闇影の軌跡   作: 黒兎

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今回の話の最後にちょっとした告知とアンケートがあります。
答えてくれるとありがたいです………


《天帝》の冷刃

 職員室にて

 

 

 

「特化クラスⅦ組。まさかここまでとはな………」

 

 

 

 これは、教官の誰かが漏らした言葉だ。それに続いて、

 

「サラ教官。一体どういう教育をしたら、ここまで優秀な生徒達が育つんですかね?」

 

 その言葉にⅦ組の担任教官であるサラは、

 

「正直なところ、ここまでとは思ってませんでした………。生徒の好き勝手にさせてただけで、ここまで出来た理由は分かりません」

 

 と教官としては失格の発言だが、驚いた事を隠さずに答えていた。

 そこにあったのは、中間考査の結果。それが学院内のⅦ組の印象をガラリと変える事になるとは誰も思わなかった………

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

「何か悪いな」

 

 そうⅦ組の面子にボヤいたのはゼダスだった。

 その言葉を嫌味にしかとって居ないのか、全員が半眼ジト目。正直なところ、居心地は最悪だったが、この結果を前にしたらなぁ、とも思う。

 そこにあったのは、中間考査の結果だった。

 

~中間試験 順位~

 

 《個人成績》

 

1 ゼダス・アインフェイト IーⅦ 1000pt

2 エマ・ミルスティン Ⅰ―Ⅶ 995pt

2 マキアス・レーグニッツ Ⅰ―Ⅶ 995pt

4 ユーシス・アルバレア Ⅰ―Ⅶ 986pt

6 リィン・シュバルツァー Ⅰ―Ⅶ 966pt

7 アリサ・ラインフォルト Ⅰ―Ⅶ 942pt

8 ラウラ・S・アルゼイド  Ⅰ―Ⅶ 913pt

・ 

19 ガイウス・ウォーゼル Ⅰ―Ⅶ 864pt

26 エリオット・クレイグ Ⅰ―Ⅶ 820pt

・ 

44 フィー・クラウゼル Ⅰ―Ⅶ 732pt  

 

《クラス別平均成績》

 

1st  ⅠーⅦ 921pt

2nd ⅠーⅠ 843pt

3rd ⅠーⅢ 770pt

4th ⅠーⅡ 735pt

5th  ⅠーⅣ 675pt

6th  ⅠーⅤ 650pt

 

 

 

「委員長とマキアスがほぼ満点なのは分かるけど………」

「ゼダス。そなた一体何をしたら満点になるのだ?」

 

 そのままラウラからの問いに、ゼダスはマキアスからの妬みの視線を受けられながら答える。

 

「一つ言っておく。俺は、馬鹿では無い。その上、自分では理解の早さは良いとさえ自負している」

「だからってここまで優秀だとは思わないだろうっ⁉︎」

 

 マキアスの抗論にゼダスは煩わしそうに、

 

「取れた物は仕方ない。前も言った通り『結果が全てじゃない』って。それよりもクラス全体的にえげつないよな、これ」

 

 そのゼダスの言葉には全員が納得せざるを得無かった。

 ゼダスは全教科満点に加え、エマとマキアスは全教科満点まで数点という天才的な点数に、個人ランキングTop10をⅦ組が殆ど独占状態という天地がひっくり返る程の異常事態。

 それに、クラス平均は総合点の9割を超えており、2位のⅠ組とは約80点の差がある。

 その結果を生み出した当事者であるⅦ組メンバーでさえ唖然としているのだから、他クラスへの影響は計り知れない物となったであろう。

 ゼダスは一先ずこの結果に満足していた(満点で満足しない人はまず居ないだろう)。これでシア先生からのお仕置きを回避出来るのだから。

 

「なぁ、アリサ」

 

 普通はこの場面では、テスト結果を讃え合うべきなのだろうが、ゼダスは懸念していた事を口にする。

 

家名(ファミリーネーム)がバッチリと出ているんだけど、大丈夫なのか?」

「………はっ⁉︎」

 

 ゼダスは耳打ちして伝えたのだが、それにアリサは驚いていた。

 アリサ本人が隠そうとしていても、学院側がそれを考慮して家名を隠してくれるとは思っていなかっただろうが、アリサとしては突発的な事故で焦っているのだろう。

 

「ま、誰も気にしてないし、大丈夫だろ」

「そうかな………」

 

 心配そうに言漏らすアリサを尻目にゼダスはグラウンドに向かう事にした。

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 Ⅶ組のメンバーは全員、グラウンドに集まっていた。

 今日は、テストの結果が発表される日でもあるが、それと同時に実技テストの日でもあるのだ。全員が雑談に花を咲かせている中、サラ教官が到着する。

 

「いやぁ〜アンタ達、やったわね‼︎教官内でも凄い評判よ」

 

 と到着するや否や、褒めた讃えてくるが、多分中間試験の結果の事だろう。

 確かに、あの結果を自分の生徒達が獲得しているのなら、ああいう風に鼻が高くなるのは仕方ないだろう。

 

「この調子で頑張りなさいよ〜。という訳で、今回のチーム分けは–––」

 

 

「フン………面白いそうな事をしているじゃないか」

 

 

 サラ教官の言葉を遮るかの様に発せられた傲慢な声。グラウンドの入り口から発せられた声に全員が発生元の方を向き、眉を顰める。そこにいたのは、複数人の白い制服を身にまとった–––つまり、貴族生徒だ。

 その筆頭を務めているのは、ゼダスが五月に依頼でコテンパンにした『四大名門』の一角である『ハイアームズ公爵家』の三男坊であるパトリック・T・ハイアームズ。パトリックは数人の貴族生徒を連れて、グラウンドに降りてくる。こちらは実技テストとはいえ授業中なのに、それを気にしていないかの様な素振りで。

 

「あら、どうしたの?Ⅰ組の武術教練は明日のはずだけど」

「いえ、トマス教官の授業がちょうど補習になりましてね。折角の機会だし、クラス間の“交流”をしに参上しました」

 

 と言いながら、パトリックは腰の鞘からレイピアを抜く。それに続き、パトリックの取り巻きも抜刀した。

 

「最近、目覚ましい活躍をしている《Ⅶ組》の諸君を相手に模擬戦をね」

 

 パトリック達は表面上では穏やかな物言いだが、何処からどう見ても、喧嘩を売りに来たのだろう。原因は分からなくも無い。Ⅶ組が中間試験の上位を独占していたのに加え、クラス平均であそこまでの差が出た事を許せない。ザッとまとめるとこんな感じだろう。

 補習なら、大人しく教室にいろよ、とゼダスは言いたかったが、パトリックの言葉に答える事にした。

 

「おい、ボンボン。こっちは授業中なんだ。悪いが後にしてくれね?」

「君には聞いていない。教官に聞いているのだ」

「(取り付く島も無いってか)」

 

 ゼダスが内心、そう言っている中、サラは、

 

「いつも通り《戦術殻》相手にテストを行うつもりだったけど、今回は《Ⅰ組》と《Ⅶ組》の模擬戦にするわ。生身の人間の方が良いデータが取れそうだしね」

 

 とテスト内容を急遽変更。そして、付け足す。

 

「リィン、三名選びなさい。4体4の対戦形式にするから」

 

 その言葉にリィンは共に戦うメンバーを考えた。

 まず、選択肢から外されたのはゼダスだ。模擬戦とは本来、自分の実力を試す為に戦闘だ。そこに『入れたら必勝』のゼダスを入れては全くの意味が無い。そういう点では、ゼダスの朝練に付いて来れかけているラウラも選択肢から外される。

 その二人を外した上で、リィンは三人を選出する。

 

「エリオット、アリサ、フィー。頼めるか?」

 

 導力魔法(オーバルアーツ)等による後方支援の後衛二人に、前線で戦う前衛二人。戦略的には、適切な判断といえる。その証拠に、

 

「分かったよ」

「えぇ、分かったわ」

了解(ヤー)

 

 と三人とも了承する。

 これで準備は整った。双方が武器を構え、戦闘が始まろうとしたその瞬間、抗議の声が上がる。

 

「待ちたまえ」

 

 パトリックからの抗議にⅦ組全員が首を傾げる中、言葉を続ける。

 

「これは僕達の決闘だ。か弱い女子を巻き込むのは傾げる騎士道精神に反すると思わないのか?」

 

 この言葉にゼダスは、模擬戦から決闘にランクが上がっている事か、騎士道精神(笑)についてツッコむべきかは悩んだが、面倒に拗れると厄介なので口にはしなかった。

 ゼダス自身にいわゆる騎士道精神なんて物は存在しない。

 使える物なら何でも使うし、自分に対して有益ならどんな汚れ仕事でもかって出る。そんな感じに生きてきたゼダスにとっては理解し難かったが、それよりもヤバいオーラをまとっているのはⅦ組の女子勢だ。

 他クラスとは違い、そんな騎士道精神なんて物を気にしてられない実践を積んできたⅦ組のメンバーにとっては、それは最大の侮辱に近かった。

 そんな物が曲がり通る様な“生温い”戦闘しか積んでこなかったパトリック達には理解出来なかっただろうが。

 

「悪いが、これが俺たちの戦いだ。他人に文句を付けられる謂れは無い」

 

 とリィンが反論すると同時に、選出された女子陣、アリサとフィーが、

 

「そうよ。私たちだって、大変な思いをしてここまで戦ってきたんだから、今更そんな物は怖くも感じないわ」

「戦場に騎士道精神は無用。必要なのは、技術と応用力」

 

 とリィンの意見に同意する。その迫力に押されてか、パトリックは、

 

「そこまで言ったのだから良いだろう………無様な姿を晒す覚悟はあるみたいだな。“真の”帝国貴族の気風を見せてやる」

 

 反論する事なく………というか、リィン達は反論する暇さえも与え無かった。

 

「お前ら、それだけカッコ良い事言って負けんなよ。特にリィン。お前、仲間の誰一人でも戦闘不能にさせたら、朝練を『百回死んだ方がマシ』ってメニューにするから、覚悟して挑めよ」

 

 その言葉にリィンは、臆する事なく答える。

 

「それは怖いけど………誰一人も負けさせはしないよ」

「よし。なら、問題無いな」

 

 ポンポンとリィンの肩を叩いた後、ゼダスは後ろに下がる。

 

「でさ、貴族であるユーシスとラウラに聞くんだが、お前らから見てこの戦闘はどう見るよ。パトリックは俺が一回叩きのめした事があるんだけど、違う視点から見た意見が欲しい」

 

 その言葉にユーシスは、

 

「奴はあの小物臭が満載だが、『四大名門』の一角で三男坊なのは知っているな?」

「ああ、知ってる」

「それで剣の英才教育を受けていて、腕は中々だ。取り巻きも同じだろう」

「油断すんなって事だよな。で、ラウラの方はどう見る?」

「………負けないであろう」

「その心は?」

「油断出来ない相手ではある。ユーシスの言う通り、連中の剣の腕は確かだが、武器の種類はレイピア一種。使用魔法の種類もたかが知れている。それで負ける事は無い」

 

 その冷静な分析にゼダスは安心した。

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 アリサの導力弓による精密射撃により、戦いの狼煙が上がった。

 貴族生徒はアリサの放つ矢に対応出来ずに近づけずにいる。

 それに対し、貴族生徒の一人はアーツの詠唱を始めた。

 だが、それをわざわざ見逃す訳もなく、フィーは軽い身のこなしで一気に間合いを詰めた。そして、両手に持った双銃剣で斬撃を叩き込み、貴族生徒の四人中の一人を沈める。

 

「–––ARCUS駆動」

 

 一人沈んだ事を確認したエリオットはアーツの詠唱を始める。そして、ほんの数秒後に、

 

「フロストエッジ‼︎」

 

 アーツを発動させた。

 貴族生徒の二人を取り巻く氷刃。目紛しい回転を始め、鋭さを増した氷刃は貴族生徒を襲う。これで計三人。

 アーツの詠唱時間は、位によって異なる。そして、高効果の高位アーツの方が詠唱時間が長くなる傾向があるのだ。

 だが、少しの間でさえ気を抜く事が出来ない戦闘で、長い時間を掛けて詠唱するのは命取り。だからこそ、エリオットは火力を捨ててまでも下位アーツを選択したのだろう(火力を捨ててまでというが、きっちり二人を沈めている)。

 正直なところ、アリサよりエリオットの方が支援系統のアーツを得意としているが、今回の攻勢の結果を考えると、そう簡単にも責められないだろう。

 

「八葉一刀流–––」

 

 リィンは太刀を居合の型で構える。太刀の柄へと手を伸ばし、靴底が地を蹴り上げると同時に鈍色の閃光を抜き放った。

 

「–––紅葉斬り‼︎」

 

 高速の閃光がパトリックを襲った。これが決定打となり、模擬戦は終わるだろう。その証拠に、

 

「そこまで‼︎勝者、Ⅶ組‼︎」

 

 とⅦ組の勝利をサラが宣言した。

 今回の戦闘でリィンはある事を学んだ。それは、傲慢な貴族生徒でも、それなりの努力をしていた事だ。

 パトリックとは、今回の戦いが初めてだが、数合打ち合っただけで、その腕と努力を感じられた。だが、所詮………と言っては悪いが、そこまでだった。

 だからこそ、リィンは今回の教訓を活かし、強くなる。ゼダスがいる達人の領域に踏み込む為にも。

 それを感じる事が出来たからこそ、リィンは柔らかい笑みと共に、膝を付いているパトリックに手を差し伸べる。

 

「いい勝負だった。機会があれば、また戦おう。立てるか?」

 

 勝者の敗者に対する模式美の言葉。パトリックはそれに答えた。リィンの手を強く弾く事と侮蔑の言葉と共に。

 

 

「触るな‼ ユミルの浮浪児ごときが‼」

 

 

 そのパトリックの言葉にゼダスは少なからず怒りを覚えた。

 貴族らしい発言。

 平民やそれに準ずる者を見下し、過小評価の判を押す。それは、パトリックの周りに彼を従える者が居なかった故の価値観だろう。

 

 

–––自分が平民みたいな下の位置に負けたのが許せないのか?

 

 

 分かりきった問いをゼダスは自分に問いかけた。

 そんな侮蔑の言葉を受けたリィンは手を払われた事には多少の驚きがあったが、別に憤慨する事は無かった。

 リィンにとって、その話は解決している。浮浪児なのには変わりないし、こういう出自などを蔑まれる事は少なからずあったからか、冷静を保つ事が出来た。

 が、その反応がパトリックの気持ちをエスカレートさせた。

 

「他の者もだ‼︎学年首位独占しただ‼︎貴様ら平民がいい気になるんじゃない‼︎その上、成り上がりの武器商人風情に、蛮族、その上、猟兵上がりの小娘に得体の知れない化け物など………この帝国にお前らの様な者が付け上がる場は無いと知れ‼︎」

 

 その言葉にⅦ組は勿論の事、一緒に模擬戦をした貴族生徒。それに加え、観戦していた貴族生徒から冷たい視線を投げかけられる。

 ゼダスは自分が『得体の知れない化け物』と言われた事には別に気にしないんだが、他のメンバーはどうだろう?

 Ⅶ組は物理的にも精神的にも強いはずだから、別に気にする必要は無い。

 だが、偶々、貴族に生まれただけで、その権利を振り翳し、非難する。それがどれだけ醜い行動かは自明の理だった。そして、そのクソったれの行動はゼダスが最も嫌う事だった。

 

「なぁ、ボンボン。いや、“パトリック・T・ハイアームズ”」

 

 いきなり家名込みで全名を呼ぶゼダスに全員の視線が集まった。

 穏やかな声音だが、Ⅶ組間には共通の認識が流れる。

 

 

–––これ、絶対にヤバいやつだ。と

 

 

「何だ‼︎僕は今、気が立っている。化け物風情が話しかけてくるな‼︎」

 

 荒い声で対応するパトリックにゼダスは、

 

「ちょいと()()

 

 静かに言い、パトリックをぶん殴った。しかも、顔を。

 パシンなんていう甲高い音では無い。文字通り、ドスンという鈍い音を立ていた。

 

「貴様………今、何をしたか分かっているのか⁉︎」

「ああ、勿論。分かってなきゃ、こんな行動をとらねぇよっと」

 

 殴られて、地に伏していたパトリックの胸倉をゼダスは掴み上げる。

 

「貴族ってさ、自分の治めている領土の市民の話はしっかりと聞くよなぁ。特に『四大名門』なんて大型貴族なら尚更。んじゃあさ、それの予行演習って事で俺の話しを聞いてくれるかな?」

 

 ニコやかなゼダスから、吐き出された言葉にパトリックは若干の恐怖を覚えた。が、そんな事を気にせずに、

 

 

「お前は何の権限があって差別している?貴族だから、平民は虐げられるべきとかいうヘドも吐きたくなる様な理由じゃないだろうな?別に俺が何て非難されようが構わない。お前の言う通り『得体の知れない化け物』としての生き様を貫き通してきたし、これからも突き通すつもりだ。だがな………俺以外を非難するんじゃねぇ。そして、それの警告を受け入れずにこれからも非難を続けるつもりなら………死なせてくれ、と懇願したくなる程の苦痛をお前にくれてやる」

 

 冷徹なゼダスの言葉は、達人レベルの鍛冶屋が鍛え上げた刃物の様に尖っていた。それに怯えているパトリックを尻目にゼダスは胸倉を離す。それと同時に笑みを掻き消した。

 

「みんな違ってみんな良い。どっかの楽観主義者はそんな事を言ったそうだが、今回の件に限っては同意出来る。血筋とか家系とかも含めて全員違う。それの意味を気付けないのに、真の帝国貴族の気風を名乗れるんなら、とっくにこの帝国は滅んでるんだわー。だから、今からで良い。というか、今ならまだ見逃してやる。次、俺の前で俺の仲間を侮辱してみろ。さっき言った通りの事を実行するから、その覚悟だけはしておく事をお勧めしとくよ」

 

 ゼダスからの最終勧告。

 それにⅦ組やパトリックは勿論。観戦していた貴族生徒も沈黙していた。

 

「あー。柄にも無い事言ったな。おいっ‼︎そこの貴族生徒ども」

 

 いきなり叫んだゼダスに貴族生徒は背筋をピンと伸ばす。

 

 

–––これが圧政の模式図か………

 

 

 と思ったⅦ組。だが、ゼダスはそんな事を気にする事なく続ける。

 

「このパトリック(馬鹿)をさっさとグラウンドから摘み出してくれね?正直邪魔だからさ」

 

 その言葉に、貴族生徒全員はそそくさと降りてきて、パトリックを回収していったそうだ………

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

「さてと」

 

 空気を言い換えるかの様にサラは、

 

「毎回恒例の実技テスト後の特別実習先の発表〜」

 

 と、某猫型ロボットの秘密道具を出す口調で言いながら、何処から出て来たか分からない封筒を取り出す。そして、配られた実習先とメンバーの記されたA4の用紙。そこには–––

 

 

A班:リィン、ゼダス、アリサ、エマ、ガイウス(実習地:ノルド高原)

 

 

B班:ユーシス、マキアス、フィー、ラウラ、エリオット(実習地:ブリオニア島)

 

 

 と事前情報まんまの事が記されていた。

 その後、色々と話があったがゼダスは正直なところ聞いていなかった。それには理由がある。

 

 

–––誰だ?コソコソ隠れやがって。グラウンドの外………人数は二人か

 

 

 誰かの視線を感じる。

 隠密行動といえば、同じ執行者(今現在休業中だが)のシャロンが得意としているが、それとは違うだろう。

 理由は?と問われれば、言葉にしにくいが、強いて挙げるなら、隠密の粗さだろうか。

 シャロンなら、こうしてゼダスが勘ぐる事すら、ままならない。だが、今回の相手はこうして気付く事が出来ている。

 

 

–––出来る事なら、今から飛び出して看破してやりたいが、説明中だしなぁ………

 

 

「ゼダス?どうかしたの」

「え、ああ………特に…って何かあったか?」

 

 いきなりアリサに問われたゼダスは、問いで返す。

 

「いや。特に目ぼしい事は何も無かったけど、ゼダスだけ説明が終わっても直立不動だったから」

「(ただでさえ、さっきの言動で変な印象を与えたしなぁ………ここで別行動をするのは面倒か)………帰るか」

 

 杞憂だ、と割り切ったゼダスは、そう言ってグラウンドを去る事にした。




大晦日と正月に、作者と自分の作品の主人公たちで、「今年の総括」と「新年のご挨拶」というパロディ調(努力します)の短編を投稿します。
そこで、読者の皆さんからの質問やメッセージなどを取り上げさせて頂きたいのです。
主人公たちへの質問は勿論の事、作品に関してでもOKです。
活動報告欄にそのアンケートを実施しているので、そこに書いてくれても構いませんが、ここの感想欄にも書いて頂いても構いません。
ドシドシとご意見下さい、お願いいたしますm(__)m
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