翌日。俺は出撃準備って事でキャッチボールをしている。急に投げたら肩壊すからな。
「っし、こんなものか」
肩もあったまって来たし、これなら行けるな。
「もういいの?」
響に聞かれ、俺は頷いた。
「ああ。こんなもんだろ」
「なら、行きましょう」
加賀さんが言うと全員で出撃した。しばらく海面を滑ること数分、第1艦隊の空母の皆さんが索敵を開始した。
「うっわ、スゲェ……」
ものっそい数の艦載機達が上空を舞った。その様子を見るたびに感動してしまう。もともと、ガンダムが大好きなので、あそこで出撃してるパイロットが実はアムロやシャアなのではないのかと、とすると手を組んでる夢のタッグではないのかと妄想すると、毛穴から変な汁が出そうになるほど興奮する。ほら頑張れアムロ、お得意のニュータイプで、なんか、こう……敵を見つけるんだ。あれ?でも索敵というか敵を見つけてたのはオスカーとマーカーじゃなかった?
「敵艦隊発見!」
俺が考えてると飛龍さんの声が響いた。すると、遠くで爆撃が起こった。うわあ……こええな空母……あんなんやられたら俺、振りかぶってる間に終わりじゃん……。
「第1艦隊、砲雷撃戦を開始してください!」
「え?おう……」
言われて慌てて砲弾を握ると、後ろから俺の横を砲弾が通った。
「あ?」
後ろを見ると鈴谷が砲撃している。
「撃ち方、始めてくださーい!」
続いて羽黒もだ。そして、あっという間に敵を殲滅してしまった。やっべぇや、俺旗艦なのに何もしてねぇや。
「進撃します。皆さん、準備は大丈夫ですね?」
加賀さんが言うと全員が頷いた。そのまま羅針盤に従いながら進み、一番奥に敵がいると思われる場所に到着した。
「うーわ……ドルマゲスでもいんのかよあそこ……」
そんな感じの雲の下に島?のようなものがあった。本当は死ぬほど行きたくないが、あそこに行かないと今回の任務は終わらない。
「索敵開始!」
加賀さんの一際緊張感のある声で、さらに気合を入れて索敵開始。明らかにあそこにいるの分かってんだろうに……。
「敵艦隊発見!」
「爆撃して!」
「敵艦載機、来ます!」
ズドドドドッ!と弾の雨が降り注ぐ。
「きゃあっ!」
「っ!」
俺はなんとか全て回避したが、羽黒が小破した。
「羽黒さん!大丈夫か⁉︎」
「だ、大丈夫です!まだやれます!」
「第二艦隊、行くぞ!」
俺が言うと、全員で前に出た。
「うりゃー!」
「沈め……沈めッ!」
鈴谷、不知火と砲撃。敵のラスボスっぽいのに直撃したが、まるで効いてない。
「なんだよ……あれ」
「水母棲鬼だよ」
隣で響が言う。
「あれは厄介なのさ」
「見りゃ分かる」
さて、俺もプレイボールといこうか。俺は自分の砲弾を握るとその水母棲鬼を睨む。そして、弾を大きく振りかぶり、腕を思いっきり振り下ろした。
「モンスターボールッ」
はっ、結局この掛け声かよ。まぁそれでもいい。これが相手に決まればな。俺の投げた砲弾はレーザービームの如く直進。そして、それが水母棲鬼に向かって突き刺さるように突っ込んだ。だが、
「っ」
だが、効いていない。ほとんどダメージ無しだ。
「っおもしれぇ」
「木曾さん、上!」
朝潮に言われるが、俺はその砲弾を見ることもなくグローブでキャッチし、その辺に捨てた。おそらく、重巡か軽巡の砲撃だろうが、俺にはお前らなんて眼中にねぇ。テメェらカスが俺にダメージなんて10年早ぇんだよ。俺がさらに二球目を振り被った時だ。水母棲鬼が砲撃しようと砲門を動かした。
「チィッ」
俺は回避しようとした。だが、俺を狙っていない。その砲門の狙う先には、小破した羽黒がいる。だが羽黒は気付いてない。
「羽黒、右斜め前辺り!避けろ!」
「へ?」
言うが遅い。すでに敵は撃ってしまっている。
「やらせるかよ!」
俺はその砲弾に向かって砲弾を投げ、羽黒に届く前に爆発させた。危なかった……あれは直撃コースだった。
「さて、続きをしようか……」
俺が再び水母棲鬼を睨みながら砲弾を握った時だ。
「木曾!」
「あ?」
誰に言われたか分からない。だが、気が付けば目の前に砲弾があった。
「ッ‼︎」
なんとかギリギリ砲弾をグローブでキャッチする。
「グッ……‼︎」
重てェッ……!グローブぶっ壊れちまった。だがここから先は当たらなければ……、
「もう一撃!」
「えっ……?」
また目の前に砲撃。まさか、連撃か……?どうする?この距離じゃもう躱せない、グローブはもうねぇぞ。あれ?これ、詰んでね?
「あー」
間抜けな声と共に砲弾が俺に直撃した。
「木曾ッ‼︎」
誰かが俺を名を呼んでた気がしたが、何も聞こえない。痛みが身体に広がり、胸から大量の鮮血が飛び散る。いや、痛みは割となかった。それが逆に怖かった。多分、痛いのは痛かったのだろう。今まで自分の喰らった事のない痛みではなかったから身体が痛みと判断してないのかもしれない。………なんだそれ、意味分からん……。あ、ダメだ、意識、飛ぶ………。俺はそのまま海に倒れ込んだ。