のんびり艦これ   作:海原翻車魚

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 始めたての頃の記憶を辿りながら書いていきます。
 『ん?』と思ったところがあったら感想の欄にお願いします。


空母はいないけど突き進めッ!

~執務室~

 

 

 一瞬の喧騒から想像もつかないような静けさが辺りを満たす。手を床について立ち上がると叢雲がやけに高圧的に見える態度をしながら二、三回手拍子を打った。

 「何さ?」

 青筋が出そうになったが我慢して対応する。

 口調がぶっきらぼうなのは仕方ないことにしてほしいところだ。

 質問を受けた叢雲は右手を腰に当て左手で割れた窓を指した。

 「今のを避けられた提督って貴方だけらしいわよ」

 叢雲の言い方にイラッとしたがここは年上として落ち着こう。

 というか僕が年上じゃなかったらキレるという論法が癖になってはいないだろうかと思うがカリカリしたところで良いことはない。

 逆に考えるんだ。クールにいってもいいさ、と。

 「今のダイビングプレス?」

 「初見殺しの技らしいわね。素質あるわよアンタ。」

 「何のだい?」

 「司令官のよ。先見の明があるって言うのは轟沈のリスクを回避できるって言えるわ。まっ、せいぜい頑張りなさい。」

 「…いまいち誉められている感じがしない」

 「感謝なさい、この叢雲が賛美しているのよ?」

 「そうかい。」

 やってしまったと自分を呵責するには後の祭り。

 こちらもあちらも人間なのだからたまるものがある。

 流石にこれには叢雲も腹を立てたのか少し顔に怒気を浮かべた。

 「何よその態度!」

 ここで頭をクールダウン。

 簡単に叢雲にこちらの気心を知ってもらうにはどうすれば良いのだろうか。

 思いついたのが誘導だった。

 「素直に話さない子とお話したくはないよ。」

 「フン、別に良いわ。それで?」

 プイッとそっぽを向いて反抗する叢雲。

 何も言わずにただ黙ったまま叢雲を見る。

 僕はただ腕を組んで肩幅に足を開いて立つ。

 チラチラとこちらを見る度に叢雲の顔がどんどん青ざめていってるような気がした。

 僕はそこまで怖い顔をしているのだろうか。響と弥生が抱き合ってガタガタ震えているのだが…。

 「…………」

 じっと叢雲を見ていると彼女は口を開いた。

 「ごめんなさい。」

 「わかればよろしい。」

 にっこりと笑って叢雲の頭を撫でる。

 嬉しそうな顔をしていた。

 笑顔にしていれば可愛いのにと思ってしまう。

 ガタガタ震えてた二人もほっと胸を撫で下ろして適当なところでくつろいでいた。

 

 解決したところで通常営業を再開しよう。

 「さて、仕事しようか。」

 「えーっと、次は開発ね、資材は?」

 「最低値。」

 無線を取り外してオーダーをする叢雲。

 よく見てみると、というよりかはパッと見て分かる話だが叢雲が使っている無線機の固定具が叢雲の肩の位置と同じで僕が取るときは屈まないと取れない。

 何が言いたいかというと駆逐艦クラスの子が扱うと丁度いい位置にあるのだ。

 「最低値のオーダー、宜しく。」

 疑問が出た。『開発とやらも高速開発材なる物が存在するのだろうか』ということ。

 その都度を話し、聞いてみると存在しないそうだ。

 そもそも開発自体がすぐに終わるそうだ。

 

 叢雲がオーダーして二、三分経過した頃だろうか。

 ドアから妙な音がするのが聞こえた。

 まるで猫がドアを引っ掻いているような音がする。

 周りの皆がいるところから考えると本当に猫の出現というわけではないようだ。 

 「響、開けて。」

 「ハラショー。」

 冷蔵庫にもたれ掛かっていた響に開けるように頼んだ。

 彼女がドアノブを回して開いた扉をチラリと見やると誰もいない。

 叢雲がドアの近くでしゃがむと段ボール箱が独りでにガタガタと動いた。

 ビックリして飛ぶような勢いで立ち上がると小人が段ボールを渡していた。

 叢雲の膝くらいの背丈の何かしらだった。

 コンセントのプラグのような目をしていた。

 小人は足早に執務室から出ていった。

 童話の話に頭がいきかけたがどうにかもち直す。

 混乱しているのが正直なところだ。

 そもそもなのだが、開発の概要そのものがわからないのだ。

 その混乱を察したのか叢雲が喋り始めた。

 「そうそう、開発は私達の使う武器……言わば『艤装』を造る為の手段よ。艦娘の強化の為には建造と開発が重要なのよ。覚えて。」

 「う、うん。それで何が出来たの?」

 「ふふふ…アンタの引きもここまでみたいね。」

 「?」

 「はい!」ドサッ!

 目の前に置かれた段ボールを覗くと、涙のアップリケが付いたペンギンのぬいぐるみと毛玉が入っていた

 唖然としていると叢雲の癪に障る笑い声が聞こえた。

 府内の敵としての認識が強くなる一方だ。

 「うふふ、本当に酷いわね」

 「僕にさっきの顔もう一度させるつもり?」

 「止めて頂戴!」

 本気のトーンになりかけたのを聞いた叢雲が怯えた。

 「僕はそんな顔してないよねェ?那珂ちゃん?」

 「ひゃッ…ひゃいい!」

 声が裏返っているのがよく分かる。

 そんなに怖かっただろうかあの顔。

 「何にしろ遠慮しとくわ。」

 暫く緊張した静寂の糸が張り巡らされる。

 張った本人が糸を切った。

 「じゃあ建造、all500。バーナーね。」

 「はいはい、聞こえたでしょ?早くお願いね。」

 小人はどこから出したのか分からない可愛らしい音をしながら出して工廠に向かう。

 僅か一分も経たない間に床が軋んだ。

 改修工事が必要かと思うと色々困る。

 「重巡鳥海、着任しました!」

 要するに、艦種ってアレの大きさで決まるのだろうか。

 何とは言わない。

 保身の為に。

 というかセクハラだから言ったら終わる。

 取り合えず編成を考えておこう。

 無線機を府内放送に切り替え全員に召集をかける。

 

 全くの余談になるが窓から入室しようとした金剛を顔面鷲掴みで止めて部屋に入るように促したのだ。 

 「…………何だっけ。」

 「HEY!提督ぅ!私がフラッグシップでいいと思うデース!」

 いきなり編成の話を始めた金剛に困ったが、そもそも召集をかけたのはそれの話をするためだったため話を続けることにした。

 「金剛旗艦ってことで宜しく頼む。」

 「oh!Thank Youデース!」

 「叢雲随伴!」

 「悪くないわ」

 「残りは鳥海さんに那珂に若葉に響にする。宜しく頼むよ。」

 『はい!』

 「…………私は?」

「弥生は暫くお留守番。大淀さん。頼むよ」

 『了解しました。』

 この一言ですぐに戦闘に移ろうとした一行をなだめ、府内の施設紹介を兼ねたオリエンテーリングを開催したのはまた別の話にしておく。

 僕自身も全貌を把握してなかったためにオリエンテーリングどころか僕の全くの私情だったのは言うまでもない。




ここからは引きは多少引きが悪いです。
金剛さんの今?
ケッコン寸前です。

対象年齢上げたバージョンいりますか?

  • いらない
  • いる(R-15まで引き上げ)
  • いる(R-18まで引き上げ)

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