申し訳程度のワンピ二次【完結】   作:安木ポン酢

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第五話 カナヅチ

 錯乱の極みと言うにはやや遠い心境だけれども、何か横に一歩ずれたような混乱が有った気がする。

 

 頭を押さえて、その場で床に蹲る。フローリングだ。ワックスでも掛けられたようにピカピカ光る木材の輝き。その光沢はそれを見る者に清潔感よりもまず余所余所しさを感じさせる。雑多な中に大雑把な許容性を持つ自然の大地とは正反対の性質をしていた。

 だけど、その無機質こそが私の過ごしてきた場所でもある。

 本能にまで馴染んだ空間に包まれて、ざわついた心が緩やかに和らいでいくようだった。この香り、この空気、全てが心地好い。というよりは、安心する。ゾンビに襲われたって平気なんじゃないか。

 何が来ても問題無いという心境。一生ここで暮らしていけるんじゃないかという心理。そんなものを感じながら、私は取り敢えず中途半端に残った煎餅に噛り付いた。

 

 数分もすると、冷静な思考をするのに十分な余裕が生まれてくる。

 袋をくずかごの中に放り込み、一息。後ろを振り向いて、その先に有る扉に視線をやる。何の変哲も無い平凡な扉だ。でも、私はさっきまで無人島に居た。

 気のせいじゃないし、夢でもない。無人島から、あれを潜ってこんなところにやってきたんだ。あの扉の向こう側は一体どうなっているんだろう。

 扉の前まで歩いていって、ドアノブに手を掛ける。手を掛けたところで、止まる。開けられない。物理的にではなく、精神的に。

 ひんやりとした金属の感触が私の腕に躊躇いを与える。なんで、とか、どうして、とか、そういう気持ちのごく浅い表面の部分だけを感じていた。つまり朝布団の中で目が覚めた時に、さあ起きよう、起きられない、ほら起きなきゃ、起きられない、みたいな事を延々繰り返しているような。

 迷いを振り切って力を込める。重要なのは勢いだ。

 

 扉が傾いて、最初に暗闇が見えた。

 自然の音が聞こえる。少し前までずっと聞いていた筈なのに、早くも気持ちがざわめいて落ち着かない。五分ばかり離れていただけでこれだ。人の創り出した環境というものに慣れ切っている。やっぱり私は生粋の現代人なんだなと思った。

 暗がりの傍に居るのが怖くなって扉をこちらに引き戻す。思いの外勢いが付いたのか、閉じた時に強い音が鳴って少しびっくりした。でも表情は動かない。眉一つ動かさないとは言わないけれども、驚きを顏で表現するだけの活力は無くなっている。思考に余裕は有っても、心にも余裕が有るという訳ではないらしい。

 

 玄関に上がって、部屋の中に踏み込んだら、何だかとても嬉しくなった。単純に嬉しいというのとはちょっと違う。思わずほっと息を付くような、だけど安心から来るものじゃない、何と言うか、妙に浮かれているとか、そんな感じのものだ。

 心なし表情も弛んだ気がする。テレビの向こうで今まさに活躍している、名前も知らない選手に向けるその場限りの心酔とも似ているかも知れない。多分全然違う。でも、何処かそんな気もする。明らかに共通点の無い事柄なのに、同じタイプの感情を抱いているように思えてしまうのはなんでなんだろうか。

 多分、距離が有るからだ。興味と認識が思考から離れたところにあって、深く考える必要が無くなっている。

 私の意識が深く考える必要の有る事柄に向かうのは自然な事だった。

 

 ここは一体何処なんだろうか。

 家族に連絡をしないといけない。

 二つの思考が心の中を渦巻いている。どちらか一方でも厄介なのに、両方合わさると対処に困る事この上無い。というより、片方がもう片方の邪魔をしている。勿論、邪魔しているのは感情の方だ。否が応にも心が乱れて、意識が一つに纏まらない。

 窓際まで歩いていって、備え付けの椅子に座る。ふかふかのクッションの感触に人の文明の気配を感じた。

 窓を開ける勇気は無かった。

 

 『BP』の帳簿が見たい。

 妨害を跳ね除けて疑問と向き合う。この状況で、『メニュー』が関わっていないとは思えない。知らない内にBPを使ってしまったんだとしたら、何が起きたのかを把握しておく必要が有った。

 見てみると、『シンプル・ホテル(24時間) 100BP』という風になっている。何となくそうじゃないかとは思っていたけれども、どうやら無意識にボーナスポイントを使っていたらしい。

 どうして、とは思わなかった。『メニュー』が勝手にこちらの思考に反応してしまう事が有るというのは知っている。多分私が色々と葛藤している間に、ある時意思レベルが制限を越えて反応したという事なんだろう。

 ――でも、じゃあ、なんで連絡の時は何も起こらなかったんだ?

 

 はっとなって画面を見つめる。だけど、そこに表示されている項目は先程と変わらず四つだけ。所持BP量にも変化は無い。つまり、正真正銘何も無かったという事だ。

 これは、おかしい。主観だけど、感情の強さで言えば連絡したいと思っていた時の方が明らかに大きかった。だから当然『メニュー』もそれに反応してしまう筈。だけど実際にはそうならなかったので、私の取り違えだったか、それかまた何か別の条件が有ったという事になる。

 条件とは何なのか。

 

 ――家族と連絡を取る方法を教えて欲しい。

 

 考えて分かるような事でもないので色々と試してみる事にする。

 まずは一番簡単に済みそうなものからと家族との連絡方法について手を出してみたんだけれども、いきなり衝撃の事実が発覚してしまった。

 なんと、物凄く高かった。具体的には一億円以上。画面にはそれなりに沢山の項目が並んでいるのに、一つとして100000BPを下回るものが無い。手紙を送るとか電話をするとか、念話とかいう不思議なものまで、全部六桁の数値がお供にくっ付いている。いくらなんでも、ぼったくりすぎじゃないのか。

 というより、不自然だった。『世界間転移(詩織宅)』が『102500BP』なのに、『世界間電話(詩織宅)』が『100010BP』なのはどう考えてもおかしい。この一億円は何処から来るのか。

 『世界間』って、何なんだ。

 説明を見ても世界を行き来すると書いてあるだけで詳しい事は分からない。世界を行き来するってどういう事だ。ブラジルから日本までひとっ跳びなのか。でもブラジルから日本に電話するだけで一億円も掛かるというのはちょっとおかしいと思う。広辞苑の事もそうだけど、『メニュー』の価格設定は本当に訳が分からない。

 

 『メニュー』を閉じる。収穫は無し。分かった事を用いて収穫を作るなら、BPが不足していたから反応しなかった、とかそんな感じだろうか。こじ付けとまでは言わないけれども、安定感の無い理屈だと思う。

 加えて、それが正しいとすると少々厄介な事になる。何故なら、私が何かを強く望んだ瞬間、BPが足りている限りにおいてそれを実行してしまうという事だから。今回はまだ規模が小さかったけど、無意識に数千ポイント使ってしまうかも知れないと思うとぞっとする。気を付けておかないと。

 ただ、本命の情報は手に入ったので良しとする。ひとまずこの場所がシンプル・ホテルの一室だというのは分かったので、あとはもう特に考える事は無いだろう。家族への連絡はどうするのかとか、問題は山程残っているけど、それは明日考える。今日はもういい。休みたい。私は十分頑張った。そろそろ休んだって罰は当たらない筈だ。柔らかいベッドが私を呼んでいる。

 

 疲弊した身体を引き摺って部屋の中をうろうろする。

 名前の割に、一通りの設備は整っていた。ドアを隔てて洗面所とトイレが有り、その対面にはシャワールーム。中を見てみると小奇麗な雰囲気で、十分な広さの湯船も付いている。

 蛇口を捻ると、お湯が出た。温かい。手の平に付いた細かい汚れが緩やかに洗い流されていく。手をそこから引き上げてみたら、綺麗な部分とそうじゃない部分とがはっきりしない感じで二つに分かれていた。

 ああ、結構汚れてるんだ。

 

 気付いたら、湯船に栓をしてお湯を溜めていた。いつの間にか三分の一程が満たされていて、その事を今になってやっと認識する。五分くらい意識を失っていたのかも知れない。それだけ疲れているという事なんだろうか。

 湯船の縁に掛けていた体重を外して浴室を出る。着替えを探しておかないと。

 タオルはすぐに見つかった。というより、すぐ傍に有る籠の中に畳んで置かれていた。下着もそこに有る。色気も飾り気も無いシンプルな作りだ。サイズが合うかどうかは分からない。最悪上は付けなくても何とかなると思う。

 着替えも用意されていた。殆ど布と言ってもいいようなものをそう呼べるのなら、だけど。服としての機能は売り物にしたら訴えられるレベルで、むしろ着ない方がましなんじゃないかとすら思えてくる。部屋の隅にはコインランドリーに有りそうな洗濯機と乾燥機が設置されているので、気分的に良さげではないけどジャージを洗って着直す事も視野に入れて、って。

 そう言えば、ジャージは何処に行ったんだろう。少し前まではずっと持っていた筈なのに。

 

 慌てて部屋を見渡すも、目当てのものは見つからない。片付いていると言うか物の少ない部屋なので、見落としているという事も無いだろう。何より、そのジャージをここに持ち込んだ記憶がそもそも無かった。

 部屋の出口に視線を向ける。もしかしなくても、あの扉の外に忘れてきたのか。今から探しに行くのは流石に嫌だ。それに、一度ここから出た後に戻って来られるか分からない。一〇万円をどぶに捨てるリスクを考えれば、ジャージの再利用は諦めた方がいいような気がする。明日の朝になったら回収して、戻れるようなら洗濯機に放り込むという風にしよう。

 色々考えていたら風呂の準備ができたようなので、身体の汚れを落としてくる事にした。温かいお湯で身も心もさっぱり浄化して、その後はのんびり食事を採って空腹を満たして、それからベッドでぐっすり眠ろう。意識すると、より一層全身の疲労も強まってくるかのようだった。

 

 浴室に戻って手早く裸になる。脱いだ服は洗濯機に入れておく。簡単な手順に従ってボタンを押していくと、低い唸り声を上げながら洗濯機が稼働し始める。こういうボタンが一杯付いているようなものは初めて使うので不安だったけれども、どうやら上手くいったらしい。風呂から上がる頃には無事に終わっている事だろう。

 戸をガラガラと押し開いてシャワールームに入る。空調は整っていて不快感は無い。ただ、少し肌寒かった。外に居た時とは全然違う。気温の問題だけじゃない。多分、気分の問題だ。

 シャワーに当たらない位置に屈み、赤と青の二つ有る内の赤い方の蛇口を捻る。すると、壁に掛けられたシャワーヘッドから勢い良くお湯が出てきた。最初から温かい。どうやら、射線から離れていたのは無駄な警戒だったと見える。愛すべき我が家はあまり新しい家じゃなかったので、こういうのは少し新鮮だ。

 

 とてもいい心地だった。

 全身の力が抜けていく。頭からお湯を浴びていると、身体の強張りが余すところ無く弛んでいくように感じられる。今日は特に疲れが多いからか、普段よりもその感覚が数段大きい。今にも膝から崩れ落ちそうだ。

 立っているのが辛くなって、湯船の縁に腰掛けた。何だか頭がぼうっとする。のぼせてしまったんだろうか。今日のところは、早めに上がった方がいいかも知れない。眠らないように注意しないと。

 

 身体の汚れを落とし、髪の毛の手入れを終えて、いよいよ命の洗濯をする時がやってきた。湯船のお湯に手を入れて温度を確認すると、適温から少し熱めくらいになっている。たまにはこういうのも悪くないだろう。そんな事を気にするよりも、お湯に浸かって早く疲れを癒したい。

 片足を湯船に突き入れて、その感覚に溜め息を漏らす。私はこの瞬間が好きだった。別に風呂好きという訳じゃない。だけど、膝から下がお湯に包まれて、その温かさが全身まで広がっていくイメージを頭の中で想像して、それでいつも喜んでいる。むしろ、実際にお湯に浸かっている時間よりも楽しみにしている節も有るかも知れない。

 頬が弛んでいるのを自覚する。今日は沢山大変な事が有って、踏んだり蹴ったりだったけど、そんな苦労の全てが今漸く報われたような気がした。

 ああ、気持ちいい。

 流れるような動きで太腿まで足を入れ、縁に手を掛け、ゆっくりと腰を下ろし、くたりと湯船に身を委ねて、

 

 

 

 そのまま滑り落ちる。

 

 

 

 え、という声も出なかった。

 そんな時間は無い。

 一瞬の出来事。

 お湯に沈む。

 顔が熱い。

 息ができない。

 早く起きなきゃ。

 できない。

 力が入らない。

 なんで。

 苦しい。

 起きてよ。

 足が滑って。

 上半身だけでも。

 手が。

 抜けた。

 やった。

 何か掴むもの。

 無い。

 探せ。

 何処かに。

 急いで。

 息が。

 苦しい。

 持たない。

 早く。

 縁。

 見つけた。

 そのまま。

 上がれない。

 どうして。

 何やってんだ。

 早く上がれ。

 あ。

 無理。

 力が。

 抜けて。

 滑る。

 戻ってきた。

 駄目だ。

 もう一回。

 もう。

 持ち上がらない。

 やばい。

 きつい。

 熱い。

 息が。

 吐くな。

 吐いたら余計に苦しく。

 限界。

 我慢できない。

 漏れた。

 少し楽に。

 良かった。

 良くない。

 また苦しくなって。

 駄目だ。

 堪えろ。

 どうにか。

 ああ。

 また漏れた。

 苦しい。

 もう楽にならない。

 もう無理。

 耐えられない。

 死ぬ。

 誰か。

 助けて。

 鼻に。

 痛い。

 肺に水が。

 咳。

 空気が逃げ

 あ。

 あ、

 たすけて。

 しぬ。

 たすけて。

 しぬ。

 しぬ。

 しぬ

 

 

 

 唐突に、身体が軽くなった。

 無我夢中で身を起こし、バランスを崩して滑り落ちる。衝撃で肩を打って、思い切りお湯を飲み込んだ。

 気持ち悪い。

 そういう感覚に意識を向けられる程度には、肉体面での余裕が有る。手を上に伸ばすと、肘の先までが空を切った。そう思った次の瞬間には、二の腕の辺りにまでひやりとした感覚が走り始めている。

 お湯が減っている。

 腕に違和感。

 チェーンが巻き付いている。

 栓が抜けていた。

 

 湯船の底に手を突いて力を込める。力が抜けない。力を込める事ができている。寝転がった状態から起き上がって、それから思い出したように激しく咳き込んだ。視界が涙で滲んでいる。恐怖でそうなってる訳じゃない。正確には、恐怖を感じる心の余裕が無かった。

 凄まじい衝撃だった。パニックになるとか、そういう次元の話じゃない。心が何かを感じるには考える時間が必要なんだと知った。昼間の時とは方向が違う。あの時に戻るのは絶対に嫌だけど、今の苦痛をもう一度味わうのも同じくらい嫌だ。もしどちらかを選べと言われたら、私はどちらも嫌だと答える。

 

 上半身が空気に晒され、膝が浮かんで太腿が見え、やがて湯船が空になった。

 緊張が弛んで、そのままずるずると体勢が崩れていく。身体が鉛のように重い。背中が湯船の底に張り付いたまま動かなかった。

 ずきずきと割れるように頭が痛む。目を開ける気力も無い。ただ身体が酸素を求めているから、何とか呼吸を続けている。だけどそうやって取り込んだ僅かな酸素が、その呼吸に使う体力に消えていっているような気がした。

 数分経って人心地付いても、失った体力は戻らない。瞼を閉じて身体を投げ出して、眠る訳でもなく時間が過ぎるのを待っている。でも、このままでいたら風邪を引いてしまう事も分かっていた。

 上体を起こして両腕を湯船の縁に掛ける。そのまま立ち上がろうとして、だけどそれが上手くいく事は無かった。体重を支えられない。もしくは、支えるのが億劫になった。脇の下に抱え込むような形で、膝立ちのままぼうっとしている。

 髪の毛先から滴り落ちた水滴がタイルにぶつかり、弾けて消えた。

 

 

 

 どうにかシャワールームから這い出した時には、心身共に憔悴し切った状態だった。

 裸のままでいる訳にもいかないので、着替える。布の服に袖を通すだけの動作が辛い。膝が震えている。二の腕に鉄の棒が埋まっているような錯覚が有った。

 着替えを終えて、浴室を出る。ふらふらと部屋の中を歩いていき、そのままベッドに倒れ込んだ。視界が一気に暗くなって熱くなっていた思考も徐々に冷めてくる。さっきのあれは、何だったんだ。あの時、私の身体に一体何が起こっていたというんだろう。

 あの、全身の力が抜ける感覚。あれはどう考えても、ただの疲れでなるようなものじゃなかった。単に力が出ないのとは違う。敢えて言うなら、空回りだ。込めた端から、力が外に吸われているようだった。

 つまり、まともじゃない。

 じゃあ、その理由は何だ。何が原因であんな訳の分からない事が起こってしまったんだ。良くないものでも食べたのか。変な病気にでも罹ったのか。一時的な症状なのか、ずっと続くものなのか。続くとしたら、それは発作のようなものなのか、それともアレルギーのようなものなのか。悪化したらどうなるのか。

 治す事が、できるのか。

 

 ……いや。違う。そんな事が有る訳が無い。

 冷静になって考えてみろ。そう簡単に、いきなり病気になんて罹る訳が無いじゃないか。そんな風に決め付けるには早すぎる。早とちりだ。見当違いも甚だしい。

 そうだ。

 さっきのも、きっと何かの間違いだったんだろう。力が入らなかったというのも、どうせ、気のせいに違いない。ちょっと焦っていただけだ。ただの疲労を別のものと勘違いして、勝手にパニックを起こしていただけだったんだ。

 そうと決まれば、もう一度風呂に入り直そう。あんな事が有ったせいで、随分汗を掻いてしまった。髪の手入れもしなきゃいけない。さあ早く起き上がって、それから風呂に――

 

 ――できるのか、それが?

 

 シーツを掴む。新品のようで、きちんと引き伸ばされていてとても掴みにくい。毎日使っている家のものとは違う。それが奇妙な程に落ち着かなかった。

 息ができないという恐怖。もがく事しかできないという無力感。

 想像するだけで震えが走る。比喩じゃない。指が勝手に動いていた。抑え込もうと思っても、いや、そう思えば思う程震えが強くなっていく。

 怖い。怖くて堪らない。吐き気がする。心臓の音が頭の奥で鳴っている。風呂に入ったら、また力が抜けるんじゃないか。湯船に入ったら、また溺れてしまうんじゃないか――極めて分かりやすい形で死に近付いた経験は、私の中で殊の外大きな不具合となって現れていた。

 

 

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