俺とバカと召喚獣   作:屋代屋

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第二十七話

「秀吉!ムッツリーニ!遼平は見つかった!?」

 

教室に戻ってからの第一声が遼平か明久・・・。ふうっと溜め息を吐いて俺も教室に入る。客もだいぶ入ってるし、売り上げに期待できそうだな。そんな事を考えている俺の所に秀吉とムッツリーニを連れた明久が戻ってきた。

 

「秀吉、ムッツリーニ。何か異常は無かったか?」

「その事なんだけどね、雄二」

「・・・・・誘拐未遂」

「・・・は?」

 

耳を疑った。誘拐未遂だと・・・?オイオイ、洒落にならんだろ・・。疑いの目を秀吉に向けるがコクンと首を縦に振った。肯定、つまり誘拐未遂がこの学園で文化祭で起きたという事だ。

 

「詳しく話してくれ」

「お主等と別れた後に色々と聞き込みをしての、指導室の近くで遼平を見たと聞いて向かったのじゃ・・・が、近道の為に人通りの少ない旧校舎の裏を通ったときじゃった」

 

――――

――

 

秀吉とムッツリーニは人通りの少ない旧校舎の裏を走っていた。聞いた話によれば、遼平が指導室に居たのは少し前、上手くいけばバッタリ会えるかもしれないと考えていた。すれ違う人など居ない旧校舎を奔りぬけ、階段に指しかかったときだった。

 

「オイ」

 

誰かに声を掛けられた秀吉だが、自分ではないだろうと気にせずに走り抜けようとした。が、次の瞬間ガシっと腕を掴まれた。

 

「!?・・・何用じゃ、ワシは今急いでおる身での手短に頼む」

「そんなにツンツンすんなよ~」

「キミ、Fクラスの木下ちゃんだよね?」

 

キッと睨みつける秀吉。一方の腕を掴んだ男ともう1人の男はニタニタと下種な笑みを浮べている。

 

「・・・そうじゃとしたら何じゃ」

「ちょっと俺達と来てくれない?」

「楽しーよー」

 

男は秀吉の腕をグイっと引っ張り連れて行こうとするが、次の瞬間、掴んでいた腕の感触が無くなった。そして、そのまま男の視界は暗くなった。

 

「・・急いでおる身じゃと言っておろう。分かったら去れ」

「テメッ!!何しやがる!!」

 

倒れた男に独り言のように秀吉が言うと、唖然としていたもう1人の男が状況を把握したのか、殴りかかって来た。

 

「・・・ふぅ、去れと言ってるのじゃがな」

 

向かってくる男の拳を身体ごと避け、男の身体の外側に回り込む。背中合わせになった瞬間に男の横腹に肘打ちを叩き込んだ。

 

「ぐぁっ!!」

 

ドサッと倒れこむ男を横目に服の埃を払う。

 

――――

――

 

「―――結局、遼平とも出会えずじまいじゃった・・」

「・・・・写真は撮った」

「そっか、秀吉も無事でよかったぁ・・。あと、その写真は没収されるよ」

「待て待て待て待て待てええええええええええ!!!!」

 

俺の叫びにえ?と頭に疑問符を浮べる明久。何かおかしい事あった?なんて言ってるが、おかしい所だらけだろうが!!

 

「秀吉・・・お前、そんなに強かったのか!?」

「うぬ、心外じゃ。ワシとて男じゃ、コレくらい出来て当然じゃ」

 

胸を張る秀吉。すまん、完全に見た目は女子にしか見えん。にしても、以外や以外。秀吉が格闘技なんて代物が出来るなんてな・・。そんな俺に明久が耳打ちしてきた。

 

「(ハッキリ言えば遼平が秀吉の見た目ってアレだから護身用に教えたんだよ)」

「あぁ・・・なるほどな・・」

 

秀吉のステータス『男の娘』『演劇バカ』に新たな『闘う男の娘』が追加された。なんて考えていると、ムッツリーニがパソコンを弄りだした。

 

「どうした、ムッツリーニ」

「・・・・・発信機が校内から出て行った」

「え?誰の発信機?」

「・・・・・姫路と島田」

「お主はいつか捕まるぞ」

 

いつ付けたなど、聞きたい事はあるが後回しだ。店内を探しても姫路と島田、あと島田の妹の姿が見えない。パソコン上の発信機の赤い点は校内から出て、近くのカラオケ店に入って行っている。とゆうことは・・・。

 

「チッ、姫路達にも向かってたって事かよ・・」

「雄二!どうゆうこと!?なんで姫路さん達は・・」

「秀吉を連れてこうとした奴がもう一組いたって事だ」

「・・・・・誘拐された」

 

俺の説明とムッツリーニの一言で全てを理解した明久はダッと教室の入り口に向かって走り出した。俺達も続こうとしたとき、校舎のスピーカーから放送が流れた。

 

《連絡します。明日、予定していた召喚大会決勝を今日の午後4時から行います》

 

「なっ!?」

 

放送は明日の筈の決勝を今から二十分後に開始するという放送だった。どういうことだ・・。遼平の失踪に姫路たちの誘拐といい、召喚大会の決勝。都合が良すぎる。まるで誰かが裏で手をまわしているかのように・・。

 

「雄二、どうしよう!!召喚大会に出ないと姫路さんが・・でも、助けに行かないとそっちでも姫路さんがああああああああああああ!!」

「落ち着け、まずは落ち着け」

「雄二、明久・・。ワシとムッツリーニが姫路たちを助けに行く、2人は召喚大会に行くのじゃ」

 

明久を落ち着かせていると秀吉が言った。だが、

 

「いや、それは駄目だ」

「ぬう!何故じゃ!!」

「・・・・・見くびるな」

「秀吉とムッツリーニの事を見くびっている訳じゃない。ただえさえ姫路たちを連れて行かれてるんだ、それを盾にされたらいくら強くても手が出せないだろ」

 

もしも、向こうがスタンガンやバットなんて武器を持っているならもっての他だ。ミイラ取りがミイラになってからじゃ遅い。クソッ、どうする。遼平のヤツ・・・マジで殺す。

 

《繰り返します。決勝が4時からに変更されました。選手のみn―――ちょっ!誰ですか!?ここは関係者以外立ち入り禁止d――――》

 

「?なんだ・・・」

 

放送していた生徒の声が途切れた。様子がおかしい。途切れた放送に違和感を感じたのか、校内がザワザワと祭りとは別の意味で騒がしくなってきた。ザザザと切れていた放送が持ち直した。ホッとしたのも束の間、流れてきた声は―――

 

 

《あーあー、流れてるか?あーあー、流れてるのか?コホン・・んん・・・あー、放送を変わって2年Bクラス代表・根本恭二が放送する》

 

「ね、根本君!?」

「一体何をしとるんじゃ、根本は!?」

「・・・・予測不能」

 

急に流れてきた根本の声にざわつくが、構ってる暇は無い。口を開こうとした俺に、偶然に根本の声が重なった。

 

《――――学校内に居るバカに連絡する》

 

随分アバウトな連絡だな・・・。だが、Fクラス全員は明久に顔を向けた。

 

「ちょっと!何でバカだけで僕を見るのさ!!」

「お前しか居ないだろ・・」

「・・・・・真実はいつも一つ」

「ムッツリーニ、それは意味が違うと思うんじゃが・・」

 

ギャーギャーと異議を唱える明久を黙らせる。しかし、あんなアバウトな言い方で放送するって事は警戒してるのか?姫路たちを誘拐したヤツの仲間が居るってことか・・。

 

根本の放送が続く―――。

 

《過保護からの伝言だ『ここは任せて、オヒメサマでも助けに行け』だとよ・・・連絡は以上だ》

 

それだけ言うと放送は切れた。放送が切れたと同時にバンと誰かが教室を飛び出していった。明久だ。慌てて後を追う。俺について、秀吉・ムッツリーニも出てきた。

 

「おい、明久!どうしたんだ!いきなり!!」

「遼平だ!」

「は!?」

「あの放送、遼平が根本君に頼んだんだよ!!」

「頼んだ?・・・・・!そう言う事か!!」

 

あの野郎・・・。コレがひと段落したら絶対ぶん殴ってやる。

 

俺達はすれ違う人達に注目されながら目的のカラオケ店へと急いだ。

 

 

 

 

 

「ムッツリーニよ、ワシは全く事がわからぬのじゃが・・・」

「・・・・心配ない、俺も分からない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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