城下町のダンデライオン-ちょっと変わった生活-   作:ダラダラ

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少し、サボっていました、ダラダラです。
久しぶりに開いてみると、嬉しいことにお気に入りをしてくれている方がたくさんいらっしゃった!
ありがとうございます!
投票をしてくれている方も感想を書いてくれている方もいらっしゃって、とても嬉しい思いです。


では、第三話目です!
今回もアニメ沿いです。ですが、漫画の第一巻最後にある話も結構好きですので、いつか漫画もやりたいと考えております。
また、長文になりましたが、最後までご覧いただけると嬉しいです!よろしくお願い致します!


第3話 ダンディ君より櫻田家の方が危険

「桜華高等学校対涼宮高等学校の練習試合を終了とします!礼!!」

 

「「「「ありがとうございました!!!!」」」」

 

青く綺麗に晴れた空の下

日曜日の昼を少し過ぎた頃、俺たち桜華高等学校サッカー部のグランドでは、先程まで涼宮高等学校との練習試合が行われていた

涼宮高等学校は、この国でも実力を持つ名門高校で俺たちの高校とは何度も競い合ってきた

そして、現涼宮高等学校の監督を勤められている高梨(タカナシ)監督と橋谷監督は昔ながらの知り合いらしく仲が良い為、よく練習試合を組んでいた

 

「いや~今回は負けてしまったよ。だが、夏のIH(インターハイ)予選では涼宮が勝つのでそのつもりで…!」

「ははは、何を言っているのかな~?桜華が勝つに決まっているであろう…!」

「「ぐぬ~…!!」」

バチバチッ!!

 

…喧嘩するほど仲が良いと言うしな…うん…

 

「また、監督たち喧嘩してんのか…?こりねぇなぁ…」

「高校時代からの仲なんだってね」

「仲は仲でも犬猿の仲だがな」

 

試合が終わってタオルで汗を拭きながら、遠くで監督たちの様子を見ていた俺に琢磨・翔・孝也の3人が近づく

ちなみに今週に行ったこの試合のための紅白戦の結果、俺・琢磨・翔・孝也・洋平・雅・英二の7人はそれぞれ自分が担当するポジションで出場することができた

そして、先ほど終わった練習試合の結果は、3対1でたちの勝ちに終わった

だがそれぞれ思うところはあった

 

「くっそぉ、今回の試合で俺がシュート打てた回数は3回は合ったのに決まらなかったり、取られたりしちまった…」

 

琢磨はスポーツドリンクを自棄酒(ヤケザケ)だ!と騒んで飲む

 

酒じゃねぇし

 

「でも、1本シュート決めたじゃない?惜しい場面もあったしさ」

「あれは、蓮斗がゴール下までボールを運んで、俺にパスをくれたゴールだぜ?蓮斗のアシストがなければ打てなかった」

 

翔がフォローするも俺のアシストで決まったゴールに納得がいかないらしい

 

「何言ってんだ?馬鹿。俺はMF(ミッドフィルダー)で、お前はFW(フォワード)。FWはゴールを決めることが仕事だろうが。FWに必要なのはチャンスを確実に決めること。そう言ってたのはお前じゃないか」

「そうそう、俺だってFWで今日1点決めることができたけど、その1点も蓮斗のアシストのおかげだが、俺は決めることができてすっげぇ嬉しいぜ?」

 

俺と孝也の言葉に琢磨はそうか…そうだよな…と納得した

 

「なぁ!この後、昼食みんなで食べないか!?今日の試合のことについて、いろいろもっと話したいしよ!!な!?」

「俺は大丈夫だ」

「俺も俺も~」

「そうだな、なら、洋平・英二・雅も誘わないか?みんなで反省会だ!」

「「「おぉ!!」」」

 

俺も翔も琢磨の誘いに賛成し孝也の提案で他に試合に出てた3年の3人を誘って昼食を取ることになった

そして、涼宮高等学校の生徒が帰っていき部内での反省会が終了し、部活を終えた

 

 

 

 

「俺、がっつり食いたい!!」

「運動した後は、がっつり食べないとな~」

「俺もう腹ペコで死にそう…」

 

琢磨・雅・洋平の3人が口々に要望を垂れる

 

「反省会するなら、長居できる所が良いよね」

「ファミレスが無難かな?」

「そうだな、話もゆっくりできるし、紙に書いたりするのにテーブルが広い方が良いしな」

 

翔・英二・孝也の3人が意見を述べる

俺は後ろから二手に分かれている考えと言葉に、唖然として笑う

そして、俺たち7人はファミレスへと到着する

 

席に案内された後、メニュー表を全員で見る

昼時を少し過ぎていた時間のため、7人が座れる席を確保できたことはよかった

 

そして、男子高校生の大量の注文を言い終え、俺たちはドリンクバーから取ってきた飲み物で一息を付く

 

「はぁ、やっぱ、試合の後はしんどいなぁ」

「あぁ、まだまだ体力がダメだな」

 

琢磨と孝也の言葉にみんなが賛同する

 

「でも、もうすぐ最後のIH予選が始まるな」

「あぁ、絶対、今度こそ、全国で優勝してやる!」

「去年の二の舞にはならねぇ!」

「あぁ、必ず勝って、全国の頂点に立ってやる!」

「うん!」

 

英二・雅・洋平・俺・翔と、もうすぐ行われるIH予選に向けて闘志を燃やす

それはもちろん、琢磨・孝也もそうだ

俺たちサッカー部は全員で必ず優勝してみせる!

 

「それに、俺たち3年にとっては最後のIHだ。絶対悔いは残したくねぇ!」

孝也のリーダーらしい言葉に全員を鼓舞する

 

 

 

その後、大量の料理が運ばれてきて、一旦は食べることに集中していたのだが…

 

『皆さん、こんにちは!』

 

突然、一番俺たちが見やすい位置にあるテレビが、大音量になって流れた

その音量の大きさに俺たちは、驚き全員の肩が跳ね上がった

 

「ビックリしたぁ~…」「急になんだよ…」

 

翔と琢磨の言葉が重なり全員がテレビの方を見る

 

『なんと"今週の櫻田ファミリーニュース"は、王家ご兄弟全員に来ていただいております!』

『皆様、よろしくお願いいたします!!』

 

「なるほど…これが始まったから、店員が音量を上げたんだな…」

「そういえば、今日の放送は、生放送TV中継の特別編らしいな」

 

孝也と英二が納得したようにつぶやく

テレビの内容は俺の幼なじみである王家9人兄弟姉妹がテレビに出演するという貴重な番組である

テレビの音以外何故か周りが静かであることが気になり、周りに目を向ける

 

「なぁ、全員、ご飯そっち退けでテレビに釘付けだな…」

「店員もだ…あっちでウエイトレスもコックもみんな座って、コーヒー飲んでるぞ…なんか、一人だけ"栞様LOVE"って書いたうちわ持っている人いんだけど…」

「つーか…仕事は?」

 

俺の言葉と同時に周りを見た洋平と雅は、どうどうと座ってテレビに釘付けとなる店員に呆れてしまう

そして、再びテレビへと視線を向ける

 

『本日は、あるゲームに挑戦して頂き王家ご兄弟に備わっている能力を披露して頂こうと思います!』

『そのゲームとは…"危機一髪ダンディ君を救え!"屋上に取り残された人々に見立てた人形・ダンデイ君。それを制限時間内に多く回収し、下に用意した籠に入れて頂くというシンプルなルールです!』

 

確かにシンプルだけど…こんな大掛かりにテレビ放送する必要があるのだろうか…?

 

俺は心の中で小さく呟いた

表立って言うと、このレストランに居る全員から睨まれそうな気がするので…

 

その後、国王からのメッセージが入り、一番成績の悪い者にはお城のトイレ掃除をさせるということだった

 

トイレ掃除って…本当に、なんでテレビ放送しているのか、わかんなくなってきた…

たぶん、いつも身近に居るから、そう思っているんだと思うが…

 

 

 

「僕はこのビル登ります!!」

 

ゲームがスタートし、最初に動いたのは3男の輝だ

ビルの屋上へ行くため、輝が持つ怪力超人(リミットオーバー)の能力を使って上っていく

しかし、あまりの怪力に上っていたビルの壁が壊れ、落ちてしまう…

 

「輝のやつ、力の加減ができてないな…」

「そっか、お前って確か、王家9人兄弟と仲が良かったんだっけ?」

 

俺が輝の様子に心配していると、英二が俺と王家9人兄弟の関係について問う

 

「あぁ、まぁな。家が近所で小さいときから一緒だから幼なじみみたいな関係だと思う」

「なんだよ、そのあいまいな返答…でも、王家のご兄弟と幼なじみとか、羨ましい奴め!」」

「いいよな~俺も茜様とお近づきになりたい!!」

 

俺の答えに、孝也がツッコミを入れるのだが、突然、琢磨が叫びだす

俺は、は?と言ってしまうが、それには納得といった風に翔も洋平も雅も孝也までもが頷き話に乗る

 

「琢磨と一緒なのがちょっと嫌だけど、俺も茜様がタイプかな~」

「何言ってんだよ、奏様の方が良いって!あのスタイルと長女の葵様に引けを取らないほどの優しい笑顔としっかりした性格…たまらんですな!」

「キモイぞ、洋平…俺はタイプで言うなら光様かなぁ~年下だけど、ちょっと天然なところが良い」

「お前もキモイぞ…俺は岬様がタイプだわ~分裂したときのスポーツが万能なところが良いな。一緒にスポーツができそうだ!」

 

俺は友人として今まで一緒に居てきた仲間の言葉を聞き、驚きのあまり言葉が出なかった

 

「何言ってんだよ!茜様の恥らう姿に勝る者はない!!」

「そうだそうだ!!」

「あほか!しっかりした聖人君子のような奏様が一番良い!!後、スタイル!!」

「お前、本当は性格よりスタイルの方だろ!!」

 

琢磨に便乗する翔、そしてそれに対抗する洋平とツッコミを入れる雅

しばらく、それぞれ好きな王家9人兄弟の話が続き、ようやく動くことができた俺は全員の白熱しかけている語り合いを中断する

 

「ちょ、ちょいちょい待った…お前らそんなに王家の人たちが好きだったのか?いや、確かに国民が王家を支持することは良いことなんだけど…なんかもう、芸能人のファンか!?」

「何言ってんだよ、俺たち全員、それぞれ好きな方々のファンクラブ会員だぜ?」

 

またしても、驚きの事実に直面する

寝耳に水とはこういうことかと少し冷静に考えてしまった

 

どうやら、琢磨と翔は三女の茜に、洋平は次女の奏に、雅は五女の光に、孝也は四女の岬が好みらしい…

そこで英二が居ないことに気付く

 

「…まぁ、良いんだけど、教えてくれても良かったじゃねぇかよ…それより、参加してなかったけど、英二はファンとかないのか?普通に知らん顔でテレビ見てたし」

「ん?あぁ、俺は、興味ないからな」

「英二はずっと、真希(マキ)ちゃん一筋だからね」

「あぁ、なるほどな…」

 

翔が話した理由から俺は英二が参加しなかった理由を理解した

それは、中等部の頃から付き合っている同じ学年で英二と一緒のクラスの女の子しか目がないからだった

 

「そんじゃぁ、みんなそれぞれ好きな奴に投票してんのか?」

「いや、俺は葵様にいれてるぜ」

「…はい?琢磨は茜が好きなんじゃなかったのか?」

 

琢磨の言葉にみんな賛同し、全員が葵に国王選挙は投票しているそうだ

 

意味が分からん…

 

「確かに俺は茜様がタイプだぜ?ファンクラブにも入ってるしな~だけど、国王にふさわしいと思える方は葵ちゃんだからな。だから、選挙には葵ちゃんに投票してる」

 

琢磨はもぐもぐとハンバーグを食べながら語った

それに唖然としてしまうが、他の全員も琢磨と同じ意見のようだった

 

「それに、葵ちゃんは俺たちと同じ同学年だしね?応援したいからな!」

 

翔もまた笑顔で答えた

 

「お前らって…意外とまともなんだったんだな…特に、琢磨と洋平と雅」

 

「「「っおい!!」」」

 

3人が身を乗り出して盛大にツッコミを入れる姿に俺たちは笑った

 

「でも、葵が好みの奴はいないのか。投票してくれるけどタイプじゃないって聞いたら、あいつ絶対苦笑いしそうだ」

 

まぁ、葵はもともと選挙には乗り気ではないけどな

 

「当たり前だろ~お前の近くに居て誰が葵様がタイプです!なんて言うかよ!言わないんじゃなくて、言えないだろう奴はいると思うけど…」

「そうそう、特に3年の奴らはな~」

「え?俺?」

 

すると、洋平と雅が説明するのだが、原因はどうやら俺にあるらしい

なぜ…?

 

 

「なんだよ、自覚なかったのか?幸せなやつめ…お前、ずーっと、葵様と一緒だろ?だから、葵様のことが好きな奴がいても誰も表立って言えないんだよ。俺たちは違うけどな~葵様と同じ学校って知ったときでも、すぐ隣にはお前が居たからな~」

「俺が隣に居るからタイプじゃない…ダメだ、意味が分からん…」

 

孝也がさらに詳しく説明するが、俺の頭の上ではずっと?マークが飛び交っている

 

「はぁ、鈍感ってすごいよね~葵ちゃんと蓮斗がずっと一緒であんな仲良く周りでされたら、誰も手を出そうとは思わないでしょ…?」

「言うなれば、お前は葵ちゃんのボディーガード…いや、番犬だ!!」

「なんで、人間だったのにやめた!?なんで、犬になってんだよ!!?」

 

最後には翔から鈍感と言われ、琢磨には番犬と言われてしまう俺って一体…

他の4人にも同感だと言わんばかりの表情をされる

 

 

「ってか、テレビ全く見てないな…お前ら…」

「すっかり、忘れてた…茜と修と遥だけだな、動いてない奴は。あれ、葵と栞、光、岬が見当たらない」 

 

その時、英二の言葉で全員がテレビに視線を向けるが、それまで話に夢中になっていたため、全く流れがつかめない

その様子にため息を吐いた英二がそれまでのあらすじを説明してくれた

 

「輝様が最初に行った後、光様が生命操作(ゴッドハンド)の能力で近くの木を成長させて屋上に一番乗りだと思われたんだけど、木が伸びすぎて木の上で今もいらっしゃる…」

 

「光…何やってんだあいつ…」

 

英二の解説中、木の上で泣き叫んでいる光が映し出された

光の能力は24時間経たないと元に戻らないから、ゲームが終わるまでずっとあのままになってしまう

 

「そんで、その後に、奏様が動いて、まぁ、奏様は物質生成(ヘブンズゲート)の能力を使って、ドローンみたいな物を生成して、機械にダンディ君を取ってこさせているみたいだな。そして、岬様が感情分裂(オールフォーワン)の能力で7人の分身を作って、ビルの中へ入っていった。栞様と葵様は、栞様が物体会話(ソウルメイト)で消火栓と会話?して、近道を聞いたんだけど、栞様には分からなかったらしい。そこで、葵様が完全学習(インビジブルワーク)で覚えていたビルの構造からその近道を理解し、一緒に今、上っていらっしゃるところだよ」

「なるほどな~分かりやすい説明サンキュー!」

「ファンなら見とけよ」

 

琢磨の言葉に英二の鋭いツッコミが炸裂する

何も言えない一同

 

「にしても、本当に個性的な一家だよね~」

「ある意味、最強だよな」

「…実に同感だ、俺はずっとそれを感じてるからな…もう慣れたけどよ」

 

翔と孝也に俺は至極共感してしまう

その時、面倒くさそうにしていた長男の修が動き出す

 

修は自身の能力、瞬間移動(トランスポーター)を用いて、一瞬で屋上へと到達してしまう

 

「修様の能力が一番、このゲームで有利だよな…あの能力たまに羨ましく思うときがある…」

「一瞬で地球の裏側までいけるからな」

 

おそらく、どの兄弟よりも早い時間で屋上へと到達する修の能力に、洋平と雅が唖然とする

 

「このゲームでは確かに修様が有利だけど、茜様の能力も十分有利だよね?だけど、さっきから全く動きがないね」

 

翔があることに気付く

そう、茜の能力、重力制御(グラビティコア)を使えば空中を飛んですぐに屋上へいけるはずなのだが、さっきから動く気配がない

 

まぁ、予想は付くけどな…

 

「たぶん、茜のことだから目立ちたくないんだと思う。下に居てもテレビに映ってるし、観衆の目は回りにたくさんあるから意味ないと思うけど…」

「あぁ、恥ずかしいのか」

 

俺は苦笑いを浮かべながら、テレビの向こうでテレビから隠れようと必死な茜を見ていた

そして、遥はあまりこのゲームに興味がないようだが、能力を使い出したようだ

遥の能力は確立予知(ロッツオブネクスト)であり、あらゆる可能性の確率をパーセント形式で予知できる

遥が予知するのはこのゲームの勝率だ

遥自身はすぐに屋上へいけないものの、茜と協力すれば勝率は格段に上がると踏んだのだろう

テレビの向こうで茜と遥がなにやら会話をしていた

そして、茜は遥の言葉にようやく動き出し、二人で茜の能力を用いてビルの屋上へと目指す

 

「やっと、茜様と遥様が動いたみたいだけど…」

「うん…」

「なんか、遅くね?」

 

孝也、翔、琢磨がテレビを見ながらツッコミをつい入れてしまうのも当然である

茜の能力を使えば、一気に屋上へいけるはずが、茜はやたらとスローで上っている

 

何やってんだ、あいつ…?

「あ、もしかして…」

 

俺は不思議な茜の行動になんとなく気付いた…

なんでスカートなんだよ、あいつは…この前、登校の時で懲りとけよ…ったく…って…!!

 

すると突然、一緒に飛んでいた遥が急に茜のお尻を触った

それには一同全員が驚いた

 

「「「「「「「っ!!!!?」」」」」」」

 

その瞬間、茜はパニックになり能力が暴走し、あちこちに飛び回る

一瞬で屋上へと到達したが、茜の勢いは止まらず屋上でダンディ君を拾っていた輝にぶつかりそうに…!!

 

「っ!!輝!!」

 

俺は思わず立ち上がって叫ぶ

その時、輝の危機を救ったのは修だ

修は輝と共に瞬間移動で窮地を逃れた

 

「っ!!はぁ~…良かった…怪我はたぶんなさそうだな…あっ…」

 

全員がテレビを凝視しながら唖然となり、手に持っていた箸やホークなどが滑り落ちてしまう

 

どうやら修が手に触れたものは、輝だけではなく…あるものも触っていたようだ…そして、それと一緒にどこかへ消えた…

 

「いやぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!」

 

茜のパンツが公衆の面前で曝け出された瞬間だった

修は茜が履いていたスカートとストッキングと一緒に消えたようだった…

 

茜の悲痛がテレビを通して響き渡った

それと同時に観衆の歓喜の声と、

 

「茜様ぁぁぁ!!」

「うぉぉぉ!!!」

 

等と言う琢磨や翔など仲間の歓喜の声…

 

「俺絶対、茜様に票入れる!!」

「俺も俺も!!」

 

そして、洋平と雅が茜へと移り変わる瞬間だった

 

さっきまでまともな奴だったのかと思い直したけど、訂正しよう…やっぱり、馬鹿だった…

 

そこで冷静な英二の言葉が、

 

「今、Twizzer(ツッイザー)の検索ワードで一番になっているの、"茜様 下着"なんだけど…」

「茜…終わったな…」

 

俺はテレビの奥で泣き叫ぶ茜にご愁傷様…と思いながら、もうすでに冷たくなってしまったポテトを齧る

 

 

 

 

 

 

夕方、みんなと解散して俺は帰路を歩いていた

今日あったテレビ、“櫻田ファミリーニュース”のことを思い出す

あの後、茜の突然の事故でテレビは中止となった

ゲームの結果、1位は修で最下位は恥ずかしさで死に掛けた茜と木の上で何も出来なかった光の二人となり、城のトイレ掃除はこの2人が行うことになったようだ

遥はちゃっかり一つゲットして籠に入れていたようで、最下位にはならなかった

 

俺にとっては呆れそうになるテレビだったが、映っていたのはこの国の王家のご兄弟

 

「王家のご兄弟と幼なじみとか、羨ましい奴め!」

 

今日、孝也に言われたこの言葉を俺は幾度と言われてきた

その度に、そうか?って思うが、確かに羨ましい立場にあると客観的に思う

 

 

だけど、俺はどんなに側にいても立場は大いに違う

今日のことが良い例だ

偶に俺は思い浮かべてしまう言葉…“身分違い”

 

テレビの向こうで活躍する9人と、それをただ観ている俺と身分の差は大きく異なる

いつも一緒に居るのにどこか遠い存在な彼ら…

寂しいわけではないと思う、俺にだって仲間がいるのだから…

だけど、それでもふとした瞬間に考えてしまう

 

 

 

夕暮れの中、住宅街の道を考えながら歩いているといつの間にか家へと着いていた

休日のため、今日は家の明かりが点いている

 

2人とも今日は休みって言ってたもんな…

 

気分を切り替え、家の柵に手をかけて中へと入ろうと…させてくれないみたいです…

 

ジーッ・・・

「グスッ…うっうっ…」

 

俺の後ろからどうも視線を感じる

無視しても良いのだが、無視すると俺の部屋の窓を蹴破って入って来そうな気がする…

ので、俺の後ろ、向かいの櫻田家の2階のある一室を見上げる

そこには、鼻から上だけが見える赤い髪をして、今にも泣き出しそうな茜が見ていた

 

「はぁ〜…」

 

ガチャッ

「蓮、ごめん。茜のとこに行ってあげてくれないかな?」

 

その時、櫻田家のドアが開き、葵は俺がいることに気付いていたように両手を合わせながら、申し訳なさそうに俺へと問いかける

つまり、俺に茜を慰めろということらしい…

これもいつものことだけどさ…なんで俺…?

 

 

「へいへい、分かりましたよ…取り敢えず、ご飯とシャワーだけ済まさせて。すぐに行くから」

「うん、お願いね」

 

 

そして、俺は家の中へ入って先にシャワーを浴び終えてリビングへとご飯を食べに向かう

 

「ったく、あんなことになりたくなければ、スカートで行かなきゃ良かったのに…」

 

半ば呆れながらも俺は何故か笑っていた

何故だろうか、さっきまで重かった心が今は軽くなった…

 

「あら、何か良いことでもあったの?」

「ん?いや、何でもない。あ、母さん、この後、向かいの家に行ってくる。茜に呼び出された」

「あらそう。あんまり長居しちゃダメよ~」

「そうだ、五月さんにこれ渡してくれないか?いつもお前がお世話になってるからな。田舎のお袋が送ってくれた野菜なんだが多くてな。俺たち3人じゃ食べきれないだろ?だから、よろしく」

「わかった、一緒に持っていくよ」

 

父さんから指差された先を見ると段ボールにたくさん入った野菜たちだ

父さんの実家は野菜を作っている農家で、偶に送ってくれる

その量は毎回大量のため、向かいの櫻田家へ持っていくこともいつものことだった

 

「いってきまぁす!」

 

ご飯もシャワーも済ませ、ラフな格好で、俺は野菜を袋に入れて持って行く

 

「あら、蓮君。毎回悪いわね~茜~蓮君来てくれたわよ~」

 

櫻田家に入ると、五月さんが迎えてくれる

 

「あ、五月さん、これ、父さんと母さんから。また、爺ちゃんと婆ちゃんが送ってくれたみたいなんだ。だから、お裾分けで、渡してくれって」

「あら~!毎回ごめんね?ありがとう!美味しく頂きますって伝えてね!」

 

そう五月さんと話しながら、リビングのドアを開けた瞬間

 

「蓮兄ぃぃぃぃ!!!!」

「ぐはっ!!」

ドンッ!!

 

物凄い声と勢いで茜が俺に飛び込んできた

普通、嬉しいシチュエーションの筈なんだが…

茜は能力を使って飛び込んできたので俺は受け止めきれず、廊下の壁に激突、そして激痛

 

気絶寸前だ…

 

「蓮君!もう、茜は!」

「ご、ごごごめん!蓮兄!!」

「蓮!」

「あ、蓮兄、死んだ」

 

五月さん、茜、葵がそれぞれ心配してくれるが、修はテーブルの椅子の背に手を掛けながら、物騒なことを言う

 

「死んでねぇわ!っつ~痛ぇ~」

「ごめんね、蓮兄…」

 

茜は横に座り後頭部を摩る俺に申し訳なさそうに心配そうな表情で覗き込んでくる

俺は思わず痛みも忘れ、その顔を凝視してしまう

 

「…」

やっぱ、茜って葵と似てるよな~特にこういう時の表情…

 

「え…?蓮兄…?」

「あらあら~」

 

俺が凝視をし過ぎたようで恥しがり屋の茜は顔を真っ赤にしてしまった

五月さんは何故か楽しそうだ

 

それより気になることが一つ…

なんか修に睨まれている気がする…それより、すごいのが、葵の周りから冷気が出ている…すっごい、冷たい視線だ…!!なぜ!!?

 

突然、機嫌を損ねてしまった葵に冷や汗がダラダラと流れる俺

 

 

 

 

 

 

「何でこんなところで話してるの…?」

 

と、そこに現れたのは、風呂上りらしい奏であった

そして、俺は何とかリビングへと入ることができた

 

「蓮兄上!今日のテレビをご覧いただけましたか!?」

 

リビングに入り、機嫌が戻った葵が入れてくれたお茶を片手にソファーに座ると、輝が俺の隣に座り俺の膝に手を乗せて身を乗り出す

 

「あぁ、輝の活躍はちゃんと見たよ」

「見たの!?」「ありがとうございます!!」

 

輝との会話に突然入るのが後ろに居た茜だ

 

「まぁな、一部始終、ファミレスで琢磨とか翔とか、サッカー部のメンバーで見てた」

「い、一部…始終…」

 

茜は今日の悲惨な出来事にガクリと膝から崩れ落ち落胆する

 

「栞も頑張ったな」

「…うん」

 

茜のことは放置しといて俺は近くに立ち、ダンディ君を抱えている栞の頭を撫でる

栞は嬉しそうに答えてくれたことに俺の心は安らぐ

 

「蓮兄は、本当に栞と輝が好きだよね」

 

その時、ソファーで読書していた遥が、本を読むことを中断して俺に目を向ける

俺は遥を見てあることを思い出した

 

「あ、そういえば、遥。お前、今日、茜にセクハラしてたな」

「…はっ!!?」

「「「「「「「っ!!?」」」」」」」

「…」

 

俺のニヤニヤとからかうように笑いながら言った言葉が、櫻田家の動きを止めてしまう

遥は一拍おいて盛大に顔を赤くし叫び、茜は赤くなるものの何も言葉を発せなかった

思い当たる節があるということか…?

 

「ちょっと、遥!どういうこと!!?」

「っちょ、岬、誤解だって!落ち着いて!!」

 

岬が一番に食いつく

双子の兄に溺愛している岬だからな

 

「は~る~か~、貴様~…!!」

 

そして、今度は茜を溺愛している修が遥に襲い掛かる

 

「ちょっと!誤解だってば!茜姉さんが勢いよく飛ぶと、下着が見えてしまうって言うから、俺が抑えて、早く屋上に行って貰おうとしただけだって…!」

「あぁ、やっぱりそうだったのか。まぁ、それは逆効果になってたけどな」

「気付いてたんなら、言わないでよ!!」

「いや、面白かったから」

 

遥は未だに岬と何か言い争っていたが、俺はそれに飽きたので、栞と一緒にテレビを見ることにする

そして、後から夕飯の洗い物か何かを洗っていた葵が俺の隣に腰掛け、栞は葵の膝の上に座っていた

 

「…たまに思うんだけど、姉さんと蓮兄さんと栞がそうやって座るとさ…まるで子持ちの夫婦みたいに見えるんだよね」

「ぶっ!!何言ってんだよ、奏!!」

「…」

「?」

「あぁ、俺も偶に思ってたよ、それ」

「修まで…!」

 

この双子め…!

 

奏と修がテーブルの椅子に座り、前にあるソファーにいる俺たちにとんでもない発言をする

俺は一気に顔を赤くし、葵は俯いているが、耳が赤くなっていることが見て取れる

しかし、それを見てしまったことがいけなかった…

 

カァッー・・・

さらに俺の顔は赤くなる

 

至って普通なのは、分けのわからないという顔をする栞だけだった

 

その後、お風呂に入ると葵は言い、栞と共に行ってしまった

 

そんなに嫌なのか!!?

 

葵の行動にそう思ったのだが、周りに俺の表情から考えを察したようで、何故かため息を吐かれた

 

「(この二人がくっつくのっていつになるのかしら…?)」

「(蓮兄って、すごく周りのことに気付くのに、自分のことには鈍感だよね…)」

 

茜と奏の心の声を俺は知らなかった

 

 

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