俺とバカと召喚獣   作:屋代屋

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第二十五話

 

 

 

 

 

 

「え?遼平が見当たらないって・・・どういう事・・」

「分からんのじゃ。鉄人に確認を取ったら、遼平ならFクラスに帰ったと言われての・・・・」

「・・・・・謎の失踪」

 

第四回戦・姫路さんたちと僕たちの試合を、僕たちの勝利で終らせ、Fクラスの模擬店に帰ってきた僕を出迎えたのは労いの言葉では無く。遼平の失踪と言う、衝撃の言葉だった。顔を青くしながら秀吉が話す。

 

「落ち着け、秀吉。アイツにも考えがあって今は手が放せないんじゃないのか?」

「・・・・・それは無い」

「ムッツリーニ?」

 

雄二の言葉をムッツリーニが否定する。ムッツリーニの顔も心なしか暗い。

 

「・・・・さっき呼びかけの放送を流した」

「それで何で無いんだ?」

「・・・・秀吉が」

「緊急事態だ」

 

ムッツリーニの後半の言葉に雄二が慌て始める。秀吉の名を出しても遼平が出てこないなんてありえない。雄二が霧島さんに『結婚しよう。翔子たん』って言うくらいありえない。

 

「僕、ちょっと探してくる!!」

「ワ、ワシも少し探してくるのじゃ」

「・・・・呼びかける」

「待て・・・・明久は行くな」

 

飛び出そうとした僕を雄二が止める。秀吉もムッツリーニも驚いている。もちろん僕だって驚いている。もしかしたら遼平の一大事かも知れないのに!!ギッと雄二を睨みつける。

 

「雄二なんd「準決勝は何時からだ」・・・え?」

 

雄二に言われて時計を見る。準決勝は一時間後じゃ・・・・。

 

「さっきの姫路たちとの試合の後に準決勝は直ぐらしい・・」

「そんなっ!!でも・・」

「明久」

 

遼平を探しに行けないなんて!グッと唇を噛む。そんな僕に秀吉が声を掛けた。

 

「明久、お主は試合に行って勝つのじゃ。遼平はワシ等に任せるのじゃ」

「でも、もしかしたら秀吉も・・」

 

そう言うと秀吉が少しばかり眉を寄せ、怒った様な表情になった。

 

「ワシを甘く見るでない。自己防衛くらい出来る・・・それにじゃな、それほどに心配なら試合を早く終らせれば良いだけのことじゃろ?」

「秀吉・・・」

 

片目を瞑りながら、明るい口調で言う秀吉。可愛い―――じゃなかった・・そうだよね。早く終らせれば良いんだ!パンと頬を叩いて雄二の方を向く。

 

「行こう、雄二」

「・・・・あぁ、行くぞ。後は任せたぞ秀吉、ムッツリーニ!!」

 

雄二の言葉に2人が力強く頷く。そして僕達2人は大会会場に向かった。

 

 

 

 

 

 

「小此木が消えた・・・だと?」

 

 

 

 

――――――――――

―――――

 

『お待たせいたしました!これより準決勝を開始したいと思います!』

 

僕らが到着すると、審判を務める先生のアナウンスが流れた。どうやら時間ぎりぎりだった様だ。

 

『それでは選手の入場です!』

 

明るく入場を告げるアナウンス。今の僕には鬱陶しく感じる。心を落ち着ける為に深呼吸をして、観客の前に立つ。僕らの向かい側には対戦相手の霧島さんと木下さんが立っている。

 

「・・・・雄二。邪魔しないで」

「そうはいくか。俺はまだ人生の墓場には行きたくねぇ・・だから俺は勝つ!!」

 

ゾンビの雄二にはお似合いかもしれないね。

 

「明久、今俺をバカにしただろ」

「滅相もございませんよ坂本代表」

『今回の科目は“保健体育”です!』

 

僕達は緊張感のないやり取りを数回交わすと、気を引き締める。さっさと終らせて、秀吉たちに合流しなきゃ!!

 

『それでは試合――――開始ッ!!』

 

「「「「試獣召喚(サモン)!!」」」」

 

早く・・・・・早く・・・・・終らせなきゃ!!

 

ハヤクオワラセル。

 

 

 

 

――――――――――

―――――

雄二Sied

 

 

『 Fクラス 坂本雄二 保健 157点

       吉井明久     84点

       VS

  Aクラス 霧島翔子 保健 376点

       木下優子    289点 』

 

 

アナウンスが開始を告げ、全員が召喚獣を出した。さっきはあんな事を叫んだが、はっきり言って勝ち目はほぼ無い。Aクラスの代表者とAクラスでも久保に続き点数の高い木下姉。くそっ!遼平の奴が下手したせいで作戦がパーだ。アイツ・・・コロス。兎に角、一旦離れて作戦を立ててから動くしか・・・。

 

「ねぇ、雄二・・・」

「どうした、明久?」

 

指示を出そうとした矢先に明久が俺に声を掛けてきた。前に意識を向けたまま、横を見ると―――――目のハイライトが消えた明久がいた。うっすらと微笑んでいる表情が恐ろしさを一層と引き立てている。

 

「あ、あきひ・・・さ・・・」

「ねぇ、知ってた?召喚獣同士が仲良く“くっついたり”“手を繋いだり”すると、その操縦者の2人も仲が親密になるんだってぇ・・・」

 

俺の言葉を無視し、本当か嘘か分からない一種の都市伝説的な事を話し出した明久。何を言い出すんだコイツは・・・?疑問符を浮かべる俺と周囲の人間の中に、この言葉を聞いて動いた人間がいた。

 

「・・・・・」

「ちょっ!代表!?」

 

木下姉の驚愕の声で明久から目を正面に向けた俺の目に映ったのは、正面から突っ込んでくる召喚獣を捕らえた――――翔子だ。点数が点数なだけ、速い。回避には遅すぎた。

 

「っく!!」

 

少しでもダメージを減らすために腕を交差させてガードする。

 

『 Fクラス 坂本雄二 157→92点

 

  Aクラス 霧島翔子 376→287点 』

 

だいぶ減らされたな・・・。翔子から離れるために召喚獣を動かそうとするが・・。

 

「なっ!?」

「・・・・離さない」

 

翔子の召喚獣が俺の召喚獣に抱きついた。抱きつくと言うより捕まった。翔子の奴、トチ狂ったのか!?慌てて拘束を解こうとするが、点数の差は歴然だ。明久に援護を頼もうと声を掛けようと―――――――

 

「おい!あきひ―――」

「バイバイ」

 

 

『 Fクラス 坂本雄二 戦死

 

  Aクラス 霧島翔子 戦死 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――――は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――俺の召喚獣が戦死した。

 

 

 

 

 

 

 

 

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