男子校。いつもの学校、いつもの教室、いつものクラスメイトだが、俺のことをクラスメイトと認識してる奴は一体何人いるだろう。
一番窓際、一番後ろというオセロで絶対取られないベストプレイスを手に入れた俺は、毎日毎日誰にも気付かれない生活をしていた。
俺には友達がいない。と、いうのも高一の最初の校外学習という最初の友達作りのためのイベントの日に限って、俺は車に跳ねられて入院。友達作りイベントに乗り損ねた俺は当然、友達が作れなかった。
それと友達ができないと思われる理由がもう一つ。目を怪我して眼帯をしている。なんかヤンキーに見えるようだ。それも目付きが悪いから尚更。そして、そのヤンキーに見えるのがまたタチが悪く、路地裏やゲーセンなどを通ると、必ず絡まれる。結果、喧嘩して勝つわけである。……あれ?これ本物のヤンキーじゃね?てな具合である。
まぁ、そんな生活も今更嫌だとは思わない。受け入れ、ただなんとなく生活するしかない。そんな風なことを考えながら、俺は授業中に寝た。
○
…………? ん……。どうやら俺は目を覚ましたようだ。2、3回瞬きした後、目を擦りながら「くあっ」と欠伸をして起き上がろうとすると、俺は既に起き上がり、立っていたようだ。
………いや待て、授業中に寝てて立って寝てた?一体どういう状況だそりゃ?壮大に寝ぼけていたとは思えない。つーか何、身体が……こう、なんか変な感じすんなおい。つーか、ここ、どこ?………ダメだ。何も思い出せん……。
カーテンみたいなのに囲まれていたので、とりあえずシャッとそのカーテンを開けた。周りはなんか工場みたいなとこ。その癖、保健室のカーテンみたいな奴がたくさんある。
『おい、おい……』
なんか声がすんな。と、思ったら裾を引っ張られていた。
『こっちだ。おい』
見ると、なんかちっこい人間みたいなのがいた。頬はどんぐりを頬張るリスみたいに膨らんでるが、針金細工の人形に服を着せてるみたいに細い。
「………てか、人形?」
『誰が人形だこのヤロー。てか何、俺の声聞こえてんの?』
「え、いや普通に聞こえてますけど……。つーかお前こそ何、声聞こえてないと思ってんのに声掛けたの?」
『いや咄嗟にそういうことあるじゃん。通じないのわかってるけどつい声かけちゃうみたいな……いやそんなんはどうでもよくて。お前、名前は?』
「名前?えーっと……」
……あれ、俺の名前なんだっけ。名前?俺の名前……。俺の名前は………、
「知らね」
名前だけじゃない……俺がなんなのか、どこで何してるどういう奴なのか、さっぱりわからない。
『いや自分の名前でしょ……。うーん……ちゃんと記憶植えつけたはずなんだけどなぁ……』
……今なんか怖いこと言ったよこいつ。
『ま、いいや。お前の名前は軽巡洋艦木曾だ』
「苗字なげぇな」
『いや苗字じゃねーし。詳しくはこの本読め』
そのちっこいのは自分の身体よりはるかにデカイ本を俺に差し出した。
「………つーかお前名前は?」
『妖精って呼べ。それも踏まえてそれに書いてある』
つまり、説明書みたいなものね。
「わかった。で、俺はどうすればいいんだ?」
と、聞いたときだ。カーテンの横から誰かが視界に入ってきた。
「あなたが新造艦ね?」
サイドポニーのクールな女。お前いつの時代を生きてるの?ってつっこみたくなる弓道着だった。
「しん……? あ、いやあんたは?」
新造艦の意味を聞こうと思ったが、どうせこの説明書に書いてあるだろうしやめた。
「名前を聞くならまずは自分の名前から名乗りなさい」
ウワァ……こんなこと言うやつリアルでいるんだ……。まぁ言ってることは正しいんだろうし、反論しても話こじれるだけだからなんも言わんけど。
「えーっと、軽巡洋艦木曾だ」
何かプラスαで言った方がいいかな。
「よろチクビ☆」
「………………」
「………………」
………うん、やらなきゃよかった。
「………提督に紹介します。付いて来なさい」
「うぃっす……。って、いやいやいや待て。あんた名前は?」
「………変態に名乗る名前はないのだけれど」
「いや悪かったよ教えてくれ。あれは自分でもないと自負してるから」
「………正規空母加賀よ。よろしく」
「お、おう」
こいつも苗字長いな。で、その加賀さんとやらと一緒に、その提督とやらの部屋に向かった。
○△
執務室、と書かれた部屋の前。コンコンと加賀さんはノックして言った。
「加賀です。新造艦を連れてきました」
「…………」
だが、返事はない。死んでんのか?コナンかよ。加賀さんも不審に思ったのか、扉を開けた。
「かーがーちゃんっ♪」
飛びついてきたのは軍の帽子っぽいのをかぶった女性。そのまま加賀さんのオッパイを鷲掴み……しようとしたら頭を掴まれて、壁に叩き付けられる。ミシミシッと壁、扉にヒビが入り、完全に減り込む女性。
「もうっ、愛が重いんだからぁ♡」
うわあ……ヘンタイだこの人……。てか今の喰らってなんで元気そうにしてんだよ……。
「新造艦を連れて来ました」
「チューしよチュー」
「……………」
「いだだだだっ‼︎ゴメンなさい加賀さんアイアンクローはやめて!目ェ飛び出るって!」
「新造艦を連れて来ました」
「わかった!わかったから!」
で、解放される提督。頭を抑えて悶えつつも俺を見た。
「名前は?」
「軽巡洋艦木曾です」
「そう、あたしは一応この鎮守府の提督よ。よろしくね」
「は、はぁ」
「で、スリーサイズは?」
「は、はぁ?」
「提督」
ギロリと殺意の波動を放ちながら睨む加賀さん。この人おっかねーな。タメ語辞めよう。
「じ、冗談よ!ごめんなさい!と、とにかく木曾。あたしが提督だからよろしくね!」
最後は俺に向き直って言う提督。ていうかこの人、男の俺にスリーサイズ聞いたよな。どういう人なんだろ……胸筋とか知りたいのかな。
「は、はぁ」
あやふやになってしまったがとりあえず返事しておいた。
「じゃ、部屋に戻っていいわよ。加賀ちゃん、案内したげて」
「はい。行くわよ」
「は、はい」
部屋を出て行った加賀さんについて行った。
次回は球磨型を出す予定です。