最近はゲームのし過ぎで執筆時間が取りずらかったですww
今回は新オリキャラが登場ですっ
「–––––––駄目でございます。ゼダス様。まだ殺してはなりません」
突き下ろされたミストルティンに無数に絡み付く銀閃。声の主の得物だと、ゼダスは理解した。どれだけ堕ちようとも記憶は残っているのだから、誰の物かは分かる。
「何で来た………と言うよりかは、何で止めた、シャロン?」
ミストルティンの紅蓮の刃が数ミリで《G》の頭に刺さろうとしているが、シャロンの得物である鋼糸に拒まれ、何とか止まっていた。
「愛したお方が、血に手を染めようとする。それを止めるのに、如何程の理由が必要でしょう?」
「それに関しては返す言葉も無いが………でも、お前が相手だとしても、俺は止まらない。罪は断つ。絶対にだ」
「そう………その真っ直ぐな信念に私は惚れましたが………」
背後から忍び寄り、シャロンはゼダスに脚を引っ掛け、転かす。しかし、ゼダス自身も抗い、体勢を立て直そうとするが………シャロンは軽く身をこなし、ゼダスの正面に回る。そして–––––––––
「そんな醜い信念は嫌いです。少しは頭を冷やして下さい」
ゼダスの鳩尾を思いっ切り、殴る。すると、糸が切れた操り人形の様にゼダスは気を失う。そして、纏っていた深紅のコートも消え、普段のゼダスへと還って来た。だが、この戦闘を見ていた全員が浮かべていたのは、恐怖。そして、それは影から見守っていたシャロンも同じだった。
暴走したゼダスを見るのは、シャロンにとっても初めての話では無い。だが、よく有る話でも無い。故に恐怖を抱かざるを得ないが、同時に疑問にも思うのだ。何をここまで、ゼダスを駆り立てたのか、と。
「Ⅶ組の皆様。立てますか?」
身体中から血を流しまくり、傷だらけのゼダスを抱えたシャロンはそう尋ねる。それに、倒れていたⅦ組A班は頷き、何とか立ち上がるが、表情は依然、恐怖に満ちていた。
同じクラスに居た奴が、得体の知れない力を奮い、得体の知れない所に属していた。それを知って、恐れない方がどうかしている。
「………そして、奥に隠れてらっしゃるお方々。この《G》と名乗った人を引き取り願えますか?」
シャロンの言葉に、帝都の地下道の奥から三人の集団が出て来る。
「こりゃあ、《G》の旦那。派手にヤラレたもんだなぁ」
ゴツい体付きをした巨軀の男性はそう呟く。
腕に持つ巨大なガトリングガンに身体中に無数の傷跡を持つ所を見て、猟兵だった経歴を持つのだろう。
「そんなこと言わないのよ、《V》。《G》だって頑張ったんでしょう」
助け舟を出す若い赤毛の女性。
本来は《七耀教会》の星杯騎士が得意とする武器、
「………まぁ、相手も悪かったと言えるだろう。何と言っても、相手は《天帝》だ。結社最強ランクの執行者だぞ」
そして、一番不気味な雰囲気を纏う人。
身に纏っている黒衣と黒い仮面の所為で、性別すら判別出来ない上に、持つ武器も暗黒時代の産物たる
「早く………撤退してもらえませんか?鉄道憲兵隊もそろそろ到着する頃でしょうし」
「そうか………《天帝》を仕留めたい気もするが、《G》の回収もあるのでな。今回は潔く手を引こう」
「………有難うございます」
発言通り、撤退していく連中にシャロンはお辞儀をする。ここで手を引いてくれたのは、本当に有難かった。だが、黒衣の人は立ち止まり、一度振り向く。
「《死線》。《天帝》が目を覚ませば、伝言を伝えてもらえるか?」
「その程度の事なら、良いでしょう」
「あの力を使いこなせぬままなら、俺にすら敵わない––––––そう伝えておいてくれ。《帝国解放戦線》のリーダーである《C》から、とも付け加えてくれるか?」
そう言い残し、去っていく《帝国解放戦線》にシャロンは、
「………了解いたしました。目を覚ませば、その様にお伝え致しましょう」
と答えた。
―――*―――*―――
少年は黒い底で横たわっていた。
瞳には光が無く、精気の欠片も無かった。
射し込む光も無く、響く音も無い。何もかもが無い。全てが無に。そんな状態で倒れる少年に異風貌な少年が歩み寄る。
–––––結局、コッチ側に来ちゃったか
「………」
異風貌な少年の言葉に答える事の無い少年。端から見れば、無愛想とも取れる態度に苦笑する異風貌な少年。
–––––でも、本当に良かったのかい?ここは………“人”の領域じゃないよ
刹那、少年の瞳に光が灯り直る。そして、全てを理解した上で、少年は確認する様に言う。
「ここは………“修羅”の底、か?《
異風貌な少年こと《輝く環》は穏やかな笑みを浮かべ、答えを述べる。
–––––うん、そうだよ………って、言ってあげられれば良いけど、そういう訳じゃない
「何………?」
–––––いいかい?今から君に真実を伝える。そして、自分で決断してくれて構わない
「真実って………俺の記憶かッ⁉︎」
–––––その解釈は君に任せるよ。でも、何事も知るには責任が伴うって事だけは覚えておいてね
咳払いし、《輝く環》は少年に事実を伝える。
–––––まず、君と言う存在は人じゃなくなった。少なくとも、力では人じゃない。ここは理解出来てるかな?
「ボンヤリとしてるがな………枷が外れてるのは理解してる」
–––––それで君の居場所を暴露した。そこはどうだい?
「遺憾だけど、ハッキリと覚えてる。殺意に溺れて、口走ってた。………ったく、ミスったなぁ。
–––––何時に無く、冷静だね。そして、君は死んだ。
「………は?」
《輝く環》の発した言葉に少年は素っ頓狂な声を出す。そりゃ、そうだろう。勝手に死んだって言われても、素直にそうですか、なんて言えないだろう。
–––––ミスちゃんの『血塗れの覇王』の代償に、君は多くの血を失った。今はボクが意識だけでも繫ぎ止めてるけど、正直なところ、長い時間は保たないよ
「ミスちゃんって………つまり、俺は生死の境を彷徨ってるって事か」
–––––そういう解釈でOKだよ。で、ここで君にはツラい選択をさせるよ
一度、咳払いをし、真剣な面持ちで少年を見詰める《輝く環》。意を決し、選択を迫る。
–––––ボクが君を助けるのは簡単な話だ。《
その質問。普通の人間なら………世界に絶望を抱いていない限りは、YESと答えるだろう。わざわざ、死のうとは思わない。生きたいだろう。だが、少年にとってはそう簡単に割り切れる話では無いのだ。
愛してくれた二人を残してきた。その一点のみを考慮すれば、生きる選択肢を選ぶ事こそが正しいと言える。しかし、それは自分自身の事のみを考えた場合だ。
ここで《輝く環》の力を借り、身体の損傷を空属性の常軌を逸した再生能力とも揶揄出来る回復能力で元通りにする。すなわち、《輝く環》の力を使用するとなると、現実世界で人が見ていない事を確認する必要がある。何故なら、結社の切り札たる《七の至宝》だからだ。切り札である以上、易々と使う訳にはいかない。でも、外部を探る術を今の少年には持ち得ない。《輝く環》に聞けば、分かるのかも知れないが、「ツラい選択をさせるよ」と明言されているのだ。答えられる可能性に期待するだけ虚しい。
「………」
–––––ああ、そこで悩む事は悪い事じゃない。寧ろ、未だに人として悩めてるのは素晴らしい事だよ
もう人じゃないけどね、と《輝く環》は言外に表す。
こめかみを掴み、苦悩するゼダス。
「(ここで助けろ、というのは簡単だ。だが、そんな風に割り切っていい話では無い)」
理解出来ても、答えを下せずにいたゼダス。そして、感覚的には数分が流れた頃、《輝く環》は口を開く。
–––––でもね。判断を下すには、時に勢いもいるんだ。それこそ、考えよりも優先して、ね
「………何が言いたい?」
–––––ツラい選択だと言ったよね。つまり、選択肢が理解出来ても、君に選ぶ術は無い。でも、責任は君が負わなければならない
「つまり………」
–––––ボクがボクである為に器たる君は何としてでも回復させる。例え、他の仲間達が見ていたとしてもだ。でも、君には説明の責務を負う必要がある。だから………本当にゴメン。あとは任せるよ
―――*―――*―――
目前の危機は去り、一時平穏の空間が流れるが、全員の注目は傷だらけで気を失ったゼダスに集まっていた。そして、注がれる感情は畏怖。それを理解した上で、怒りたくなるのはシャロンだった。
「(ゼダス様が全てを賭して、守ったというのに恐れられる………正直、イライラしてしまいますわね)」
最愛の彼–––––ゼダスは全てを賭して、力を使った。戦闘の一部始終を見ていたシャロンは、そう断言出来る。だからこそ、怒りたいのだ。
殺意に駆られ、己の身元がバレる事を承知で、全てを救った。なのに、労う気も無ければ、感謝する様子も無い。感謝を忘れている訳では無いのだろうが、それを上回る程の恐怖に襲われているのだろう。
ある意味、核爆弾並みの奴が同じクラスに居て、その本気の片鱗を見た。そして、激情も垣間見た。恐怖を抱く理由もこの上無く分かる。でも………いや、だからこそ………
「すみません。到着が遅れました」
シャロンの思考を断ち切る凛とした声。帝国軍鉄道憲兵隊の特務大尉であるクレアの物だと、自ずと察せた。
「シャロンさん………来ていたのですね」
「愛しの主人が“人”から堕ちそうになってましたので。と言っても、多少手遅れな気もします」
抱えたゼダスの頭を撫でながら、会話を続けるシャロンにクレアは表情を強張らせるが、それに気付いた上で、シャロンはゼダスが考えそうな方法を模して、言葉を紡ぐ。
「帝国軍の直属の管轄下に置かれている病院に怪我をしたⅦ組の皆様を送ってあげて下さい。酷い傷でも、致命傷は無いでしょうけど、急いだ方がよろしいでしょうし」
「分かりました………それでゼダスさんは?」
「同じ病院にお送りするつもりですが、病棟は変えてあげれますか?今のゼダス様は………Ⅶ組の皆様と会いたく無い筈ですから」
「そんなに………酷かったのですか?」
「はい。執行者時代のゼダス様でも、考えられない程に壊れてました」
戦いの一部始終を観察していたシャロンだからこそ、言える言葉。それに不可視の重みがあるのは感じれた。
「クレア大尉。病棟の場所は帝都郊外の位置する所ですね?」
「えっ………はい、そうですけど」
「なら、私が運んでさしあげても良いですか?今のゼダス様を放してしまうと………もう一度掴むのが難しく感じてしまいます」
よく理解の及ばない不明瞭な言葉。それにシャロンは首を傾げ、思考を奔らせたくなるが、次の瞬間、目を疑う様な光景が見えた。
負傷中のゼダス………の左肩が金色の光に包まれている。その光はクレアには見覚えがあった。あれは–––––
「(あれは––––––《輝く環》ッ⁉︎ 何で起動式も無しに力を………)」
《七の至宝》が一角、空属性を司る《輝く環》が放つ輝きだった。放つ輝きはゼダスを包み込み、身体を回復させる。身体中にある傷が、時間が巻き戻るかの如く、瞬時に塞がれていく。盛大な失血により、優れなかった顔色も、普段に近いまでの色合いに戻ってきていた。
そんな光景にこの場に立ち合った全員が驚いた。
シャロンにとっては、結社の切り札を使ってしまっている事に対して。
救助に訪れた鉄道憲兵隊のメンバーや救助されていたⅦ組A班にとっては、理解の範疇を超える現象に対して。
そして、この驚きは伝染し、意外な所でも発生していた。
―――*―――*―――
「へぇ〜、あんな芸当も出来るんだなぁ、《輝く環》って」
一人、納得した様子で頷く青年。
平均的な身長を持った青年は漆黒の着物を見に纏っていた。と言っても、キッチリと着るのでは無く、中々ラフな格好だった。漆黒の着物の背中には『凶』の文字が書かれている。特に何も持っていない様に見えるが、纏う氣は達人クラス。
そんな青年の背中に突き付けられる小太刀。
「アンタ………一体、何モンだ?」
状況の慌ただしさに惹かれ、結局、ゼダスを追って来たシノブは不気味な青年に小太刀を突き付ける。
「おーおー、荒々しい事で。流石は情報局の外部協力者って言ったトコか」
「その情報持ちって事は、裏社会の精通者って解釈で良いんだろうな?」
青年の言葉に猜疑心が蠢くシノブ。
『情報局の外部協力者』。そんな関係を普通に生きてきて知っているはずが無い。少なくとも、裏の社会の闇に片足を突っ込んでいるはずだ。故に候補は湧いて出る。
一つ目、結社の関係者。しかし、この可能性は少ないと言える。何故なら、《輝く環》の生み出す力に舌を巻いているからだ。結社に与する者が全て、《輝く環》の存在を知っている訳では無いだろうが、達人クラスの奴に知られていない訳が無い。
二つ目、七耀教会の守護騎士。だが、これも結社と同様の訳で、望み薄と判断出来る。
なら–––––––––––
「そう考えてくれて構わねぇよ」
「なら、少し質問させろ。そして、アンタに拒否権は無いぜ。拒否したら、小太刀を突き刺すんだからな」
「答えれる分なら、答えてやるよ」
「それじゃあ、一つ目だ。お前の名は?」
名前だけでも分かれば、素性が分かるかもしれない。そう考えたシノブは問う。
そして、青年は特に考えた様子も無く、口を開く。
「東国の生まれでなぁ〜〜、名前は『
「クギリノ キョウ………」
同じく、東国の生まれであるシノブは記憶を漁る。
少なくとも、名の通った家名では無い。それなら、要人警護で有名な『エンラ家』が必ず気付いているはずだ。ここまでのレベルの強者なのだから。
結局、一致する記憶が無く、シノブは問いを重ねる。
「二つ目、お前の所属しているトコは何処だ?裏社会に精通しているって事は、何処かには属しているんだろ」
「あー………スマンな。流石に言えんわ、それは」
背中に突き付けられた小太刀に臆する事無く、キョウは回答を拒否する。それに驚くはシノブだった。
「なっ………テメェ、刺しても良いのか?」
「それもヤだな。俺にも––––––待ってくれてる人が居るんでねっ‼︎」
セリフを言い切った瞬間、キョウの姿はシノブの視界から消えた。その光景に目を丸くして混乱するシノブだが、冷静さを直ぐに戻す。だが、達人クラスの相手に一瞬でも気を逸らしてしまうと致命的。その当たり前の理屈の証明の如く、キョウは瞬間移動の様にシノブの後ろに回り込む。その行動の間にキョウはシノブの首を手に掛ける。急に首に掛かった衝撃にシノブは表情を歪めるが、即座に振り解こうとする。が、首筋に添えられた短刀。先程まで得物を持っていなかったというのに、一体何処から––––––––。いや、それよりも………
「(こいつ………凄まじ過ぎる手練れじゃねぇか。単純な戦闘能力のみだけ見れば………あのゼダスに追随出来るんじゃねぇかっ⁉︎)」
鮮やかな身のこなしに、否が応でも舌を巻いてしまう。だが、キョウにそんな事が気付くはずも無く、
「これで形勢逆転、だな。武器を突き付けられる気分ってどうだ?」
「………それはお前だって、味わっただろうが」
何とか冷静を保ち、言葉を発するシノブ。その言葉にキョウは溜息を吐く。
「それもそうだな。ま、殺す気はねぇからよ。見逃してくれるって誓ってくれるんなら、今直ぐにでも開放してやるよ」
「………開放した瞬間に襲うかもしれないぜ」
「いや、それはねぇな」
「何でだ………?」
「お前は彼我の戦力差をしっかりと理解出来るタイプの人間だ。だから、俺に攻撃しないはずだ。そうだろ、シノブ・エンラ」
行き渡った自信が故の言葉に加え、名乗っていないはずの名前を呼ばれた事にシノブは顔を顰めるが、言う通り、マトモに戦っても勝てないのは理解している。だから………
「………分かったよ、降参だ。だから、サッサと逃げてくれ。こんな物陰からゼダスを観察されてちゃ、コッチの気分が悪りぃ」
「逃がしてくれて、ありがとな。こんな任務の時に血でも流しちまったら、ソウマの野郎か、シホの奴に何言われるか分かったモンじゃねぇ」
言葉を繋ぎながら、キョウは短刀を離し、シノブから距離を置き、回れ右して来た道を帰ろうとする。
先の言葉の通りなら、追撃してはならない。しても意味が無いだろう。だから、何もせずに無言で見守る。そんな状況にキョウは去り際の一言を残す。
「ああ、二つ目の質問だがなぁ〜〜。逃がしてくれた御礼に答えてやるよ」
突然の回答にまたもやシノブは訝しむ。こう言ったペースの取り方は、何処と無くゼダスに似ている様に感じる。しかし、次の一言にそんな思考は粉々に砕け散る。
「この世に蔓延る人外の力の破壊に重きを置く集団。通称、《倶利伽羅ノ剣》。そこに所属しているのが俺。
はい、色々と言いたい事があるでしょう。ですが、言っておきましょう。
次話からは色々とシリアスになると思います。そして、ゼダス君の過去も明かす事になります。期待せずに待って頂けると有難いです。
今回登場の新オリキャラ、