闇影の軌跡   作: 黒兎

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タイトルを考えるのが大変っすww

今回はゼダスの口調が不統一な気がするんですけど、何を基準に統一して良いか迷っているんですよねー。そこら辺はしっかりと考えないと……


剣の道の調和 真夜中に起きた不可解な事件

 翌朝、「風見亭」の女将から実習内容が記された封筒を渡された。内容は、

 

特別実習・2日目、実習内容は以下の通り

 

・西ケルディック街道の手配魔獣

 

・落し物の財布

 

だ。その内容に、

 

「あら……思ったより少ないわね。」

 

 とアリサはつぶやく。それに対してエリオットは、

 

「僕たちが、今日中に帰るから元締めさんが気を遣ってくれたのかな?」

 

 と推測を立てると、女将さんが、

 

「ああ、あの人は良く気が効く人だからね。」

 

 このやり取りで俺はある程度の《特別実習》のロジックについて自論を立てれた。

 

「(俺らが行かされる実習地には、何らかの学院と繋がりがあり、それでいて地位の高い人がいるって事か。少なくとも、依頼をまとめてくれる人がいるんだろう。そうじゃなきゃ、俺らは一街分の依頼をしなきゃならない訳だし。んな大変な事は流石に学院側も想定しとらんだろう。でも、それならわざわざ現地の人に選ばせるか?教官が選べばいいだろ。面倒な事は回避しそうだけど、仕事を放り投げるような真似はしないし………。なら何でー)」

「……おい、ゼダス?」

「ん。ああ悪い。考え事していた。」

 

 心配そうに覗くラウラに俺は軽く謝りながら対応する。そして女将さんは続ける。

 

「トリスタ方面の最終便は夜の9時くらいまであるはずだ。早めに終わらせて、夕飯はウチで食べてから列車に乗るといいさ。」

「はは……お言葉に甘えさせてもらいます。」

 

 やっぱり、こういう場面はリィンに任せるに限る。人当たり良いし、社交性も高く、何より……滅多に断らん。そこが良いんだよなぁ。

 そして、実習を始めようと外に出ようとする。すると、昨晩の出来事を危惧してか、エリオットとアリサが慌てている。だが、リィンは、

 

「ーラウラ。昨日は済まなかった。」

 

 と謝る。それに対して、

 

「……何の事だ?そなた自身の問題ゆえ、私に謝る必要は無いと言ったはずだが……?」

「いや、そうじゃない。謝ったのは、“剣の道”を軽んじる言葉を言った事だ。」

 

 さらにリィンは続けて、

 

「『ただの初伝止まり』なんて、よく考えてみたら失礼な言葉だ……老師にも、八葉一刀流にも。“剣の道”そのものに対しても。それを軽んじた事だけはせめて謝らせて欲しいんだ。」

 

 その言葉にラウラは補足するように、

 

「ー1つ抜けている。」

「え……」

「そなたの事情は知らぬ。だが、身分や立場に関係無く、どんな人間だろうと誇り高くあれると私は信じている。ならばそなたは、そなた自身を軽んじた事を恥じるべきだろう。」

 

 ラウラの言葉にリィンは思う事があったのか、黙る。しかし、ラウラからある問いが飛んできた。

 

「そなた、“剣の道”は好きか?」

「……好きとか嫌いとかいう感じじゃないな。あるのが当たり前で……自分の一部みたいなものだから。」

 

 その答えにラウラは笑顔で頷き、

 

「ならばよい。」

 

 と言って、この件は一件落着………………と思いきや–––

 

「ゼダスはどうなのだ?」

「……おい、ラウラ。てめぇ、なんで良い感じにまとまってきたのに俺を巻き込むの?せっかくの雰囲気が台無しじゃないか。」

 

–––俺に飛び火が飛んできた。ラウラは、

 

「そなたの剣はⅦ組の中で誰よりも近くで見てきたつもりだ。だが、そなたの剣は何処へ向かっているのかが、分からんのだ。だからこそ聞かせて欲しい。“剣の道”は好きか?」

「あー。“剣の道”か……。俺もリィンと似たり寄ったりだげど、若干違う。俺は剣を“道具”として生きてきた。そういう点じゃ、お前らと違って“邪道”扱いだろ。好き嫌い以前に俺には必要だったから会得しただけで、それ以上でもそれ以下でも無い。俺の剣の向かう先かぁ……考えた事は無いけど、まず終わりは無い。理由は至極当然、どれだけ極めても上がいるからな。どれだけ俺が強者を喰らっても、上が存在するんなら、普通に考えて終わりは無いって事だ。」

 

 俺は強い。執行者の中でも、上位カーストには居れるくらいには。でも、まだ足りない。

 確かに俺は今は亡き執行者No,Ⅱ《剣帝》の戦技(クラフト)を完全にコピーしきった。でも、本家に比べると確実に練度が下だ。だからと言って、練度を上げれば《剣帝》に追いつけるか?と言われれば、絶対に無理だ。

 何故なら、剣に込める物が違うからだ。俺は、強さへの貪欲なまでの“渇望”を剣に込めて振るっているのだ。それに比べて、《剣帝》の剣にはもっと別の物が籠っていたという。そんな物を込めて戦う俺には絶対に追いつけない。でも、その思いを抜いてしまえば、俺には一体何が残る?記憶も無く、思いも無い……。そんな人形みたいには絶対になりたく無い。絶対に–––………

 

「どうしたのだ?」

 

 俺はラウラに肩を持たれて、揺らされていた。

 

「えっ……ああ、ちょっと心に引っかかる事があってさ。で、聞きたい事はそんだけか?」

 

 その一言で、終わらせたこの話題。そして、実習を始めようと俺が扉に手を掛けたその瞬間、

 

「女将さん‼︎大変大変‼︎」

「ごふっ………」

 

 宿屋のウエイトレスだろうか?その少女が開けた扉が綺麗にヒットした俺は宿屋の床にぶっ倒れた。その光景に他の面子は失笑。女将さんは、

 

「あんた大丈夫かい?あと、ルイセ。出て来るのが遅すぎるよ。」

 

 ルイセと呼ばれた少女は、俺に向かって

 

「あ、すみません‼︎大丈夫ですか?」

「俺、生きてる。イキテルヨォー」

 

 その俺の反応にエリオットは、

 

「ゼダスがぶっ壊れたー‼︎」

「………冗談だよ。何にも変わりはねぇし、大丈夫だ。」

 

 と言い立ち上がると、ルイセは焦っていたらしく事情を説明し始めた。

 大市の方で事件があったらしい。俺自身は確認していないが、昨日から屋台の出店場所をかけて争っていた二人がいたらしいのだ。そして、昨晩中の内に両方の屋台が綺麗にぶっ潰されてたそうだ。しかも、商品まで盗まれたと言う。そして、今現在–––

 

「喧嘩してるって訳か。」

 

 俺たち、Ⅶ組A班は現場となった大市に出てきていた。そこでは、平民風貌の男性と貴族風貌の男性が喧嘩していた。初老の男性が何とか仲裁を試みているが、多分その程度で怒りは収まらんだろう。商人にとっては商品は文字通り生命線といっても差し支えない上、全部持ってかれたのだ。争っている相手の所為にしたいのはよく分かるが、冷静に考えたら有り得ない。何故なら、互いに商品を綺麗さっぱりに盗まれているからだ。俺は初老の男性、元締めのオットーさんの肩をポンと叩き、

 

「ここ。任せてくれません?士官学院生として、収めてみますから。」

 

 と頼むと、オットーは対処しきれないと感じ取ったのか、譲ってくれた。

 

「お前ら、ちょっと落ち着こうぜ。そんな喧嘩しても無駄だろうが。そんな体力残ってんなら、盗まれた商品をどう取り返すかを考えろよ。」

「部外者が何をほざいている‼︎こいつが盗んだに決まっているだろう‼︎その上、屋台まで破壊して……ここを奪い取る気だったんだろ⁉︎」

「それはこっちの台詞だっ⁉︎」

「冷静になれっつてんだろ。まず、前提がおかしい……」

「ーそこまでだ」

 

 この騒動の中に響く高圧的な声。俺はその音源を見て、うげぇとなった。

 ここまで状態が悪化するまで傍観を貫いた上で、狙ってたかのようなタイミングで出てきたのは、ケルディックの街を納めるクロイツェン領邦軍だった。領邦軍の先頭に立っていた隊長らしき奴は声を荒げて、

 

「こんな早朝から何事だ!騒ぎを止めて、即刻解散しろ!」

 

 ………全くもって無茶苦茶な収束法を取ってきたもんだ。俺は領邦軍の行動にそう思わざるを得なかった。元締めのオットーに状況の説明を求められたので答えていたが、それを聞いて取った行動が色々とぶっ飛んでいた。

 なんと、互いの商人を拘束するというのだ。

 隊長らしき奴は、『いがみあう2人の商人が同時に同じ事件を起こしたと考えたら、辻褄が合う』というのだ。俺は、その強引過ぎる推測に冷静に返す。

 

「領邦軍の隊長さんよぉ……言ってることがおかしいって気づかないのか?互いにこの大市に店を出そうと思ったんなら、相当な量の商品を用意してきたってことだろ。それを一晩で綺麗さっぱり丸ごと盗み切るのは無理難題な上、屋台まで破壊するのは現実的に不可能だろ。」

「学生風情が何をほざいく。生憎、領邦軍にはこんな小事に手間を割く余裕など無いのでな。さて、どうする?このまま騒ぎを続けるならそのように処理するだけだが。」

 

 事実上の事件の隠蔽。本来なら領邦軍が権力を振るって行使してはならない解決法。その言葉に流石の2人も黙り込む。すると、

 

「フン、それで良い。それでは失礼する。我々も忙しいのでな。」

 

 と言って領邦軍は立ち去っていった。俺はほのかな怒りを覚えたが、どうにかして抑え込んだ。元締めは何とかして、大市を遅れながら開こうと頑張り始めた。俺は、

 

「お二方。確かに被害に遭ったことはお悔やみ申し上げる。でも、冷静さを忘れないで下さい。というか、壊れた屋台の修理でもしといて下さいな。あとは、俺らが解決して見せるんで」

 

 その言葉に元締めを始めとした大市の開催する為に奮闘している人たちや、直に被害を被った二人の商人は全員こちらを向く。この光景に、

 

「–––ってゼダス、いきなり何を言い出すのよ⁉︎」

 

 とアリサは慌てて言う。しかし、俺自身もこんな発言をした意図が分からなくなっていた。ただ一つ分かることがある。

 別に俺は誰にでも手を差し伸べる心やさしき偽善者になるつもりは無い。だが、あんな領邦軍(クズ)が我が物顔で権力という玉座に踏ん反り返っているのが、絶対に許せない。俺は、

 

「だから言ってんだろ。俺らは特別実習でこの街に来てんだぜ。そして、今日の課題に必須は無いし、丁度良いだろ。確か二つくらい課題は出されてたが、あれは片手間にかつ迅速に済ませて、この事件を解決する。何か問題でも?」

 

 リィンは俺の言った言葉に何か思うところが有ったのか、

 

「………確かにゼダスの言う通りだ。このまま見過ごす事は出来無い。出来る範囲だけでもやってみるべきじゃないか?」

 

 と言うと、ラウラは快く、エリオットも快く、アリサは渋々と了承した。俺は、

 

「んじゃあ、まずは聞き込みから始めるか。ま、頑張れるだけ頑張ろーぜ。」

 

 と何故かグループの先頭に立った風に言っていた。




あと2、3話ぐらいでケルディック編を終わらせようと思います。
書き上げるのに時間はかかる気がしますが、のんびりとお待ち下さい。

あと、活動報告に近状報告+?を挙げておこうと思います。
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