二話目です。眠くてなんか文が変になってるかも。
加賀さんに案内された部屋には「球磨型」と書かれていた。聞きたいことは山ほどあるが、説明書がある以上、無闇に聞くよりはまずこれを読んだほうがいいだろう。あんま人に頼りたくないし。
「では、私はこれで」
加賀さんはそう言うと退散した。お礼を言う前に去ってしまった。ま、お礼は後でいいか。
「し、失礼します」
中に誰かいるのか知ってたわけではないが、一応言っておいた。その判断は正しかったようで、中には2人いた。片方は俺と同じような服装のピンク髪の奴。つーかなんでスカート履いてんだ俺。で、もう一人の方は冬場にいそうなセーラー服にセーターで茶髪セミロングの人だった。
「およ?木曾にゃ!」
え、なんで俺の名前知ってんだあいつ。ていうか「にゃ」って何?
「お、おう……誰だあんた?」
「にゃ⁉︎お姉ちゃんを忘れたのかにゃ⁉︎」
お姉ちゃん⁉︎俺に姉なんていたのか⁉︎い、いや待て。これもこの謎自体によるものだとしたら説明書に書いてあるはず、ここは上手く流そう。
「い、いや冗談だよ。タマ」
とりあえずにゃーにゃーうるさいのでタマと呼んでみた。
「ホッ、良かったにゃ……」
え?ツッコミなし?もしかして本当に名前タマ?親の顔が見てみたいわ。
「ひょっとして、新造艦って奴かにゃ?」
「お、おう。そうだ。心臓艦」
「なんかニュアンス違うように聞こえたの気のせい?」
もう一人の茶髪の方が言った。こっちもタマなんてことはないよな。ポチ?
「き、気の所為だ」
あとで心臓艦の意味もちゃんと調べておこう。
「とにかく、よろしくな二人とも」
とりあえず当たり障りのない挨拶をしておいた。
「うんうん。これで球磨型は全員揃ったにゃ」
「ま、私は北上さんがいれば十分だけどね」
「にゃー。また大井はそういう事言う……」
なるほど、あいつは大井ね。今の話的に分かったのは、ここは「球磨型」の部屋であり、俺とタマ、大井、そしてもう一人北上とやらがその球磨型のようだ。
「そうだ、大井。せっかく揃ったんだから歓迎会でもやるかにゃ?」
「あら、いいわね。北上さんと球磨ちゃんが帰って来たらやりましょう」
……俺なんかのために歓迎会とかしてくれんの?まぁそれはそれで嬉しいっちゃ嬉しいけど。と、思ったら二人はこっちを見た。
「と、いうわけで木曾ちゃん」
「準備するから出てけにゃ」
「えっ?」
リアクションする間も無く二人に追い出された。こいつらひでぇなオイ。ま、いいか。俺も説明書を落ち着いて読める時間と場所が欲しかったし。と、言っても廊下の前で本読むのもなんか変な感じするし、とりあえず場所を変えるか。
○
食堂に到着。ここは大抵仲良しグループが固まって行動するリア充の巣窟みたいなもんだから、俺みたいなボッチがここにいても誰も声はかけないだろう。で、その説明書を読み始めた。うわっ、字汚っ、手書きかよ。
〜30分後〜
………なるほど、つまり要約すると、
・俺たちは艦娘と呼ばれる、過去の艦隊が人になった姿らしい。
・艦娘には艦種があって、駆逐、軽巡、重巡、戦艦、空母、潜水などとあるらしい。
・艦娘には姉妹艦と呼ばれるものがあるらしい。
・艦娘の使命は深海棲艦と戦い、制海権を奪い返すことらしい。
他には工廠のことだの改造だの色々書いてあったが、俺が一番知りたかった部分はこれだけだ。だが、どうしても解明しなければならない謎が一つだけ生まれた。
艦、娘?の「娘」の部分だ。娘、の部分。娘の部分な。娘の部分。
「……………」
今にして思えば、若干胸が膨らんでるように見えなくもなかった。つーか、普通に膨らんでるように見えた。胸筋だと思ってた。
そして、さらにもう一つの問題。俺の股にぶら下がるスカイツリーが減り込んで穴になっていないかだ。
「……………」
とりあえず走ってトイレに向かった。
○△
俺は自分の顔を手で押さえながらトイレから出た。マジかー。マジそう来たかー。俺が何したっていうんですか神様ー。いやだってさー。確かに売られた喧嘩買ってたのは悪かったけどさー。あれ正当防衛だし一発しか殴ってないしさー(ただし、その一発で沈めてる)。
「はぁ……」
しかもこれ無理矢理戦争に放り込まれたってことだろ?なんだこれ、マジで俺が何したっていうんだよ。余りのショックにトボトボと歩いてると、声が掛かった。
「おい」
「あ?」
振り返ると、眼帯を付けた巨乳が立っていた。うわっ、眼帯とかイテェ。
「俺の名は天龍。フフフ、怖いか?」
うわーん、こわーい。
「あ、ああ。怖い……ものすごく」
や、こんな奴がこの世にいるなんてほんと怖い世の中。
「そ、そうか⁉︎怖いか⁉︎いやー駆逐艦のチビどもが全然怖がらねぇから不安だったんだよなー!」
あっはっはっとオッさんみたいに豪快に笑い、頭を掻くそいつ。なんだこいつ。
「オイ、お前は名前は?」
「木曾だ」
「そうか。俺は天龍」
「いや知ってるけど」
「あんたとは仲良くなれそうだ!よろしくな!」
「お、おう」
そのまま嬉しそうにそのアホは何処かに行ってしまった。なんていうか、一周回って可愛く見えてきたぞあいつ。ぼんやりと天龍が消えてった方向を眺めていると、またまた声がかかった。
「あ、こんな所にいたにゃ!」
「あ、タマ。じゃなくて多摩か」
「準備もできたから来るにゃ」
「はいはい……」
「はいは一回にゃ!」
「はい」
「むっ、よろしいにゃ」
素直に返事すると満足そうに微笑む多摩。ちょっと可愛かった。でもそれ以上にめんどくせぇ。
○△□
再び球磨型の部屋。中には大井の他に知らないのが2人いた。で、どっちが北上でどっちが球磨だ?
「おお、木曾やっと来たクマ」
うん、自己紹介ありがとう。
「これでやっと全員揃ったね〜」
呑気というか緩い?声を出す北上。不思議なんだよな、その北上の腕に大井が抱き着いてるのが。
「何やってんの大井」
「呼び捨て?」
「………どう呼べってんだよ」
「どうします?北上さん」
なんで北上に聞く。いや別にいいんだけど。
「………お姉ちゃんとか?」
「それだと誰を呼んでるのか分かんないにゃ」
「じゃあ球磨お姉ちゃんとクマ?」
「それでいいわね」
「おい待てお前ら。俺の意思は?」
『ない(クマorにゃ)』
民主主義に反する台詞である。まぁ、反論しても人数差的に勝てないし、いいか。
「わ、わかったよ」
とは言うものの、今日初めて会った人をお姉ちゃんと呼ぶのはハードルが高い。俺の心が男だから尚更だ。
「お、大井……お姉、ちゃん……」
あ、だめだこれ恥ずかしい。思わず顔を赤らめてもじもじしながら言ってしまう。
「………………」
「な、なんだよ!」
「……木曾!球磨もお姉ちゃんって呼ぶクマ!」
「は、はぁ⁉︎」
「待って!多摩が先だにゃ!」
「な、何言ってんだお前ら!いいから落ち着……」
「二人とも落ち着いてよ〜」
おお!北上はまともだ!
「とりあえず私を呼んでみ?」
まともじゃなかった!
「お、大井!なんとかしろよ!」
「お、お姉ちゃんをつけなさい‼︎」
言ってる場合か!とか思ってると球磨と多摩が目を丸くして大井を見た。
「お、大井が……」
「北上以外に落ちたにゃー!」
「お、落ちてません!てか騒がないで!」
結局、歓迎会はただの「お姉ちゃんと呼ばせる会」となった。