GOD EATER 2 RB 〜荒ぶる神と人の意志〜   作:霧斗雨

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第13話です。
エミール再来。
ユノとの再会。


第13話 望まない再会と思わぬ再会

メディカルチェック事態は比較的すぐに終わり、麻酔などの薬がまだ効いている中、昔お世話になった懐かしのラボラトリのベッドの上でサカキから結果についての説明を受けたのだが、麻酔が切れていないのもあるのかさっぱり頭がついていかなかった。

物分りはいい方のつもりだったのだが、どうもそんなことは無かったらしい。

とりあえず結果は極めて良好、何処にも異常はなく、あの日の大怪我もなんの問題も無く回復していて、尚且ユウと同じ変化が見られるらしい。

それに関して、サカキ曰く。

 

「結論から言うと、君の身体は、普通のゴッドイーターよりもアラガミに近いものになっているんだ。偏食因子とは別のオラクル細胞が、偏食因子投与前から君とユウ君の身体に存在していてね。君の場合はおそらく、あの大怪我を負った際、つまりアラガミに背中の肉を食われた際、微量のオラクル細胞が体内に侵入したんだ。今ではそのオラクル細胞の量は増えてしまっているけれどね」

 

「は、はぁ……?」

 

「本来ならば、捕食されてしまうのだけれど、どうやら、君とユウ君はオラクル細胞を受け入れやすい体質だったみたいだね。通常の体細胞を傷付けずに、上手く共存しているんだよ。君の戦闘データを見せてもらったけど、あの駆動が出来ているのはこれのおかげでもあるんだ。本来の身体能力が高かったのもあって、いい方向に行ったみたいだね」

 

「ん……んん?」

 

「前検査した時は、生きているのが奇跡のレベルで不安定過ぎたから、ここで経過観察をしようと思っていたんだけど、君達は何を思ったのか逃げてしまったからね。でも、今回の検査で、現在はP66偏食因子とも上手く共存し、非常に安定していることが分かったから、もう心配はいらなさそうだよ。油断はできないけどね」

 

途中から訳が分からなくなり、必死に簡単に噛み砕いた結果、つまりは、普通のゴッドイーターよりもアラガミに近い体を持っているために今までのような駆動と回復が可能であった訳で、昔は不安定だったけど今はもう安定したから安心していい、ただし油断はしないように、ということらしい。

これをサカキはほぼノンストップでつらつらと説明してくれた。

これが嫌で逃げ出したのに、再びされることになるとは思っていなかった。

 

「ここまでで何か質問はあるかい?」

 

「……あの、もういい、です」

 

げんなりとしながらレイが言うと、サカキは笑った。

 

「ごめんごめん、話しすぎてしまったね。ところで、君の名前はなんだったかな?」

 

「レイ。朽流部レイです」

 

「レイ君だね、覚えておくよ。長いこと付き合ってもらって悪かったね」

 

やっとのことで開放され、ふと端末に目をやると、ロミオから居住区画にいる、と連絡が来ていた。

検査と説明だけだったのに、どっと疲れてしまったレイは、うんざりしながらもロミオの呼び出しに応じるために居住区画に向かっているのである。

まだ薬が残っていて、体が非常に重い。

 

「やあ、君じゃないか。ごきげんよう!」

 

突然聞いたことのある声を聞き、レイはものすごい嫌な予感とあきらめを胸に振り返った。

案の定そこにはエミールと、見慣れない少女がいた。

 

「……よう、久しぶりだなエミール。相変わらず元気だな。えーと、君は?」

 

「あなたがブラッドの副隊長さん?私はエリナ、エリナ・デア=フォーゲルヴァイデといいます。私たちは、極東支部第一部隊所属のゴッドイーターで……」

 

「極東はどうだい?フライアも優雅だが、ここはここで趣があるだろう」

 

エリナの話を遮り、エミールが話し始める。

え、そこ遮っていいとこじゃないだろ。

 

「土と油の匂い、それは決して不快ではない。むしろ懸命に生きる人々の活力が伝わってくる。さらにそのなかで一杯の紅茶を飲む。それら全ての匂いが混ぜ合わさったときに感じるんだ」

 

恍惚とした表情を浮かべ、エミールは言う。

 

「……ああ、僕は彼らを護り、また僕も彼らに護られているのだと」

 

「エミールうるさい!」

 

ここで、ついにエリナが噛み付いた。

その気持ちはわからないでもないが、この状況はどうしたらいいのだろう。

 

「む、どうしたエリナよ。新しい極東の仲間同士親睦を深めるべく……」

 

「私が話してるんでしょ!」

 

「そう!ここにいるのはエリナ。我が盟友、エリック・デア=フォーゲルヴァイデの妹、すなわち……」

 

ビシッ、と自分を指さしてエミールははっきりと言い切った。

 

「このエミール・フォン・シュトラスブルクの妹と思ってくれればいい」

 

「だれがあんたの妹よ!」

 

「なぁ、お前ら漫才してんの?」

 

げんなりとしながら、レイは言った。

早く居住区画の方に行きたいのに、やんややんやと巻き込まれてしまって動けない。

困っていると、エレベーターからコウタが現れて、エリナとエミールに向かって手を振りながら呼び掛けた。

 

「ああ、いたいた。エミール、エリナ、準備するぞ……げ、早速もめてやがる……」

 

ギャーギャー言い争う二人のあいだに、コウタが割って入った。

そして、レイをしばらくジッと見た後、手を合わせる。

 

「ホントごめん!こいつらはエリナとエミール、第一部隊の隊員だ。エミールの方はもう会ってるんだったよな」

 

「あ、はい。えと、コウタさんでしたっけ」

 

「そうそう!覚えてくれたんだ」

 

嬉しそうにコウタは笑うと、再びレイの顔をジッと見つめた。

 

「あの、俺の顔に何かついてますか」

 

「ああ、ごめん!お前を見てるとどうも親友を思い出すんだ。今は長期の遠征にでかけてるんだけどさ」

 

レイは、コウタが言っている親友はユウのことであるとわかったが、質問するのをこらえた。

今、聞くのは野暮というものだ。

それに、さっきコウタが準備に行くと言っていたのが聞こえたし、それがなんの準備かは知ったことではないが、あまり時間を取らせるわけにもいかないだろう。

 

「こいつら、二人とも筋は悪くないんだが、ちょっとまあ、ご覧の通りアレでな……」

 

「……分かる気がします」

 

レイとコウタは、ジト目でエミールを見た。

おそらく、エミールが静かにしたらエリナも噛み付かず、静かになるに違いがない。

 

「む、改善すべき点があればどんどんご指導願いたい」

 

「ちょっと、私をこいつと一緒にしないでくださいよ!」

 

エリナがコウタに怒鳴るように言った。

エミールは相変わらずの反応である。

なんというか、ブラッドとは違う、ちぐはぐなチームに見えた。

 

「もう、わかったわかった。まぁ、これから仲良くしてやってよ。えーっと……」

 

「レイ、朽流部レイ、です。……一緒に頑張ろうぜ」

 

「もちろんだ!我がライバルよ、ここ極東で競い合い、共にさらなる高みを目指そうではないか!」

 

「だから、誰がライバルだ。勝手に認定すんなコラ」

 

「……よろしく」

 

「……おう」

 

エミールは相変わらずであったが、なんだか、最後までエリナの態度が刺々しい気がした。

 

ーーーー

 

「悪い、遅くなった。疲れた……」

 

レイが居住区画についた時、ロミオとギルが出迎えてくれた。

レイがメディカルチェックをされている間に、2人ともいろいろなところを見て回ったようだった。

 

「遅かったな、何してたんだ?なんだか、薬品の匂いがするが」

 

「あーと、まあ、いらいろと。で、どうだよ極東支部は」

 

ギルに突っ込まれたが、レイはそれを曖昧に返し、新しい話題を振った。

たしか、極秘の検査だった筈だ。

バレたところで問題は無いような気がするが、いいと言われるまでは隠しておくべきだろう。

ギルに悪い気がしたが、しょうがない。

ギルは納得していないのか、フン、と鼻を鳴らした。

この前の事もあるのだろう、どうも信頼度が下がっているような気がしてならない。

 

「いやー、極東支部って美人さんが多い!楽しくやってけそう!」

 

そんな2人なと気にせずに、ロミオは自身の感想を述べた。

すかさず、レイはそっちに乗った。

 

「そりゃ、良かったな」

 

「でも、設備が何かちょっとボロい?いかにも最前線、って感じだよなー。俺、フライアの方で寝泊まりしようかなあ」

 

「フライアは貴族趣味すぎる。フツーはこんなもんだ」

 

「俺にはどっちも豪華に見えんだがなぁ」

 

ここで、それぞれの価値観が出た。

初めからフライアにいたロミオからすれば、この支部はたしかに少しボロく見える。

グラスゴーを知っているギルからすれば、フライアは貴族趣味過ぎて見える。

未保護集落出身のレイからすれば、フライアも極東支部も、豪勢に見える。

おそらくグラスゴー支部だって豪勢に見えるだろう。

 

「育ちの違いってやつだな」

 

「フツー?それは、ちょっと聞き捨てならないですねー」

 

「ん?」

 

3人が声のした方を振り返ると、1人の女が立っていた。

メガネをかけたその女は、顔こそ笑っているものの、目は笑っていない。

 

「ここがフツーなら、この外の世界は何なんですかねー。アラガミに怯える人達をほっておくのがフツーなんですかね?」

 

女は、つかつかとギルに近寄り、顔をのぞき込んだ。

 

「誰だ、アンタ」

 

「高峰サツキ、フリーのジャーナリストです。ふーん……貴方達は本部からの出向ですか?」

 

サツキは、3人をグルリと見回した。

おそらく、一般のゴッドイーターとは違う腕輪の色で判断をしたのだろう。

 

「気分を害したなら、謝る。だが、ジャーナリストって人種は苦手でな。ロミオ、レイ、あとは頼んだ」

 

ロミオの肩を軽く叩き、ギルは立ち去る。

たしかに、ギルはそういうのが苦手そうだった。

いや、俺も苦手なんだけど。

 

「え……おい、ちょっとー!」

 

ロミオが慌てて止めようとするも、ギルは聞かなかった。

困った様にサツキの顔を見ると、頭を下げる。

 

「……ごめんなさい」

 

「あら、意外と素直」

 

クス、とサツキが笑う。

その時だった。

居住区画の一室のドアが開き、中からかの歌姫、葦原ユノが出てきたのである。

 

「うあ!あ……」

 

何時ぞやと同じ様にロミオが固まる。

 

「あら、サツキ?先に行ったんじゃなかったの?」

 

ユノはサツキに問いかけた。

その視線が、レイの方に向けられる。

 

「あら、貴方は確か……フライアにお邪魔した時……」

 

「どうも初めまして!お、俺、ロミオって言います!葦原ユノさんですよね!いやー、俺すげえファンで、あの……」

 

復活したロミオがレイを押しのけ、ユノの前に立ち、その手を握った。

あまりにロミオがグイグイいくので、ユノは少し引いている。

そのあいだに、サツキが割って入って止めた。

 

「はいはい、握手会はちゃんとマネージャーを通してからにしてくださいねー。で、ユノ、この人達、知り合い?」

 

「ううん、フライアですれ違った時、同じくらいの齢だなーって気になって……あ、初めまして、葦原ユノと申します」

 

「俺は朽流部レイ。よろしく」

 

「はーい!よーく存じ上げておりますっ!いや、もうホント、貴方の歌すんごい好きで……」

 

「はいはい!そろそろお時間ですよー」

 

ユノに再度迫るロミオを、サツキが止める。

それを見て、ユノはクスクスと笑った。

 

「こうやって同年代の人とお話するの……久しぶりだね」

 

「まあ、このところ堅苦しいおじさん、おばさんとばっかり話してきたからね……」

 

ユノの言葉に、サツキも微笑んだ。

サツキは遠い目をし、ユノに視線を移す。

 

「あっと、コウタ君を待たせてるんだった。ユノ、やっぱり後で呼びに来るから」

 

サツキはユノにヒラヒラと手を振ると、エレベーターに向かって歩き出す。

すれ違う瞬間、レイの方を見た。

 

「もしよかったら、ユノと仲良くしてあげてくださいね。あの子、同じ年頃の友達がほとんどいないから……」

 

「……そういうの苦手なんだ、俺。気が向いたらな」

 

レイの答えにクス、とサツキが笑った。

 

「ついでに、私の代わりにそのロミオって子を抑えておいてくださいねー」

 

「え、それの方が無理……」

 

レイの返答を聞かず、頼みましたよー、と言い残してサツキはエレベーターに乗って行ってしまった。

 

「参ったな」

 

「おーい、レイ!」

 

ロミオに呼ばれ、振り返ってみると、ユノがロミオの帽子に何か書いている最中だった。

 

「お前のジャケットにもサインしてくれるってよ!」

 

「え」

 

思いがけない呼びかけに、レイは驚く。

まさか、そんなことを言われるとは思わなかった。

 

「い、いや、俺はいいよ」

 

「えー、何だよー」

 

「ロミオがするんじゃねぇじゃんかよ。あ、そーいやロミオ、一昨日の報告書、出したんだろうな?」

 

「あっ、やっべぇ!」

 

顔からサッと血の気が引き、ロミオは慌てて走っていった。

報告書のことなど、さっぱり忘れていたようである。

 

「そそっかしくて悪いな。えーと、ユノさん、だっけか」

 

「いえ、大丈夫ですよ」

 

ユノは、フフ、と楽しそうに笑った。

 

「改めて、これからよろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしく」




もしあの時コウタが来なかったら。
主人公はきっと延々とエミールに付き合わされたことでしょう。
私だったら逃げる。
今回はユノさんと再開しました。
有名人がさらっといる極東支部って凄いと思います。
ロミオを報告書でかわした主人公。
サツキさん、やりましたよ。
そしてサカキ博士の長いご説明。
非常にアラガミに近い身体ではあるもののの、ソーマのような半分アラガミという訳ではないという面倒臭い設定でした。
これを6歳の子供に説明したサカキ博士、そりゃ逃げられますよ。
感想、お待ちしています。
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