理由。
全ての行動に通ずる言葉の一つと考えられる。「何故?」と聞かれ、「何故なら」と答え、「why?」と聞かれ、「because 」と答える。生きる上で避けては通れない言葉だろう。俺、ゼダス・アインフェイトもその状況に面していた。
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「さっきのあれ、いったい何だったのかな?」
赤毛の少年、エリオット・グレイヴは言う。先ほどの淡い光に包まれた現象。確かに全員の動きが視えた気がした。全員が疑問に思う中、俺は大体の目星はついていた。それはー
「ーそう、それがARCUSの真価ってワケね。」
サラがまるで俺の思考を読み取ったかのように奥にある階段から告げてくる。俺とフィー以外はその声に驚いた。そして、サラは階段から降りてきて、
「これにて入学式の特別オリエンテーリングは全て終了なんだけど……なによ君たち。もっと喜んでもいいんじゃない?」
と言ってくるが、各々に感じた疑問と不信感をサラにぶつける。その中、ユーシスが
「ー単刀直入に問おう。特科クラス《Ⅶ組》……一体何を目的としているんだ?」
と全員が思う疑問を包み隠さずぶつける。流石、《四大名門》の一角の後継ぎ。容赦無ぇな。だが、俺は此処でサラが言うと思われることを先読みして言う。
「さっきの現象が関係してるんだろ。例えば、ARCUSとの特殊機能とかか?」
「……まあ、流石の洞察力ね。君たちが身分や出身関係無しに選ばれたのは色々な理由があるんだけど、一番判りやすい理由はゼダスの言う通りARCUSにあるわ。エプスタイン財団とラインフォルト社が共同開発した最新鋭の戦術オーブメント。様々な機能があるけど、その真価は《戦術リンク》ー先ほど君たちが体験した現象にある。」
あの繋がった時に全員の動きが視えた《戦術リンク》。あれが普及したらとんでもない事になるだろう。
戦場においてこれがもたらす恩恵はある種の革命と言えるだろう。どんな状況下でもお互いの考え、行動を把握し、最大限に連携可能な部隊が存在してみろ。そんな部隊は味方から見れば最強の駒となり、相手から見れば悪魔以外の何者ではない。しかし、サラは
「でも現時点で、ARCUSには個人的な適性に差があってね。新入生の中で、君たちは特に高い適性を示したのよ。それが選ばれた理由の一つね。」
そんな事実に全員半信半疑で納得した。
「さてー約束どおり、文句の方を受け付けてあげる。」
「んじゃ、俺から文句というよりは質問なんですけど、さっきの石の守護者との戦闘を終始観察していた事、前提なんですけど、何処まで確信しました、サラ“教官”?」
全く意味の分からないゼダスの問いにⅦ組全員は疑問符を浮かべる。しかし、サラは
「あの“分け身”を見て確信したわ。その話は後で“きっちり”話をつけてあげる。」
と美人ながら、背筋が凍りつきそうな笑みを浮かべた。その笑みにゼダスは挑発的な笑みで返した。
「ああ、それじゃまた後でな」
このやり取りはいずれ理解せざるを得ないが今は、理解する方が難しいだろう。そして、話を切り替えるかのようにサラは
「トールズ士官学院はARCUSの適合者として君たち10名を見出した。でも、やる気のない奴に参加させるほど予算に余裕があるわけじゃないわ。それに、本来所属するクラスよりもハードなカリキュラムになるはずよ。それを覚悟した上で《Ⅶ組》に参加するかどうかーー改めて聞かせてもらいましょうか?」
と問われ、全員回答に困る。これでどう答えるかで将来が変わるといっても過言じゃないからだ。
「あ、因みに辞退したら本来所属するクラスに行ってもらうことになるわ。貴族出身ならⅠ組かⅡ組、それ以外なら、Ⅲ〜Ⅴ組になるわ。今だったらまだ初日だしそのまま溶けこめるでしょ。」
一応、辞退してもいいらしい。そんな中、一番最初に答えを出したのは意外にも俺だった。
「ゼダス・アインフェイト、Ⅶ組参加させて貰う。」
それを聞きサラは
「私が担任だからアンタは辞退するんだと思ったわ」
「逆だよ。アンタみたいな強い奴が担任なんだ。そりゃ、楽しくなりそうじゃないか。それに此処の変わり者たちの方が学院生活が楽しくなりそうだしな。だから参加だ。」
その宣言を皮切りに各々が参加表明をして結局のところ、全員参加だった。
「ーそれでは、この場をもって特科クラス《Ⅶ組》の発足を宣言する。この一年、ビシバシしごいてあげるから楽しみにしてなさいー!」
そして特科クラス《Ⅶ組》が漸く動き始めたのだった。
全員が階段を上っていく中、サラが
「さて、ゼダス!さっきの続き、始めよっか。」
と呼びかけると
「ああ、始めよう。」
と互いに殺気を発していた。
主人公の剣術の流派の名前を勝手ながら返させていただきます。どうかご了承ください。