荒野に散乱している無数の瓦礫。何処を見渡しても瓦礫しか見えないそこに、全身傷だらけで頭に至っては致死量の血を流して倒れている少年がいた。少年は死の淵に意識が転げ落ちそうな中、ある事を願った。
ーー生きたい、死にたくない、と。
こんな身体でよくそう思えた物だ。生への渇望。
それを、それだけを求めた少年の視界は急に金色に染まった。少年はその光景に悟ってしまった。
ーーああ。俺、やっぱり死ぬんだ。
人は死ぬ前に走馬灯を見るというが何故、金色だけの光景が映っているのだろう?
本来、走馬灯は人間が死に直面した時に、脳に入っている全記憶を再生し、対処方法を導き出す現象と言われている。なのに、こんな意味のない光景が映る時点で走馬灯として意味を成さない筈だ。
そんな疑問に苛まれる中、不意に響く声。
『汝、何ヲ望ムカ』
理解の及ばない言葉の意味。声の主が誰かも分からない。
しかし、少年は消える寸前の生の炎の限りを尽くして、吐血しながら言った。
「……生きたい……………その為……の力が…欲しい。全…てを超える……………力が………」
『式ドオリナラ試練ヲ課ス必要ガアルガ、良カロウ。ナラ、我ヲソノ身二宿セ。サスレバ………』
その後に続いた声はよく聞き取れなかった。そして、金色の風景は消え、空は青く染まっていた。青空の下に少年は倒れていた。身体は傷だらけで、ところどころ痛むが、謎に力が湧いてくる感じがした。
しかし、先ほどから『生きたい』と強く願い続けていたからか、疲労がドッと襲い、少年は意識を手離した。
―――*―――*―――
不快な夢を見た。
俺は自室のベッドから上半身だけを起こして思った。俺の記憶の中の最古の記憶。二年前に死にかけていた時の記憶。幼い頃は勿論、あの時何であんな所にいたかすら覚えていない。でも、目を瞑れば鮮明にあの情景を思い出す事が出来る。
この二年間、俺はこの前の記憶を取り戻す為に最善の手を打ってきたつもりだ。その為に、強さだって手にしてきた。全てより強くなれば何か思い出せるかも知れないと思い。
でも、得た物といえば、結社の執行者No.Ⅱの位だけだ。そんな位だけで何が出来る?確かに記憶が無く、行くあてもなかった俺を引き取ってくれた結社、
でも、俺の体内に宿った
ーーんな生温い理由じゃないって分かってるんでしょ?
心に直接語り掛けてくる声。輝く環が俺の中で形取った、もう一つの人格。俺が昔の記憶に触れた時にこいつは出てくる。
「勿論、分かってる」
ぶっきらぼうに答える俺。それにこいつは、
ーーゼダス君は毎回、そうやって悩みながら答えるよね〜
「文句あるのか?」
ーーいや、ゼダス君のお悩みなんて興味無いし。僕自身、輝く環を糧に顕現してる人格の一つだし、器たるゼダス君が生きてれば何の問題も無いんだ
「随分、適当だな。“俺”だっていうのに」
こいつと話すのは数え切れない程にある。俺の人格の複製らしく、性格は似ているらしいが、俺自身は自覚無し。ただ一つ言えるのは、絶対に他人格の俺とは反りが合わないと言う事だ。
「そんな皮肉を言いに来たんなら、さっさと消えろ」
その一言がトリガーとなったのか、他人格の俺はすっかりと消えていた。ベットから身を完全に起こし、机の上に置いてあるARCUSを手に取る。
今日は自由行動日だ。そしてーークレアとの約束の日だ。
一週間ぐらい前に日程は教えてあったので、予定は組んでくれてる筈だろう。
俺は制服の上着を羽織って扉に手を掛ける。自由行動日なのに制服姿というのも、どうかと思うが、別に気にしなくて良いだろう。と言い訳するが、実際に真面な私服など買ってないのだ。執行者の時はそれように適当に取り繕って、学生の時には制服がある。やはり、制服というのは便利である。最悪、それを着ておけば問題無いし。
俺は今日、愛剣である魔剣レーヴァティンを持って行くべきか、否かという問題に苛まれた。有るに越したことは無いが、少々物騒である。
だから、俺はこの大剣の元になった《外の理》の特別な能力を使用する事にした。
「これ使うの久しぶりだからなぁ。上手く出来るか心配だけど………っと、開いた開いた」
俺の左手の先は消えていた。厳密に言うと、空間に空いた穴に左手の先が入って消えている様に見えただけなのだが。そこに大剣を放り込んでおく。こうしておけば、嵩張らないし持ち運びも便利だ。でも、なら何故俺が普段から空間の穴を活用しないかと言うと、理由としては二つある。
一つ目は、俺の練度の問題だが、空間に穴を開けれるのが百発百中じゃないと言う事だ。日常なら問題無いのだが、奇襲などがあった場合の戦闘では、即座に武器を使えないのは困る。
二つ目は、空間に穴を開けるというのは思いの外、力を使うのだ。集中力も使うし、魔力も大幅に喰う。んなハンデ有りまくりで戦いたくない。無駄に疲れるし。
そして、支度を済ませた俺は自室の外に出る。まだ朝早い為、シーンと寮内は静まり返っていた。
俺はその沈黙の中で動く気配を感じた。
「おい、フィー。何か用か?」
上階に通じる階段から身を出すフィーは若干、悔しさを滲ませながら言う。
「………バレた。隠れ切れたと思ったのに」
「まだまだ甘いな。次の時は本気で隠れてみろよ。俺の索敵から10秒ぐらい逃げ切れたら、上出来だろうしな」
「ゼダス。顔が怖い。どれだけ
俺はフィーの視線を気にしないまま、階段を降ろうとした。すると、フィーは、
「今日の朝ごはんはー?」
「んなの勝手に作って食っとけ。今日は用事が有るからな。夜には帰ってくる」
「えーメンドくさい」
「お前はそれしか言わんな。メンドくさいしか言えない病か、おい」
「メンドくさいは万能の言葉。最悪はそれだけで生きてける」
「生きてけねぇし、万能の言葉でもねぇよ」
そんなくだらない掛け合いをしてたらキリがないと思った俺は何とか話を打ち切り、寮の外へと脱出した。
朝靄が消え切っておらず、若干肌寒かった。
「もうすぐ夏に差し掛かるっていうのに寒いな」
そう呟きながら、俺は駅に向かった。帝都行きの列車の切符を買って、ホームで待っていた時、俺は今更ながらの事を思う。
「何でクレアは俺と出かけようと持ちかけたんだ?俺が自由行動日で休みなのは良いとして、あいつは軍人だしそう簡単に予定って空けれるか?」
やはり、ゼダスは鈍感である。そんな事にも気付かずに、俺は列車に乗り込み、帝都に向かった。
―――*―――*―――
『緋の帝都』と呼ばれる帝都ヘイムダルは、西ゼムリア大陸で最大規模の都市である。
緋色の煉瓦を基調した美しい街並みで、歴史的な建造物が数多く存在している。
近代の導力化の影響ゆえ、帝国全土に張り巡らされた鉄道網が蜘蛛の巣の中心の様に帝都に集まる。その上、市街地には導力トラムと呼ばれる路面電車も通っていて、自家用車も普及し始めている。
帝都の北側には、皇帝の居城や帝国政府が入っている壮麗な『バルフレイム宮』があり、中心には老舗のデパートやオペラハウスが立ち並ぶ華やかな目抜き通りもある一方、貧民街のような区画があり、帝国の貧富の差を如実に表している街である。
実のところ、クレアと会う約束は昼にしてあるのだ。なら、何で俺は朝早くに帝都に向かったかと言うと、ちょっと用事というか、この日に“偶々”帝都でもう一つ約束があるからだ。その本人は、時間は何時でも良いから今日、指定された場所に来い、と言われているから、朝っぱらから訪ねようとした訳だ。
俺は目抜き通りにあるオペラハウスの前に着いた。表にはでかい扉が聳え立っていた。俺はその扉に手を添えて、目を閉じる。
ーー膨大な空間。座席とステージか。気配が一つ。“あいつ”か
俺は周りに人気の無い事を確認し、思いっ切り扉を突き破った。
灯りが点いてないからか、すごく暗かった。深い闇の中、俺は問答無用で突き進む。座席の間を縫うように進み、ステージに登る。
「出てこい、《深淵》。呼び出した用件をさっさと述べろよ。」
………………………
「フフッ、流石の洞察力ね。帝都としか場所を教えてなかった筈だけど?」
綺麗な声が闇を流れる。ボッと蒼い炎が出現した。その炎に照らされているのは、瑠璃色に近い髪色をした美人だった。帽子に眼鏡、カジュアルな服装で身を包んでいた。
こいつはヴィータ・クロチルダ。俺と同じ結社《身喰らう蛇》の一員だ。“使徒”と呼ばれる最高幹部の一人で、第ニ柱の位に就ており、《蒼の深淵》の異名を持つ。俺は、
「お前が帝国でオペラ歌手をやってたのは小耳に挟んだからな。あと何だ、その格好………。らしく無いな」
「プライベートだし、こういう格好してたいのよ。普段はもっと過激な服装だけど………着替えてこようか?」
悪戯じみた笑顔に並の男性ならドキッとするだろう。その上、スタイルも男性悩殺用の爆発力満載の為、そんな格好をされたら、殆どの男性が理性を保つのが難しいと考えられる。しかし、俺は半眼で、
「黙れ。つーか何で呼んだんだよ。」
と用件の通達を催促する。それにクロチルダは、
「《天帝》は女性に興味無いのかしらね?でも、今日帝都に来た理由ってデートだったんじゃないかしら?」
「そんなんじゃない………というか、何で俺が他の用でここに来てることを知っているんだ?」
「魔法よ………なんていうと思った?実を言うと、使い魔をあなたに付けてたわ」
「おまっ………何時からそんなもんを付けてたんだっ⁉︎」
………記し忘れていたが、クロチルダは魔女である。《
「学院に入った頃からかしら。随分と《光の剣匠》の娘に気に入られているようじゃない」
「そうか?ラウラは勝手に付いてくるだけだし………あと、お前はあれか。四六時中付けてるのか?」
「そんな訳無いわよ。流石にそこまで暇じゃないわ」
このままでは無駄に時間を食うな、と思った俺は話を本題に向け直した。
「もう三回目なんだが、何の用だ?流石の俺もキレそうなんだけど」
「ここに呼んだのは他でも無いわ………。あなたが元気にしてるか、この目で確認しておきたかったのよ」
「お前らしく無い用事だな。本当にそれが用事なら帰るぞ」
「それじゃあお元気でね〜《天帝》君」
本当に何で呼んだんだ?と胸の内に留めたまま、俺はステージを降り、オペラハウスの扉に手を掛ける。あとは少し力を掛けるだけで、開きそうな時、クロチルダは思い出したかのような声を出し、言葉を掛ける。
「あー、今思い出したけど、《第零柱》が帝国に来たって。」
「………………はあっ⁉︎あの方が来てるのか⁉︎それの方が本題だし、大問題だろうがっ‼︎」
第零柱。執行者No.0のカンパネルラと同じく、結社の長である《
『全使徒を統べる盟主と同等の力を持つ奴が現れた』
『あらゆる力が無へと還る最強』
と空想じみていた。俺も結社にしっかりといた頃は、嘘だと思っていた。しかし、その第零柱は俺の前に現れた。そして、立ち合いを所望して結果、
ーー死を実感した。
俺の覚えてる中であれ程、死を感じた事は無い。試合開始の合図があった瞬間、負けていた。俺は何があったのかも分からないまま、地に伏せていたのだ。
それ以来、俺はその第零柱を師として魔術を学んだ。俺の聖扉戦術の大半の魔術系統の技は第零柱から受け継いだ物なのだ。
そして、俺自身は第零柱の存在を信じているが、未だ結社内では存在が疑われている。
理由は簡単。第零柱は人前には滅多に出ないのだ。《
「何でまた、あの方が来てるんだよ。あの方のだ気まぐれって思いの外、怖いんだけど………」
「確かにそうね。でも、面白いそうじゃない」
「さっさと取っ捕まえて、事情を聞くしか無いか。その情報だけはありがとうな」
そう遠くない内に厄介な第零柱を会う事は確定した未来だった。
―――*―――*―――
オペラハウスを出ると、もう日は上がっていて、昼に差し掛かっていた。クレアとの約束を思い出し、帝都を歩き始めた。色々な街並みを眺めながら、俺は思う。
「(第零柱か………。あの方が手を下せば、この街並みは跡形も無く吹き飛ぶんだろうな。つーか、何が目的なんだ?人目を好かないあの方がわざわざ来るなんて疑わない方が不自然だっての)」
「ゼダスさん?」
「のわぁっ⁉︎ク、クレア⁉︎い、何時からいたんだ?」
「何時からって、さっきからですよ。ゼダスさんが時間通りに来たじゃないですか」
俺はそう言われて、辺りを見渡す。帝都駅だ。クレアとの待ち合わせ場所だ。無意識のうちに辿り着いてたらしい。
「あ、ここって待ち合わせ場所か。よっ、クレア。約一ヶ月ぶりだな。」
「ええ、そうですね。それでは行きましょうか」
普通、こういう場面なら男である俺がエスコートするべきなのだろうけど、俺は帝都について本に載ってるぐらいの事しか知らない。
手を引かれる俺は歩幅もクレアに合わせて、横に立つ。普段は灰色の軍服の所為か、今日の私服姿は妙に新鮮だ。
首筋が時々、チラッと見えて綺麗だった。俺は、
「なぁ、今日って何処に行くんだ?」
「えーっと、ゼダスさんは昼ご飯って食べましたか?」
「あー、色々あって食ってないな。なんか食えそうな所ってあるか?」
「フフッ。今から案内しますからついて来てください」
そう言われ、俺は付いて行くが、やはり帝都は好きになれないと思ってしまった。
人は多いし、何よりも貧富の差がはっきりと表れているのがいけ好かない。今、歩いている通りだって中々、華やかだが、裏路地に出れば一変する。裏路地の治安はお世話にも良いとは言えない。執行者として、帝都に訪れた事は一度だけあるが、その時にも厄介ごとに巻き込まれたし。でも、今一緒にいるクレアと知り合えたのは、その厄介ごとが原因だったし、良かったと思ってはいる。
「ゼダスさん、着きましたよ」
連れてこられた場所は、お高そうなレストランだ。それを眺めながら、俺は、
「俺、制服なんっすけど、場違い感が半端ないな」
「まあまあ良いじゃないですか。私だって、私服姿なんですから」
「いや、クレアは美人だから問題無いだろうけど、俺は普通の学生だぜ。外見だけ見れば」
「っ⁉︎ゼ、ゼダスさんっ⁉︎い、いきなり何を………」
「えっ………俺なんか変な事言った?」
クレアは顔を赤らめていたが、俺には原因が分からなかった。そうー
ーー
なんて、気付くわけが無い。何てたって、結社内でも中々の鈍感っぷりで、ゼダスは女子に針のむしろなのだ。例えば、《深淵》とか《鋼》、《死線》、最悪の場合も《第零柱》にも。と言っても、本人は全く気付いてないのだが………
俺はクレアの顔をジッと見つめて、
「何で顔が赤いんだ?風邪か?熱か?」
「えっ、いや………別に何でも無いですよ。ほら、行きましょう」
「ああ、そうだな。腹減ったし」
そして、レストランに入ったが、外見と同じく内装も豪華で、ここで飯食ったらどれ位のミラを食うんだろう、と卒倒しそうだった。
席にクレアと対面で座った俺はメニューの中から一番安い物を頼んだ。しかし、学生である身では到底払えそうに無い額だが。まぁ、執行者として入ってた収入があるし、それを切り崩しても払うべきだろう。って、あれ?執行者としての貯蓄を切り崩せば、もうちょっと珍しく、高価な食材を調達出来るのでは?と、何故か寮での料理の費用を打算し始めた俺に、クレアはクスクスと笑っていた。
「やっぱり、ゼダスさんは、何時も色々な考えをしてますよね。今だってー」
「あ、悪い。折角、軍人であるクレアが時間を作ってくれたのに、寮での料理の事を考えてたわ」
「へぇ〜ゼダスさんって料理出来たんですね。初めて知りましたよ」
「言ってなかったっけ?ケルディックでのあの荷物を見たら、察せたと思ったんだがな。」
「それじゃあ、何時かご馳走して下さいよ」
「暇が空いたら作りに行ってやるよ。憲兵隊の本部まで行って。トリスタにある寮でも俺は良いんだが、お前が駄目だろ。
「ええ、そうですね。なら、必ず作りに来てくださいよ」
説明してなかったから、ここで説明しておくが、サラ教官とクレアの間には確執が存在している。
サラ教官は元遊撃士で、位はA級。最年少でA級遊撃士になり、その戦いっぷりから《紫電》の異名も持っている。そして、今は士官学院で教師職に就いているが、前職は遊撃士協会帝国支部に勤めていたと、結社の情報網で掴んでいた。
その為、何んで遊撃士を止めたかもバッチリ知っているのだが。
それは少し前に起きた事件が原因だとされている。
遊撃士協会帝国支部襲撃事件。今はそう呼ばれている事件。
何者かが帝国各地に点在している遊撃士協会の支部を同時襲撃。それにより、帝国での遊撃士の活動が危うくなったのである。
その何者かというのは非公開だが、クレア曰く、その作戦には参加していたらしい。つまり鉄道憲兵隊、帝国政府が咬んでいるというわけだ。そして、何で帝国政府が絡んでいるかも予測が付いている。
とにかく、《鉄血宰相》は遊撃士が邪魔だったのだ。帝国を完璧に掌握するには、帝国全土を帝国正規軍で統治するのが、一番効率が良く、確実な手段だ。だから、勝手に国内で捜査する遊撃士は障害でしか無い。その為、この手段を取ったとされるが、それが帝国政府が関わっているという証拠は残してはならないのだ。事実、証拠という証拠は、クレアの証言だけだが、サラ教官は別だ。サラ教官は襲撃された時、必死に応戦したらしいが、そこでクレアとバッタリと鉢合わせしている。それが何よりの証拠なのだ。
だから、サラ教官はクレアの事を良く思っていないと言う訳だ。
「作りに行ってやるから待ってろ。というか、お前と教官って仲直りしないの?これからの厄介ごとを対処するに当たってはお互いに助け合いのが良いと思うんだけどな」
「そう簡単な物じゃ無いんですよ。サラさんは唯一の拠り所を奪われたのですから。恨まれても仕方ありません」
「んなの間違ってるだろっ」
俺は何故かこの時だけは語気が荒くなるのを抑えられなかった。店内ということは何とか考慮しつつ、言う。
「本来、恨まれるのは《鉄血宰相》だろっ⁉︎クレアは恨まれるのはどう考えても筋違いもいいところだ。やっぱり、サラ教官に直接言いにー」
「………ゼダスさん。止めて下さい」
突如、俺は冷水を頭からぶっ掛けられた感覚に襲われた。冷たい声で俺を止めるクレア。俺は、
「何で………」
「ここで話しても意味が無いじゃないじゃないですか。だから、この話は終わりって事で」
クレアは笑いながらそう言うが、流石の俺でも分かる。
ーー造り笑いじゃねぇか
内心俺はそう言い放ちながらも、クレアの言う事にも一理ある為、俺は、
「そうだな。空気悪くして悪かったな」
謝って、それにクレアは、
「良いですよ。もう過去の事ですし」
と許してくれた。
その後の険悪なムードをぶち壊すかの様にお互いがお互いを取り繕って楽しく過ごした。俺としては、その雰囲気だけで疲労が満載なのだが、外面には少しも表さなかった。
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「今日はありがとうございました」
夕方の帝都駅。クレアからそう言われた俺は、
「ああ、こっちこそありがとな。久しぶりに息抜きになった………気がする」
「なら、良かったです」
「と言う訳で、お礼な。手出せ」
俺の言葉にクレアは困惑していたが、手を差し出した。そして、俺はクレアの手に自分の手を乗せて、ある物を置いた。そこにあったのは、髪飾り。
「これは………?」
「うーん、なんて言うんだろうな。お礼?クレアに似合いそうだなと思って買っといた訳なんだが、受け取ってくれるか?流石に俺が付けようとは思えない」
「ありがとうございます、ゼダスさん。大切にしますね」
俺はクレアの顔が無性にも赤く見えた。夕焼けの所為だろう、と割り切り、
「それじゃあな。元気にしてろよー」
「はい。ゼダスさんこそ」
こんな感じで、俺の自由行動日は幕を閉じた。
という訳で、オリキャラの片鱗が見えましたー。
第零柱さんは考えついているオリキャラの中で四人目のキャラだったりします(二、三は?)
超絶チート性能なんで、乞うご期待です。
初めてのデート回でしたが、如何でしたか?個人的には納得行ってないんで、次書く時はもっとガチで頑張ってみます
遊撃士協会帝国支部の事件は、若干?ほとんど、オリジナルな気がします。原作でもこうじゃなかった気がするもん。