そんなわけで、俺は特別作戦から外され、気が付けば終わっていた。北上にもじっくりこってり看病され、怪我も治った。
「あーあ……また鈍ってるだろうなぁ」
「まぁまぁ、それは仕方ないクマ」
なんで話しながら俺は球磨とキャッチボールする。
「段々、お前も俺とキャッチボール出来るようになってきたなー」
「何言ってるクマ。手加減してるくせにクマ」
「本気でやるわけにいくかよ。お前死ぬぞ」
「木曾ならグローブさえ固定してれば本気で投げても平気クマ」
「過大評価し過ぎだ。多少はズレる」
「嘘クマ。球磨の目は伊達じゃないクマ」
「じゃ、本気で投げるぞ」
「死にたくないのでやめとくクマ」
「この野郎……」
なんて言いながらキャッチボール。その時だ。「おーい」と声が掛かった。振り返ると、多摩が手を振っていた。
「おっ、多摩お姉ちゃ……ゴフッ⁉︎」
声を掛け返すと、後頭部に何かが当たった。
「あっ、ごめんクマ」
「て、てめぇ……」
「提督の奢りでお祭りにいくにゃ!」
「お前も俺の心配をしてくれよ……」
そんなわけで、祭りに向かった。
○
街の祭り。俺は球磨と多摩と祭りを回る。ちなみに二人は浴衣に着替えてます。
「さて、何処行く?」
「と、言われてもタマはお祭り初めてにゃ」
「クマもだクマ」
「えっ、マジかお前ら」
「去年はそれどころじゃなかったクマ」
「タマに至っては去年の冬にここに来たから縁がなかったにゃ」
「逆になんで木曾はお祭りに行ったことがあるクマ?」
「や、なんでってそれは……」
妖精によるとバグみたいな存在らしいが、そんなことは言えないよなぁ……。
「ま、まぁあれだ。調べただけだ」
「そうかクマ。じゃあ今日は木曾にエスコートしてもらうクマ」
そう言って笑った球磨は少し可愛く見えた。まぁ姉妹なんだから特に何か感じるとかはないんだけどね。
「ま、まずは飯でも食うか。テキトーにその辺の屋台で食いたいもん見繕って来いよ」
「なんでもいいにゃ」
「ていうかエスコートしろって言ったの聞こえなかったクマ?」
「俺にそういうの期待すんな。過去に彼女できたことなんてねんだから」
「「彼女?」」
「あ、いや……彼氏」
あっぶねぇ、ついうっかりバラすとこだった。
「ま、あれだ。お祭りって言ったらりんご飴とか綿あめじゃなあか?」
「クマー。聞いたことないクマ」
「ほらあそこのガキ……浜風だった……おっぱいおばけが持ってるもんあるだろ。あれが綿あめだ」
相変わらず綿あめみたいなおっぱいした奴だな。
「あとあそこの赤い髪の……なんか見たことあんなあいつ」
「江風にゃ。今回のイベントクリアで来た新入りにゃ」
「そうそれ。そいつが持ってるのがりんご飴だ」
「クマ〜迷うクマ」
「まぁ好きなのにしろよ。てか両方行けばいいだろ」
「それもそうにゃ。じゃあ、まずは綿あめの方にいくにゃ」
「クマ!」
てなわけで、綿あめの列へ向かった。
○
そのまましばらく三人で祭りを一周した。で、鎮守府に到着した。中はやけに騒がしかった。
「何事クマ?」
「おっ、三人とも帰ってきた!」
北上と大井が慌ててこっちに来る。
「どしたん?」
俺が聞くと、丁寧に北上が答えた。
「本営の方からあの戦艦の武蔵が送られてきたんだって!」
「なんそれ。宮本?」
「そっちじゃないよ!」
「じゃあロケット団」
「そっちでもないって。お願いだから最後まで聞いて」
で、北上は言った。
「武蔵だよ!戦艦の!」
「ふぅーん……」
そんなん言われても俺にゃわかんねっつの。まぁここで知ってフリでもしとかないと怪しまれるよな。
「あーあれか……」
「ほらあそこ!」
で、見てみると色黒のメガネの女の人が立っていた。色んな艦娘に囲まれているが、まったく興味ないのか動じた様子はない。すると、こっちを見た。
「君が、戦艦並みの火力を持つ軽巡の木曾か?」
「え?あ、ああ。そう、なのかな?なぁ球磨姉ちゃん。俺そんな火力あるの?」
「間違いないクマ」
マジかよ……それもう戦艦木曾でもいいんじゃねぇの?なんて考えてると、その武蔵は俺に言った。
「つまり、君がたかがSN作戦の三段階目でやられた旗艦か」
固まる俺。
「いくら戦艦並みの火力でも、その程度では宝の持ち腐れだな」
言われて俺は立ち尽くした。すると、その武蔵はそのまま執務室のある方向へ歩いて行った。