とりあえず軽く準備する。甲標的とバットと……あとはグローブとボール3級くらいでいいか。で、外に出ると、黒い駆逐艦が一人待っていた。えーっと、名前なんだっけ。
「タマ津風。お待たせ」
「天津風よ!」
おっと、間違えてしまったか。
「そんなに待ってないわ」
「てかお前スカート履けよ。寒くないの?」
「余計なお世話よ!こういう服なんだから仕方ないでしょ⁉︎」
「まぁなんでもいいけどよ……とにかく行こうぜ。早く改二試したい」
「私の慣らしのために行くはずなんだけどね……」
そんなわけで、俺と天津風は出発した。すると、駆逐一隻現れた。せっかくだからこの甲標的ってのと金属バット使ってみるか。
「いいか天津風。こんな感じで行け」
言いながら俺はボール型甲標的を握って軽く放る。その後にバットを握って思いっきりブン回して、ボールを真芯で捉えた。
「ッッ‼︎」
本気スウィング。そのボールは鋭い音を上げて、ものっそい勢いで飛んで行った。ただし、ホームランコース。駆逐イ級の頭を超えて見事なホームランとなった。
「……こんな感じだ」
「いや何がぁぁぁッッ‼︎⁉︎どこに飛ばしてんのよあんたはァッ‼︎」
「いやつい力はいっちゃって……」
「どんだけ馬鹿力出してんのよ!ていうかそもそもそのふざけた艤装はなんなのよ!」
「俺専用の奴だけど?」
「平気な顔で答えるな!なんか腹立つ!」
「っと、そんなことよりあいつ倒せよ。ほら来るぞ」
「そ、そうね。了解」
で、天津風の持ってるあのほら、島風の連装砲みたいな奴が砲撃を開始した。それが見事に直撃する。
「! やったわ!」
「馬鹿、まだだ」
が、すぐに反撃が来た。あのデッカいクジラみたいな口から砲弾が飛んでくる。
「しまっ……!」
天津風に直撃する直前、俺はグローブで砲弾をキャッチした。
「! あなた……」
「お前は俺が守ってやるから。はよ倒せ」
「………………」
「おい、何ボーってしてんだおい。はよ倒せって」
「あっ、そ、そうね」
で、引き続き砲撃を開始する天津風を俺は後ろからぼんやり見てた。
○
その映像を見ながら北上が呟いた。
「なんか、私たちよりお姉さん、いやむしろお兄さんやってない……?」
「「「……………」」」
全員がそっと顔を伏せた。
○△
俺と天津風は駆逐イ級を倒し、進撃する。今度は駆逐二隻と軽巡一隻が現れた。
「来たな」
早速、俺は甲標的を放って、金属バットでぶん殴った。が、またホームランコース。
「ホームランンンンンッッ‼︎‼︎」
「いや、だから飛ばしすぎよ!」
「あれだよ。開戦の狼煙だよ」
「無理があるわよ!」
なんてやってると、敵の砲弾が飛んできた。それを俺はキャッチし、天津風に言った。
「おら、はよ倒せ」
「わ、私一人で⁉︎」
「俺が突撃したらすぐ終わっちまうだろうが」
言いながら俺は金属バットで素振りを始めた。
「ああもうっ!なんでこんなのが私の世話係なのよ!」
そうボヤくと天津風はズザザザッと海の上を滑る。
「いい風ね……撃ち方始めて!」
そう言うと砲撃開始。その様子を後ろから俺は眺めていた。なんだ、一人でも結構頑張れてるじゃねぇか。そんな事を考えながら後ろから戦闘を眺めてる時だ。
「あん?」
敵艦隊の少し後ろの辺りに、駆逐2と軽巡2の援軍のようなものが見えた。
「おいおい……嘘だろ」
その援軍は砲口を天津風に向けている。
「ヤバイ……!」
俺は急いで天津風の前に立ちふさがり、その砲弾をキャッチした。
「キャッ!な、何………?」
「天津風、緊急事態。お前は帰れ」
「どういうことよ!」
「奴らの後ろ見えるか。援軍が来てる。なんか知らんけど、鎮守府前海域ではこれまでなかった。けど来てるって事はヤバいってことだろ。それくらい察しろバカ」
「ば、バカ⁉︎」
「お前は早く帰れマジで」
「あなたはどうするのよ!」
「ここで食い止めるに決まってんだろ」
「ほ、本気⁉︎」
あーもうっ。めんどくせーな。俺は3球しかないうちの1球を振りかぶった。で、思いっきりブン投げ、敵を二体ほど貫いて撃沈した。
「早く行け天津風」
「………わ、分かったわよ」
よし、ビビらせたか。敵の数はこれで駆逐2と軽巡3。俺は手にペッと唾を掛けると、金属バットを握った。
「久々の近接格闘……いや、ただの喧嘩か」
ニィッと笑うと俺は金属バットを握って突撃した。迫り来る弾丸の雨。それを躱したり金属バットで弾きながら接近した。そして、軽巡一隻に狙いを定めた。
「ッラァッ‼︎」
ジャンプして砲弾を躱すと、軽巡の脳天をカチ割るように金属バットを振り下ろした。バットが頭に減り込み、そのままバットなのに一刀両断した。
「はい次ィ」
と、笑った時、横から駆逐が噛み付いてきた。歯が俺の肩に食い込む。
「テンメェッ!」
その駆逐の口をバットでブッ叩いてぶっ飛ばす。
「あぐッ………!」
ヤベェな……肩から血が出てきやがった……。だが、懐に飛び込んだ以上はヘタには退がれない。俺は気合を入れて金属バットを再び握った。
「あと3人……やれるか……⁉︎」
シャアみたいなことを呟きながら、敵の砲撃を回避しながら接近。砲弾をまた回避しながら接近し、駆逐の頭をカチ割った時だ。軽巡二隻に囲まれていた。
「………ヤベェ」
そう呟いた時だ。その軽巡二隻に俺のとはまったく別の甲標的が直撃した。
「っ!」
「ちぇー。やっぱ改造したては一時的に性能下がっちゃうかー」
「あそこのヤンキーとは違って、私達は普通の艦娘ですからね」
後ろを見ると、北上と大井が立っていた。
「! お前ら……!」
「人の妹にっ、」
「手を出すなクマァッ‼︎」
今度は多摩と球磨が俺を囲んでた軽巡二隻に砲弾を浴びせる。
「多摩と球磨まで……」
で、あっという間に敵を蹴散らしてしまった。
「大丈夫ー?木曾っちー」
「問題ない、肩を噛まれただけだ」
「血、出てるじゃない。どんだけ怪我すればいいのよ木曾ちゃんは。早く帰るわよ」
北上と大井が肩を貸してくれた。
「………ていうかお前ら。なんでここに?」
「あっ、いやえっと、提督がピンチだから行け〜って」
「そ、そうクマ。なんか木曾の戦闘シーンを見たいとかでラジコンの監視カメラで見てたみたいクマ!」
「タマ達はまったく関係ないにゃ!」
「あの野郎後で殺す」
((((ごめん提督……))))
何故か申し訳なさそうな顔をする四人だった。