初めてアイツに会った時、俺は思った。
『コイツはどうしようも無いほど馬鹿だ』
『そして、どうしようも無いほどに―――――優しいんだ』
だから、アイツが他に優しい分、俺がアイツの裏側になろう。
アイツが悲しまない様に、心無い言葉に傷つかない様に、利用されない様に。
俺が・・・・・・。
そう、心に決めたのは桜が舞い散る春だった。
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――――――
「・・・・遅い」
「明久め、何をしておるんじゃ・・・」
厨房で調理している俺の耳にムッツリーニと秀吉の声が聞こえた。ヒョイと顔を出してみると、秀吉が眉間にしわを寄せていた。どうしたんだ?
「どうした?トラブルか?」
「おぉ、遼平。いや、倉庫に茶葉を取りに行った明久が遅いのじゃ」
「明久が・・・っ!!」
「ぬぁ!?ど、どこに行くんじゃ!遼平!!」
秀吉の言葉を理解した瞬間、俺は調理していた料理を投げ出して走り出した。後ろから秀吉の驚いた声が掛かるが、気にしてられない。驚く客を押しのけ、転がるように廊下に出る。目指すは、倉庫。
『キャッ!』
『うおっ!?』
『あ、危ねぇだろ!!』
悲鳴や罵声が掛けられる。はっ、邪魔だ。倉庫の扉が見えた。すると、ふと、声が聞こえてきた。
『しめた!やっちまえ!!』
ブツンと俺の中の何かが音を立てて切れた。それが明久に対して掛けられた言葉かどうかなんてしるか。スピードを維持したまま、扉へと突っ込む。
《バゴォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!》
心地よい破壊音と共に倉庫の端に飛ばされる扉。顔を上げると、座り込み顔の前で腕を交差させ防御の姿勢を取っている明久と、明久に殴りかかろうとしていた野郎3人の姿が入った。
「「「「 え? 」」」」
ゆっくりと明久と三人組が俺の方を見る。
「明久、無事か?」
まず、第一に明久の無事を確認するが、明久は呆然としたまま答えない。どうしたんだ?・・・まさか、既に腕が折れたとか、あばらを数本折られたのか!?コロス。
「おーい、明久。大丈夫かー?」
「ふぇ!?あ、う、うん。大丈夫だ・・・よ?」
「聞いてるのに、疑問系で返すな」
明久の様子に安堵の息が漏れる。この様子だと、本当に大丈夫なんだろうな。アイツ、嘘つくの下手だしな・・。明久の方へと近付こうとした俺の前に三人組が立ちはだかった。
「何だ?お前ら・・・」
「無視してんじゃねぇぞコラァ。テメーもコイツの仲間か?」
「仲間なら悪ぃが、俺達にボコられろ」
と、言うと同時に三人の内の一番デブが殴りかかって来た。明久が何か叫んだが、問題ない。ヒョイッとデブの拳を避け、後ろ側に周り腕を捻った。
「いででででで!!は、はな――」
「黙れデブ、折るぞ」
凄みを利かせて言うと顔を青くしながら黙った。
「明久ー、こっち来い」
「え、あ、うん」
「行かせるかよ!!」
細い奴が明久の行く手にたちふかがる。邪魔だ。本当に邪魔だ。
「明久を通らせろ」
「ふざけんzy―――」
「おい、聴いたか?アイツはお前の腕を折ってくれって言ってるぜ?ご要望に応えないとなぁ?何処がいい?右か?左か?」
「や、やめろ!!と、通せ!通してやれ!!」
俺の呟きが聞こえたのか、青い顔をさらに青くしながら叫ぶデブ。すると、細い奴・ガリが明久に道を譲った。どうやらデブがリーダー格の様だな・・・。
「遼平・・・」
「明久、本当に本当に怪我は無いか?」
「うん。遼平が来なかったらボコボコだったけどね」
苦笑しながら言う明久。ほぅ・・・ボコボコねぇ。
「明久、茶葉は持ってるか?」
「え?コレだけど?」
手に持っている茶葉を俺の前に差し出す。しっかり茶葉は持っているお前は偉いよ明久。
「じゃぁ、先に教室帰ってろ」
「でも、遼平!!」
「何だ?明久は俺が信用できないのか?かなしぃーなぁー」
「うぅ・・・分かった。けど、早く帰ってきてね!!」
「了解」
そう言い残すと、明久は倉庫を出て行った。これで、明久への心配が無くなったな。一息つく俺にデブがニヤリと笑った。
「ハッ、余裕こいて一人で何ができんだよ!!」
「腕捻じられてるデブが何言ってんだよ」
そう言い、デブの腕を放しがら空きの腹に蹴りを叩き込む。息をつめ、吹き飛ぶデブ。肉弾〇車みたいだなー。
「さぁ、お楽しみの時間だ」
頬が上がるのを自覚する。片づけが終ったら鉄人でも呼ぶか。
「 It is the beginning of pleasant show. 」