クラス丸ごと異世界漂流記~神と勇者と禁断の果実~ 作:レイブラスト
どれぐらいの距離をどのぐらい走ったのかはわからないが、俺達はある部屋に辿り着くと物陰で息を潜めた。
「はぁ……はぁ……な、何だよアイツ等! 何者なんだよ!?」
「あれはプレデターだ! 映画見てないのか?」
「見てる訳ないでしょ!」
「なあ一真。お前、アイツ等のことを知ってるのか?」
「プレデターと言ったか。奴らはどこから来たんだ?」
セシルとディオナさんが汗を拭いながら尋ねてくる。ちゃんと説明したいけど疲れてるしいつ追っ手が来るかわからないから掻い摘んで話した。彼らがこの星の住人ではなく、地球の言葉で『プレデター』と呼ばれる異星の種族であること。高度な科学技術を持ちながら白兵戦等による狩猟を生業としていること等……。
話を聞き終えたセシルとディオナさんは信じられないと目を丸くしていたが、先ほど見た光景を思い出したのか無理矢理納得させていた。
「少しいいか? 奴らが基本的に1人か3人で行動すると言うなら、残る1人が紫音の持つ武器を狙って来るのではないか?」
「うん。だからこれを早いとこ返してあげないと」
「はぁ!? バカじゃないのか! そんなことしたら、今度は俺等が殺されるって!」
「落ち着け。気持ちはわかるが、もしこれが成人の儀式だとするなら、彼らの武器を持っていることは俺達とプレデターの双方に危険を及ぼすことになるんだぞ」
「危険って何だよ!?」
「それは……」
「しっ、静かに! 来たぞ!」
パニックになって喚き散らす柏木をソウジが諭すが、竜也の言葉で全員が押し黙り気配を殺しながら様子を見る。
部屋の中には現れた2体とは別のプレデターが入ってきており、部屋を見渡している。とその時、部屋の隅から白い手のような生物が飛びかかって行った。あれは……フェイスハガーか!?
内心驚いている間に、プレデターは素早く振り向くと周りに6枚のブレードがついた円盤『レイザー・ディスク』を投げて生物を両断。後はブーメランのように戻ってくるのを回収するだけ―――なのだが、俺達は見てしまった。プレデターの背後に黒い大きな生物が立っており、今にも襲いかかろうとしているのを。
だが俺達が声を上げる前にプレデターはその場でしゃがみ、レイザー・ディスクの回収をスルー。レイザー・ディスクはそのまま黒い生物の頭部を切断しながら飛んで行き、近くの壁に突き刺さった。
既に気づいていたことに驚き、レイザー・ディスクを回収する姿を尻目に一旦引っ込むと柏木が小声で詰め寄ってくる。
「い、今の怪物は何なんだ!?」
「あれは……エイリアン。プレデターが成人の儀式で狩りの得物として利用する完全生物だ」
「どういうことだ?」
説明を求めるセシルを見て、再び掻い摘んで話した。奴らの生態と誕生の仕方、インナーマウス他身体的特徴に加え、獰猛で慈悲や後悔などの感情を持たず生存本能のみで行動する等々……。
「そ、そんなのがここにうじゃうじゃ居るって言うの? 冗談じゃないわ……!」
「ああ。だから早く武器を返してやらないと……」
言いながら覗き込むと、プレデターはヘルメットを外してそれと額に傷を刻んでいた。あれが初勝利の証か……と思っていると、視界の端に見つけてしまった。別のフェイスハガーが、今か今かと飛び出そうとしているのを。そして証を刻み終えたプレデターが立って振り向いた瞬間、フェイスハガーが躍り出た。
「っ!!」
俺は咄嗟に飛び出すと同時にソニックアローを発射、フェイスハガーを撃ち落とした。驚きながらもヘルメットを被りながらこちらを向くプレデター。緊張を押し殺しながら横目で竜也達を見ると、ため息をつきながら物陰から出た(柏木と深田は、ソウジが無理矢理引っ張り出した)。
スピアを構えて臨戦体勢になるプレデターを俺は手で制すと、変身を解除する。竜也と紫音、ソウジも生身に戻り柏木と深田も渋々武装を解除した。
「これ、貴方に返すわ。勝手に取ってごめんなさい」
紫音がプラズマキャスターを地面に置くとカーリングのようにプレデターの足下へと送る。訝しみながらも、プレデターはプラズマキャスターを左肩のアームに接続。ヘルメットの∴マークのレーザーサイトを起動してこちらに向けてきた。
このまま戦うか?と構えたが、それは無かった。遠くから生物―――エイリアンの叫びが聞こえたからだ。
「ギィイイイイイイイイ!」
「シャアアアアアアアアアアア!」
「グルルルルル!」
低く唸りを上げながらプレデターは部屋の外へ出る。俺達も急いでそれに着いて行く。
通路……正確には交差点の中央のような場所へと出た後、そこから伸びる5つの道の奥を注視した。そこには複数のエイリアンがゆっくりと向かって来ていた。
「ど、どうすんだよおい!」
「どうもこうも、やるしかないだろ! フュージョンッ! アンド、ファイナルフュージョンッ!!」
「その通りだ、ウイングクロス!!」
「ここはこれを使うか……変身!」
『ウォーターメロン!』
竜也はガオファイガーに、紫音はライトスーツサムスに、ソウジはマジンカイザーSKL(ウイングクロスver)になり、俺はゲネシスドライバーを戦極ドライバーに変えてウォーターメロンロックシードをセットし、カッティングブレードを倒す。
『ロック・オン!』
『ソイヤッ! ウォーターメロンアームズ! 乱れ玉・ババババン!!』
頭にメロンアームズとは同じ形だが色が違うアームズが展開し、『仮面ライダー斬月 ウォーターメロンアームズ』に変身した。
「これでも食らえ、化け物共っ!!」
専用アームズ『ウォーターメロンガトリング』の銃口を通路に向けて連射する。普通なら反動で身体が耐えられないが、リミッターを解除した俺なら反動なんざ屁でもない。
砲身が赤く染まるのもお構いなしにガトリングを連射しまくり、エイリアンを撃ち落としていく。
「行くぞ! ガトリング、ドライバァァァーッ!!」
別の通路を担当する竜也はガトリングドライバーで空間を歪め、エイリアンの群れを食い止めると召喚したらしい超竜神、撃龍神、天竜神に指示を出した。
「今だ、やれ!」
『ウルテクビーム、全斉射!!』
『唸れ疾風、轟け雷光! シャントウロン!!』
『天竜神! 光と闇の舞!!』
3機の合体勇者ロボの活躍により、エイリアン達は次々と駆除されていく。
「ブラックホールに、呑まれろ!」
紫苑は右腕のアームキャノンからダークビームとミサイルのチャージコンボ、ダークバーストを発射。エイリアンを次元の狭間へ吸い込んでいく。
「そんでぇえええええええっ!!」
かいくぐった者はシーカーミサイルによるマルチロックで纏めて殲滅していた。
「燃え尽きろ……インフェルノ! ブラスタァァァアアアアアアアアアア!!」
胸の装甲版からソウジは熱光線を放ち、通路ごとエイリアンを焼き尽くしていた。なんつー大胆な……。
プレデターはと言うと、プラズマキャスターでエイリアンを一体ずつ確実に撃墜していた。疲れている様子が一切無いのはさすがと言うべきか。
しばらく攻撃を続けているとエイリアンの侵攻が止まり、数体がこちらを睨んだまま固まっていた。攻め倦ねているのか……ともあればこちらから攻めることも考えなければ―――
『ギィイイイイアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!』
何だ!? この遺跡全体を震わすような叫びは! あ、エイリアンが逃げていく…………じゃあ今のはクイーンの声なのか?
「…………………………」
戦いを終え一息つき、プレデターは俺達を見渡す。しばらくして頷くと、手によるジェスチャーで『来い』と促すと奥へと歩いていく。
「どこへ行くつもりなんだ?」
「多分奴らの巣だ。根絶やしにするつもりなんだろう」
「なら行かなければ。あんなものが地上に出れば、和平どころの話ではなくなる」
「巣だって!? じ、冗談じゃない! 俺は御免だからな!」
「わ、私も嫌よ! そんなことよりここから逃げる方が先よ!」
いの一番に柏木と深田が反論し、一歩下がった―――次の瞬間。
「「シャアアアアアアアアアアアア!!」」
「え? きゃああああああああああああああ!!」
「うわあああああああっ!?」
突如現れたエイリアンによって深田は連れ去られ、もう一体のエイリアンが柏木に馬乗りになる。
「今助ける!」
セシルとディオナさんが向かおうとするが、それを邪魔するかのように新たに二体のエイリアンが天井から着地し、立ちふさがる。
「くっ、どけぇ!!」
「邪魔すんじゃねぇ!!」
2人とも素早く懐に飛び込むと、ディオナさんは首に全力の回し蹴りを、セシルはリミッターを解除した(と思われる)アッパーを食らわせる。エイリアンはそれぞれ首が折れたり天井に頭が叩き付けられて潰れたりなどして、死んだ。
いや強すぎだろ貴女達……ただのキックやパンチでエイリアン仕留めるって……。
「お、おい誰か! 早くコイツを殺してくれぇ!」
悲鳴を上げる柏木に2人が向かおうとするも、直前にプレデターがプラズマキャスターを発射した。
当然エイリアンは爆発四散したが、強酸性の返り血が大量に柏木に降りかかり―――
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!」
悲鳴を上げながら、全身を溶かされて死んでいった。何事も無かったかのように進んでいくプレデターをセシル達は一瞬睨み、だが何とか切り替え後を追う。俺や竜也達も後に続くが…柏木の死を見て、俺は一瞬同情したものの、悲しむ感情が一切沸いて来なかった。むしろ「ざまぁ見やがれ」と思ってしまった…………我ながら、そんなことを考える自分が恐ろしく思えた。