「いっけぇ!ツインサテライトキャノンッ‼︎」
演習場。言うまでもなく砲弾は無限の彼方へ飛んでった。川内に教わった時、あれ以来一発も当たらん……。
「なぜだ……」
もちろん、姉妹艦の姉貴たちにも聞いた。その結果発表、
球磨『感覚だクマ』
多摩『感覚だにゃ』
北上←そもそも雷巡
大井←同じく
誰一人使えなかった。
「感覚、かぁ……俺の感覚がズレてんのかなぁ」
思わず肩を落とす。バイオハザードとかは得意だったんだけどなぁ。モンハンもライトボウガンとガンランスと太刀が得意なんだけどなぁ。
そんな現実逃避をしてると、隣で駆逐艦のガキ共がバカスカ的に当ててるのが見えた。
「はぁ……」
艦娘辞めてぇ……。いや本気で言ってるとかじゃなくて、やっぱモチベーション上がらないとやる気失せるじゃん?しかも今日は提督が後ろで見てんのになぁ……。このままじゃ解体されるんじゃね?
「はぁ………」
「おーい、木曾ー」
思わず二度目のため息をついたとき、提督からお呼びが掛かった。
「か、解体なら解体とハッキリ言ってください!」
「いや違うよ。あんた、次の演習メンバー」
「や、毎日してますけど……」
「そうじゃなくて、他の鎮守府と」
「転勤?」
「や、だからそうじゃないってば。実践式の演習」
「ごめん、聞き間違えたかも。もっかい言ってくれる?」
「実践式の演習」
「」
「他の子はまだ決めてないけど、そこんとこ頼むね。じゃ、あたしは戻る」
「」
あの野郎……俺に恨みでもあんのか?
○
『演習⁉︎』
「…………そーだよ」
球磨型の部屋。四人全員に驚かれた。
「あ、あれだけヘタクソなのにクマ?」
「ほ、本気かにゃ……?」
失礼な反応をする熊と猫。
「るせーなぁー。生まれてこの方ゲーム以外で射撃なんてしたことねんだよ」
「………ゲーム?」
「やってたっけ?私は見たことないけど……」
キョトンとした顔で大井、北上が声を漏らした。
「あーいやなんでもない」
話しても信じてもらえないだろうし、向こうだって興味ないだろうから話さなくていいよね。
「それよりも演習っていつなんだ?」
「………最初にメンバーに選ばれた癖に聞いてなかったの?」
「ああ……ショックがデカすぎてな……」
聞いてきた大井が納得したように頷いた。
「んー。でも私はいいと思うけどなー」
「き、北上さん⁉︎」
「何言ってるクマ?」
「いかれたかにゃ?」
「球磨ちゃん、多摩ちゃん、殺すわよ?」
いや殺すってお前……。てかなんで大井がキレてんだよ……。分かってたことだけどこの女怖いな……。
「いやーだってさー、練習だとダメだけど本番には強い人っているじゃん?そんな感じかなーって」
「あー確かにいますよねそういう人。さすが北上さん♪」
「そーそー。火事場のクソ力的な?だから木曾っちももしかしたらさー」
「ねぇよ」
「即答?しかも否定?」
いやねぇって……そんなサイヤ人みたいな能力……。いや、正義超人だっけ?どっちでもいいけど。
「とにかくねぇよ。そんな都合のいい漫画みてぇな能力。俺は神様のご加護とか、死の淵からの復活とか、努力すれば報われるとか信じないからな」
「いや最後のは信じようにゃ……」
「無理だよ」
自分でも予想外の冷たい声が出た。………あっ、やべっ。気が付けばシーンッとしちゃってる。
「や、まぁ努力はきっといつか活きるよねうん間違いない」
「そ、そだよね〜。さ、大井っち。そろそろお風呂行こ?」
「お、おおお風呂⁉︎北上さんと⁉︎入ります入ります!絶対行きます!」
「さて、クマはご飯食べに行くクマ」
「多摩も行くにゃ」
と、バタバタと動き出す姉貴達。まぁ、急にあんなこと言ったら逃げるわな。俺も何かしようととりあえず立ち上がろうとした時だ。目の前に手が差し出された。
「あ?」
「木曾も一緒に行くクマ?」
「にゃ?」
「…………ああ」
初めていい姉貴だと思えたかもしれない。