実技テストとエリゼイベントの順序を間違えましたぁーーーー‼︎m(__)m
原作の日付をズラしても入れるので、今後ともよろしくお願いします。
もしもの仮定の話だ。
もし、喧嘩まではいかなくても、険悪ムードな二人組がいたとする。普通の世界なら、喧嘩しててもおかしくないだろう。
そして、その二人から相談を受けたとしよう。なら、どう答える?
互いに歩み寄ろうと努力してくれれば、勿論良い訳だ。それがキッカケで解決してくれれば、尚良し。
だが、互いに互いの存在を拒む–––とはいかなくても、嫌悪していたとしたら?
互いの歩んだ軌跡、心情、信念………それらの不可視の情報が相手を無意識に嫌い、突き離す。そんな状態での和解はまず不可能。
しかし、無意識に拒んでいても、意識としては仲直りしたいと思っていたら?
それなら、手助けをしてやろうと思うのが“人”なのだろう………まぁ、相談を受けた奴が“人”と定義して良いかは置いとくとして、の話なのだが………
―――*―――*―――
「さて、実技テストも無事(?)終わった事だし、特別実習の説明と行きますか〜」
あのサバゲー擬きの実技テストで全員が普段以上に疲れ切っている中、このサラの言動は頭に来るんじゃないかな?と思いながら、ゼダスは表情に何も見せずにいた。
全員に渡された何の変哲も無い封筒の中には、こう記されていた。
A班:ゼダス、エリオット、マキアス、フィー、ラウラ(実習地:帝都ヘイムダル)
B班:リィン、アリサ、エマ、ユーシス、ガイウス(実習地:帝都ヘイムダル)
両方とも同じ実習地にエマは、
「今回は同じ実習地なんですね」
「まぁ、帝都は広いからなぁ。一班じゃ、大変な苦労を伴うだし………でも、この時期って事はさ………もしかして、な」
思わせ振りのゼダスの言葉にサラはジト目で見ながら、
「本当、
ゴホンと咳払いをし、真面目なギアに切り替わったサラにⅦ組(ゼダスとフィーを除く)は、気が引き締まる。
「今月–––七月は、帝都での一大イベントである《夏至祭》が開催されるわ。そこで手を借りたいんですって」
夏至と付いてるのだし、普通は六月に行うべき祭りな気がするが、かのドライケルス大帝が古い昔の帝国内戦を終結させたのが七月らしく、それに合わせたと言うエピソードがあった様な無かった様な………
「ま、でも、それ位の事なら大丈夫じゃねぇの?最初っから手伝いって分かってるんだから、面倒な仕事は回ってこないだろうしさ」
とゼダスは言うが、全員の心の中には、
–––特別実習が、そう簡単に行く訳無い………
との、半分以上に先を思いやられていた。
こんなマイナス思考を振り払おうと言葉を紡ぐのは、リィン。
「帝都と言えば、エリオットとマキアスのホームグラウンドじゃないのか?」
「うん、そうだよ」
「ああ、確かにそうだが………なら、何で僕とエリオットが同班なんだ?せめて、帝都をよく知る二人を二分しておくべきだろう」
最もな疑問。
帝都の広さは、ゼムリア大陸でも有数の物なのだ。
そんな所を効率よく回ろうものならば、本や話で聞いた情報より、肌で感じたりして取る事の出来る現場の情報が有利のはず。
そして、それを偏らせた。その上、
どこからどう見ても、比率が可笑しい。
「今回のメンバーってどう決めたと思う?」
サラはにこやかに言う。それを全員は思案するが、ピンとくるものは無い。これに関しては、ゼダスも手詰まりだった。
誰も答えないのを確認すると、サラは、
「今回は何と–––くじ引きよっ‼︎」
………
………………
………………………
「ふざけてんのか?」
さっきのジト目を超える程の冷徹さを感じさせながら、ゼダスはサラの頭を殴る。一応、生徒なのだし、教官を殴るのは控えるべきだが、殴らざるを得なかった。
「痛いわね〜〜。教育委員会に訴えるわよっ⁉︎」
「ああ、良いぜ‼︎でもな、くじ引きで勝手に生徒の班分けを行った、なんてバレてみろ。教官としての評価も下がるし、給料も半年位は減っちまうだろうなぁ〜〜。そんな事態になって困るのは誰かなぁ〜?」
「うっ………痛い所を突いて来るわね………」
「酒乱は金遣いが荒そうな雰囲気だしなぁ………減給は不味いだろ?」
「………分かったわ。降参よ………ったく、何で生徒に虐げられるのかしら………」
ブツクサ愚痴るサラに全員は苦笑。
「まぁ、詳しい所はこんな感じよ。今日はもう授業って気分じゃないから解散ね。帰って良いわよ」
これが教官で良いのか?と訊ねたくなる言葉だが、帰れるなら帰る。もう疲れが溜まって全員、満身創痍なのだ。
誰も反論を唱えずに今日の学校はお開きとなった。
―――*―――*―――
「待て、ゼダス」
帰る気満々のゼダスはラウラに呼び止められる。ちょっと気に触れるが、態度には出さずに答えるとする。
「何だよ、ラウラ。俺はもう疲れた………帰りたいですよ?」
「………少し聞かせて欲しいのだ」
「何を?」
「そなたが実技テスト中にフィーと“共同戦線”を張った事は理解している。確かに悪くない作戦だとも思う。だが–––」
ラウラは自分の胸に手を当て、苦しそうに言い放つ。
「–––何故か、フィーと組んでいると言う事実を認識する度に胸が締め付けられるのだ………これは一体何なのだっ⁉︎」
「知るか。俺は利的に動いただけだぞ」
「分かっている。分かっているのだ………だが、モヤモヤして気持ち悪いのだ‼︎何で、何で………………ッ⁉︎」
喚き散らすラウラの言葉を切ったのは、ゼダスの行動だった。
まともに視認すらさせない速度での抜刀。ミストルティンの白刃はラウラの首筋を確実に狙っていた。
「もう一度言うぞ。知るか………と言うか、お前なら言葉で語るより剣で語る方が良いだろ。相手になってやる」
明確な敵意のみを宿す瞳にラウラは恐怖を覚える前に羨望を覚える。
この瞳にラウラは憧れた。
強さの象徴である瞳は、まだ力を求めている。飽くなき向上心の塊。
何処までも高く、
「分かった………胸を借りるぞ」
肚を括ったラウラは蒼き大剣を傍らから引き抜く。
「貴方達………まだ元気が残ってるの?」
半分………いや、半分以上呆れているのは、アリサだ。
帰って良いというのに残っているのは、どういう事だ?と聞きたくなるが、今はそんな案件に割く心の余裕は無い。
確かにゼダスは強い。
だが、そんな相手に毎日のように挑んで学んできたラウラも同様に強い。
しかも、ゼダスは武器が変わっていて、持ち前の《聖扉戦術》の多くを更新せざるを得なかった。
それはラウラにとっては、今までの見てきた“剣術”が無駄となったと言えるが、ゼダスにとっても使い慣れない技しか使用出来無いのだから、状況は五分五分と言えるだろう。
ミストルティンの“殺さずの力”である石化を使えば、ラウラ程度なら楽に斃せるが、剣戟戦では無用の長物。ハナから使うつもりは無い。他にも能力はあるが、それも使う訳にはいかない。使うなら、それなりの条件下でないと………折角の奥の手なのだから。
「来いよ」
短く言うゼダス。
一見、隙有りの構えに見えるが深く見ると、全くと言って良い程に油断ならない構えだ。
だが、先程のゼダスの言葉–––『勝負には思い切りが必要』–––普段から戦闘慣れしているからこそ、言葉に重みを感じる。
その強者たる風格が教えてくれる。
–––出し惜しみは無用、と………
「参るっ‼︎」
ラウラは地を蹴り、距離を一気に詰める。ゼダスは冷静な瞳で見つめ、行動を取る。
振り下ろされし大剣をゼダスはミストルティンの刀身を掠めながら、去なす。
ラウラの《アルゼイド流》は–––大剣で使用している事もあるからか–––一撃の火力に特化している。故に去なすのは苦労する。
まず、相手の剣を去なす行為は多大な努力と技術の末の物だ。
相手の攻撃を完全に見切り、適切なタイミング、力加減、角度などなど………その膨大に、かつ繊細に定められた条件の一つでも許容外にしてしまえば、去なすと言う技は失敗する。
それに加え、先程述べた通り、ラウラは一撃の火力に特化している。すなわち、一回のミスで武器を落とされる事を想像するに難く無い。だからこそ–––
「(何故、ゼダスはわざわざ危険な綱渡りをする事を選んだのだ?サッサと押し切れば良いだろう)」
と疑問を抱くのだ。
ああ、サッサと押し切れば勝てる。間違いなく。寸分の狂いも無く。
だが、それでは駄目なのだ。
『剣で語れ』
と言ったのは、ゼダスだし、一気に押し切るなんて以ての外。
ラウラの剣に宿る魂を剣戟から読み解く。それが今、ゼダスがすべき事だ。
だが、ゼダスにとって感情を読むのは至難の技。だって、自分の感情さえ名付けるのに苦労するのだから。行動とかから客観的に読み取ろうとすれば、何とかなる………と思いたい。
「ラウラ、お前さ………弱くなったな」
去なす事を止めたゼダスは、ラウラと数合打ち合った後、鍔迫り合いの際にそう言った。それにラウラは、
「………どういう事だ?」
「文字通りだよ………言い換えれば、“らしくない”」
「“らしくない”だと………?」
「ああ。だって、お前の強さは真っ直ぐな心から生まれるだろう。なのに、心が曇ってやがるって感じなのかな………よく心は分からんが、そんな感じじゃねぇのッ‼︎」
力を一気に加え、ゼダスはラウラの大剣を無理矢理跳ね上げ、懐を空かせる。そこに躊躇う事無く、踏み込み、ミストルティンの横腹で本気で殴る。
喰らった所を押さえ、膝を突くラウラ。それにゼダスは立ち尽くしたまま、言う。
「………お前が何を抱えてるかは概ね理解した。だから、一回教室に行こうぜ。もう大抵は帰っただろうし、ゆっくり話すには持って来いだろうしな」
―――*―――*―――
何か流れで教室に誘導してしまったが、どうした物か………全く話す事を考えてないぞ、と内心で頭を抱えているゼダス。
ゼダスとラウラ以外の誰もいない教室。
沈黙は気不味くてやり難い。何らかの話題を切り出さねば………と思うが、そんな「今日は良い天気ですね」みたいな世間話に花を咲かせる訳にもいかないので、サッサと本題に切り込むとする。
「えーと、つまりラウラは、フィーとの接し方に悩んでる訳だ」
当然とも言えるだろう。
ラウラは幼い頃から目指す人を越えるべく“騎士道”を歩んできた。
騎士の美徳–––勇気、高潔、忠誠、寛大、信念、親切、崇高を基に。
だが、フィーはそんな綺麗さの欠片も存在しない無法地帯で生きてきた–––いわゆる“猟兵道”を歩んできた訳だ。
何処の観点から見ても交わる事のない二つ。例えるなら、水と油。それを混ぜようとする方が至難の技に思える。
「そうなのだ………フィーはどう思っているかは分からないが、仲直りしたいのは事実。しかし、己の無意識ではどうしても避けてしまうのだ」
「良いじゃん。避けとけよ」
あまりにも的外れの回答にラウラは訝しんだ表情を見せ、首を傾げる。
まともに答える気が無いように見えるゼダスは、教室の前にある黒板の前に立ち、チョークを一本手に取る。そして、字を書き始め、それを読み上げる。
「えー、『神様は月曜に世界を作った』とさ」
「そなた、一体何を………」
「いいから黙って聞いてろ。『神様は火曜に整頓と混沌を極めた』」
ラウラの抗議を無視しながら、書き続ける。
「『神様は水曜に細々とした数値を弄った』」
理解不能な文を連ねていく。
「『神様は木曜に時間が流れるのを許した』」
困惑の表情を隠せないラウラ。
「『神様は金曜に世の隅々まで見た』」
それに微笑みそうになるが、堪え、
「『神様は土曜に休んだ』」
最後の文を記す。
「『そして、神様は日曜に–––世界を捨てた』とさ………お前はこれを読んで、どう思う?」
「どう思うって………」
意味不明な文をズラズラと書かれて、問われたのが『どう思う?』………答えは全く分からない一択だろう。
それを表情のみで見切ったゼダスは、迷う事無く言葉を続ける。
「そう………分からなくていいんだ。分かってしまうと悩んでしまう………今のラウラみたいに、な」
その言葉にラウラはハッとする。
確かにフィーを忌避し始めたのは、猟兵だと認識してからだ。知らなければ、こんな事には………。悔やんでも悔やみ切れないラウラを尻目にゼダスは、
「だから、悩め。それで導き出したのが、避けるって選択肢なら、それで良い。だが、仲直りしたいラウラにとってはこの解決策はアウトだろ。そんな事もあろうかと、もう一個意見を授けてやる」
手でチョークをペン回しの要領で回し始めたゼダスは、追加で尋ねる。
「この話は神様視点の世界を一週間に例えたモンだ。だが–––何で一週間に例えたんだろうな?」
「そんなのは、綴った人にしか分からないだろう」
「ああ。だから、それを読むの者は作者の思惑を推測するんだよ。ほら、考えろ♪」
嬉しそうに言うゼダスにラウラは長考に意識を傾ける。
何で世界を一週間に陥し込んだのだろう………候補は無い訳じゃ無い。
例え易かったから?作者の感性に合ったから?それとも–––伝えたい事が有ったのか?
多分、三番目が答えだろう。なら、伝えたい事とは何か?
そればっかりは、分からない。どれだけ推測を重ねようが推測の域を過ぎないのだから。
「一体、何を伝えたかったのだ?」
無意識の内に口を漏らすラウラにゼダスは笑いながら、
「もう、そこに至ったのか。必要な事を考える頭だけは性能良いな」
「必要な事を考える頭“だけ”は、とはどういう事だ?」
「言葉のアヤだよ、気にすんな。まぁ、そこからは分からないだろうし、俺の推測で良ければ答えとして出してやるが………どうだ?」
「………答えてくれないか」
「言われなくても答えてやるよ」
黒板の字をチョークで叩きながら、推測を述べる。月曜日枠に書いた文字から日曜日枠に書いた文字へとなぞり始める。
「これは一週間を神様視点の世界に例えたモンってのは、さっきも言ったよな。ならさ………ある事に気付かないか?」
日曜日枠に達したチョーク。それを思いっ切り持ち上げ、月曜日枠に置く。
「一週間で例えるって事は、また回ってくるって事だ。それを綴られた事実と合わせてみると、世界は捨てられても、また作られるって訳だ」
「スケールの大きな話だな」
「これだけじゃあ、分かり辛いと思うから結論を述べちまうけど、『かくて全ては一周する』って事だよ」
「『かくて全ては一周する』?」
「うん、あらゆる物は一周回って戻ってくるって事じゃね?」
この例え話の様に、月曜日から日曜日に至り、再び月曜日に戻ってくる様に。
世界は作られ、滅ぼされ、そして再創する様に。
反乱から生まれた協力が、いずれ亀裂を導くかの様に。
この二律背反が繋がり、輪廻を作り出すのを元に考えれば–––
「–––その程度の悩みは所詮、火曜日辺りの物でしかないんだよ」
チョークを元ある場所に置き直し、振り向く。
「生き方が違うだけで、同じ“人”なんだ。嫌う訳を問うても意味がないし、全員を好く事を強要する訳じゃねぇ。だから、悩んだらこの話を思い出せ。そうすれば、折り合いを付けて、新しい観点から物事を見れるだろ」
その疑問の回答を放り投げたかの様な答えにラウラは何を得たのかは分からないが、何か思う所が有ったのか、
「そうか………言われればそうだが、中々の暴論だな」
「別に暴論で良いんだよ。こんな支離滅裂な事を言ってる馬鹿が居ても、耳を傾ける人は多かれ少なかれ居るんだし」
もう言葉を尽くしたのか、ゼダスは教室のドアへと向かい、最後に言葉を残す。
「まぁ、そういう事で、一回フィーを見つめ直せ。そうすれば–––多少、マシにはなると思うぜ」
―――*―――*―――
–––同日、夜
自室で寛いでいた(ダラけていた訳ではなく、筋トレや読書をしてた)ゼダスの部屋のドアをノックする音が、
「–––ゼダス、ちょっと相談したい事が………」
フィーの声だ。
同日に相談を持ちかけてくるとは、本当に“似た者同士”である。
「あいよ〜〜」
そして、ゼダスは徹夜通しでフィーの相談に答えてやったそうだ………
はい、今回は色んな小説が影響した話になりました。
ノーゲー■・ノーライフに神様のいない■曜日に………
まぁ、書いてて楽しかったですよ。完全ラウラ回な気がしますがね………