去年から書いてたから、一日二連投稿になってしまった。後悔はしてない。
武を極めし者が行き着く技術の一つ、《
五感や論理的な類推などの人が通常時に読み取る情報とは別に、外界に関する情報を得る能力。だが、この説明を聞いて、大抵の人はこう思う。
–––そんな非論理的な物は存在しない、と。
だが、ゼダスはそうは思っていない。
確かにある。そして、それを感じた事もある。おかげで命を取り留めた事もある。だが–––狙って感じれる物では無い。
具体的な発動条件は一切不明。
具体的な効果も一切不明。
そんな不安定過ぎる物を作戦に組み込む………あぁ、愚策だ。無茶にも程がある。
だが、組み込まなければ勝てない。なら、組み込む。
ただ、それだけの話だ。
―――*―――*―――
「(意識だけを研ぎ澄ませるんじゃない…………魂ごと全ての感覚を研ぎ澄ませろ)」
ゼダスは魔剣レーヴァティンを中段に構え、そう念ずる。
高原を吹き抜ける風が、意識内でくっきりと形取り、感じる。そして、余りにも無謀だが、この吹き荒む風から、敵の位置を割り出す。《超感覚》を利用して。
理論をまとめておくと–––理論といっておきながら、非論理的な考えだが–––風に含まれるであろう別種の氣を感じる。風とは違う人の情緒。それが殺意か、別の何かかは分からない。だが、こちらを狙うなら、多かれ少なかれそういう物に意識を傾けざるを得ない。
なら、それを辿ればいい。風が敵の氣を流すのなら、それを辿り、追い付く。
その為には、余計な情報はいらない。ゼダスの双眼はすうっと閉じられ、視野を遮断する。氣を察知するには、視野は邪魔でしか無い。
―――*―――*―――
「………アイツ、何で高原のど真ん中で突っ立ってるんでしょう?」
少女は狙撃銃のスコープを覗きながら、不思議そうに言う。
「こちらの、動きを、探って、いる、のか?シズクは、どう見る?」
ゼダスに傷を負わす事となった二人組–––守護騎士と従騎士が考察を始める。
守護騎士は、前にゼダスと邂逅した時と同じくボロマントを見に纏っている。
そして、シズクと呼ばれた、従騎士たる少女はプラチナブロンドの髪で、整った顔立ちのどこからどう見ても美少女。だが、幼女。
「うーん、アスル兄さんの推測を真っ向から否定する訳では無いのですが………非論理的じゃないですか?」
「それも、そうだ。だが–––奴は、憎むべき、《天帝》だ。“事件”を、起こした、張本人………|情報無しの、状況からの、弾道を、予測する位は、やってくるだろう」
「…………まぁ、アスル兄さんが、そう言うなら信じます」
シズクは呆れながらも楽しそうに肯定する。守護騎士–––アスルは、
「肯定、してくれた事は、ありがたいが…………なら、どう、当てる?」
「風による察知をかましてくるなら、風上の時に撃てば察知されにくいかと。ただ、風上では風下に比べ、弾速が落ちます。そこが、一番懸念する点かと」
「…………そう、か」
アスルは考える素振りを見せる。
「それにしても、任務とはいえアスル兄さんの素顔が見れないのは、嫌ですね」
シズクは口を尖らせる。それにアスルは、
「任務、だ。だが………確か、に、喋り方も、変装の、為に、変えねば、ならない、のは、大変だ」
「それなら、二人っきりの時くらいは元に戻せば良いのでは?」
「ま、それもそうだな」
アスルは途切れ途切れの口調から、普通の口調に戻す。それにシズクは満足したのか、再び狙撃銃のスコープを覗く。
–––アスル兄さんの普通の口調を久しく聞いた気がする。やっぱり、私は–––
シズクは別の思考に襲われそうになるが、気を引き締める。
一度外しては、打つ手が狭められる。それなら、万が一、億が一でも外す事は出来ないのだから。
―――*―――*―――
ゼダスは、周囲の氣の流れが変わった事に気付く。
まるで、他人から見られる様な………視線ならぬ死線を感じる………………別にシャロンの事ではない。
「そろそろ………か」
耳を澄ませ、魂で感じ、反応する。常人が至れぬ境地だ。だが、それしか頼れない状況だ。
「–––ハァッ‼︎」
ゼダスは、亜音速で迫る銃弾を魔剣で叩き斬った。正直、視認出来た訳では無い。
–––やっぱり《超感覚》って存在するんだなぁ………
ゼダスは関心するが、即座に思考を切り替える。追撃–––では無く、逃走への。こっちに有利となる条件の一切が無いのに、戦闘慣れした奴ら二人と戦う理由が無い。
ARCUSを確認したゼダスは、記された座標の場所へ向かうべく、駆け始める。だが、相手側もここで諦める奴らでは無い。狙撃銃の弾丸が、数秒感覚に飛んで来る。だが、発射される方向さえ分かれば、大抵は避けれる。そして、飛来する弾丸が多ければ多い程、発射位置の特定が出来る。完全に把握出来れば、障害物を利用しながら、安全に走れるのだが………
そんな中、ゼダスは不思議な物を発見する。巨大な岩の巨人像。上半身だけが剥き出しになっていて、凄い威圧感を放っていた。
「何だこれ………」
ゼダスは狙撃銃の先を向けられている事さえ忘れて、その巨人像に見入っていた。そして、何とも形容し難い気持ちに襲われる。
–––恐怖?違う。まず、何に対しての恐怖だ。動かない石像だぞ。
–––羨望?いや、恐怖の時と同じで、何に対してだ。
–––だが………何かと《
思考が次の考えをまとめようと動いている中、またもや弾丸が襲ってくる。
石像の方に注意をしていたゼダスは若干、反応に遅れたが、何とかして避ける。石像の裏に回り込む事で。
「これなら、撃ち抜かれる心配は無い。逆にこんな物を撃ち抜かれるんなら、俺に勝ち目は無い………か。本当に厄介な奴らだな、おい‼︎」
独り言で、状況の安全性を確かめる。
確かに狙撃は防ぐ事が出来る。だが–––もし、陸路からの進行が有れば、防ぎきれるか?間違いなく断言出来る。絶対無理だ、と。
それ程にまで、追い詰められているのだ。
相手側のスナイパーの技量を偶々、《超感覚》が超えてくれたから、一枚上手を取る事が出来たが、同じ手は二度と通じない。それが、戦闘という物だ。
–––お見事。さっすがボクの主だね〜
「おい、《輝く環》。何でお前が出てこれるんだ。あの魔力阻害を超えたのか?」
–––厳密には違う。ボクを封じていた『魔力阻害刻印弾丸』の効力は絶賛稼働中。でも–––それをも超えさせる力をすぐ近くに感じてね。
「……本当か?《
–––“ボク”の同種か、それに順ずる眷属だろうね。このノルド高原は風属性の魔力が色濃く流れている。だから、風属性の至宝。か、超強力な
「それじゃあ、守護騎士にこいつの存在を気付かれれば………」
–––間違いなく、回収してくる。全勢力を投入してでも、だ。それはボクにとっても、君にとっても不味い。ひっじょうに不味い展開だ
「そりゃ、結社と対立している勢力が、えげつない力を手に入れたら、コッチの胃が痛くなって、しばらく寝込みたいわ」
–––だろう。だから、早急にここから離れるんだ。奴らは君を追っている。なら、君が
「………ここから離れれば、お前との交信は取れなくなるよな」
–––うん。だが、君ならさしたる問題じゃない。そうでしょ?
「勿論。それに貴重な情報ありがとな。おかげで、戦力が増えそうだ」
–––お役に立てて、何より。それじゃあ、頑張っておいでよ
ゼダスは《輝く環》との交信が切れたのを確認すると、再び索敵を張る。余りにも遠くにいる相手には、無効化だが、近付いてくる相手には効果絶大。だが–––
「何もかからない。奴ら………何が目的だ?」
怪訝そうな声を上げるが、近付いてこないのなら、さっさと指定座標に向かうとしよう。
もう、こんな危険地域は、御免蒙る。
―――*―――*―――
ゼダスが指定座標–––ノルドの原住民族が暮らす区画に辿り着いた頃には、日が暮れていた。やはり、徒歩ではキツかった。無謀とも言える。
「ここ………遠過ぎるだろうが」
ゼダスは文字通り、命ガラガラでそう吐き捨てる。
凄く今更なのだが、あの狙われたタイミングで、馬の上で狙撃銃の弾丸を裁けば良かったのでは?と思ったりもした。そうすれば、追手からの攻撃も防げ、楽に移動出来た。が、それもダメなんだったと思い直す。結果だけ見れば、そうして置けば、良かった様に思えるが、あの状況ではまず、相手が何処にいるかすら分からなかったのだ。そんな中、アリサを危険に晒すわけにもいかない。
「ここが指定座標………って事は、今日泊まる所はここか」
そんな推測を立てながら、ゼダスは歩みを進める。
先程までの大移動で、改めて自然の雄大さを感じた。ここでも然り。
放牧されている馬と人とが仲良く?暮らしていて、自然の直ぐ横で過ごしているのが、手に取るように分かるのだ。
歩みを進めていると、即効組み直し可能の如何にも、放浪者、の匂いを感じる建物–––と言うよりは、テントに辿り着く。ゼダスは、先程まで尖らせていた感性を直し切れていない為、無意識の内に中を察する。
すると、テントの中では無く、裏手の方に人の気配が二つ–––リィンとアリサだ。
何について話しているのか、気になったゼダスは、悪趣味だが覗く事にした。
星が瞬く夜空を見上げるリィンとアリサ。中々、良い雰囲気だ。
話の脈絡的には、二人とも食べ過ぎて、風に当たりに来たらしいが、そうでは無いはず。何かしらの理由でアリサが居辛くなり出てきたのをリィンが追って来たのだろう。流石のお節介さんだ。
「風に当たるんなら、俯いてるより見上げた方がいいんじゃないか?」
噴いた。ゼダスは、いきなりのリィンの台詞に、盛大だが音を立てずに噴いた。
いや、別に悪い言葉じゃない。寧ろ、良い言葉だ。だが、噴いてしまった。イタい。何でリィンはこうも無意識に、こういう台詞を吐けるんだ?ツボに入り過ぎて、傷口に響いて痛い………
その後、二人は高原に身を投げ出し星空を見上げていた。そして、語られるアリサの過去。
「–––八年前だったわ。技術者だった父が亡くなったのは。それをきっかけに、私の家は大きく変わってしまった」
そこから語られたのは、アリサの実家であるラインフォルト社の辿った軌跡だった。
母親であるイリーナは、最愛の夫を失った哀しみを埋めようと仕事に没頭する事になっていった。当時の位は取締役だった為、事業拡大を急激に進めたらしい。その為、自分の家族を顧みる事は殆ど無くなった。
そして、父親を亡くし、母親からは顧みられないアリサの側に居てくれたのが祖父、グエン・ラインフォルトと専属メイドであるシャロン・クルーガーだった。
シャロンの事については前に記したが、グエンの事についてはまだだっただろう。
確か、ラインフォルト社の会長職に就いていた人だ。中々、優秀で現ラインフォルト社の基盤を作ったと言っても差し支えない。だが、イリーナの強引な手口の所為で会長職を剥奪。その後は、何処かで隠居していると言う情報があるが、何処にいるのだろう?アンチ・ゴスペルの件についても、有益な話が聞けそうだし会ってみたいのだが………
「………家が家だし、子供時代は本当の友達と言える人は少なかった。でも、二人が居てくれたから寂しいとは思わなかったんだけどね」
グエンからは、乗馬やバイオリンなどの趣味に精通する事を。シャロンからは、護身術や弓の扱い方などの貴族の子女並みの礼儀作法を学んだらしい。
それなら、確かに寂しい訳では無いのだろうが、幼き頃のアリサから見れば、心に穴が空いたままの筈だ。どれだけ頑張っても、唯一の母親は振り向いてくれない。大人になれば、事実から自分の心に折り合いを付ける事も出来るだろう。だが、当時はそんな事さえ気付かなかった。それが当然の事であると言えるだろう。
親の記憶さえ無いゼダスが、こうやって客観的にまとめる事は、アリサの記憶に対する冒涜とも言える。
–––ははっ。本当、らしく無いなぁ
ゼダスは天を仰ぎ、内心でつぶやく。
どれだけ本気で探っても、記憶が見つかる訳が無い。というか、そんな簡単な方法で見つかるなら、とうの昔に見つかっている。
–––俺がどういう所で生まれ、どういう環境で育ち、どんな親に育てられたのだろう?
その疑問に答える奴がいる訳が無い。でも、そう言わざるを得なかった。だが、答えなんて出る筈も無いので、再びアリサの話に耳を傾ける。
「でも、母は私に見向きもせず、際限無くグループを拡大させていった。当時、会長だった祖父の意向を差し置いてね」
「そうだったのか………でも、元々大きな技術工房ではあったんだろう?」
背後で盗み聞きするゼダスと違い、しっかりと真横で聞くリィンは質疑を投げ掛ける。それにアリサは躊躇うことなく肯定する。
「ええ、鉄鋼や鉄道などの人の役に立つ物から、戦車や銃などの兵器まで………《死の商人》と揶揄されても、おかしく無いモノ作りをしてきたと言えるわね。でも–––私は、その事を“恥”と思った事は無いわ。それでも、ここ数年で作り上げたモノを考えると流石に行き過ぎとしか思えない」
その言葉にゼダスは同意を示す。アリサが言いたいのは、五年前にエレボニア帝国とお隣のクロスベル自治州の国境に聳え立つガレリア要塞に配備された二門の《列車砲》の事だろう。
ラインフォルト社との契約を結んだ際に参考データを参照させてもらったが、表社会の破壊力の結晶体とも言える性能を誇っていた。
世界最大の
「こうやって聞かされると、とんでもないな。戦争というより、虐殺にしか結び付かないんだが………」
「ええ、それは私も思うわ。そして………そう思ったのは私だけでは無く、《列車砲》の完成に立ち会った祖父もだったのよ」
そう思えるのは、良い人の証拠だ。
グエンは、使い方を間違えれば–––いや、間違え無くても大被害を産む兵器を作った事を悔やんだ。そして、それを帝国軍に引き渡すかを迷っていたそうなのだが–––
「そのタイミングで、取締役である母の裏切りにあったのよ」
「えっ………」
「ラインフォルトグループの大株主全員を味方に付けたのよ」
その後の話は切り口的には酷い話だった。
ラインフォルトの本社が構えられている《黒銀の鋼都》ルーレの領主であるログナー公爵に帝国軍の有力人物。その上、普段は対立している貴族派と革新派の両方から弾圧を受けたら、どうなるかは自明の理。–––結局、グエンは会長退陣し、新会長にイリーナが就任するという構図が完成した訳だ。
「お祖父様は………私を残してラインフォルトを去った。そして、味方だと思っていたシャロンも雇い主である母に従うだけだった。それが–––五年前の出来事よ」
「そうか………」
どうやらリィンはアリサの超重たい話を聞いて、曖昧な言い方しか出来なかった。そこまで大きい話だと思っていなかったのか、境遇の違いで理解出来なかったかは知らないが、
「アリサは………納得が行かなかったんだな?お母さんのした事より“家族”が壊れてしまった事が」
との問いに、アリサは若干の苛つきを募らせながら、短く肯定する。
「ええ、そうね。実の親を陥れた母様も、それをただ受け入れたお祖父様も私は納得行かなかった………。あれだけ優しかったシャロンが何も言ってくれなかった事も」
大企業の存在が家族を引き裂く。
それは聞くだけでも辛い物を含むのに、実際体験するとなると想像を絶するだろう。だが、それでも–––
「私は認めたくなかった。家族の絆がそんなに容易く壊れる物だなんて………だから、私は–––士官学院に入ったのかもしれない」
アリサはその言葉の後に皮肉げに付け足す。
「でも、結局家からは逃げれなかった。母様の引き鉄でシャロンは来るし………ゼダスはラインフォルトと繋がっていた。手の平で転がされていたと思って滅入ってたけど………」
しっかりとゼダスの素性を隠した上で、スッと星空に手を伸ばす。
「–––この星空を見上げたら、どうでも良くなっちゃったわ」
それを見届けたリィンは同じ様に手を伸ばし、
「–––やっぱりアリサは強いな。こうして俺に話してくれたって事は………多分、前に進めるきっかけが掴めたってことだろう?」
「ふふっ………そうね。だとしたら、それはきっと士官学院に入ったからだと思う。Ⅶ組のみんなに、部活のみんな………本音で向き合える仲間と出会えたから私は強くなれた」
一旦、アリサはそこで言葉を切り、若干の間の後、顔を赤らめ、
「だから–––ありがとう。心配してくれて………空を見上げろって言ってくれて」
「ははっ………どういたしまして。白状すると、追っかけてきたのは委員長に促されたからでさ………そこのところは申し訳ない」
「ふふっ、だろうと思った。そこら辺は今後の課題という事で。そういえば、私を強いって言ってくれたけど………貴方だって頑張ってるじゃない?」
「いや、まだまだだよ。“自分”から逃げてるようじゃ」
リィンはアリサの問いに一刀両断で否定する。
「前に“自分を見つける”なんて格好付けた事を言ったけど………本当は、ただ逃げてるだけじゃないかって不安に駆られる時もある。家族からも–––自分自身からも」
その言葉にアリサは不安げに訊ねる。
「貴方も………ご家族とあまり上手くいってないの?」
リィンは実の子ではなく、養子だ。それ故、上手くいかない事例だってザラにある。だが、
「いや、血が繋がっていないとはいえ、両親とも俺を慈しんでくれている。妹とは最近すれ違いが多いけど、まあ、仲は悪くないと思う。全部………俺自身の問題なんだ」
その言葉にアリサは少し考えた後、口を開く。
「–––でも、そういう風に言えるって事は………多分、前に進めるきっかけが掴めたって事でしょう?」
先のリィンと全く同じ言葉を返す。それにリィンは呆気に取られるが、それに続けて、
「さっき貰った言葉をそっくりそのままお返しするわ。いつも、どれだけ恥ずかしい言葉を臆面なく言っているか………少しは自覚すると良いんじゃない?」
「ははっ。–––参った、一本取られたよ。そうだな、俺も少しずつは前に進めて行けてるんだよな。学院に入って、Ⅶ組のみんなや同級生や先輩たちに出会えて………–––」
「おやおや、お二人さん。中々、良い雰囲気じゃないですか?」
ゼダスは気配を消して、リィンとアリサに近付き、顔を覗き込む。嫌味ったらしい笑みを浮かべながら言うゼダスに、
「「へっ………」」
間抜けな声を出す。みるみる内に顔が赤くなっていくのは、見ていて楽しい限りだ。
「ゼダス、傷の方は大丈夫なのか?」
「久しぶりだな、ガイウス。傷の方はバッチリだぜ。それに委員長も久しぶり」
「ええ、お久しぶりです。それにしても………中々、戻ってこないと思って、見に来たんですが」
「あ、あ、貴方たち‼︎一体、何時からいたの?」
アリサは顔を真っ赤にしながら、問い詰める。答えるはガイウスとゼダス。
「『–––でも、そういう風に言えるって事は………多分、前に進めるきっかけが掴めたって事でしょう?』という所からだ」
「ちなみに俺は最初から。アリサも色々と苦労したんだなぁ」
「ゼダスっ‼︎何アンタ勝手に人の過去を覗き込んでんのよっ‼︎あと、その台詞はリィンの痛い台詞をそのまま返しただけで………」
「まぁまぁ、アリサさん。そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃないですか。私は、少なからず感銘を受けましたよ」
アリサを宥めながら、言葉による砲撃を続けるエマにガイウスは無意識の内に乗る。
「ああ………悪いとは思ったが良い場面に立ち合わせてもらった」
「ああもう、何で私が一番、恥ずかしい人みたいになってるのよっ⁉︎ええい、こうなったら………貴方たちも加わりなさい。特にゼダス‼︎一緒に恥ずかしい青春トークをブチまけてもらうわよ‼︎」
「ええっ‼︎ま、待って下さい‼︎」
「あ、傷口が痛む。イタタタ(棒)」
「どう見ても演技でしょうがっ‼︎と言うか、大丈夫なんでしょう⁉︎」
そうやって、ゼダスが女子二人と雑談している中、ガイウスはリィンに
「………お疲れだったな」
と労いの言葉をかける。が、
「いや、元気を付けるつもりが、こちらが元気を付いちゃったし………正直、良かったと思ってるよ」
と簡潔にアリサとの会話の真意をまとめた。そして–––
「–––なぁ、ガイウス」
「何だ?」
ガイウスの疑問に答える前にリィンは星空を見上げ、改めて言う。
「本当に–––良い所だな」
ゼダスきゅんが狙撃手から逃げ、高原にある力を見つけ、人の過去を盗み聞く。一話に色々とぶっ込み過ぎ、と言われても仕方ない位の物になってしまった………(驚愕)
まだ、設定に載せる訳ではないので、今回出たオリキャラのイメージだけは記しておきます。
守護騎士–––アスルのイメージ外見が、里見蓮太郎で、従騎士–––シズクのイメージ外見が、ティナ・スプラウト………両者共にブラック・ブレットのキャラですね。ちなみに、最近の話から《輝く環》の外見や喋り方を固定する事にしました。このイメージは一応、ノーゲーム・ノーライフの唯一神テトですね。