闇影の軌跡   作: 黒兎

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色々と動く一話。その一言に尽きる。











血濡れの覇王

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふははは、《天帝》。噂以上に弱いな‼︎」

 

 まだ決着が付いていないのに、勝ち誇る様に言う《G》。一々、感に触るが無視するに限る。そして、言われている《天帝》ことゼダスは––––––––

 

 

 

 

「硬ぇ………………」

 

 

 ––––––––苦戦していた。

 敵である暗黒竜ゾロ・アグルーガの攻撃は腕による薙ぎ払いに瘴気のブレス。後は尾を利用した回転攻撃。それらを応用した技全般を使用してくるが、その全ての行動は遅く、本気のゼダスにとっては止まって見える。つまり、一撃も貰うはずが無い。

 それに比べ、ゼダスの方はミストルティンの特殊能力である石化能力と形状変化を駆使して、攻めている。だが、

 

 

–––––––ガチンッ‼︎

 

 

 巨躯が故、ゼダスはゾロ・アグルーガの脚部を攻撃するが、その度に身体に刻印されてある魔力防壁が斬撃を拒む。全く攻撃が通らず、ゼダスには焦りが生まれる。

 傷だらけで倒れていたⅦ組A班。敵さえ居なければ、今直ぐにでも医療機関に投入すべきなのだろう。最悪は《輝く環(オーリオール)》を使ってでも、回復させるべきだ。だが、それはあくまで最終手段。最後の最後まで使ってはならない。だから、今ゼダスが魔力防壁に頭を悩ませているのだ。

 いかにして魔力防壁を突破するか。これが一番の問題だ。

 全力の斬撃でも、突破出来ない。だが、攻撃を喰らう事はない。この二つが導くに、戦況が膠着する。しかし、それでも時は刻一刻と過ぎ去っていく。

 

「(早く決着を付けないと………………取り返しの付かない事になっちまう)」

 

 ミストルティンの振るい方が若干、荒々しくなっている。内心、どれだけ冷静を取り繕うとしても、焦りが滲み出てきた。それを見て、嗤うのは《G》。

 

「どうした、《天帝》。早くしないと取り返しが付かなくなるぞ!」

 

 内心を見透かされたかの如くのセリフにカチンと来る。だが、まだ冷静さが少しばかりは残っているのだろう。意識しない様にする。しかし、それでも………

 

「クソっ………」

 

 声が漏れてしまう。やはり、焦りを隠し切れていない。最悪の場合は、愛してくれた二人を失うかもしれないのだ。冷静でいろ、という方が無理だ。そんな中、

 

 

 

『汝、焦っておるな』

 

 

 直接、脳内に語り掛けて来る声。この様な芸当が出来るのは、《輝く環》かミストルティン。この喋り方はミストルティンだろう。それにゼダスは現実に声を出す事無く、答える。

 

「悪いかよ」

『いや、別に分からないもない。愛す者が死へと旅立ちそうなのだからな』

「わざわざ口にするなよ。フラグが建つ」

『まぁ、それもそうだな。だが、どうするつもりなのじゃ?このままでは無下に時間を使うだけじゃぞ』

 

 冷静に指摘され、己の焦りを改めて実感させられるゼダス。そして、同時の思う。ミストルティンの魂は–––––––––まるでゼダスの写鏡の様だ、と。

 どれだけ取り繕っても、こいつにだけは嘘を貫けない。心を見透かされ、事実を述べられる。だが、その感じが本当に正しいのなら、逆にゼダスがミストルティンを見透かす事も可能と言う事で………現に、今何を考えているかは手に取るように分かる。

 

 

「だからって、俺に“修羅”になれってか。無理に決まってるだろ」

『じゃが、ならなければ勝てん。それは汝も理解しているのだろう?』

「………分かりたくないけどな。ま、でも、もう少しは試させろ。最悪の場合は………力を貸せ」

 

 そう言い残し、ゼダスは意識を現実に戻す。

 無意識でも、戦闘は出来ていた様だが依然、戦況は動いていない。しかし、こんな状況を覆す物がない訳ではない。

 《聖扉戦術》。流派の技なら、一気に状況を覆す事が出来る。勃興の時から、進化を続けた技なら、この状況を打破出来るだろう。とは言え、当てる部分を限る必要がある。

 魔力防壁と言っても、それが全て均一に硬い訳ではないはずだ。少なくとも、硬さに不均一な部分が少なからず存在するはず。なら、そこに向かって、全力で叩き込めば、勝てるだろう。そして、それは多分、脊髄。

 ゾロ・アグルーガは骨で出来た竜だ。即ち、全身の神経を繋ぐ脊髄は存在する。でも、竜の脊髄って、何処?場所さえ分かれば、一撃で両断するのだが………

 

「………一か八かで仕掛けるか?一撃で破壊出来れば、代償関係無く、技を使えるし」

 

 ミストルティンを構え、ゼダスは全身の氣を絞り出す。氣は姿を変え、雷撃と化し–––––––

 

 

「《聖扉戦術》《複式》の型 雷光・那由多」

 

 

 ゼダスは地を蹴る。雷撃を纏ったゼダスは空間を蹴り、宙を駆ける。動いた後には雷光の軌跡が出来ている。空中で、ゾロ・アグルーガを視認。身体の部位を完全に掌握し切り、脊髄を見つけると直ぐにゼダスは居合の構えを見せる。まだ、Ⅶ組には見せていない奥の手。流派の応用技。

 

 

「《複式・応用》 雷光・波翔円(はしょうまどか)

 

 

 全身に纏った雷光をミストルティンの刀身に収束し、居合斬りの要領で抜き放つ。すると、雷光の斬撃は宙を斬り裂き、ゾロ・アグルーガの脊髄を襲う。

 

「グガアァァァアァァァアァ‼︎」

 

 狙いが的中。脊髄部の防壁が柔だった様だ。

 苦しそうに喚くゾロ・アグルーガ。古代から無理矢理生き返らされた身としては、もう直ぐ消滅するだろう。

 

「どうだ、《G》。このお遊び程度で俺を止めれると思ったのか?」

「クッ………………」

 

 悔しがっている。これなら………いや、これは–––––

 

 

「………ククク。ハッハハハハッ‼︎実に、実に良いぞ、これはっ‼︎」

「………………何がだ。俺は勝った。それに変わりは無い。今、降参して土下座ぐらいをしてくれるなら、命は獲らないでやるが?」

「そんな戯言を吐く暇がある方が驚きだぞっ‼︎ この私が召喚した魔獣が一体だとは思うな(・・・・・・・・・・・)よ」

 

 気付かなかった。無意識の焦りが反応を遅らせた。

 様々な悪条件が重なったのだろう。後ろから湧く魔獣に気付かなかった。しかも、まさか暗黒竜よりも高位の魔獣(・・・・・)だとは。

 出現に気付くのが遅れたゼダスに湧いた魔獣は背後を斬り付ける。

 鮮血が宙を舞い、ゼダスは地に倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 七耀歴371年

 

 帝都ヘイムダルが開かれてより二百年–––––"その災厄"は突如、地の底から顕れた。

 –––––––《暗黒竜》ゾロ=アグルーガ。黒き瘴気を撒き散らす恐るべき魔竜である。

 魔竜の吐き出した瘴気は帝都を覆い尽くし、ヘイムダルは死の都と化した。

 死者は冒涜され、魔竜に操られたまま徘徊し、生ある者に襲いかかって眷属を増やしていった。

 

 この事態に、時の皇帝アストリウスⅡ世は民と臣下を引き連れてヘイムダルから逃れ、南のセントアークの地に仮の都を構えたのである。

 ––––––百年の時が過ぎ、七代後の皇帝ヘクトルⅠ世が、廃都と化したヘイムダルの奪還を決意する。

 既にヘイムダル周辺の地は魔によって呑み込まれ、暗黒竜の支配下となっていた。

 ヘクトルⅠ世は勇猛なる騎士団を率いて攻略するが、強大な魔物の群れに阻まれ、苦戦を強いられてしまう。

 

 そんな中、ヘクトルⅠ世は"ある存在"と邂逅した。巨いなる緋色の騎士––––《テスタ=ロッサ》。

 ヘクトルⅠ世を主に迎えた緋色の騎士は、圧倒的な力と無数の武具をもって廃都へと突き進み、全ての元凶たる暗黒竜と対峙する。

 そして激闘の末–––––緋色の騎士は暗黒竜を見事調伏したのだった。

 

 しかし代償は大きく––––––暗黒竜の穢れた血によって皇帝は命を落とし、緋色の騎士は呪われた存在となった。

 "千の武器を持つ魔人"––––––皇帝家の血筋にのみ反応し、暴走したら最後、地上の全てを呑み込みかねない"真紅の災厄"。

 結局"それ"は、帝都の地下深く、日の光の差し込まぬ何処かへと封印されたのだった。

 

 そして、崩落した廃都の街並みを覆い隠すようにして新たな都の造営が行われ、民も再び集まるようになった。

 現在の《緋の帝都》––––––ヘイムダルの街並みはこの時からのものだと伝えられている。

 

 

 

 

 

 これがゼダスが結社で閲覧した歴史書に記されていた文章。

 多分、後ろから斬りつけて来たのは、この中で出て来た“千の武器を持つ魔人”なのだろう。テロリストは皇族を拉致するのが目的で、それをⅦ組が追う形になれば、近くに皇家の血があるのだし、反応しても可笑しくは無い。

 だが、斬られる寸前で姿を目視したが、アレは騎士と言うよりは屍の方が近かった。ゾロ・アグルーガと同じく、全身が骨だったし。

 しかし、確実にゾロ・アグルーガよりも強大な相手だ。どう勝てというのか………ああ、分からない。でも––––––………………何としてでも勝つしか無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ––––––ガチンッ………

 

 

 ゼダスは己の得物であるミストルティンを地に刺し、何とか体勢を整える。そして、相手の姿を視認する。

 身体中が骨で形成された騎士人形。禍々しい氣を纏い、手には巨大な大剣が。あんな物を手に暴れられたら、被害は計り知れた物ではない。それこそ………周りで倒れている仲間が危ない。

 斃しきるなら、出来る限り早く斃す必要があるだろう。でも、相手は先の暗黒竜をも超える強さを誇るのは、肌を持って感じている。そんな相手に《聖扉戦術》だけでは、削り切れない。だから………

 

 

「ミストルティン。力を貸せ」

『じゃから、言ったであろう。汝が“修羅”に堕ちれば、妾の力を完全に託してやる、とな』

「“修羅”に堕ちなくて、強くなれるだけの力を貸せよ。早くっ‼︎」

『汝………矛盾している事にそろそろ気付け』

 

 脳内に語り掛けて来るミストルティンの魂は、ゼダスの眼の前に顕現する。とは言え、周りの人には見えていないだろう。

 薄緑色の髪に髪色と同じ色の瞳を持つ少女がゼダスの前に立つ。これがミストルティンの魂。

 

『力を求めるが、“修羅”には堕ちない?何を甘ったれた事をほざいておる』

 

 ゼダスの元に歩み寄り、ミストルティンの魂は、ゼダスを思いっ切り殴る。

 

『そんなのは叶わない“理想”に過ぎないッ‼︎ その様な我が儘満載の“理想”が曲がり通るのなら、誰かの願いで世界中は今頃平和になっているはずだろうッ‼︎ じゃが、今も現に戦いは続いているだろう。少しは気付けッ‼︎』

 

 殴る事を止めず、言葉を連ねる。

 

『夢物語を見てる暇があるなら、現実を見ろ。受け入れろッ‼︎汝が“修羅”を受け入れれば、全てが丸く収まるのだぞッ‼︎』

「そんなに簡単に割り切れたら苦労しねぇんだよッ‼︎」

 

 耐え切れず、叫び返すゼダス。

 

「ああ、お前の言う通り、“修羅”に堕ちれば、あんな傀儡程度は呼吸する位簡単に殺せるさ。でもッ‼︎俺には、愛してくれた二人が居るんだぞッ‼︎なのに、人を喰らう“修羅”になっちまったら………あいつらが悲しむだろうが………」

『今、汝が堕ちなければ、悲しむ以前に生きてすらいられないのだぞッ‼︎ あの騎士をここで殺さなければ、全員死ぬ。それは不変の事実だ。それでも汝は………いや、貴様は躊躇うのか? 選ばなければ、最愛の二人を失うのだぞ』

「俺は………」

 

 打ち拉がれるゼダス。それを見て、殴るのを止めたミストルティンの魂はゼダスの頬に手を伸ばし、包む。

 

『ほんの少しの間だけだ。それなら………帰って来れる』

 

 まるで悪魔の囁き。本来なら、答えてはならない。そんな理想が通じる訳が無い。堕ちても帰ってこれるなど。

 だが、もう冷静な判断を下す事さえ難しい段階までにゼダスは駆り立てられているのだろう。故に、

 

「………力を貸せ。全てを護れるだけの力を………………その為になら、“修羅”にでもなってやる。だから、お願いだ。持てる全てを………俺に託して来れ」

『フフ………そうか。なら………妾が言う通りに唱えろ。そうすれば、汝に最大級の力をくれてやる』

 

 ゲームの配線が切れたかの如く、一瞬で姿を霞ませたミストルティンの魂。そして、引き戻される現実。ゼダスは宙を舞っていた。

 無意識の会話中に、あの騎士人形に殴られまくったのだろう。身体のあちこちに傷が垣間見える。だが、自然と痛みは無い。

 ふと、視線を動かすと、倒れているⅦ組A班が目に入る。マキアスとエリオットは、ゼダスが殴られまくったのに目を伏せ、ラウラとフィーは、今直ぐにでも泣きそうな表情を見せていた。

 

「………悪い」

 

 距離的には聞こえないであろうゼダスのつぶやき。その真意は、心配させて悪い、なのか、人じゃなくなる事に関しての悪い、なのか。それを確かめる術は本人自身も併せ持たないが、言われた通り、ゼダスは言葉を唱える。

 

「我が剣に宿りし魂よ………我が身を贄に力を与えよ」

 

 その言葉が起句となり、ミストルティンの鍔に収束されている荊が解け、普段巻き付くはずの腕では無く、全身を縛る。棘の全てがゼダスの全身を襲い、奔る激痛に表情を歪めたくなるが、唱える口は一切止めない。

 

「剣に刻まれし、古の記憶を呼び起こし、我が血と解かせ」

 

 身体中から血は溢れ、流れるのが手に取る様に分かる。

 

「全てを絶無の彼方へと誘い、終着するは破壊」

 

 流れる血はゼダスの足元へと流れ、真っ赤な水溜りを作る。この場合は、血溜まりか。

 

「その必定の事実が変わらぬと言うのなら、あらゆる反抗も無に等しい」

 

 溜まった血は、ゼダスの唱える声に反応し、ゼダスの足から少しずつ、重力を逆らい昇って来る。

 

「ならば、己の身を投じ、森羅万象を斬り裂く絶対の存在であれッ‼︎」

 

 昇って来た血は、ゼダスを包み込む。紅い球体に覆われたゼダスに、それを見ていた全員が意味を理解出来ないでいた。だが、理解が及ばなくても分かる。ゼダスが………後戻り出来ない段階にまで、堕ちている事に。

 

 

「Mistilteinn of Lost Memory Named:Bloody Overlord Unseal」

 

 

 和訳すると「ミストルティンの失われし記憶 名称:血濡れの覇王 封印解除」。そう唱えられ、紅い球体は盛大な音を立てて、破裂した。そして、純白の欠片も持ち得ない紅蓮の魔剣を持ったゼダスが顕れるが、その風貌は今までのどれとも似て似つかない物だった。

 血で編まれたであろう赤黒いコートを見に纏っていて、衣装自体も様変わりしているが、それ以外の部分も変化が凄まじい。

 特に、万人を惹き込むであろう妖しく光っていた紫眼の片方は、殺意が滲んだ赤眼と化していたのが大きな変化点だ。

 雰囲気も、想像を絶する物で最早、“人”という枠を外れた存在となっている。

 ミストルティン本体は、形状を太刀と化している。その切っ先を骨の騎士人形へと向け、ゼダスは開口する。

 

「………お前ら。兎に角、一回死ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、暴風は吹き荒れた。何が原因かが察する事は誰にも叶う話では無かったが、起こった事実のみは理解する事が出来た。

 

「ば、馬鹿な………っ‼︎」

 

 驚いた表情で言う《G》。それもそうだ。何と言っても………骨の騎士人形が風で崩れ去った。否、消え去ったなどと。

 

「あ、あり得ん。あり得んぞっ‼︎ 《天帝》ッ‼︎ 貴様………一体、何をした⁉︎」

「貴様に答える義務は無い。寧ろ、汚らわしい口を開くな」

 

 消滅に全く気にしていない様子のゼダス。

 誰があの一瞬で察する事が出来ただろうか?まさか………ゼダスが一瞬の内に無数の剣戟を風へと変換し、発射したという人並み外れた芸当に。

 ゼダスは足の向きを変え、《G》の方を向き、ゆっくりと、そして、確実に歩みを進める。その姿は名の通り、覇王。全てを破壊へと導く悪魔。それに《G》は、

 

「く、来るなぁぁぁぁあぁぁぁああぁっ‼︎」

 

 と不乱に取り乱し、手にした拳銃を放つ。発射された弾丸をゼダスは予定調和という感じに斬り落とす。

 今の『血濡れの覇王』状態のゼダスにとって、放たれた弾丸など、静止しているに等しい。まして、シングルアクションの拳銃だ。避けるも落とすも自分次第。

 

「お前は俺の仲間を………最愛の二人を傷付けた」

 

 舞う様に弾丸を弾き落とし、近寄るゼダス。近付くにつれ、《G》の表情は絶望に包まれていく。そして、剣の間合いに入ると、《G》はゼダスの発する気迫に押されたのか、尻餅を付く。驚愕に恐怖が滲んだ表情でゼダスを見上げる。当の本人の表情は––––––––無だった。怒りに溺れる事も無く、殺意に駆られている訳でも無い。蔑む様な物でも無く、最早眼中にすら入っていない様だった。

 

「その罪は重い。故に貴様という存在を世界から断罪する」

 

 振り上げる紅の魔剣。地下という薄暗い場所でさえ、煌めくそれは、表情を露わにしないゼダスの感情を代弁しているかの如くだった。

 そんな中、《G》は恐れながらも言い訳がましい言葉を発する。

 

「わ、悪かったっ‼︎それは謝るから、命だけは,………」

「それを決めるのは咎人であるお前では無く、俺だ。最強の覇王が罪人に裁きを下す。実に良い筋書き(シナリオ)だな、これ」

「ま、待てっ‼︎ 貴様は今は学生だろうっ⁉︎ そんな身で人を裁いて良いと思っているのかっ⁉︎」

 

 至極、真っ当な意見。

 確かに今のゼダスは“学生”であって“執行者”では無い。そんな身で人を勝手に裁けばどうなるか。考えるまでも無かった。普通なら、立ち止まるであろう指摘にゼダスは薄気味悪い笑みを浮かべる。この指摘で普通は止まるのだ。そう………普通なら(・・・・)

 

「ああ、良いとは思ってないぜ。寧ろ、お咎めを受ける方が確率的には高いし、言うつもりは無かったんだが………それ以上に今、お前を殺したい。だから、隠すのは、もう止めだ」

 

 太刀状のミストルティンが薄く引き伸ばされ、形状を変える。側面の刃が無くなり、切っ先の一点に集約される。そして、出来た形は細剣(レイピア)

 それを逆手で持ち、ゼダスは、

 

 

 

 

 

 

「俺は–––––ゼダス・アインフェイトは単なる学生じゃない。結社《身喰らう蛇(ウロボロス)》の執行者が一人。No.Ⅱの《天帝》。《天帝》の–––––ゼダス・アインフェイトだ」

 

 

 

 

 

 

 

 そう宣言し、ミストルティンを全力で突き下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





えーと………色々と詰め過ぎて、何から書いて良いやら………

ミストルティンの最終能力。それは『血濡れの覇王の顕現』です。
本文じゃあ、殆ど触れずに書き進めたので、一応能力詳細を。

全身に巡る血の大半を贄に解放できる最終手段です。ミストルティンの魂も執拗に「“修羅”になれ」と言ってきたのもこの為。完全に外道の存在と化すので、人の部分を少しでも残ると、力の鬩ぎ合いで暴走しかねないと知っているからこそ、「修羅になれ」と言ってたのです。
能力としては単純明快で、あらゆる面で人外と化す。その一言で表せます。発動中は完全に人じゃなくなってしまうのですが、冷静さのみは残っています。戦闘には必須ですから。

一応、もうちょいと設定が残っている様な気がしますが、気になる方は質問しに来て頂けると幸いです。質疑応答の形の方が答えやすいですから。


さて、完全に堕ちたゼダスですが一体どうなるのか?結社の事も完全にバラしてしまって………Ⅶ組との関係はどうなってしまうのか?
色々と変えてしまったこの一話。次話から、どうなるかは必見です(自らハードルを上げている気しかしないww)。
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