闇影の軌跡   作: 黒兎

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ホワホワ〜〜〜〜♪









何がしたかったんだろう……


実技テスト

 4月21日。今日は実技テストの日。サラ教官によってⅦ組がグラウンドに集められた。

 

「ーそれじゃ、予告通り《実技テスト》を始めましょう。」

 

 その一言に全員が緊張に包まれる。が、ゼダスとフィーは眠そうにしていた。

 

「前もって言っておくけど、このテストは単純な戦闘能力を測るものじゃないわ。『状況に応じた適切な行動』を取れるかを見るためのものよ。」

 

 とサラ教官。ゼダスは、

 

「(てことは、一気に倒しても、条件に工夫が無かったら点が辛くなるって事か。)」

 

 と思案に浸っていると、Ⅶ組の面子はそれぞれに気合が入っていた。その光景に、

 

「ふふーそれではこれより4月の《実技テスト》を開始する。リィン、エリオット、ガイウス。まずはアンタ達よ。」

 

 と呼ばれた三人は返事をし、前に出る。大分緊張していた。サラ教官は

 

「ーそれじゃあ、とっとと呼ぶとしますか。」

 

 と言い、パチンッと指を鳴らす。すると、虚空から突如、流線型のフォルムを持つ機械が現れる。その光景にⅦ組全員が驚いた。ゼダスだけは別の意味だが。

 

「(結社の人形兵器⁉︎何で学院にこんなモンが有るんだよ⁉︎)」

 

 口々にサラ教官に質問が飛ぶ。その答えとして、

 

「そいつは作り物の“動くカカシ”みたいなもんよ。強く設定してあるけど、勝てないわけじゃ無いわよ。例えばー」

 

 例えばー

 

「「ARCUSの戦術リンクを使うか?(とか)」」

 

 とゼダスとサラ教官の言葉が被った。サラ教官は、

 

「何でアンタが割り込んでくんのよ。」

 

 とジト目でこちらを見る。ゼダスはその行動に対し、苦笑を浮かべるしか無かった。まぁ、良いとサラ教官は、

 

「それでは始め‼︎」

 

 と開始の合図を送ると戦闘が始まった。

 危なげない試合運びで案外いい戦闘だった。ARCUSの戦術リンクも活用できていたし、問題点は無いだろう。後に聞いた話によると、前の自由行動日の時にオリエンテーリングのときに使った旧校舎の探査をして特訓していたそうだ。

 

「それじゃあ、次!ラウラ、エマ、ユーシス、マキアス。前に出なさい!」

 

 二組目は結果だけ言うと辛勝だった。普段からゼダスと特訓しているラウラと卓越したアーツの使い手のエマが何とか勝利に繋げた感じだ。辛勝の原因は明らかに、マキアスとユーシスの圧倒的な噛み合わなさが原因だろう。見ているこっち側もハラハラするのだから、それと一緒に戦っているラウラとエマは、精神的にやられただろう。サラ教官は

 

「ユーシス、マキアス。アンタ達もう少しなんとかならないの?明らかに足引っ張ってんじゃ無いの。」

 

 と二人に酷い評価を送る。それに対して

 

「この平民が、合わせれば問題無かった。」

 

 とユーシスは傲慢な態度をとり、マキアスは

 

「貴族に合わせるものか‼︎」

 

 と語気を荒げていた。この二人相反しすぎだろと思ったのは、多分大多数の人間だろう。そして、最終組、

 

「最後は、ゼダス、アリサ、フィー。前に。アンタ達、戦術リンクの真価が見れるといいわね。」

 

 といい、三人は前に出る。ゼダスは、

 

「アリサ、フィー。二人とも肩の力を抜けよ。別にテスト落としても死なないから。」

 

 と気楽そうに言う。アリサはその言葉に頭を抱えて、

 

「何でこんなに気楽なのよ……」

 

 と問うてくるが誰も答えない。三人はそれぞれに武器を構える。すると、アリサは不思議な感覚に襲われる。あれほど緊張したのに全く緊張しないのだ。

 

「(原因は…)」

 

 と思い、見たのはゼダスだった。ARCUSを介して伝わってくる穏やかで柔らかい波長が原因だろう。サラ教官は

 

「それじゃ、始め‼︎」

 

 と同じ様に合図を出す。

 その瞬間、無意識のうちにアリサは手に持った導力弓から矢をあの不思議な機械に放っていた。射線上にゼダスがいるのに。

 当たると思ったその瞬間、ゼダスは右側に、フィーは左側に一気に足を踏み込む。そして、射線上に誰も居なくなった矢はその機械に深々と突き刺さった。それに追い討ちを掛けるかのように、右から大剣、左から銃弾が機械を襲った。サラ教官は

 

「文句無しの合格ね。完璧に戦術リンクを扱いこなしてたし。」

 

 と高評価を述べる。ゼダスは、

 

「戦術リンクは人ごとの特性を考えて合わせればいいだけだしなぁ。苦労はしねぇな。」

 

 と感想を言っていた。これでテストは終わり……と思ったら、ラウラが

 

「ーところで、サラ教官。先程の傀儡めいた物は一体何だったのだ?」

 

 と問う。答えをよく知っているのはサラ教官とゼダスぐらいだろう。サラ教官はんーと考える素振りを見せ、

 

「とある筋から押し付けられちゃった物でね。あんまり使いたく無いんだけど色々設定できて便利なのよね〜。ま、ちゃんとテストの役に立ったし、結果オーライってことで♡」

 

 と答えた。これでしっかりと実技テストが終わった。

 これから自由行動日の前の日のHR(ホームルーム)で話していた《Ⅶ組》の重要なカリキュラムについての説明が始まろうとしていた。サラ教官は、

 

「君たちに課せられた特別なカリキュラム……それはズバリ、《特別実習》よ!」

 

 《特別実習》。その言葉に全員が疑問を浮かべながら、警戒していた。あんなオリエンテーリングを仕掛けてくる奴が声を上げて言ってくることなんて碌な事じゃない。サラ教官は続けて、

 

「君たちにはA班、B班に分かれて指定した実習先に行ってもらうわ。そこで期間中、用意された課題をやってもらうことになる。正に特別(スペシャル)な実習ってわけね♪」

 

 と概要が説明された。

 勿論、教官はついてこないらしい。サラ教官曰く、修行らしい。全員が溜息つく中、ユーシスの

 

「バレスタイン教官。結局、俺たちに何時、何処へ行けと言うんだ。」

 

 という問いにサラ教官はA4サイズの封筒を取り出し、全員に配った。

 

「その中に今回の班分けと実習先が記してあるわ。」

 

 と言われたので、全員封筒を開封し、紙を見る。

 

【4月特別実習】

 

A班:リィン、アリサ、エリオット、ラウラ、ゼダス(実習地:交易地ケルディック)

 

B班:エマ、マキアス、ユーシス、フィー、ガイウス(実習地:紡績町パルム)

 

 という何とも狙ったかのような組み合わせだった。ギクシャクした関係を合わせすぎだろwwと思ってしまった。

 互いに帝国内の町で遠く無い為、最初の実習先としては最適だろう。サラ教官は全員が目を通したのを確認した後、

 

「ー日時は今週末。実習期間は2日くらいになるわ。A班、B班共に鉄道を使って、実習地に行くことになるわね。各自、それまで準備を整えて英気を養っておきなさいー!」

 

 と言った。そして時は止まることなく、特別実習日まで問題無く進んでいくのだった。

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