闇影の軌跡   作: 黒兎

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地獄への片道切符

「………マジであり得ない」

「………本当だ」

 

 夜。

 ブツクサ言いながら、鞄に荷物を詰める少女が二人いた。

 その正体はフィー・クラウゼルとラウラ・S・アルゼイド。

 明日から執り行われるジャポネシア自治国への旅行の準備をしているのだが––––気分は反比例して悪い。 

 それもそのはず。

 恋人であるゼダス本人が「旅行に行かない」とキッパリと言い切ったからである。

 何故、そんな事になったのか。それは数時間前に遡る––––………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

–––数時間前–––

 

「––––俺、それ行けないわ」

 

 唐突に休むと言い出したゼダス。その言葉に全員が、

 

「「「ハァッ⁉︎」」」

 

 と声を上げる。

 流れ的には休むなんて口が裂けても言えないだろうが、言わざるを得ない事情もある。

 だから、ゼダスは切り出したのだが––––流石にスンナリと行くはずも無かった。

 まぁ、それは今のⅦ組の雰囲気的には察せていた。普通に理由も言わずに休めるなど。

 

「何でなの、ゼダス⁉︎」

 

 エリオットは身を乗り出し、尋ねてくる。それにゼダスは嘘偽りなく答えを述べる。

 

「俺さ………気付いたんだ」

「気付いた?」

「うん、俺には決定的に欠けている物がある」

 

 ユーシスの言葉にゼダスは意見を繰り出す。

 ゼダスの言う決定的に欠けている物。それは重要で、出来るだけ早くに解決しておきたい問題だった。

 

「それが––––力だ」

 

 今まで、ゼダスは結社の執行者として己の力を磨いて来た。

 事実、結社でも有望な戦闘員となったし、《天帝》の異名を得るだけの実力は有るのだろう。

 だが、それでは駄目だ。少なくとも、これからは駄目だ。

 ただ殺すだけの技術なら有る。

 しかし、求めていた己の過去を知り、新たな目標として『正義の味方』を掲げたゼダスにとって必要なのは護る力だ。

 その護る力を活用して、最低限でも周りの人を守護するのが願いで、今の周りの人達は紛れもなくⅦ組。

 確かにⅦ組の各々が実力を持っているとは言え、相手が裏社会の実力者なら話は変わってくる。

 《怪盗紳士》辺りなら全員で挑めば、苦戦しながらでも勝てる可能性は少なからず有るが、《聖王》や《痩せ狼》などの武闘派相手なら間違い無く対抗策が無い。

 ゼダス一人で、の状況ならば余裕だ。相性とかの色々な変数を折り込んでも、負け込むつもりは無いし、全力で喰いかかれば、勝てない相手では無い。と言っても、《鋼の聖女》とかの人外生物の相手は御免被りたいが。死ぬ気しかしない。

 だが、それは殺す為の力を用いた場合であって、護る為の力を用いた場合では無い。

 護る力––––つまり、敵の制圧よりも味方の安全を確保する必要がある。

 そんな所に神経を使いながら、執行者を相手出来るか。

 間違い無く、否。勝てる道理が無い。

 

「だから、俺は悟った。全てを護る力を得る為に、何にも屈しない不敗の力を手に入れる。全てを斃し切れる力を手に入れる」

 

 攻撃は最大の防御、と言う様に。

 全てを斃せれば、護りたい者を護れる。

 それがゼダスの導き出した強さの終着点。

 終着点が見えたのなら––––

 

「あとはひたすらに強さに向かって進むだけだ。だから、少しツテを使って頼んだんだよ。修行させてくれってな」

 

 故に行けない。

 強くなる為に––––そして、Ⅶ組(みんな)の為に行けない。

 普段なら止めたのだろう。ただ一人で強くなっても、Ⅶ組としては何一つ成長しないのだから。

 だが、止める事が叶う事はなかった。

 何故なら、ゼダスの瞳に宿る光が明らかに強くなる事を望んでいるから。そんな決意を宿した瞳を––––誰に止める権利があるのか?

 

 その答えが出せずに時間は過ぎ、放課後へとフェードアウト。

 誰もが止める事が出来ずにゼダスは早々と教室から出て行き––––

 

 

 

 

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

 ––––今に至る。

 ゼダスは漆黒のコートを見に纏い、腰に愛刀であるミストルティンを差して、シャロンにそう告げた。

 まだ陽が落ちたばかりで、行く分には早いのだが、ここでノンビリと時間を喰う様だと、未練が残りそうだから、早く出る。

 そう判断して、最低でもシャロンにだけは断っておこうと思い、話しかけた始末。

 

「ええ、お気を付け下さいませ」

 

 深々とお辞儀をするシャロン。それに加え、少し注意された。

 

「ですが、本当に気を付けてくださいね。今回の特訓、聞いた話によると今までのとは比較にならないとか。何と言っても––––結社から選りすぐりの執行者を相手取るのでしょう。正直、死ねますわ」

「何だ。もうシャロンは知ってたのかよ。俺が誰に修行を頼んだのかを」

「ええ、勿論ですわ。ゼダス様が信頼をおいてる上、特訓となるだけの実力を秘めていて、それだけの実行力を持つお方なんて数える程にしか候補は居ませんし」

「で、答えは?」

「––––シーナ卿。第零柱(あの方)ならば、ゼダス様の特訓なんて張り切ってお受けになりましょう」

「文句無しの大当たり」

 

 ゼダスが頼んだツテの正体。それは結社の第零柱、シーナ・ゼロ・フリスティアだ。

 執行者時代にゼダスが一時期、師として仰いだ人であり、魔術に関しては最高位の化け物。

 真正面から戦えば魔術で蜂の巣にされ、奇襲をしようとも付加されている『月夜見(ツクヨミ)』によって看破され、防がれる。

 どの距離でも対抗策を持つ、問答無用の最強魔術師だ。

 

「確かに俺が頼みに行った時に見せた顔と言えば、物凄くサドっ気に満ちてたしなぁ………今思うと滅茶苦茶にされる気しかしない」

「ですから、本当に気を付けて下さいよ。こんな所で死なれては困りますわ」

「分かってるよ。お前は俺の母さんかよ」

 

 シャロンの再三の気遣いにゼダスは少しばかり本音を漏らす。

 普通なら恥ずかしがったり、否定したりするのがテンプレなのだろうが、生憎シャロンはテンプレなんぞ知ったこっちゃないの行動を起こす。

 

「––––ええ、望むのなら、私はゼダス様の母親にでも、何にでも成って差し上げますよ」

 

 と言い、ゼダスをギュッと抱き締めた。

 そして、焦りを感じるのは勿論の事、ゼダスである。

 

「おま……っ⁉︎ や、止めろって。恥ずかしいだろ」

「ふふ、初々しいですわね」

「そういう問題じゃねぇって。こんな姿見られたら、色々と面倒事に––––」

「あーーーッ‼︎ ゼダスッ⁉︎ 一体、何やってるのよッ⁉︎」

「ほら、アリサに見つかった」

 

 この場面だけ見たら、色々と勘違いされそう。現に勘違いされて居る。

 アリサが凄い剣幕で尋ねてくる。

 

「何で抱き付いてんのよッ⁉︎」

「いや、俺に言われても……寧ろ、シャロンに聞くべきだろ、それ」

「お嬢様の慌てっぷりも可愛いですわね。ゼダス様、お嬢様を娶るのは如何でしょう?」

「ななな何言ってるのよ、シャロンッ‼︎」

「サラッと縁談を打ち込むなよ。その話は断ってるし、乗ったら乗ったでラインフォルト社の戦力がチート染みるだろうが。それに俺はアリサは恋愛対象外だし––––」

「ゼダスはゼダスで真面目に答えんなッ‼︎」

「何で真面目に答えたらダメなんだよ。滅茶苦茶だな、おい」

「まぁ、お嬢様にはリィン様がいらっしゃいますしね」

「そうそう」

「満場一致するなぁーーーッ‼︎」

 

 二人からの口撃に肩で息をするアリサ。

 ただでさえ、普段からシャロンに弄ばれるのにゼダスも合わさると破壊力は数倍に跳ね上がる。

 しかし、やられっぱなしで諦める様なタマでは無い––––事も無いが、アリサはふと思い付いた疑問を口にする。

 

「……そういえば、ゼダスってラウラとフィーの恋人なのよね?」

「ああ。殆ど強引に、だけどな」

「だったら、この状況って不倫だったりしないの?」

 

 全く以って当たり前の事。

 誰だって恋人以外と不埒と取られかねない行動を取っていれば、そう思うだろう。

 だが、元はと言えば、三人で編成された変則カップル。ならば、元々の常識も別であるのは当然だ。

 

「確かにそうかも知れねぇけど……でも、元々が三人なんだし。大して変わらないんじゃないかなぁ」

「どこから見てもヒモの言い分じゃないッ‼︎ と言うか、シャロンもそんな奴を好きになって良いの⁉︎」

「何も問題無いですよ」

 

 まさかの即答。

 それにアリサはゲンナリとした表情を浮かべるが、それすらも意に介さずにシャロンは愛を述べる。

 

「例え、ゼダス様に恋人が何人居ようと問題ありません。それだけ私が愛した殿方が世の中に認められている証拠なのですから」

「で、でも、ゼダスがシャロンを愛してるかは分からないじゃない。その証拠にシャロンがどれだけゼダスに押し掛けても、全く答えてないじゃないッ‼︎」

「それこそ愚問ですね。私は愛されたいのでは無く、愛したいのです。今まで愛した方々は、私の愛の重さに色々と有りましたから……」

「愛が重いって自覚はあったんだ……」

「でも、そんな重たい愛でさえもゼダス様は初めて受け止めてくれた。それも真正面から。それで惚れましたね」

「その程度で惚れられてもなぁ……つーか、愛なんてそう言うモンだろ。重たくて当然に決まってる」

「普段は人を騙しても何とも思わないゼダスが、この潔さは確かに異常ね」

「別に俺が騙す時は有益になる時だ。そんな無下に人を弄ぶつもりは一切合切無いんだが」

 

 アリサの言葉にゼダスは訂正がてらの言葉で返す。

 そこに言葉を挟むのはシャロン。

 

「ですから、私は振り向いてもらえなくても愛し続けます。それが私にとっての幸せですから」

「……」

「……」

 

 ここまで来れば絶句する他無い。

 しかし、こんな所で時間を費やすのは色々と尾を引く。

 だから、そろそろ出よう。そうしよう。

 

「んじゃあ、行くわ」

 

 ゼダスはシャロンを振り解き、第三学生寮の扉に手を掛ける。

 

「それでは––––御武運を」

「頑張りなさいよね」

 

 二人の声援を聞き、ゼダスは扉を押し開け、暗闇の外へと脚を進めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつの間にか、月が煌々と闇夜を照らしていた。

 ゼダスは街中をコツコツと音を鳴らしながら、歩く。

 トリスタの街の活気が僅かに残っているが故、少しばかりの温かみを覚える。

 が、対照的にゼダスは肌寒さを感じていた。

 

「(武者震い………って言いたいけど、これは完全に“恐怖”だな)」

 

 久しく………否、今まで感じた事の無かった感情。

 恐怖単体なら、幾度と無く感じて来た。

 《鋼の聖女》と交えた時、《第零柱》に打ちのめされた時。最近なら帝都地下で人の道から外れた時。

 そうやって、恐怖を感じて来たのに、無性に感じてしまう。

 

「(自らが死地へと赴くのを拒んでる、のか)」

 

 今からゼダスが行おうとしている修行の全貌は知らされていないが、マトモで居られる保証が無い。

 多分、シーナはゼダスにとって最悪の相手ばかりを選んで来るはずだ。そうでなければ、特訓の意味が無い。

 全てを捻じ伏せる事が出来、初めて全てを護れる事に通ずるのは分かっているのだから。

 だが、それが怖い。

 力を手に入れる事では無く、力を手に入れる過程が怖い。

 下手すればもう会えない。二度と眼の前に立てない。

 何があっても吐露したくない己の弱さ。それをゼダスは今まで通りに内心で嚙み締める。

 耐えろ。堪えろ。立ち止まるな。

 そうしては己の掲げた強さが保てない。

 ならば、進め。ひたすらに進め。

 

「ようやく………着いた」

 

 場所はトールズ士官学院の敷地内。厳密に言えば、校門に一歩立ち入った場所だ。

 そして––––ゼダスは見た。校舎の屋上で月光に照らされる妖艶なる狐の姿を。

 蒼白い月光に対する金色を纏う狐はゼダスの姿を察知し、瞳を向ける。

 琥珀色の瞳はスッとゼダスを見据えていて、抗い様の無い心理的重圧(プレッシャー)を与えてくる。が、膝は決して折らない。

 

「出会った瞬間から威圧か、師匠」

「アンタの内に怯えを感じたからなぁ。ちょいと引き締め直したんや」

 

 金色の狐––––というか、獣人ならぬ狐人(シーナ)は校舎の屋上から軽やかな身のこなしで地上へと跳び下りる。

 

「ま、今の感じだと大丈夫やろ。十分な力は感じる」

「そうかい。で、約束通りの時間だけど、俺を修行場所に連れて行ってくれるんだな」

「勿の論や。じゃなきゃ、(シア)の姿で休暇を取らんよ」

 

 コロコロと笑いながら、言葉の応酬を続ける二人。

 この光景だけで誰が察する事が出来るのだろうか。

 ここに達人クラスの戦士が二人も居る事を。

 しかし、気付かないのも当然かも知れない。

 何故なら、二人からは一切の闘気を感じない(・・・・・・・・・・)からだ。

 闘気というのは、戦士の感情が昂ぶれば昂ぶる程に発生してしまう物だ。だが、達人クラスとなると、闘気というのはある種の結界と化す。

 例えば、一人の剣客が剣の間合いの全てを剣の結界と化した様に。

 この事から、闘気は己のエネルギーに質量を含ませる事を可能としており、それ故に自身の力を消費する訳だ。

 つまり、意味ない時間に闘気を発するのは無駄の極み。

 だから、本当に戦闘の奥地へと進む扉に触れた者は闘気を自らの意志で完全に掌握(コントロール)出来るのだ。

 まぁ、それには応用も存在するのだが、それは別の機会に、という事で………

 

「それじゃあ、早く連れて行ってくれ。出来るだけ早く強くならなくちゃならないしな」

「了解。んじゃ、始めますか」

 

 シーナは膝を屈し、地に指を付ける。そして、唱え始めた。

 

「上位属性、《時》・《空》・《幻》、展開」

 

 突如、周囲には無数の魔法陣が展開。バチバチと音を立てている事から、中々の仰々しい魔術を行使するのだろう。

 

「目標座標位置固定。飛翔扉(シフティストゲート)開門(オープン)

 

 中央を陣取る魔法陣から巨大な扉が現れた。

 有色とも言えないが無色とも言えないという曖昧な扉だが、これが俗に言う転移門なのだろう。

 並の魔術師では行使は愚か、組み上げる事さえも叶わない代物を短時間で組み上げる技量は本当に恐ろしい。

 

「ほれ。御目当ての場所と繋いだ門の完成や」

「流石の一言しか思い浮かばねぇな」

 

 満足な出来に誇らし気な笑みを浮かべるシーナにゼダスは心の底から賞賛。

 その後にゼダスは扉の奥にへと踏み入ろうとするが、寸前の所でシーナに止められた。

 

「ん? 師匠、どうした?」

「吹っ切れたと分かっていても、一応は訊いておく必要があるからなぁ。––––覚悟はあるんか?」

「覚悟、ねぇ………それは一体(・・・・・)どういう事かな(・・・・・・・)?」

 

 ゼダスの言葉にシーナは度肝を抜かれた様な顔をする。

 それを見たゼダスは追い打ちを掛ける。

 

「覚悟なんて見えないし、有無なんて自分にしか分からない」

「だから、聞いとるんやろうか」

「聞いてどうするよ? 俺に覚悟が有ろうが無かろうが強くならなきゃならないのに変わりは無いんだ。今更、そんな事を訊くなんて愚問中の愚問だ」

「………そうかいな。わざわざ訊いたウチの方が愚かやったな。んじゃあ、行って来いや。ウチも直ぐに向かうから」

「了解。転移先で待っとけば良いんだよな?」

「そうや」

 

 踏み入ってからの行動を確認した後、ゼダスは再び扉を見据える。

 この先に待つのは––––地獄だ。

 進めば無事では無い。

 特訓に成功したとして、生きて帰って来ても、自分で居られる保証は何処にも無い。

 でも、進まねばならないのだ。己の為にも、護るべき者の為にも。

 

「それじゃあ、一足先に行かせてもらうよ」

 

 そして、ゼダスが扉に一歩踏み出そうとした時、ある事が起きた。

 何かの疾駆音。それが耳朶を打つ。

 別にそれだけなら意に介さないのだが––––こちらに確実に近付いて来ている。しかも、凄い速度で。

 流石に気になり、後ろを振り向くと––––そこには一番、来て欲しくない奴らが来ていた。

 

「ラウラにフィーッ⁉︎ 絶対、止めるだろうから何も言わずに出て来たのに、何で来たんだよ⁉︎」

 

 叫ぶ様なゼダスの言葉だが、それを一切聞き入れずにラウラとフィーは全速力で走って来る。

 猪突猛進もさながらの動きにゼダスの困惑は拭えない。が、何となく目的は察せた。

 だが、それが的中しているとなれば、非常に不味い。

 

「師匠ーーーーーッ‼︎ 扉を閉じろぉーーーーーーーーーーッ‼︎」

 

 その言葉にシーナは扉を閉じようと魔術を急遽、組み直すが–––––

 

「ゼダスッ‼︎」

「何だよ、ラウラッ‼︎」

「特訓に行くのなら、私も連れて行けッ‼︎」

「ん。私も」

 

 ––––間に合わず、ラウラとフィーはゼダスに全力で突撃。

 勢いを殺しきれずに三人は扉の奥へと誘われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 扉の底は深い闇の森林だった。

 地面には石畳が敷かれている。

 

「痛ってて………」

「流石に全速力で打つかったのは不味かったか………」

 

 結局、ゼダスと同じ様に飛ばされて来たフィーとラウラはそう呟くが、ゼダス本人は全く穏やかじゃない。

 

「お〜ま〜え〜ら〜なぁ〜〜〜」

 

 怒気を含んだ声でゼダスは言った後、二人を一回ずつ殴る。と言っても、だいぶ力を抑えた為、コツンぐらいな物だが。

 

「何をしたのか分かっているのかッ⁉︎ 俺が今から行おうとしている修行は結社の最高クラスの相手ばかりが犇めく地獄の様なモンなんだぞッ‼︎ そんな中で俺がお前らを護れる保証がねぇだろッ‼︎」

「いや、別に護って貰わなくて結構だし」

「フィーの言う通りだ。わざわざゼダスの手を煩わせる程の話では無いだろう」

 

 その言葉にゼダスは頭を抱えたくなった。

 結社を甘く見ているのか………そう危惧するが、実際は違った。

 

「夫が茨の道を進むのなら、寄り添うのが妻の役目。なら、私達が付いてくるのには何の問題も無い」

「くかかかか‼︎ 転移してきたら、こんな惚気話擬きが聞けるとはなぁ〜〜。ゼダスも中々の幸せモンよなぁ」

 

 シーナも無事に転移して来て、そう言う。

 

「おい、師匠ッ‼︎ どう見ても特訓の邪魔だから、この二人をトリスタに転移させろッ‼︎」

「嫌に決まっとるやろ。もう一度魔術を組み直すの面倒やし、何よりもウチがこいつらを気に入った。気に入ったら、強くしてやりたいのがウチのサガやしねぇ」

 

 まさかの拒否。

 それにゼダスは不機嫌な顔をするが、次の瞬間崩れ去った。

 

「ま、どちらにせよ、行く場所は変わらないんやし………別に問題無いやろ」

「行く場所が変わらない?」

 

 シーナの言葉の中に取っ掛かりを覚えたゼダスは訊ねる。

 そして、驚愕の事実を口にされた。

 

 

 

 

「そうや。ここは本来なら、Ⅶ組が明日に来るであろうジャポネシア自治国やし」

 

 

 

 

「「「え?」」」

 

 

 衝撃の事実に三人は少しばかり立ち尽くしていたとさ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






次回から、ゼダス君及びラウラ&フィーの超絶強化合宿の始まりです………え、新婚旅行の間違いだって?
そんな訳無いじゃないですか、アハハ………だって、相手は結社の最高クラスの刺客っすからね。


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