索結果を見せる。

「待ち受け金剛さんなんだ。」

「…今はいいから。」

「?」

「鈴木さんもお構い無く。」

そして、僕の後ろにコソコソと回る二人。

「あの人、奥さんの写真を待ち受けにしてます。」

「あらまあ。」

「なんでも、お盛んだとか。」

「まあまあ!」

「みゅーちゃん、意地悪されたー」

「その子寝てるから!」

「うぎぎぎ……」

そうして、時間は過ぎていく。

アメリカンショートヘアやマンチカンとも戯れた。

自撮りは趣味じゃないが、猫がいるということで些事とした。

勿論、猫の写真はこの短い時間で200は優に越えた。

 

オレンジ色の廊下が僕らを包む。

「ねこちゃんかあいかったねー!提督さん!」

「ねー」

脳味噌が溶けている会話。

「ねーねー」

「ん、ん?」

彼女の声音の変化に思わずチューニング。

「なんか、アタシたちより楽しそうだった気がするけど。」

「なした?」

本当にどうしたのだろうか、この子は。

「見たことない顔してた!」

「……」

「黙るって……」

Just moment.観察大事。見たところ、膨れっ面のテンションだ。そこまで神妙になる話じゃない。

「確かに、猫ちゃんたちと皆とのテンションは違った。うん。」

「!」

「でもさ、皆との時間の重さってそんなものじゃないのは、瑞鶴は知ってるんじゃないかな?」

「でも、でもさ」

「それに、瑞鶴との時間も心も猫ちゃんたちに負ける程度なの?」

「う…ぐ…」

「男としては答えられないけどさ」

「んもう!」

ふくれっ面で被りを振る瑞鶴。『新しい赤べこかな?』なんてしょーもない考えは頭の片隅に追いやっておく。

所々開いた窓ガラスの寒と常に点いているエアコンの暖が肌の上をタップダンスする。

差し込む夕陽が僕を月にする。綺麗だと御為ごかしを言われても応えられそうにないが。それでも、刻む時は建設的でいたい。

「また呼んでよ、提督。」

濡れ羽を肩に回す鶴がそこにはいた。

背けた顔はほんのり朱色を帯びていた。きっと夕日だろう。

「あいよ。」

そのまま解散する。男と女であれば、片方が呼び止めるのかもしれない。けれど、そうではない。そうではないのだ。

寂しそうに帰る背中にかける言葉はない。手を伸ばすことも。

 

別れて数分後のこと。

我が鎮守府の幸運猫ことオスカーがそこにはいた。

しっぽを立てながら近寄ってくる。

そして、匂いを嗅ぐ。いつもの流れ……のはずだった。

オスカーはズボンの裾を嗅ぐと、呆然としたような頓狂な顔をしていた。なんだっけ、ブレーメン反応……?

「シャアアア!!!」

「浮気判定なの?!」

思い切り威嚇されました。あとフレーメン反応でしたね?!




はい、ルビ振りです。某なろうで別の二次創作を書いていた時に頻繁に使ってたんですが、ここに移住してからというものルビの振り方が分からなかったので実質封印でした。PCを使い始めたら思ったより簡単に書けたのでちょっとキレそうでした。

本当は本編と同時更新をしたかったのですが、思ったよりも難航しているのでもうしばしお待ちを。例のごとく不定期更新なのは申し訳ないです。心中穏やかな時が少ないので……

それでは、また見えることを。

表現について聞きたいです。

  • 難しいと感じる(やさしく書いて)
  • 今のままでいい(書きたいように書いて)
  • 簡単すぎる(文学に寄せて)
  • キチゲ解放求ム
  • 対象年齢上げて(タグ増加)
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