クラス丸ごと異世界漂流記~神と勇者と禁断の果実~ 作:レイブラスト
(え、何で? 俺別のこと言おうとしたのに!?)
突然のことに混乱するが、そこで駆紋戒斗が言っていた「俺が貴様の代わりに、奴らに声を届けてやる」という言葉を思い出した。
(あれってこういうことだったのか! てことはあれは幻覚じゃなかった? いやそんなことより、今は―――)
「……あ? んだテメェ? 勇者様に向かって随分偉そうな口をきくじゃないか」
チンピラ同然に迫ってきた大山をどうにかしないとな。……言うのは俺自身じゃないけど。
「そう言う貴様達こそ偉そうだな。自分達以外の強者と出会わず、自らを強者と勘違いした弱者以下のクズの癖に」
「おいおい、聞いたか裕哉、絵美理。俺達が弱者以下だとよ」
「何ともまあ面白いこと言っちゃって」
「ああ、全く………………調子に乗るなよ?」
言うが早いか、柏木達3人は光と共に服装をドラクエの勇者っぽいもの(深田のみ戦士)に変化させ、剣を構えた。
「何やってんだお前等!? おいアンタ、早く逃げ「その必要はない。コイツ等は俺が倒す」何言って…………!!」
言いかけた竜也が、俺をじっと見て目を見開いていた。隣に居る紫音も同じ様子だ。な、何があったんだ? っとそれより、あの話が事実なら戦いは俺がやらないといけなかったんだな。
すぐに戦極ドライバーを取り出して腰に装着する。
「戦極ドライバーだと!?」
「タツ兄、やっぱり……!」
うーん、竜也と紫音には反応からして感付かれたかもしれないな。その方がややこしくなくていいけど。
「変身!」
『メロン!』
メロンロックシードを解錠し、頭上にアームズを召喚させると周囲がざわめき出した。……うん、これにはもう慣れたな。
「な、何だ!? メロン!?」
「何でメロンがいきなり!?」
「く、食っても大丈夫かな?」
いや食えねぇから深田! 歯が欠けるとかの騒ぎじゃなくなるし!
『ロック・オン!』
『ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御・免!!』
心の中でツッコミを入れつつ、俺はロックシードをつけるのと同時にカッティングブレードを倒し、斬月に変身した。
「姿が変わった!? 何だそれは!?」
「アーマード……いや、仮面ライダー斬月だ!」
あ、訂正してくれた。てか斬月ってどうやってわかったんだ? 劇中一切名前出なかったと思うけど……聞くのは野暮か。
「仮面ライダーだとぉ? 何でこの世界に居るのかはわからんが、んなダセェ奴にこの俺が負けるかよ!!」
1人剣を持って突撃してくる大山。そして剣をメロウラングに振り下ろすが―――
カンッ!
「なっ!?」
傷つくどころか、全くダメージがなかった。
「お、俺のレベルは72なのに……60より低い奴が、何故だ!?」
結構高いレベルなんだ。てか俺のステータス読んだなら名前見てる筈なのに、未だに俺が誰か気づいてないのね……。
「俺が言った通りだな。この程度で強者を名乗るなど、笑わせる!」
とりあえず鼻っ柱を一発思い切り殴る。
「ぶっ!」
怯んだところで腹に蹴りを入れると、数歩下がってダウンした。声も出せないとはこのことか。
「卓!? バカな……」
「貴様はどうする? 俺と戦うか、それとも尻尾を巻いて逃げるか。好きな方を選べ」
「っ、ふざけたこと言いやがる。だが甘く見るなよ? 俺は勇者の中じゃ一番レベルとステータスが高いんだ。絵美理、お前は援護を……ってあれ?」
「あの女なら、最初の奴が倒されたのを見て逃げたぞ」
「はぁ!? チッ、あのクソビッチが! ……まあいい。お前なんか俺1人で十分だ!」
言うが早いか、不意打ち気味に接近して突きを放ってくる。しかしそれすらもアームズには簡単に弾かれる。
「なんて硬さだ。ならこれはどうだ!」
今度は剣に魔法を纏わせてきた。色合いからして、火と風と水と土、かな?
「4つの属性を1つに合わせた技だ。これでテメェもあの世行きだ!」
殺す気かよ!? 物騒な……って来た!
「はぁああああああああああ!!」
迫ってくる剣を、ほぼ条件反射でメロンディフェンダーで防ぐ。
カァンッ!
思ったより情けない音をして、剣が真っ二つに折れた―――って折れたぁ!? あ、あれ多分どんなものでも切り裂く云々とか説明あったんじゃ……やばくね?
「ゆ、勇者の剣が……俺の無敵の必殺技が……」
「これで貴様も思い知っただろう。自分が身の程知らずの、強者の皮を被った弱者だとな」
やめろぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!! それ以上俺の声で煽るんじゃねぇええええええええええええええ!!
「う、嘘だ。そんな筈がない。俺は最強だ。世界最強の勇者なんだ!!」
そう言い残して柏木は走り去って行った。折れた剣を回収して。……なんて言うか―――
「勇者というより雑魚が言うことだよな……あ」
自由に喋れるようになってる。色々冷や汗もんだったけど、もう安心だな。変身を解除してと。
『ロック・オフ!』
「やるじゃねぇか一真! ま、レベル72程度なら俺でもいけたけどな」
直後にセシルが肩を抱いてくる。実際セシルのレベルは俺と同じくぶっ飛んでるので、70程度なら楽勝だ。
ここで気がついたが、周りが一斉に拍手をしている。もしかして、そこまで嫌われてたのか?
「何はともあれスカッとしたし、このまま王宮に行くか」
「ああ、そうし「待ってくれ!」……竜也」
案の定、竜也が俺を引き留めた。俺もわかってて敢えて行こうとしたんだが。
「やっぱりお前なんだな…………一真」
「知り合いか?」
「俺の幼なじみだけど、よく気づいたな。正直前の面影無いだろ?」
「確かにかなり見違えたけど、カズ兄はカズ兄だよ。雰囲気でわかるもん」
「え、雰囲気で? そういうもんかなぁ?」
見た目が変わって雰囲気も変わったと思ったけど……。
「……なあ一真。俺、お前にどうしても言っておかなきゃいけないことがあるんだ……」
神妙な面持ちになる竜也。言っておかなきゃいけないこと? はて何だろう? 虐めのことは…多分違う。じゃあ―――
「あの時、俺の名前を書けなかったことについて、か?」
「っ! ああ、そうだ。無理にでも名前を書いておけば、お前を俺達と一緒に召喚できたと思ってな……一ヶ月の間、死にかけたこともあったと思うし」
死にかけたな。うん。主に仮面ライダーマルスのせいで。
「だからって謝る必要は無いぞ。お陰で手に入れたものもあるしさ」
「バカ…恥ずかしいだろ……」
「えと、今手を繋いでる人って、もしかしてカズ兄の彼女?」
「当たり。セシルって言うんだ。美人だろ?」
「だ、だから恥ずかしいって」
照れる顔もまた可愛らしい。あんまりやるとアレなので、この辺でやめておくが。
「じゃあ、俺は勇者であってもいいのか?」
「どうしたよ突然? 勇者として召喚された以上、竜也も紫音も勇者だろ。……どう考えても敵側みたいな奴らも居たけど。ソイツ等と比べたら、2人の方が勇者のイメージに近いよ」
むしろ柏木達は魔王軍の一員と言われても違和感が無い気がする。某世紀末みたいにヒャッハーしそうだし。
「そうか…ありがとう。一真」
「だから言っただろ? 君は勇者に相応しいって」
「ディオナさん……」
ん? 何か竜也とディオナ(?)さんがいい雰囲気だな。これは将来的にくっつくか?……なんて、考えすぎか。
「それより、カズ兄達はどこに行くつもりだったの?」
「王宮だよ。レオンさんに言われたって伝えればわかる筈」
「だったら一緒に行こうぜ。色々積もる話もあるし。……ところでお前の彼女さん、まさかとは思うが…エルフ?」
「ああ、うん。そうだよ。正しくはダークエルフだけど」
俺が言ったことに「え! マジで!?」と反応し、「初めて見た……」とどこか感動していた。その様子にセシルは照れており、ディオナさんは「人間とダークエルフの架け橋か……いいな」と言っていた。