闇影の軌跡   作: 黒兎

10 / 83
無意識?の優しさ

 お昼前の四限目、ゼダスは教室で割り振られた自分の席、最前列で窓側の席に座り、ゆっくりと流れる雲を眺め黄昏ていた。

 

「あいつら、何やってんだろうな」

 

 ボソッと発した言葉は静かな教室に思いの外響いた。そして、

 

「ゼダス・アインフェイト!何をしている⁉︎」

 

 と大声で注意された。それもそのはず。だって授業中なのだから。

 科目は軍事学。そして、担当教官がナイトハルトと言う名の金髪碧眼の人だ。

 ナイトハルト教官はこのエレボニア帝国の帝国正規軍・第四機甲師団に所属している。第四機甲師団といえば、帝国正規軍の中でも最強と言われており、ナイトハルト教官はその第四機甲師団のエースと呼ばれている。更に異名《剛撃》なんて物がついている。ゼダスは

 

「授業を受けてます」

 

 と知らばっくれようとしたが、

 

「明らかに授業に身が入っていなかっただろう⁉︎」

 

 と指摘された。それに対し

 

「いや、ちゃんと聞いてましたよ。人間は外部からの情報を受け取る時、聴覚で約80%受け取るとかどうやらですし。」

 

 と屁理屈を言っていると、ナイトハルト教官は溜息を吐き、

 

「はぁ、ゼダス今回の事は不問にしてやるから、しっかり授業を受けろ。」

「はーい」

 

 と気の抜けた声でゼダスは返事をした。

 今、ゼダスの考えていた事は結社の動向についてだ。そろそろ頃合いの計画が気掛かりでならない。

 

「(このエレボニア帝国とお隣さんのクロスベル自治州であんな物を引き起こすとか正気の沙汰じゃないな。しかし、やはり気になるのは、《盟主》が俺を士官学院に入れた理由が分からない。計画には関係無い筈だし、計画を円滑に進めるなら、《盟主》の手中に残しておいた方が良い。なら、何でーー)」

 

 と思案を巡らせているとまた、ナイトハルト教官の説教を喰らったのは言うまでもなかった。

 

 

―――*―――*―――

 

 

 授業が終わり昼休み、ゼダスは弁当片手に本校舎の階段を上っていた。弁当は朝、自分で作った物だ。屋上に吹く風に煽られながら飯を食べる事は気持ち良い。

 しかし、ボッチ。最初からⅦ組に俺自身から馴れ合うつもりは無いし、こんな俺を気にかける奴も居ない。だから、ボッチなのだ。

 そして、屋上へと続く扉に着き、遠慮なく開けた。すると、そこにポツっとフィーがいた。

 ゼダスはその事に全く気にせずにベンチに腰掛け、弁当を食べ始めた。我ながら上手く出来た物だ、と感心しているとフィーが近寄ってきた。それを確認し、フィーが近付いてきた分だけ離れた。数分間その繰り返しをしていると、いつの間にか屋上の角に追い込まれていた。無意識で逃げていたとはいえ、追い込まれるとは思わなかった。ゼダスはそろそろ、飽きたので、

 

「何だ?」

 

 と短い問いを投げかける。それに対して、フィーは

 

「弁当、欲しい。」

 

 と包み隠さず答えた。それを聞き、

 

「何で俺の弁当を……というか、本校舎の横にある学生会館の購買でなんか買ってくれば良いだろ?」

「めんどくさい」

「面倒くさいだぁ?この程度で面倒くさがってこっから先、どうするんだよ。」

 

 とやり取りしてて、ある事に気付く。フィーとなら、何故か普通に接してしまう。学院の時は勿論、結社の時でさえ自分の素のままを晒すのは珍しいのだ。世界中に数える程しか居ないのに。

 

「仕方ない。今回だけだからな。」

 

 と言いフィーに弁当を渡した。遠慮なくモグモグと食べるその姿は一周回って可愛らしくみえた。ゼダスは

 

「(これじゃ、俺の昼飯無いんだよな。)」

 

 などと思っているとフィーが

 

「ご馳走さん」

 

 と空の弁当箱を渡してきた。

 

「美味かったよ。明日から私の弁当を作ってよ?」

 

 と頼んできた。それに

 

「良いぜ、作ってやるよ。」

 

 と渋々答えた。だが、しかし自分の作った物が「美味い」と言ってもらえるのは嬉しいものだな。ゼダスの料理の腕は中々だ。結社にいた頃から、アリアンロード率いる鉄機隊全員分の料理を担当していたのだ。嫌でも腕は上達するっつーの。

 

「そろそろ、授業始まるから戻ろーぜ。フィー。」

「うん」

 

そして、教室へと戻って行った。

 

―――*―――*―――

 

 

 放課後、入学直後の生徒に必然的に発生するイベント、部活選択する参考材料となる部活見学が許可されていた。

 しかし、部活なんぞに興味の一つも沸かないので、さっさと荷物を纏め、寮へ帰ろうとすると、

 

「ゼダスは部活見て行かないのか?」

 

 とリィンが声を掛けてくる。

 一緒にいるのは帝国正規軍に務める猛将「赤毛のクレイグ」ことオーラフ・グレイヴ中将の息子であるエリオット・グレイヴと帝国北東方面にあるノルド高原からの長身留学生、ガイウス・ウォーゼルだ。ゼダスは

 

「生憎、部活なんて興味無い。なら、見学しに行く必要無いだろ。」

 

 とぶっきら棒に答えた。

 士官学院から寮までの帰路は少なからず距離がある。ゼダスはその間、夕食の食材を買っていた。

 

「(どうせ、全員疲れて帰ってくるだろうし、夕食の支度ぐらいしといてやるか。)」

 

 ゼダスは馴れ合うつもりは無いと言いつつ、意識外でⅦ組のことを気に掛けている。後に根の良い奴認定されるのは遠く無い未来だった。




フィーは妹枠で良いか。と思い始めてきた……
やっぱり、フィーには家族愛の方が似合うよ。

現在もヒロイン候補募集中なんで意見ある方は活動報告のコメントへどーぞ!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。