クラス丸ごと異世界漂流記~神と勇者と禁断の果実~   作:レイブラスト

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模擬戦~身分

あれからノルトマルク国に辿り着いた俺はギルド目指して歩き続けた。途中で怪訝な目を向けて来る人が多々あったが、気にしてる余裕はない。

ギルド前まで着くと、扉を開けて中に入る。

 

「あのー、すいません」

 

「あ、お帰りなさ……! セシル!? 一体どうしたって言うの!?」

 

「悪ぃニーナ。ちょいとやられちまった」

 

「やられたって……貴女程の実力者が、一体誰に?」

 

「その前に、どこか寝かせられる場所はありませんか?」

 

考え込むニーナさんにやや催促気味に言うと、「ああ、それならこっちよ」とソファーを貸してくれたのでそこにセシルさんを寝かせた。

 

「すまねぇ、一真。何から何まで手を焼かせて」

 

「気にしないで下さい」

 

「それにしても、誰にやられたの? ダークエルフが立ち上がれない程負傷するなんて、唯事じゃないわ」

 

「話せば長くなりますが、試験の途中でエンペラースコルピオンに遭遇してセシルさんが死の毒にやられかけたんです。なので俺がソイツをぶっ殺して、死の毒を消しました」

 

「………………………は?」

 

俺の言葉にニーナさんは、否、その場に居た全員がポカンとした顔になる。俺、何かおかしなことでも言ったのだろうか?

 

「し、死の毒を消した? 嘘でしょ!? でも、実際セシルはこうしているし……けどエンペラースコルピオンを倒したのは、さすがに冗談では?」

 

「冗談じゃありませんよ。証拠だってちゃんとありますし。ほら」

 

アイテムボックスから、剥ぎ取ったエンペラースコルピオンのハサミを取り出す。これが意外とデカイんだよな。

 

「ほ、本当にエンペラースコルピオンのハサミだわ……こんな、信じられない……」

 

「その気持ちは俺にもわかるぜ」

 

その時、他のハンター達が居た場所から1人の男が歩いてきた。格好からして相当場数を踏んでるハンターだと見えるが……。

 

「あの、どちら様でしょうか?」

 

「おっと、コイツは失礼したな。俺はレオン・ガイダル。しがないギルドハンターさ」

 

「はぁ……」

 

「それよりやるじゃねぇか、若いの。エンペラースコルピオンと遭遇しただけじゃなく、ぶっ倒しちまうなんてさ! レベル差とか結構あったんじゃないか?」

 

随分とフランクに接してくる男……レオンさん。何故か、彼に対しては不信感が沸いて来なかった。この人は信頼できると、直感だが思った。

 

「向こうのレベルは200で、こっちは58でしたから結構差はあったと思います」

 

「つーことは、142も差があったってことか!? お前本当に初心者か? こりゃあさすがの俺も驚きだ!」

 

愉快そうに笑うレオンさんは、今度は真剣な眼差しで俺を見てきた。少し嫌な予感がする……。

 

「……若いの。いきなりで悪いかもしれんが、俺と一戦交えちゃくれないか?」

 

「……えっ!?」

 

「エンペラースコルピオンを倒したとなりゃあ、かなりの戦闘力を持ってる筈だ。そう思うと昔の血が騒いで来てな……無理か?」

 

「いえ……俺でよければ」

 

「そうかそうか! いやー、ありがとな若いの……っと、そういや名前聞いてなかったな」

 

「あ、夕凪一真です」

 

「一真か。いい名前だな……よし! そんじゃちょっとコイツと戦って来るわ!」

 

「あ、ちょ、そんなに引っ張らないで下さい!」

 

あれよあれよという間にレオンさんと戦うことが決まり、俺はどこかへと連れて行かれた。その時、セシルさんを一瞬見て何やら面白そうな顔してたが……何でだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行っちまったよ……」

 

一真を引っ張ってったレオンさんを見ながら、俺はため息混じりに呟いた。よりによってあの人に目をつけられるとはなぁ。

 

「でも珍しいわね。あの人が自分から戦いを挑むだなんて。貴女以来初めてじゃなかったかしら?」

 

「ああ。ま……納得はいくけどな」

 

「ふうん……ところでさ、何か彼と良いことあったの? 機嫌良いみたいだけど」

 

「ん? ああ…何。お前の言うことも、少しは信じてみるもんだなって思ったんだ」

 

「え、てことは……!」

 

ぱぁっと顔を輝かせると、ニーナは俺にずいっと詰め寄って来た。

 

「ついに、ついに会えたのね! 私以外の、運命の人に!」

 

「お、おう。そうだが、その言い方はやめろ。誤解されかねん」

 

「何言ってるのよ。貴女のことを怖がらなかった上に、ピンチに陥ったところを助けて貰ったんでしょ? 恋心を抱かずにはいられないんじゃない?」

 

「おいおい……」

 

ニーナの言うとおり、確かに一真は俺を化け物扱いしなかったし、瀕死だったところを救ってくれた。だからってすぐ恋愛対象としてはなぁ……いや、だからって嫌いな訳じゃないぞ? 初対面だけどアイツが優しいのはわかるし、度胸もある。それに変身(?)して戦う姿も、その前の素顔もカッコイイし……。

 

(って! 何で俺は一真の良いところを探しているんだ!?)

 

はっ、と気づき頭をブンブンと横に振るが、意識した途端急に胸が締め付けられ、顔が熱くなってくる。

 

「ふふん…やっぱり、好きになっちゃったのね」

 

「なっ! ち、違う! 俺は、そんなチョロい奴じゃ……」

 

「別にチョロくてもいいじゃない。今まで恋とは無縁だったんだし、そういう子って案外落ちやすいものなのよ」

 

「う、うぅ……」

 

一理あるかもしれないけど、だからってそれじゃあ、俺がだらしないように思えて仕方ない。

 

「そんなに否定するなら、確かめてみましょうか?」

 

「へ? 確かめるって?」

 

「一真さんが帰って来たら、貴女をどう思っているのか聞いてみるのよ。何かわかるかもしれないわ」

 

「んなバカな……」

 

答えなんて得られる筈がないと思いながらも、一方でそれに期待している俺が居ることに、戸惑いを感じていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レオンさんに連れられた俺は、広場のような場所へと移動していた。レオンさんは準備運動をして剣を構えており、周りにはギャラリーが何人かいた。なんでもレオンさんが誰かに戦いを申し込むのは、かなり久しぶりのことらしい。かなり有名人なんだな、この人は。

 

「こっちの準備は完璧だ。お前さんも武器を構えたらどうだ?」

 

「え? あ、はい」

 

いかんいかん。頭がついて来てなくてボーッとしていた。少し慌てて戦極ドライバーを腰に装着し、メロンロックシードを解錠する。

 

『メロン!』

 

「っ! ほう……!!」

 

頭上に現れたメロンアームズを見てレオンさんは一瞬目を丸くし、感嘆の声を上げる。見ている人達からも「何あれ、メロン?」、「何でメロンなの?」という声が聞こえてくる。無理もないが。

 

「変身!」

 

『ロック・オン!』

 

『ソイヤッ! メロンアームズ! 天・下・御・免!!』

 

仮面ライダー斬月に変身すると、いよいよざわめきが大きくなる。ちびっ子達の「カッコイイ~!」という声もちらほらと耳に入る。……こういうのって、何かいいな。

 

「準備できたみたいだな。んじゃ……行くぜ!!」

 

「っ、はい!」

 

返事をすると同時に、レオンさんが地を蹴って地面スレスレを滑空するように接近してくる。あまりの速さに声もあげられないまま、メロンディフェンダーで剣を防いだ。

 

「今のを防御するとはな! 大抵の奴らはこれで沈むんだが、久しぶりに戦い甲斐があるぜ!!」

 

レオンさんは剣を引くと、別角度から斬りかかってくる。咄嗟に無双セイバーで受け流しつつ、カッティングブレードを一回倒して回転しながら後ろに下がる。

 

『ソイヤッ! メロンスカッシュ!!』

 

「はぁっ!」

 

「うおっ!?」

 

無双セイバーから衝撃波を放つ。レオンさんは剣で受け止めたが、尻餅をつく。そこへメロンディフェンダーを投げつけると同時に走って近づく。

 

「しまっ……!?」

 

メロンディフェンダーで剣を弾き飛ばされたレオンさんに、無双セイバーを突き付ける。

 

(…………え? 今の、俺がやったのか?)

 

レオンさんの攻撃は、でかいサソリとは違って素早くキレがあった。俺はそれをほぼ無意識の内に裁いていた。……まさか、これも黄金の果実の力とでも言うのか?

 

「まいったまいった……俺の負けだよ」

 

降参する言葉を聞き、俺は変身を解除する。

 

「さすがはエンペラースコルピオンをぶっ倒しただけはあるぜ。セシルと互角に張り合えるから勝てるかもって思ってたが、無茶だったか」

 

身なりを整えると、レオンさんはこう言い出した。

 

「だが戦いを通してはっきりとわかったぜ。一真の性格とか、色んなことがな」

 

「わかるもんなんですか?」

 

「それなりに鍛えて来たからな。太刀筋から相手の内面を読み取ることは、今や朝飯前さ」

 

凄いな。俺もやってみたい……。

 

「さてと、そろそろお開きとするか。付き合わせちまって悪かったな。ま…一国の王の我儘として、大目に見てくれ」

 

「いえ、そんなことは…………え? 今なんと?」

 

聞き間違いじゃないよな? この人、王って言ったの?

 

「あ、言ってなかったか。俺、この国の王様やってるんだ。改めて、よろしく!!」

 

ニカッと笑いながら手を差し伸べるレオンさん。俺はしばらくの間呆然とし、そして―――

 

「えええええええええええええええええええええええええ!!??」

 

―――絶叫した。

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