「ヒィィイイヤッ‼︎」
投球練習中、俺が投げると全員がバッ!とこっちを見た。あ?なんだ?
「ど、どうしたんだい?木曾。頭でも打った?」
響がものすごくひどい心配の仕方をしてきた。
「いや、俺の投球あるだろ?その時の掛け声を考えてたんだが……」
「アホ?」
「誰が?」
「お前」
「今、お前つったか?ん?」
さすがに少しイラッとしたぞ……。まぁその程度で怒るほどガキではないけど。
「で、なんかいい掛け声ないか?」
「そりゃあ」
「テキトー過ぎだろ」
何か、最近響にバカにされてる気がするんだよなぁ……。子供にバカにされんのは気に食わねんだけど。
「お前な、あまり俺をなめるなよ?あんまなめてっとマジゴムゴムのガトリングだぞ?」
「ラーッウェイ!」
「何言ってんだお前」
「掛け声」
「むっ、なるほど……」
試してみるか。ラーの所で振りかぶって、ウェイ!で投げる。
「ラァァァアアッウウェイッッ‼︎‼︎」
投げたのはフォーク。だが、フォークは掛からずにすっぽ抜けた。
「………ダメだって」
「じゃあ、『セェイヤァッ‼︎』で」
言われて俺は砲弾の形、重さをした練習弾を握る。
「スェェェエエイヤッッ(←ここで裏声)‼︎‼︎」
またすっぽ抜け、明後日の方向へ。
「………また嫌だって」
「じゃあ、モンスターボールとかで……」
「いやもういいよ。つーか何を捕まえんだよ」
なんて話してると、ピンポンパンポーンと校内放送のような音楽が演習場を響いた。
『木曾ちゃーん、執務室においでー♡』
一発で嫌な予感が頭を過ぎった。
○
モンスターボールか……怪物の球って書けばカッコイイかも……なんて考えてると、執務室に到着した。
「失礼します」
ノックして執務室に入ると、提督がバイオリンを弾いていた。
「」
思わず絶句してしまった。いや、上手いとか下手は素人の俺には分からんが、弾いてる曲が一発で分かったからだ。
「RX-0……」
episode4でバナージがガランシェールから降りる際に流れた音楽だ。他にも使われてたとは思うが、一番印象的だったのはそこ。かっこよかったなー。
「あ、来たわね」
あ、サビに入る前にやめちゃったよ。まぁいいけど。
「………バイオリン弾けるんですね」
「うん。このくらい楽勝よ」
「正直に言ってカガリがSEED覚醒した時と同じくらい意外でしたよ」
「例えが微妙な上にイマイチ分かりにくいんだけど……」
軽く呆れた後、提督は咳払いして言った。
「じゃ、さっそく用に入るけど明日からあなた私の秘書艦ね」
「なんすか藪からスティックに」
「実は今度、第二次SN作戦ていうデカイ作戦があるんだよねぇ。その発動準備は終わってるんだけど、南太平洋海戦の時の連合艦隊の第二艦隊の旗艦をやって欲しいのよ」
「それで俺が秘書艦ってことか?」
「そう。ちなみに第一艦隊の旗艦は加賀さん」
「ならいつも通りにすりゃいいだろ」
「いいじゃない。たまには」
正直めんどくさい。特にデスクワークとか手伝わされるのは嫌だ。
「やだよ」
「だーめ。提督命令ですー」
「むぐっ……」
それ出されると何も言えなくなるんだよなぁ。ほんとこういう時だけ命令してきやがってこの野郎。
「とにかく、しばらくの間よろしくね。木曾ちゃん」
「はいはい……」
なーにがよろしくだよ。この野郎め。
「じゃ、早速手伝ってねー。はいこれ、旗艦なんだから軽くでいいから目を通しといてね」
「? なんすかこれ」
渡された紙には艦種と名前が書かれていた。
「第二艦隊の子達。それで行くから、ちゃんと顔だけでも合わせておきなさいよ?」
「………知らない奴ばかりなんだけど」
「大丈夫よ。みんないい子だから」
はぁ……気が進まねぇ上に少し緊張するな……。あっ、響の名前がある。本当に知り合いが一人でもいると助かるわ。
「今から行ってもいいですか?」
「いいわよ。でもなるべく早く帰ってきてね」
「うっす」
返事だけすると俺は執務室を出た。軽巡1、駆逐3、重巡1、こ、航空巡洋艦、かな?これも1か。俺が旗艦である以上は重巡とか航空巡洋艦もまとめなきゃいけねんだろうなぁ……。上手く出来るかな。