俺とバカと召喚獣   作:屋代屋

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第二十四話

初めてキミに会った時、僕は思った。

 

 

『キミはどうしようも無いほど不器用で』

 

『でも、どうしようも無いほど―――――――寂しがりやだって』

 

 

だから、キミが不器用な分、僕がキミを補おう。

 

キミが言った不器用な思いを、不器用なありがとうを、相手に伝える為に。

 

僕が・・・・・・・。

 

そう、心に決めたのは桜が舞い散る春だった。

 

 

 

―――――――――――――――――

―――――――――

 

「ただいま!!」

「おぉ!明久、無事じゃったのか!!」

「・・・・心配した」

 

Fクラスの扉を開けた僕を迎えたのは秀吉とムッツリーニだった。来客もひと段落したのか休憩時間の様だ。何故か皆に睨まれたのはそれほど忙しかったのだろう。二人にごめんと言うと、秀吉が僕の後ろを見る。どうしたんだろう?

 

「明久、遼平が倉庫に向かった筈なんじゃが・・」

「あ!そうだった!!倉庫で変な人に絡まれちゃって、遼平が相手してるんだった!!」

 

慌てて飛び出そうとした僕の腕を雄二が掴んだ。いつの間に出てきたんだ雄二。

 

「ちょっ、放してよ!今、僕急いでるんだから!!」

「遼平ならさっき連絡があった。鉄人と一緒に居るとさ」

 

え?と、声を上げた僕の目の前にズイッと携帯を突き出した雄二。画面を見ると、ボロボロのさっきの人達の上に足を乗せて自撮りしている遼平が映っていた。下の方には、『駆除完了☆マジ楽勝 (`・ω・)bドヤァ』と書いてある。どうやら心配は本当に無いみたい・・・。ほっと息を吐く。

 

「後から詳しい事は遼平に聞くとして・・・明久、四回戦行くぞ」

「え?もうそんな時間なの?」

 

時計を見て確認する。午後二時前だ。あれ?四回戦って二時過ぎの筈じゃ・・?

 

「予定より対戦が順調に過ぎて、時間が余ってるらしい」

「へ~、そうだったんだ」

「あれ?アキたちもそろそろなの?」

「そうなんですか?私たちも次が出番なんですよ」

 

チャイナドレスを纏った美波と姫路さんがトレイを置く。改めて見ると、本当によく似合ってるな~2人とも。おっと、いけない・・にやける所だった。パシと頬を叩き、気合を入れなおす。よし!

 

「バカなお兄ちゃん、何処か行くですか?」

「うん。ちょっと行って来るから、葉月ちゃんはここで待っててね」

「う~~~~」

 

葉月ちゃんの目線まで腰を落として言う僕に、不満げに頬を膨らませる葉月ちゃん。僕も妹が欲しかったな~~~。

 

「大丈夫だよ?テレビで観れるから、葉月ちゃんが応援してくれたら僕、嬉しいな」

「!?葉月、一生懸命応援するです!!」

 

召喚大会は一種の公開行事みたいなモノだから、やっぱり皆気になる。でも、店番とかその場から動けないと言う人の為に文月学園内のテレビなら大会の様子が観れる様になっているんだ。流石に葉月ちゃんみたいな小さい子を人だかりの中に1人で居させる訳にはいかないからね。ピョンピョンと飛び跳ねる葉月ちゃんの頭を撫でてから、僕達は会場へと向かった。

 

「葉月に手ぇ出したらコロスワヨ」

「明久君、法律違反デスヨ」

「安心しろ島田、姫路。明久は必ず――――手を出す」

「変な事言わないでよ!!雄二!」

 

 

―――――――――――

―――――

 

「誰に命令された」

「・・・・・・」

「・・・だんまりか、まぁ良い判断だろう。オイ、鉄。アレ持って来い」

「いい加減にせんか」

「うげっ!!」

 

鉄人の拳が俺の頭にヒットする。痛い。

 

「誰が鉄だ、誰が。お前は何をしてるんだ」

「取調べごっこ」

「補習室に来るか?」

「滅相もございません西村教員」

 

ぎろりと鋭い眼光を向けてくる鉄人に、冷や汗が流れる。こんな年に一度の楽しい日にあんなジメジメ(遼平のイメージです)した所で勉強しなきゃいけないんだ。さて、おふざけはここまでにしてと。俺は縄で縛り上げられている三人組を見る。3人とも気絶させている。暴れられたらアレだしな。

 

「小此木、さっきの話は本当なのか・・・」

「本当本当、おおマジ。こいつ等、教頭の手先だ」

 

俺の言葉に困惑する鉄人。当たり前だろう、急に教え子が同じ学校のしかも教員に――まぁ正しくは、教員の手先に襲われたなんざ信じられる訳が無い。それでも俺は言葉を続ける。

 

「鉄人。この学園祭、裏があるぜ」

「裏・・だと?」

「あぁ、それもこの学校を左右するかもしれない程の大きさの・・・な」

 

指導室が静まり返る。楽しい楽しい学園祭に本当に何してんだ・・・俺。

 

「まぁ、俺はここで退散するよ」

「あぁ、この件は学園長に報告しておく。・・・・・気を付けろよ」

「うーっす」

 

鉄人の忠告を背に指導室を出る。わぁっ!!と歓声が聞こえる。どうやら四回戦が始まったらしい・・。確か・・・姫路たちと明久の試合だったよな?まだ、余裕はあるし見に行くか。暫らく歩き、足を止める。

 

「て、事なんで―――――――用件は何ですか」

「―――――バレてたかい?」

 

声を掛け、振り向くとそこには―――――竹原教頭が立っていた。

 

「どこかの中年親父みたいに加齢臭がプンプンするんでね」

「やはりキミは目上の人に対する言葉遣いを直した方がいい」

「ストーカーが趣味の変人に言われたくないですよ、先生」

 

俺の皮肉に貼り付けの笑みのまま返してくる竹原。一体何の用だ。

 

「用件は何ですか?早くしてください」

「いや、キミの鋭さ・行動力は大したものだ」

「ありがとうございます。では――」

 

竹原に背を向けて足早に立ち去ろうとする。コイツと居ると気分が悪い。秀吉と明久で癒されよう・・。

 

「しかし、それが―――――――――邪魔なのだよ」

「っ!?」

 

氷の様な冷たい声に振り向く。俺の中の警報が鳴り響いてる。コイツは目的の為なら何でもやる奴だ・・。竹原に背を見せない様にジリジリと距離を取る。

 

「そんなに警戒しないで欲しいな。キミには少しの間だけ―――――」

 

瞬間、召喚フィールドが発生した。

 

「―――――ご退場願いたい」

「っ!試獣召k(サモ)―――――がっ!!」

 

後頭部に強い衝撃が奔った。痛い。痛い。イタイ。意識が遠のく。消えゆく意識の中俺に誰かが話しかけた。

 

「キミは深入りしすぎたんだよ・・・・・小此木遼平」

 

 

 

 

 

俺の意識は闇に落ちた。

 

 

 

 

 

 

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