翌日の執務室。呼び出されたので来た。
「失礼します」
中に入ると、提督が加賀さんに横四方固めされていた。
「いだだだだっ!でも少し快感!」
「い、い、か、げ、ん、に、しなさいっ!」
「ああああ!加賀さんの太もも柔らかっ……」
「何してんのあんたら」
「ああ、来たわね木曾。もう少し待って?今やっつけるから」
「やっつけられちゃうの⁉︎でも加賀さんにやられるなら本望………」
待っていろというなら待ってよう。しかし、こんなヘンタイ提督でも仕事は出来るみたいなんだよなぁ……。机の上にこんもりと書類の山が積まれてるし、その一番上には「済」のハンコが押されてる。
「おーい、木曾っち〜」
聞き覚えのある声がして、振り向くと北上と、誰だか知らない三人がいた。
「おう。何してんのこんな所で」
「今度の演習のメンバーだってー。あ、紹介しとくね」
北上はそういうと、まず自分の隣の和服の女性を指差した。
「まずは榛名っち」
「よろしくお願いします。木曾さん」
ニコッと微笑むその顔はとりあえず天使だと思いました。
「は、はい。よろしくお願いします!」
「ふふふっ、元気ですね」
ああ、なるほど。この人が天使か。で、次は北上の斜め奥に座ってる女を指した。
「あれが大鳳っち。同じ新入りさんだよ」
「よろしくお願いします」
「おう」
小さいな。駆逐艦かな?
「今、失礼なこと考えたでしょ」
「ぜ、じぇんぜんしょんな事ないでせうよ⁉︎」
「噛みまくりじゃない!バレバレよ!」
「まぁまぁ大鳳っち。話が進まないから。………で、最後。あたしのお向かいさんが響っち」
「響だよ」
「ああ、どうも……」
クールなガキだな。つーか俺、ガキ嫌いなんだけど。
「で、あとは私、スーパー北上様とあそこで横四方固めから足緘に変更した加賀っちが一緒だよ」
足緘って禁止技じゃないですかー……。
「ま、そゆこと」
復活した提督が何事もなかったように言った。
「とにかく、このメンツで行くから」
「演習の日はいつなんすか?」
「今週の金曜」
「明後日じゃねぇか!いくらなんでも急すぎんだろ‼︎」
「いいから、特訓しといで」
「いや今から特訓してどうにかなるものじゃ……」
だが、加賀さんは立ち上がり、執務室を出る。それに榛名、大鳳、響と続いていった。
「………木曾っち、行くよ」
「…………おう」
北上に手を差し出されたので、とりあえずついていくことにした。
○
食堂。演習メンバーで飯を食ってる中、俺は一切食事に手をつけず、机に突っ伏していた。
「木曾」
そんな俺の肩に響が手を置く。液体ヘリウムのような目が俺の目をまっすぐ見て言った。
「ヘタクソ」
「ゴフッ」
喀血する俺。
「確かに酷いわね。今までの演習で何をしてたのかしらってレベルで」
「ゴッファ」
加賀さんの追加ダメージでさらに吐血した。しかも、誰のフォローもなく、全員が苦笑いしてるのがまた辛い。
「俺、転職しようかな……」
「お、落ち着いて木曾っち!」
「落ち着いてるよ……」
はぁ……と、ため息が漏れた。死にたい……。
「大丈夫ですよ、木曾さん」
ニコッと微笑んで声をかけてくれたのは榛名天使だ。
「榛名は初めて見ましたけど、誰だって最初はそんな感じですから」
最初の時点で大丈夫じゃないよね……。どうしてもモチベーションが上がらない……。すると、加賀さんが立ち上がった。
「とにかく、出来るようになるまで特訓するしかありません。午後の訓練に行きましょう」
「えー……もうやりたかねぇよ……」
「ダメです。ほら、はやく食べちゃいなさい」
「食欲ない」
「食べないと午後持ちませんよ」
体育会系の部活かよここは……。
○△
そして、演習当日となった。