目を覚ますと、何処だか分からなかった。確か、戦艦の砲撃が直撃して……それで、どうしたんだっけ?てか今何時だ?俺は目線だけで時計を見た。すでに丸一日経過していた。
「あ、起きた!」
声の方向を見ると北上が座っていた。他の球磨型も一緒だ。
「きた、かみ……?」
「大丈夫⁉︎何処か痛くない⁉︎」
「何があったのよ!木曾ちゃんがやられるなんて!」
「さぁて、誰にやられたか言うクマ。お姉ちゃんが土星あたりまでぶっ飛ばして来てやるクマ」
「起き上がれるかにゃ⁉︎あ、これ木曾が大好きなポテチのり塩味にゃ!」
や、喧しい……気持ちは嬉しいけど。
「だ、大丈夫だよ……。このくらい……」
なんとか起き上がろうとした。
「いててっ……」
『無理に起き上がっちゃダメだよ!(クマorにゃ)』
う、うるせぇ……このシスコン共が……。
「平気だよ、少し痛むだけだ……。そんな事より、作戦はどうなったんだ?」
俺は素直に気になったので聞いた。成功してなきゃ俺が怪我した意味はまるでない。すると四人は気まずそうにお互いに顔を見合わせる。が、なんとな答えたのは多摩だった。
「失敗にゃ。木曾がやられたらみんな撤退したらしいにゃ」
「マジ、か……」
ははっ、まるで足手まといだったんじゃないか、俺。
「情けねー……」
思わずそう呟き、俺は俯いた。畜生……俺はもはやその言葉しか出なかった。すると、俺の頭にポンっと手が乗った。その手は俺をナデナデする。
「…………?」
「木曾は悪くないクマ」
「球磨、姉ちゃん……?」
「だから、自分を責めなくていいクマ」
「……………」
あーあ……やべぇ、危うく泣くところだった。クッソ……こんなに俺の姉貴が優しいなんて……。
「そーだよ木曾っち」
北上も優しく声をかけてくれる。大井も、多摩も、みんな俺を慰めてくれた。本当に良かった。球磨型の妹に慣れて。
○
「と、いうわけで木曾の世話係を決めるクマ」
俺の感動は一発で消し飛んだ。
「やりたい人!」
「「「はーい!」」」
全員手を挙げた。あー……なんか嫌な予感するっつーかむしろ嫌な予感しかしない。そもそも、世話係ってなんだよ。数日間くらい一人でも余裕だっつの。
「オイ、俺ぁ別に世話係なんていらね……」
「じゃあ木曾、話し合ってくるから楽しみに待ってるクマ」
「話聞けよ」
つか、全然楽しみじゃないし。楽しみにできないし。そのまま球磨型四人はでていった。と、おもったら今度は提督が入ってきた。
「やっほー。木曾ちゃん」
「提督……」
笑顔で手を振ってくる提督。……無理した笑顔だなあれ。作り笑顔ってやつか?
「なんすか?」
「お見舞いだよお見舞い。ごめんね……わたしの作戦が、ダメダメだったから……」
「別に、提督のせいじゃ……」
「わたしのせいだよ」
俺の台詞を遮って提督は言った。笑顔ではあるものの、表情は暗い。
「人の上に立って指揮する人っていうのは、仮に現場の人の勝手な行動を取ったとしても、そのことも考慮に入れないといけないの」
「……………」
大変なんだな、指揮官ってのは。少し、申し訳なくなっちまった。
「ゴメンな……」
「木曾ちゃんは悪くないって。あーあ、後で球磨型の子達にも謝らないとなぁー」
「え?あーあの、アホ姉貴たちのことなら気にしないでいいですよ。さっきもノーテンキに世話係を決めるとか言って……」
「ううん、そういうわけにはいかないんだ」
「?」
提督の表情はまだ暗いまんまだ。
「あの子達も、かなり木曾ちゃんのこと心配してたから」
「…………」
俺は何も言えなくなった。そうか、そんなに心配かけてたのか、俺………。
「はいこれ、お見舞いの品」
渡されたのは箱。
「なんだこれ?」
「MGモデル1/100スケールFAZZ」
「おお!サンキュー提督!でもお見舞いの品としてはどうかと思うぞ!」
「分かってるって。じゃ、またね?」
そういうと、提督は出て行った。これからは、もっと注意して動かないとな……。正面から殴り合うだけじゃダメだなんだ……。これは、野球とは違う。そんな事を思って反省してると、ガララッとドアが開いた。
「お待たせ木曾っち〜」
北上だった。
「このスーパー北上様がお世話をしてあげよう」
「ああ、そいつはありがとよ」
とりあえず、礼を言っといた。