クラス丸ごと異世界漂流記~神と勇者と禁断の果実~   作:レイブラスト

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彼の過去~得た物と失った物

頭の中に流れ込んでくるカイルの記憶。それを言い表すなら、ただ凄まじいの一言だった。

 

 

噛み砕いて話すと、彼…カイル・アースは元はこの星とも俺のいた地球とも違う別次元のとある惑星にいた1人の戦士で、自身が仕えたティアール姫を幾度となく敵の手から救っていたそうだ。そんな2人はいつしか互いを想い合うようになり、しかし立場の違いから中々伝えることができなかったという。

 

だがある時から1つの異変が起きた。どこからか未知の植物が現れると共に、謎の怪物が出現し出したのだ。その怪物に襲われた者は傷口から未知の植物が生えて苦しみ、植物の実を食べた者は怪物と同じ姿になって人を襲い始める。絶望とも言える負の連鎖にカイルは頭を痛めた。そんな時ある男が現れ、自らを森の使者と述べるとあることを彼と彼女に伝えた。

この悲劇を食い止める為には『黄金の果実』というものを正しき者が手にする必要があり、それにはまず、選ばれた女性が果実を手にするのが必要なこと。カイルとティアールは一も二もなく承諾し、使者から果実の有り処を尋ねるとそこへ向かい、まずティアールが果実を入手した上でカイルへと渡した。神に等しい力を得たカイルは、植物と怪物の侵攻をその力でコントロールし、争いを止めた。九死に一生を得た人達はカイルを祭り上げ、更に彼等を結婚させる話まで出た。カイル達は見事結ばれ、子宝にも恵まれ幸せな日々を送っていた。が……幸せは長くは続かなかった。

 

カイルはティアールと結ばれてからその地位を狙う者に、度々命を狙われることがあった。襲い来る刺客達を返り討ちにする中で、カイルの心には人の心の醜さへの苛立ちと妻子を巻き込むことへの不安があった。そして……その不安は現実のものとなってしまった。

ある日、刺客を倒して一息つこうと思った時だった。彼は背後から近づく別の刺客に気づかず、危うく殺されかけた。彼は幸いにも死ななかったが、それより辛いことが起きた。妻であるティアールが、カイルを庇い死んでしまったのだ。愛する人の死に嘆き悲しんだカイルは、怒りと憎しみのあまり国に居る人達を次々と殺戮。自分が仕え、救った国を自らの手で滅ぼした。

 

破壊の限りを尽くしても癒えぬ悲しみにカイルの心は疲れ切り、残り少なくなった黄金の果実の力を使って異次元へと転移した。そこでゼウスと出会い、こちらの世界へと転移してこの洞窟で隠居生活をしていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

壮絶……これ以外の言葉が見つからなかった。自分が命を掛けて守った者に、愛する人を奪われる。どれだけ悲しく、虚しいことなのか。記憶を読んだ俺にもひしひしと伝わってきた。他にも気になることがある。カイルの記憶に出てきた植物と怪物、そして黄金の果実とはやはり『仮面ライダー鎧武』に出てきた『ヘルヘイムの森』と『インベス』、『黄金の果実』のことなんだろう。単なる創作物とばかり思っていたが、別の次元に実際に存在するとは。不思議なこともあるもんだ。

 

「……て、そういえばさっき、その黄金の果実を体内に入れられなかったか!?」

 

慌てて体に手を当てていると、目の前にメッセージウインドが出現した。そこにはこう書かれていた。

 

『黄金の果実を入手しました。これより身体を最適化します』

 

「は?」

 

最適化って何だ? 黄金の果実の効果を得られるように改造でもすんのか? まさかそんな―――

 

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおお!? な、なんだ!? 全身が痛いぃぃぃぃいいいいいいいいいいいい!!」

 

そんなまさかと続けようとした時、突如として全身に激しい痛みが襲った。あらゆる部分がバキバキと音を立てていき、あらぬ方向に曲がっていくようにも見える。

 

「ぐぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

痛みに耐えかね、俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う…うぅん……」

 

気絶してどれぐらい時間が経っただろう。俺は目を覚ますと、フラつきながら入ってきた穴を通って外へ出た。

 

「俺の身体、大丈夫だよな? 変なことになってないかな?」

 

少し不安になり、ステータスを閲覧する。

 

 

 

夕凪一真

種族 神(人間)

性別 男性

年齢 17

レベル ∞(58)

格闘 ∞(320)

射撃 ∞(320)

防御 ∞(320)

技量 ∞(320)

回避 ∞(320)

命中 ∞(320)

魔力 0(0)

 

特殊スキル 偵察 黄金の果実

 

アイテム 戦極ドライバー メロンロックシード マンゴーロックシード スイカロックシード ウォーターメロンロックシード フォーゼロックシード ゲネシスドライバー メロンエナジーロックシード シドロックシード サクラハリケーン ダンデライナー

 

 

 

「………………………………………………………………………………………………はいいいいいい?」

 

目が点になった。何で俺の種族が神になってるの? 何で俺のレベルとパラメータがカンストどころか限界突破しまくった最上級なものになってるの!? 何でアイテムがこんなに多くなってるの!!??

 

「あとカッコの中の数字と、特殊スキルの黄金の果実って何なんだ!?」

 

カイルと同じものなのか? できればそう信じたいが……。

 

 

 

黄金の果実:自身の能力を無限大に引き上げ、あらゆるダメージを全回復し、全ての状態異常を無効化。ありとあらゆる事象を制御し、心の中で思ったものを実体化することも可能。全ての言語を理解・翻訳することができ、また、見た目や実力を自由にカモフラージュできる。これら全てを魔力消費無しで行使できる。

 

 

 

神だぁぁぁああああああああああああああああああああ!!!! 完全に神の力じゃねぇかぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!!!

 

「道理で種族が神の筈だよ! 人間の要素これっぽっちも無いもん!」

 

つーかアイテムが増えたのもそのせい!? 確かに他のロックシードやドライバーが欲しいとは思ってたけど、思ってたけど!!

 

「人外化するなんて聞いてないってばぁぁあああああああああああああ!!」

 

青空に向かって盛大にシャウトする。しばらくして叫び疲れて座り込むと、追加されたアイテムを閲覧していく。

 

「せめてこっちはまともであって欲しい……!!」

 

 

 

マンゴーロックシード:特殊アイテム。戦極ドライバーと併用して使用する。使用した人間の格闘、防御を20アップさせるが回避が20ダウンする。

 

スイカロックシード:特殊アイテム。戦極ドライバーと併用して使用する。使用した人間の格闘、射撃、防御を40アップさせるが回避が30ダウンする。

 

ウォーターメロンロックシード:特殊アイテム。戦極ドライバーと併用して使用する。使用した人間の格闘、射撃、防御を10アップさせるが命中が10ダウンする。

 

フォーゼロックシード:特殊アイテム。戦極ドライバーと併用して使用する。使用した人間の格闘、技量を20アップさせる。

 

ゲネシスドライバー:特殊アイテム。エナジーロックシードと併用して使うことで各パラメータを通常の20倍に高められる他、エナジーロックシードの特殊効果を引き出すこともできる。

 

メロンエナジーロックシード:特殊アイテム。ゲネシスドライバーと併用して使用する。使用した人間の格闘、射撃を40アップさせる。

 

シドロックシード:特殊アイテム。ソニックアロー及び、スイカロックシードと併用して使用することで、スイカアームズを無人のまま起動・攻撃させることができる。

 

サクラハリケーン:特殊アイテム。バイクに変形する。走ることで燃料を消費するが、ロックシード形態に戻すことで自動チャージされる。

 

ダンデライナー:特殊アイテム。ホバーバイク型ビークルに変形する。飛行することで燃料を消費するが、ロックシード形態に戻すことで自動チャージされる。

 

 

 

こ、こっちも相当凄かった! 凄かった……けど……ステータスが化け物過ぎて若干見劣りすると言うか、デメリットが息してないと言うか……。何とも言えない空気になった時、1つ気になることが頭に浮かんだ。

 

「……見た目の変更ができるって書いてあったけど、今の見た目が変化してるのかな?」

 

近くにある小川に移動して水面を見下ろす。そこに映り込んだ自分の姿を見て―――絶句した。

 

そこにはびっくりするぐらいスマートで身長が高く、コードギアスのゼロが着ているような服とマントを着込んだ金髪の男子が居た。

 

「えっと……誰!?」

 

思わずそう聞いてしまった俺はきっと悪くない。けど現実に、俺の身体は別人になってしまっていた。ひょっとして、これが最適化なのか?

 

「だからって、誰がここまでやれと言ったんだ……」

 

嬉しいという気持ちより、不気味さが全身を駆け巡る。だってさっきまでデブで不細工だった俺が、いきなりスマートになったんだよ!? 地道にダイエットしてる人達涙目だよ!

 

「今更戻りたいとは思わないけどさ。こっちの方が動きやすいし。ああでも、この姿じゃさすがに目立ちすぎるな」

 

早速カモフラージュを使ってみようとする。水面を見ながら念じると、背格好はそのままで髪の毛が元の黒に、服装が黒いシャツとジーパンになった。

 

(こりゃ慣れるのに時間がかかりそうだな……)

 

ため息をつきながら、次にどうすればいいかを考えるべく頭を切り替える。とりあえず人に会いたい。何せ一ヶ月の間、先ほどのカイル以外に誰とも出会わなかったんだからな。でもどうやって移動しよう? 闇雲に動くのは危険だし……。

しばし考えていると、目の前にメッセージウインドが現れた。だが文字が書かれている訳ではなく、地図のようなものが映し出されていた。

 

「てかこれ、まんま地図じゃん。それもこんなはっきりと」

 

現在地らしき赤い丸が森の中にあり、サイズを縮小すると森を抜けてからかなり遠くに国らしきものが見つかった。思わずそれを触ると右下に『短距離転移』と書かれたボタンが出現する。何だ?と思いながら押してみると、俺の視界が一瞬暗くなり、すぐに明るくなった。が、目の前に広がるのは全く別の景色だった。

 

「これ、さっき表示されてたところか?」

 

マップを確認すると確かに国の近くに赤い点があった。……これはまさか、転移というものか? ついでに言えば、これも果実の力の一端ということか……。短距離しかできらしいけど、凄いなおい!

 

「しかし問題はまだあるな。ここからの様子だと、門の検問を通るのにどうも身分証明書が必要らしい。俺持ってないけど、どうしたらいいんだ?」

 

困りながら何かないかとポケットに手を突っ込むと、何か硬いものに当たった。取り出してみると、俺の身分証らしきものだった。

 

「…………果実の力半端ないな!」

 

ツッコミを入れつつ、俺はゆっくりと歩を進めた。

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